第三章 異次元からの迷い人 その十一
初めての投稿で不慣れの部分もありますが、どうかよろしくお願いします。また、所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
俺たちは、どうにかボロスの家にたどり着いた。洞窟の入り口から遠ざかってもなお、あの巨大な影の魔物の気配が肌にまとわりつくようだ。ボロスは力を吸い取られた影響でぐったりとしており、アヴァンが彼を看病する。俺とカオルは、言葉もなく焚き火のそばに座り込んでいた。
薪が爆ぜる音だけが、静まり返った家の中に響く。日中とは違う、湿った夜の空気と、敗北の重みが、俺たちの心を冷やしていた。
「……私のせいだ」
沈黙を破ったのは、カオルだった。彼女は膝を抱え、小さな声で呟く。
「私の銃が効かなかったから……。私が弱点を見つけられなかったから、みんな撤退するしかなかったんだ」
「違う」
俺は即座に首を振った。
「カオルさんのせいじゃない。俺の力が、あの時なぜか使えなかったんだ。あんなに力を込めたのに、剣が光らなかった……」
名月流の力は、これまで無意識のうちに発動していた。だが、いざという時に頼ろうとしたその瞬間に、俺の心は空回りしてしまった。自分の力の不安定さを改めて突きつけられ、俺は内心、激しく動揺していた。
「でも、私の銃も……。効かなかった。あんなに威力の強い銃だったのに……」
カオルはそう言って、膝に顔をうずめた。彼女の震えが、俺にも伝わってくるようだ。
その時、アヴァンがボロスに温かいスープを飲ませてから、俺たちの元へやってきた。
「二人とも、自分のせいだなんて言わないで。あの魔物は、私たちがこれまでに戦ってきたどの魔物とも違った。物理的な攻撃も、魔法も、ほとんど効果がなかったんだから」
アヴァンはそう言って、疲労困憊の二人を優しく見つめた。
「とにかく、無事に戻ってこれた。それが一番大事だよ。まずは、あの魔物について、もっと知る必要があると思う」
アヴァンの言葉に、俺たちは顔を上げた。焚き火の光が、三人の顔を照らしている。
「確かに……。俺たちが知っている魔物とは、何もかもが違った。見た目も、特性も、そしてあの静寂も……」
俺がそう言うと、カオルは顔を上げた。その瞳には、まだ不安の色が残っているが、少しだけ、決意のようなものが宿っているように見えた。
「影の魔物は、生き物の力を吸い取るって言いましたよね。私が戦った時も、ボロスさんは力を吸い取られたみたいだった。もし、村人たちが閉じこもっているのは、そのせいだとしたら……」
「……ああ。村人たちの力を吸い尽くす前に、なんとかしなくちゃいけない」
俺は剣の柄を握りしめた。どうすればいい。俺たちの攻撃が効かないなら、どうやって奴を倒せばいい?
「……そうだ、イリス。あなたの剣と、カオルさんの銃。あの時、何か特別なことが起きていたんじゃないかって、思って」
アヴァンが、俺たち二人に問いかける。
「え?」
「カオルさんの銃の弾丸が、影の魔物に当たった瞬間、弾かれたけど……その時に、一瞬だけ、光のようなものが弾けたの。気のせいかもしれないけど……」
アヴァンの言葉に、俺はハッとした。カオルの銃弾が弾かれた瞬間、俺の頭の中に響いた声。そして、俺の剣が熱を帯びなかったこと。それらが、何か関係しているのかもしれない。
「私は、よくわからないけど……」
カオルは、まだ困惑しているようだ。
「カオルさん。俺の剣、名月流って言うんだ。闇を切り裂く、月の光のような力を持つって……」
俺は、自分の中に眠る力を、初めてカオルに話した。彼女は、目を丸くして俺を見つめている。
「闇を切り裂く……光の力……。そして、私は、この『銃』で闇を払った……」
カオルは、何かを悟ったように呟いた。
「もしかして……。あの魔物は、光を弾く特性を持っているのかもしれない」
アヴァンの言葉に、俺たち二人は顔を見合わせる。
「でも、カオルさんの銃弾は、物理的な力を持った『火』の力。闇を切り裂く俺の『光』の力とは、根本的に違うはずだ。もしかしたら……二つの異なる力が、一つになることで、あの魔物の防御を破れるんじゃないか?」
俺は、カオルの瞳を真っ直ぐに見つめた。彼女も、俺と同じように、目の前の壁を乗り越えるための、新たな可能性を見出そうとしている。
「……もう一度、行こう。今度は、もっと周到に。俺とカオルさんで、あの力を……組み合わせてみせる」
俺の言葉に、カオルは力強く頷いた。敗北の夜は、まだ明けていない。だが、俺たちの心には、再び希望の光が灯り始めていた。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。感想やレビュー、どしどし募集してます。時間があればぜひ協力お願いします。




