第二章 第二回進級試験 その四
所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
聖騎士本部から学園へと向かう緊急連絡路を、数騎の馬が猛スピードで駆け抜けていた。 月明かりに照らされた道を進むのは、アルバート聖騎士率いる救援小隊。その中には、複雑な表情で手綱を握るカイト・カナバラクの姿があった。
(……やっぱり、何かがおかしい)
カイトは、前方を走るアルバートの背中を鋭い視線で見つめていた。 普段のアルバートは、訓練中に「声が小さい!」と怒鳴り散らし、腹筋二千回を涼しい顔で命じるような、絵に描いたような熱血漢だ。だが、今の彼は不気味なほどに静かだった。
救援小隊の編成も、驚くほど迅速だった。まるで、この事態が起こることを事前に想定し、準備していたかのように。
「アルバートさん」
カイトが馬を並ませ、風に声を乗せた。
「なんだ、カイト。集中を切らすな、もうすぐ学園だぞ」
アルバートは前を向いたまま答える。その横顔は険しく、焦燥に駆られているようにも見える。
「……学園の結界が『内側から食い破られた』って話、本当なんですか? 演習用の魔物がそこまで強かったという前例はを聞いたことがありません。」
「俺だって信じたくはないさ。だが、本部に届いた緊急通信の記録にはそう記されていた。……カイト、お前はイリスの友人として、そして聖騎士見習いとして、最悪の状況を想定しておけ」
「最悪の……?」
「魔王軍の目的が、単なる破壊ではない可能性だ」
アルバートの言葉の意味を問い返そうとした瞬間、視界が開けた。 そこには、かつて彼らが日々を過ごした学び舎――聖騎士・大魔法使い育成学園の無惨な姿があった。
学園の正門付近には、既に多くの魔術師やギルド関係者が集まっていた。 だが、活気はない。漂っているのは、焼け焦げた魔力と血の匂いだ。
「これは……ひどいな」
小隊の一人が絶句した。 演習場の中心には、巨大な穴が開いていた。物理的な穴ではない。空間そのものが腐食したかのように、真っ黒な闇の魔力が渦巻いている。
「アルバート聖騎士! 救援感謝いたします!」
学園の教師が駆け寄ってくる。その服はボロボロに裂け、腕からは血が流れていた。
「状況を。第一候補生を含む生徒たちはどうなった。」
アルバートが馬から飛び降り、教師の肩を掴む。その力は、相手が顔をしかめるほど強かった。
「分かりません……。演習中に突如、空間が歪み、見たこともない黒い影のような魔物が現れたのです。アヴァン第一候補生が風魔法で応戦し、エルド第一候補生が結界を再構築しようとしましたが……あの穴から伸びた触手のようなものに、引きずり込まれるように……!」
カイトはその場に崩れ落ちそうになるのを、必死でこらえた。 あいつらが、あの闇の中に。
「……カイト、行くぞ。残された魔力痕跡を追う」
アルバートの声に、カイトは弾かれたように顔を上げた。 アルバートは腰の剣を抜き、迷うことなく「空間の穴」の縁へと歩み寄る。
「待ってください! そんな危険な場所に、たった二人で!?」
教師が制止するが、アルバートは振り返りもしない。
「増援の小隊は周囲の生存者の救助と、結界の修復に当たらせろ。カイトは俺の弟子だ。……あいつらを救い出すのは、俺たちの役目だ。」
カイトは、その背中に一瞬、圧倒的な「正義」を感じた。 だが、穴の縁に立ったアルバートが、カイトから見えない角度で、何かの薬品のような小瓶を闇の中へ投げ入れたのを、カイトの鋭い目は見逃さなかった。
(今、何を捨てた……? 証拠隠滅か? それとも、魔王軍への合図か……?)
「カイト、来るか。それともここで震えているか?」
「……行きますよ。当たり前だ。いざとなったときは……」
カイトはアルバートへの不信感を、今は胸の奥に押し込んだ。 アヴァンとエルドを救う。そのためなら、例え師が裏切り者であろうと、その懐に飛び込む覚悟だった。
二人は、黒い渦が巻く「空間の穴」の中へと、吸い込まれるように消えていった。
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