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31話:強引な矯正

霊脈の淵にたどり着いたリアム達。

神秘的な様子に心奪われた直後、異変が起きた。



黒い雷撃がパリパリと空間に走り、突然ひび割れが出現した。


「あれは、ノーザンで見た!?」

リアムは麓の街であるノーザンでの出来事を思い返す。

あの時、異空間から出現した黒い雷撃が、ゼウスとアビスを変貌させていた。



──管理者!?



あの時は、異空間に居る暗く、黒い者、つまり”管理者”が、何かを行ったように見えた。

今度は何を!?


その答えはすぐに現れた。



空間のひび割れが吐き出すように、人を出現させたのだ。



「これは……、転移……」

出現した人物が、忌々し気な声で呟く。


「え?」

リアム達は、全員があっけにとられている。


「ルナ、さん?」

セレスティアがひび割れから出現した人物へと呼びかける。


そう、エルフヘイムで別れたはずの女性、ルナ・サトウが突然出現したのだ。



「まさか、強制力!?」

ただ一人、”正史”を知るケンタが、戸惑いつつ独り言ちる。

正史とは異なり、”【闇慈の執行者】アザゼル”が存在しない。だから、”正史”には存在しないルナをここに持ってきた?


「強引すぎじゃね!?」


アザゼルとルナは類似点が有るような無いような、有るといえば有るともいえなくもないような、いやいや、無理筋でしょ?

アリかナシかで言えば、アリよりのナシに限りなく違いナシ? いや、ナシよりのアリに限りなく近いナシ? 

自分で言っててようわからん!!


ケンタは混乱の極みだ。




ルナの様子は、以前とは異なっていた。


「あぁ……、くそっ、転移だと……最悪の気分だ……」

ガリガリと頭をかき、ルナは不快感をあらわにする。いや、


「くそくそくそくそくそっ、くそがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

頭を掻きむしり、地団駄で石の地面を陥没させる。不快感どころか、嫌悪、憤怒をまき散らしていた。



裂け目からパリパリと吹き出す黒い電撃は、確実にルナを捉えている。

ルナの外見的様子には変化は見られない。だが、全身にほとばしる黒い電撃が、彼女の変質を物語っている。


「あぁ、うるせぇ、お前の指図はうけねぇよ……、世界なんて知ったことかよ」


いや、彼女は元々”壊れて”いて、その本質が隠れていただけである。


「あぁ……、くそ、頭がいてぇ……、むかつく」


ルナが顔を手で覆う。が、指の隙間から覗く冷淡な視線は、鋭くレイジに向けられる。


「うるせぇ、”お前ら”の言うなりじゃあねぇ……」


Recharge Villainous Core...

Limit Break


「あの、ヒーロー気取りがイラつくんだよ!!」


Release the Exoskeleton


ルナの四肢末端から黒く真紅な装甲が展開され、全身を覆っていく。

全身にエネルギーが行きわたり、赤いラインとして明滅する。


『かかってこい、この間の続きだレイジ。いや……』

ヴィラン・ルナがレイジを指差し宣言する。


『変身しろ、ジャスティス・ブレイク』

ルナの発言に、全員が一斉にレイジを見る。一人、長老だけが”意味不明”という表情をしている。


「る、ルナさん」

『うるせぇ、キモイ、名前を呼ぶな』

レイジはがっくりと項垂れ、地に両手と膝を付いた。


『黙ってかかってこいヒーロー、お前が倒すべき(ヴィラン)だ』

その言葉にレイジは顔を上げる。


「変身します」


Recharge Justice Core...


レイジの胸、その奥に搭載されたコアに力が集まる。


「でも、俺はあなたを倒すんじゃない」


Limit Break


コアのエネルギーは最大まで充填された。


「俺は、あなたを止めたい」


Release the Exoskeleton


レイジの四肢末端から漆黒の装甲が展開され、全身を覆っていく。

全身にエネルギーが行きわたり、緑のラインとして明滅する。


『俺はアナタを救いたい』

『ほざいてろキモ男!!』


ルナの姿が掻き消え、赤い光が軌跡を残し、ジャスティス・ブレイクに激突する。

ヴィラン・ルナの右拳を、ジャスティス・ブレイクが受け止めていた。が、衝撃波で周囲の仲間たちが吹き飛んでいく。


ジャスティス・ブレイクはルナの手を両手でつかみ、そのまま上へとぶん投げた。


『ヒーローはお優しいことで!!』

ヴィラン・ルナの背から8本の触手が飛び出し、ジャスティス・ブレイクの頭上から襲い掛かる。

が、同じくジャスティス・ブレイクの背から光弾が発射され、すべての触手は壁に張り付けとなり、直後飛び上がった彼の手刀により、触手が細かく寸断された。


『チッ!』


<BOOT ClockUp Drive!>


ヴィラン・ルナが赤い残像を残し、姿が消える。


<BOOT ClockUp Drive!>


同時にジャスティス・ブレイクも緑の残像を残して視界から消え去った。


霊脈の淵上層で、赤と緑の軌跡だけが、目にも映らぬ速度で激突を繰り返す。リアム達がわかるのは、その衝撃だけだった。



「レイジが、ジャスティス・ブレイクだったなんて」

頭上で行われる規格外の戦闘を見上げ、リアムが呟く。


「え、どういうことですか?」

「うむ? レイジとは筋肉が違うぞ?」

「あそこまで見てわからんとか、逆に感心するんですけど!? というかグレッグ、ちゃんと人を見よう? 筋肉だけじゃなくて」

全く理解していないセレスティアと、”筋肉が違う”という謎の判断基準により、別人認定しているグレッグに、ケンタは久々のツッコミを炸裂させた。


「今更ながら、私このパーティーに居ていいのか心配になるわ」

エリシアは呆れている。



「長老、今の内に”儀式”をお願いしたい」

聖剣を手にオロオロと行ったり来たりしていた長老の肩を持ち、その動きを止めたリアムが、長老に願い出る。


「い、いや、しかし、今にも──、ヒィッ!」

言いかけた長老とリアムのすぐ横で衝突が発生し、ドンッという音が響く。


「よ、よくわからんが、アレが終わってからでは、ダメかの?」

長老が甘えた感じを出し、上目遣いでリアムを見る。


「いや、じーさんの上目遣いとか無理だから!!」

ケンタのツッコミに、長老が「うるさい」と言いたげな鋭い視線を向ける。


「レイジは、僕の仲間で……きっと今、つらい戦いをしている。そして」

リアムは見上げ、頭上で戦う二人を想う。


「ルナさんも、きっとつらいんだと思う。だから、少しでも力になりたいんだ」

そう告げるリアムの瞳には、確かに“勇者”と呼ばれる光が宿っていた。


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