キャシーちゃんの寄り道
私はゲームセンターや小物屋を覗き、時透たち女子と服を見ながら歩く。
「アメリカではお洒落さんしか行かないユニクロが、こんなところにもあるヨ!」
改めて言うけど、アメリカではお洒落さんしか行かないのだ。
大学生でユニクロに行ったことがある者は半分ぐらいしかいないし、かく言う私も行ったことがない。
「じゃあ俺らみんなお洒落ってことになるんじゃね?」
「うん、日本に住んでる人は人種問わずみんなお洒落だヨ」
そりゃユニクロがこんなに近くにあれば、逆にダサい格好は断固とした意思がなければ貫けない。
非日本人でも半分以上がお洒落なのは、こういう理由があったのか。
「スパイの家族のエスパー娘の服が売ってますネ!」
私のスタイルだとMサイズでピッタリなのが嬉しい。
コレは即買いだ。
「いつでも来れるんだから、ちょっとづつ買うほうがいいよ」
そうだった。
日本はコスプレとファストファッションが発達してて、いつでも買いに行ける。
この店だって、両親に買ってもらったマンションから近いんだった。
「ユニクロで原宿に行くための服を買ったら、原宿デビューだね!」
なんと! ユニクロ超えの超オシャンティ空間があるのか。エモい。
「レアくん、一緒に行こうネ!」
休日の高城稀人の行動を調べるため、目を見ながら誘う。
「お願いだから勘弁してください」
しかし、即答で断られた。
「キャシーちゃん。ネイルとかヘアサロンとか、男子には原宿は結構キツいかな……」
時透繭が代わりに答える。
「なんでですカ?」
噂に名高い原宿には行ってみたいじゃないか。
「女の買い物に付き合って荷物運搬係になってメンタルがやられない男は、うちのお父さんの店の従業員くらいかな」
なんと、男は女の買い物に付き合わされると、精神にダメージを受けるらしい。
「なんでですカ?」
「男子はカワイイ子が好きでも、女の子をカワイイたらしめる小物や化粧品には、全く興味がないのよね。
女子が野球部員が好きでも、野球の話は全く聞きたくない的な感じ?」
なるほど。私は納得した。
高城稀人を本人も嫌がっている原宿に連れて行くと、下手をすると非友好的な関係になりかねない。
ここは、時透繭のような友好的な女子と一緒に行くべきだろう。
そう思い直し、私達は今日の目的のカラオケ店へと向かった。