第二章 イリスとアヴァン ギルドに呼び出される その四
初めての投稿で不慣れの部分もありますが、どうかよろしくお願いします。また、所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
ギルドマスターが手にした羊皮紙には、達筆な文字でこう書かれていた。
「緊急依頼:北部の僻地・ヴァルガ村近郊における異常事態の調査」
「ヴァルガ村……?」
アヴァンが小さく呟いた。俺もその名は聞いたことがない。ここから北へ数日、人里離れた山奥にあるという話だ。
ギルドマスターは、その紙を広げながら説明を続けた。
「ヴァルガ村から定期的に送られてくる物資輸送の連絡が、ここ数日途絶えている。当初は天候不良による遅延かと思われたが、数日前から周辺の商人や旅人からの報告で、森の異常な静けさが指摘され始めた。通常、あの辺りの森は小型の魔獣が多く生息しているはずなのだが、まったく気配がないらしい」
森の異常な静けさ。あのゴブリンシャーマンの時も、本来はゴブリンがもっと奥にいるはずだった。嫌な予感がする。
「加えて、ごく最近になって、ヴァルガ村へと向かった冒険者パーティ数組からの連絡も途絶えている。そのため、ギルド本部から緊急調査の指示が下された。君たちには、ヴァルガ村へ赴き、この異常事態の原因を特定し、状況の打開に努めてもらいたい」
ギルドマスターの表情は、いつになく真剣だった。普段の彼からは考えられないほどの、緊張感が漂っている。
「期限は?」
俺が尋ねた。
「無期限だ。ただし、早急な解決が望ましい。状況次第では、聖騎士を派遣することになるだろう。だが、彼らが到着するまでの間、君たちが状況を把握し、可能ならば対処してほしい」
それは、新人冒険者である俺たちにはあまりにも重すぎる任務だった。だが、拒否する選択肢はなかった。俺たちの「監視」という名の新たな活動は、この任務から始まるのだ。
「分かりました」
俺は覚悟を決め、答えた。隣のアヴァンも、複雑な表情をしながらも頷いている。
ギルドマスターは、満足そうに頷いた。
「よし。準備を整え次第、出発してくれ。詳しい地図と、村の情報はこれだ」
彼はもう一枚の羊皮紙と、小さな革製の袋を俺たちに差し出した。地図と、いくらかの支度金だろう。
俺とアヴァンは、それを受け取ると、会議室を後にした。村のギルドの扉を出ると、いつものように陽光が降り注いでいたが、俺たちの心の中は、これから始まる未知の旅への緊張と、そして漠然とした期待で満たされていた。
「イリス……私たち、大丈夫かな?」
アヴァンが不安げな声で俺に尋ねる。俺は彼女の肩に軽く手を置いた。
「大丈夫さ。なんとか、なる」
そう言うと、俺は小さく息を吐いた。いや、正直なところ、大丈夫だなんて言い切れる自信はなかった。だが、俺たちにはもう引き返せない。そして、俺の中に眠る「名月流」の力が、この旅の先で、その真の姿を現すことになるのだろうか。
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