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恋のバス停

作者: うずらの卵。

俺は昔からついてない男だった。

小学生の時、楽しみにしていた遠足の前日、

熱を出して遠足に行けず、

中学の時には、運動会の練習中に足を挫いて、

運動会に出れず、

高校生なったら見た目がキモいと虐めの対象になる有り様だ。だから人と目を合わせずいつも下を向いていた。

そして、俺は疫病神に好かれてるんじゃないかと思う程に運が悪いと思っていた。

そんな学生時代を過ごして来た俺は、

高校を卒業後引きこもりになった。

大学にも行かず、両親に世話になっている。

生活も昼間は寝て夜起きてゲームをしたり、コンビニにお菓子を買いに行ったしていた。

そんなある日の夜、いつものように小腹が好いたのでコンビニに出掛けようと外を歩いていたら、杖をついた女性が歩いていたんだ。

気になって見ていたら道に落ちていた空き缶に躓き転んでしまった。

俺はほっとけなくて女性に駆け寄り「大丈夫ですか」と声を掛けて手を差し出した。

女性は目が見えないのか、「大丈夫です」とどうにか自力で立ち上がったので、転がっていた杖を差し出した。

女性は杖をうけとったが顔色が悪くふらついていたので、「そこのバス停のベンチで少し休まれたらどうですか」と俺は言った。

女性は「有難う御座います」とか細い声で言ったので、俺は女性をバス停のベンチに連れて行き座らせた。

このまま1人残して帰るのもどうかと思い、

俺は女性と少し距離を取りベンチに座った。

その女性は暫くして落ち着いた頃口を開いた。今二十歳で、二年前に事故で視力を失ったのだそうだ。失った時はショックで自暴自棄になったが、家族や友人の支えにより前向きになろうと思ったと。

俺は女性の話を聞いて自分が情けなくなった。

自分はついてないとか、疫病神に好かれてるとかマイナス思考になり、挙げ句両親に迷惑をかけてだらけた生活を送っているのだ。

何か情けなくて頬を涙が伝った。すると女性は立ち上がり「今日は助けて頂いて、お話を聞いてくれて有難う御座いました」と言った。

俺は、あぁーお別れの時が来たんだと、寂しくなった。

しかし、その後「又会えますか」と、女性が言ったので俺は嬉しくなった。

そして、その後このバス停のベンチで会って話すようになった。

そして、そんなある日いつものように、

ベンチで話していると、女性が今度手術する事になったと言った。

手術が成功すれば目が見えるようになると。

だから、二ヶ月後のこの日に手術が成功したら、ここに座ってあなたを待っていると。

もし、失敗したらもうここには来ないと言うのだ。

俺は「ここに二ヶ月後光を取り戻した君が座っていると信じているよ」言った。

そして、翌日から俺は自分の引きこもりの生活から卒業する決意をした。

二ヶ月後にあの女性に恥ずかしくない自分を見せる為に、俺を見てがっかりされない為に。

いきなり生活を変えるのは苦労したが、仕事を探し数日後に小さい工場のアルバイトに採用された。勿論両親は最初は驚いてたが喜んで応援してくれた。

そして、二ヶ月後の約束の日俺はドキドキしながら女性がいる事を願い、バス停に向かった。

するとそこには、杖を持っていない女性が座っていたんだ。

俺が近づくと女性は真っ直ぐ俺の眼を見て「初めまして、私の名前は鮎子です」と微笑みながら自己紹介をした。

俺は「初めまして、健二です」と真っ直ぐ女性の目を見て言った。

今日初めてお互い自己紹介をしたのだ。

すると、バスがバス停に止まったので、

二人は行き先も決めずにバスに乗り込み初めてのデートに向かった。

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