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伝説のドラゴンでブラック企業のサラリーマン、暇つぶしにボロアパートのブラウン管で文学少女の小説手直しに付き合う

使用ワードをこれでもかと突っ込んだ作品です。


「……はあ、疲れた……前の姿ならあんな会社燃やしてやんのに……」


この世界に転移して早一年。

普通の人間になっていた俺は、諸々あってブラック企業のサラリーマンになり、家賃を抑える為ボロアパートに住みこんでいた。


「……今日も更新来てるな」


ボロアパート、据え付けのブラウン管とパソコン。

動作が遅すぎるそれでも、暇つぶしにネット小説ぐらいは読める。


最近はこれが数少ない楽しみだ。

今嵌っているのは、主人公がドラゴンに転生して活躍する小説。

生前の俺には刺さる内容だった。


『いつも更新楽しみにしてます』


『ありがとうございます!でも読んでくれる方、『どらごん』さんぐらいしか居ないですよ……やっぱり、女だからこういう小説向いてないんですかね?』


『そんな事ないって!……そうだな、もう少し主人公の竜の模写を詳しくしてみたらどうだ?竜は意外と、肉より果物の方が好きだったりとか』


この作者、こんな面白い小説を書くのにあまり読まれていない。

感想欄はほぼほぼ俺と彼女の会話のようなものだった。


『ありがとうございます!少し手直ししてみます」


『いえいえ、更新待ってますよ~』


……こうして、彼女に生前の自分をモデルにアドバイスを続けている。

俺は昔ドラゴンだったが、その中では雑魚中の雑魚だった。

しかしそんな俺のアドバイスもあって……彼女の小説の主人公のドラゴンは、ほぼ特徴が生前の自分自身。


「グヘへ……」


そしてそんな自分が活躍する小説を見て、俺は気持ち悪く笑うのである。



……あれから一年が経った。

彼女の小説は――ある時『スコッパー』に見つかってから途轍も無い人気を誇る事になる。


人気の理由は、主人公の模写が物凄くリアルな事。実はドライアイ、必殺技の火炎放射は実は鼻から出る、炎を吐いた後は鼻毛が燃える……等々。


「……やっぱ、俺は人気が出ると思ってたよ」


ついに本屋に並ぶまでになったその小説を俺は真っ先に購入した。

内容はほぼ一緒だが、それはそれ。


そして――その本の巻末。

作者のコメントを、俺は目に映す。



『この度は拙作を手に取って頂き、本当にありがとうございます』


『実は、拙作は私一人で作った訳ではありません。この場にて、その方に改めて感謝申し上げます』




『……『伝説のドラゴン』さん。本当に、ありがとうございました』



読んでいただきありがとうございました。

1000文字という短い文で纏めるのは難しいですが……下野紘様・巽悠衣子様に朗読して頂きたい、その一心で書きました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の落ちでウルッとしました……!!とても面白かったです。 短い文字数で、ここまで感情を動かすお話は久しぶりに読んだ気がします。感想欄の文字以上の、心の信頼関係があったのだなあと思いました…
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