第二章 第二回進級試験 その十
所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。投稿、遅れてすみませんでした!
翌朝。エリシオン支部の正門前には、旅立ちの準備を整えたアヴァンとエルド、リリィの姿があった。 昨夜の激闘の傷跡はまだ癒えていないが、朝日は容赦なく、そして平等に彼らの門出を照らしている。
「……本当に行っちゃうんだな。」
カイトが、寂しさを隠すように鼻の頭を指で掻いた。
「うん。大魔法使い本部での研修は、今の私たちよりずっと厳しい場所だって聞くけど……。私、もっと強くなりたい。イリスに追いついて、今度こそ隣で支えられるように。」
アヴァンが真っ直ぐに俺を見て、微笑んだ。その瞳には、かつて闇の力に怯えていた少女の面影はなく、一人の魔導師としての意志が宿っていた。
「僕もだよ、イリス。今回の戦いで自分の計算の甘さを痛感した。本部の膨大な魔導書を読み解いて、君の『闇』を完全に制御できる論理を見つけてみせるように頑張るよ!」
エルドも眼鏡を押し上げ、静かな闘志を燃やす。 リリィは寂しそうに二人の手を握った。
「寂しくなるけど、お別れじゃないもんね。次はみんなが聖騎士、大魔法使いになったときそこでまた、一回り大きくなった姿で会いましょう!」
「ああ。約束だ。」
俺は二人の手を取り、強く握り返した。 仲間の昇進は心から嬉しい。けれど、同時に俺の中に焦燥感が募る。みんなが前を向いて歩き出している。俺だけが、まだ自分の中の闇に振り回されているわけにはいかないのだ。
馬車が走り出し、二人の姿が遠くなっていく。俺たちは、その姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
「……さて。感傷に浸る時間は終わりよ、イリスくん。カイトくん」
背後から、リアリンさんの鋭い声が響いた。 振り返ると、彼女の隣には「腹筋の準備はできているか」と言いたげな顔のアルバートさんが立っている。
「アヴァンさんたちは、自らの力で次のステージへと進みました。……では、残されたあなたたちはどうしますか?」
「決まってる。……イリス、やるぞ」
カイトが拳を合わせる。
「ああ。……リアリンさん、お願いします。俺を、これまでの比じゃないくらい、徹底的に叩き上げてください。」
俺の言葉に、リアリンさんは満足そうに頷いた。
「いい覚悟です。今日からの特訓は、これまでの『闇の抑制』とは次元が違います。闇の中に眠る、あなたの父の苗字、『シルバー』の血に刻まれた、失われた光の術式を呼び覚ましてもらいます。」
「シルバーの血……?」
俺が首を傾げると、リアリンさんは懐から一通の報告書を取り出し、俺たちに見せた。
「その前に、一つだけ共有しておきます。昨夜、本部の宝物庫から盗まれたものの正体が判明しました。……それは、魔王を強化する、『封印の魔導書』の封印を解くための三つの鍵の一つ、"黄昏の涙"です。」
その場の空気が凍りついた。魔王。その名が単なるお伽話ではないことを、俺たちは昨夜のグラファイトとの戦いで思い知らされている。
「……魔王軍の狙いは、最初からそれだったのか。」
「ええ。そして、その封印を管理していたのは、代々名月流と縁の深い一族でした。イリスくん、あなたが『鍵』と呼ばれた理由は、単に闇の力を持っているからだけではないのかもしれません。」
リアリンさんの言葉が、重く心に沈む。 一方、アルバートさんはカイトの肩を掴んだ。
「おい、カイト! 難しい話はリアリンとイリスに任せておけ! 俺たちは体を動かすぞ。約束の腹筋五千回、今すぐ始める! その後、本部の修復作業をしながら『超剣流』の第二段階を叩き込んでやる!」
「げぇっ!? 休む間もなしかよ!」
騒がしくも、どこか引き締まった空気が戻ってくる。 だが、俺は見てしまった。 本部へ戻るリアリンさんの後ろ姿を、遠くの物陰からじっと見つめる、一人の聖騎士の鋭い視線を。
(……あの人は、一体誰なんだ…?)
本部内に潜む「毒」の正体。その尻尾を掴むための時間は、刻一刻と削り取られていた。
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