第三章 異次元からの迷い人 その一
初めての投稿で不慣れの部分もありますが、どうかよろしくお願いします。また、所々にAI(名前や誤字脱字の修正など)を使っているため、完全に自分作の作品ではありません。どうか暖かく見守ってください。
目が覚めると、見慣れない天井があった。いや、天井というよりは、一面の土壁といった方が正しい。ごつごつとした岩肌が剥き出しで、ところどころに妙な草が生えている。
「……は?」
中岡薫、三十歳。都内でごく普通の事務職に就く、独身女性。それが、たった今までの私だったはずだ。それがどうして、こんな洞窟のような場所に寝かている? 体を起こそうとすると、全身がギシギシと音を立てた。まるで、何日も寝込んでいた後のような重さだ。
恐る恐る周囲を見回す。薄暗い空間には、かろうじて陽光が差し込む入り口が見える。奥には、小さな焚き火の跡のようなものがあった。そして、決定的に「おかしい」と思ったのは、自分の服装だ。見慣れたブラウスとスカートではなく、粗末な麻のような生地のワンピースを着ていた。足元も、いつものパンプスではなく、革製のブーツだ。
「な、なにこれ……夢?」
頬をつねってみる。痛い。夢じゃない。しかし、一体どうなっているんだ。最後に覚えているのは、残業を終えてコンビニに寄った後、横断歩道を渡っている時、トラックのヘッドライトが急に大きく見えたこと……。
(まさか、事故……? そして、ここは……?)
冷や汗が背筋を伝う。もしや、これは流行りの「異世界転生」というやつなのでは? そんな馬鹿な話があるわけない、と一笑に付したいところだが、目の前の光景はあまりにも現実離れしている。
動揺を隠しきれないまま、私は立ち上がろうと試みた。その時だった。
「お、お目覚めになられましたか!」
突然、背後から声がした。反射的に振り返ると、そこにいたのは、身長二メートルはあろうかという巨漢の男だった。岩のようにごつい体に、無精髭。そして、何よりも目を引いたのは、彼の腰に差された、異様に巨大な斧だ。
男は、私を見るなり、安堵したような表情を浮かべた。その顔には、どこか土臭い、素朴な優しさが滲んでいる。
「よかった。意識が戻られて。急に森の中で倒れていらっしゃったので、心配しておりました」
男の言葉に、私の頭は混乱するばかりだった。森の中? 倒れていた?
「あ、あの……あなたは、一体……?」
なんとか声を絞り出すと、男はにこやかに笑った。
「おお、失礼いたしました。わしはドワーフのボロス。このヴァルガ村で、細々と鍛冶屋を営んでおります」
ドワーフ。鍛冶屋。その言葉が、私の「異世界転生」の仮説に、決定的な裏付けを与えた。まさか、本当にこんなことが……。
「そして、ここはわしの住居。といっても、ただの洞穴ですがな」
ボロスと呼ばれたドワーフは、少し照れたように言った。その言葉の通り、周りは本当に洞窟だ。しかし、壁際にはきちんと棚のようなものがしつらえられ、小さな炉も見える。生活感がある。
「あ、ありがとうございます……。私は、カオル、と申します」
私は、自分の下の名前を口にした。異世界であるという漠然とした感覚が、本名である「中岡薫」を名乗ることを躊躇させたのだ。今の私にとって、まずはこの世界に馴染むことが先決だと直感的に感じた。
「ほう、カオル殿か! よしよし。さて、まだ体は本調子ではなかろう。何か食べられそうじゃな?」
ボロスは屈託のない笑顔でそう言って、奥から温かそうな蒸しパンのようなものと、木の実が入ったスープを持ってきてくれた。温かくて優しい味だった。そして、私は思った。この世界の片隅で、私、カオルとしての新しい人生が始まったのだと。
だが、その安堵も束の間だった。
「それにしても、この森は妙なものですな。最近、やけに静かで……普段なら魔獣の鳴き声が聞こえるはずなのですが。まるで、大きな何かが、森全体を覆っているかのように……」
ボロスがふと呟いたその言葉に、私はひどく嫌な予感を覚えた。この村にも、異変が起きているのかもしれない。
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