第二章 第二回進級試験 その十一
所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
窓の外から届く飛空艇の駆動音が、静かな書斎に響く。 リュウガは、使い古したペンをそっと机に置いた。指先には、数時間におよぶ執筆による独特の重みが残っている。
「……ふぅ。このあたりは、書いていても当時の焦燥感が蘇ってくるな。」
彼は、書き上げたばかりの『第二章 特別推薦進級試験』の原稿を読み返した。 そこには、学園を襲った混乱、アルバートへの疑念、そして仲間たちと共に強敵グラファイトを退けた、泥臭くも熱い真実が綴られている。
リュウガは、部屋の隅に放り出された、例の『勇者リュウガの冒険物語(本人の許可なし)』をチラリと見た。 その本では、この「エリシオン防衛戦」は、若き日の英雄リュウガが一人で数万のスライムを倒し、上級幹部 (本来は下級幹部なんだが…) を一撃で粉砕した……などという、あまりにも安っぽい無双話として描かれている。
「馬鹿馬鹿しい。あの一戦が、どれほど綱渡りだったか。リリィの増幅魔法がなければ、カイトの『超剣流』がなければ、そしてアヴァンとエルドの拘束がなければ……俺は、あの場所で終わっていた。」
彼は苦笑した。 自分一人の力で勝ったことなど、この時はなかった。仲間たちがそれぞれの道を見つけ、強くなろうと決意したからこそ、今の平和がある。特に、アヴァンとエルドが大魔法使い本部へと旅立ったあの日の朝の、少し冷たくて、けれど希望に満ちた空気。それは、どんなに優れた物語作家でも、実際に体験した者でなければ描写できない繊細な記憶だ。
(……それにしても、カイトのやつ、あの後に本当に腹筋五千回をやり遂げたんだよな。当時は呆れたが、今の俺からすれば、アイツのそんなバカ正直なところが、後にどれほど俺たちを救ったか……)
リュウガは、懐かしさに目を細めた。 だが、ペンの進みが一瞬止まったのは、物語の終盤に差し掛かった時だ。
「……本部の内側にいた、あの影。」
昨夜の襲撃で、結界を内側から壊し、"黄昏の涙"を盗み出す手助けをした、名もなき聖騎士。 当時の俺――イリスは、まだその正体に気づいていなかった。リアリンさんの後ろ姿を見つめる不穏な視線の主。その人物が、後にどれほどの悲劇を引き起こすのかを。
「……お前らも、もう薄々気づいているんだろう? この物語の中に、最初から『不自然なほど近くにいた誰か』がいることを。」
リュウガは、独り言のように羊皮紙に向かって呟いた。 魔王軍との戦争は、この二章の終わりをもって本格化していく。イリスはリアリンの下で、シルバー家の血に眠る「光」と、名月流の「闇」を融合させるという、過酷な修行に身を投じることになる。
「さて、次は第三章……『闇に潜む蛇』か。いや、もっと別の題名にするべきか」
リュウガは再びペンを取った。 インク壺にペン先を浸すと、黒い液体が静かに波紋を描く。それは、これから綴られる激動の予兆のようでもあった。
「真実の物語は、ここからさらに残酷で、そして……温かくなる。」
窓を閉め、リュウガは再び羊皮紙に向き合った。 中都に、本当の意味での夜が訪れようとしていた。
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