第二章 イリスとアヴァン ギルドに呼び出される その二
初めての投稿で不慣れの部分もありますが、どうかよろしくお願いします。また、所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
「お前たちが今回のゴブリン討伐で何をしたのか、詳しく聞かせてもらおうか」
その声には、単なる報告以上の、探るような響きがあった。俺はゴクリと唾を飲んだ。一体、何を話せばいいのだろうか。あの時のことは、俺自身もほとんど覚えていない。
「えっと……俺は、その……ゴブリンシャーマンが出てきて、アヴァンが危なかったんで……」
俺がしどろもどろに話し始めると、ギルドマスターは片眉を上げた。
「ほう。そこでどうした?」
「その……剣を振ったら、なんか、体が勝手に動いて……光って……」
我ながら、ひどい説明だ。アヴァンが横で心配そうに俺を見ているのがわかる。俺の曖昧な言葉に、ギルドマスターはため息をついた。
「どうやら、お前自身もよく分かっていないようだな。では、アヴァン。お前から話してもらおうか。あそこまで生き残ったのは、お前だけだ。何か見たことはないか?」
ギルドマスターの視線がアヴァンに移る。アヴァンは一度、俺と目を合わせ、それからギルドマスターに向き直った。その瞳には、少しの緊張と、そして確かな決意のようなものが宿っていた。
「はい。私は確かに、イリスさんの戦いを見ました」
アヴァンがはっきりとした口調で話し始めた。
「イリスさんの剣は、まるで月光を纏ったかのように輝き、驚くべき速さでゴブリンシャーマンを切り裂きました。『弥生抜刀』と、『卯月乱舞』。そんな技名は聞いたこともありませんが、一瞬で、あの強大な魔物を……」
彼女は、まるで見てきたかのように、あの時の俺の動きを詳細に語っていく。俺自身も覚えていない技名を、なぜアヴァンが知っているのか不思議だったが、彼女の言葉には一切の迷いがなかった。
ギルドマスターはアヴァンの話に耳を傾け、時折、唸り声を上げたり、メモを取ったりしている。俺が話した時とは明らかに違う反応だ。アヴァンの言葉は、具体的な映像をギルドマスターの中に作り出しているのだろう。
「……なるほど。『弥生抜刀』、『卯月乱舞』……確かに、報告に上がっていたシャーマンの損傷具合と、お前たちの無傷ぶりを考えると、それほどの技でなければ不可能だろうな」
ギルドマスターはそう呟き、深くため息をついた。そして、突然、俺の目を真っ直ぐに見つめた。
「イリス、お前が使ったのは、伝説の剣術「名月流」に違いない」
その言葉に、俺は息をのんだ。「名月流」? 親父が使っていた剣術……。確かに、親父は剣の達人だったが、その流派の名を口にしたことは一度もなかった。ましてや「伝説の剣術」なんて。
「名月流は、数百年前の魔王討伐の際に活躍したと言われる、古の剣術だ。だが、この流派は血筋で継承されるものではない。魔王に立ち向かえるかもしれない素質を持つ者に、ごく稀に、ランダムで発現すると言われている。そして、その流派の使い手は代々、まだ力が未発達な者だけが、強大な力を引き出すたびに、その時の記憶を失うという奇妙な特性を持っていたと記録されている」
ギルドマスターの言葉は、俺の頭の中に新たな情報を叩き込んだ。ランダムで発現? そして、未発達な者だけが記憶を失う?
「記憶を……失う?」
俺は驚き、アヴァンと顔を見合わせた。アヴァンも目を見開いている。俺がゴブリンシャーマンを倒した時の記憶がないのは、その特性のせいだというのか? そして、親父も……。
「君の父親も、もしかしたらその素質を持っていたのかもしれん。だが、彼が表舞台に出ることはなかった。そして今、その力が君に発現した。偶然か、それとも運命か……」
ギルドマスターは険しい表情で腕を組んだ。
「今回の君たちの報告は、冒険者ギルドの上層部にも伝えなければならない。特にイリス、君の力は、我々の想像を遥かに超えている可能性がある。君たちの今後の活動は、ギルドの厳重な監視下に置かれることになるだろう」
ギルドマスターの言葉は、俺たちに重くのしかかった。村の依頼をこなすだけの新人冒険者だったはずが、一瞬にして、世界の謎に巻き込まれていくような、そんな予感がした。
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