第三章 異次元からの迷い人 その五
初めての投稿で不慣れの部分もありますが、どうかよろしくお願いします。また、所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
ボロスに続いて村の中を進んでいくと、どの家も扉が固く閉ざされ、まるで息をひそめるように静まり返っていた。この村の住人が、いかにこの異変を恐れているかが伝わってくる。
「通常、この時間はみんなで炉を囲んでおるはずなんじゃがな……」
ボロスの悲しげな呟きが、静寂に沈んだ村に響く。鍛冶屋の炉の音も、金床を打つ音も、すべてが止まっていた。その異様な光景に、私は背筋が寒くなるのを感じる。
不意に、ボロスが足を止めた。彼の巨大な斧を持つ手に、わずかに力がこもる。
「……カオル殿。何か、いる」
彼の視線の先には、村の中心にある広場があった。その広場の中央に立つ大きな樹木の影が、地面に不自然に伸びている。日がまだ高いにもかかわらず、その影はまるで黒い染みのように、じわりと、脈打つように蠢いていた。
「あれは……」
私が息をのむと、影は樹木から剥がれ落ちるように立ち上がった。それは、実体を持たない、真っ黒な霧のような存在だった。人の形をしているが、その輪郭は曖昧で、ところどころから不気味な黒い触手が伸び縮みしている。
「なんじゃ、あの魔物は……! こんなものは見たことがないぞ!」
ボロスは驚きと警戒を露わにした。彼はすぐに斧を構え、私を背中に庇うように前に出た。だが、その姿はどこか怯えているようにも見えた。
黒い影の魔物は、私たちがいることに気づくと、一瞬で距離を縮めてきた。その速さは、まるで時間を飛び越えたかのようだ。ボロスが斧を振りかざそうとするが、影は彼の巨体をすり抜けるようにして、その斧を空振りにさせた。そして、ボロスの体をかすめるように通り抜ける。
「ぐっ……!?」
ボロスは呻き声を上げ、よろめいた。彼の岩のような体に傷はない。しかし、彼の顔は苦痛に歪み、その巨体から一気に力が抜けていくのがわかる。
「ボロスさん!」
私が駆け寄ろうとすると、黒い影は私の方へと向きを変えた。その中に、わずかに赤い光が二つ、瞳のように浮かび上がっている。
(やばい……!)
私は反射的に腰に下げたSIG Sauer P226に手を伸ばした。しかし、普通の武器では、実体のない影に通用するとは思えない。どうすればいい? ――その時、私の脳裏に、またカタログを捲るような感覚が蘇った。
(もっと威力の高いものを……! それも、単なる弾丸じゃなくて、もっと……!)
瞬時に、様々な銃のイメージが駆け巡る。アサルトライフル、スナイパーライフル、そして、もっと特殊な銃。その中から、私は一つの銃に狙いを定めた
「出てきて!」
私が強く念じると、私の右手に握られていたSIG Sauer P226は、光の粒子となって消えた。そして、その代わりに、ずっしりとした重みのある、見慣れない形状の銃が召喚された。それは、短く、しかし威圧的な銃身を持つ、ショットガンだった。
『ソードオフショットガン』。強力な散弾を撃ち出す、近距離戦闘に特化した武器だ。
「これなら……いける!」
私はショットガンを構え、影の魔物へと狙いを定めた。通常の弾丸では効果がないかもしれない。だが、この散弾なら、広範囲を一度に攻撃できる。それに、この銃に込められた異世界の力が、魔物の実体のない部分にも干渉するかもしれない。
影の魔物は、私の行動にわずかに躊躇したように動きを止めた。その一瞬が、私にとっての勝機だった。
「消えなさい!」
私は叫び、迷わず引き金を引いた。
「ズバンッ!」
拳銃とは比べ物にならないほどの轟音が響き渡り、強烈な反動が私の体を揺さぶる。銃口からは、火花と共に無数の小さな弾丸が散弾のように放たれた。
散弾は、影の魔物の不確かな輪郭を捉え、その中に突き刺さる。「ギャアアアアアアア!」と、耳をつんざくような、人の悲鳴にも似た断末魔が響き渡った。影は、まるで水に溶けるインクのように、無数の黒い粒子になって霧散していく。
広場に、再び静寂が戻った。私は震える手でショットガンをゆっくりと下ろし、その場で膝をついた。初めて人を、いや、魔物を撃った。その衝撃と、恐怖で、全身が冷や汗でぐっしょりになっていた。
ボロスが、少しずつ力を取り戻したように立ち上がり、私の方へと歩いてくる。
「カオル殿……無事か?」
彼の心配そうな声に、私はかろうじて頷いた。
「大丈夫です……。でも、あれは一体……?」
「わしにも分からん。だが、わしから力を吸い取るような……そんな感覚があった。やはり、この村の異変は、ただの魔物の仕業ではないようじゃ」
ボロスの表情は再び険しくなった。彼は、影が消えた広場の中央をじっと見つめている。そこには、樹木の影は正常に戻っていたが、代わりに、地面に一つの小さな「何か」が落ちていた。
それは、見覚えのある、革製の小さな袋だった。
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