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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第52話 速い攻撃

本日、二度目の更新です。

前回までのあらすじは、照幻滅鏡で、アンバイドはカースドに勝ちました。そして、第六回戦の瑠璃チームの相手チームはギランドのみとなる。

 足音がする。

 そう、コンコンと、させながら―…。

 その音が、少しずつ一音、一音ごとに大きくなっている。

 近づいてきているのだ。そう、ギランドには理解できた。

 そして、四角いリングの方に向かって、顔を下から上へと上げる。

 そこには、アンバイドがいた。それも、カースドを右脇に抱えながら―…。

 少しだけ、アンバイドとギランドの間が空いた後、アンバイドが口を開く。

 「気絶したカースド(これ)をそちらの四角いリングの下の方に置きたいのだが―…。」

と、ギランドに向かって言う。それは、気絶しているカースドを四角いリングから下ろすためであり、次の試合の時間を円滑に進め、相手チームにさっさとカースドを渡したかったのである。

 ギランドは侮蔑の表情を向けながらも、

 「わかった。その下に適当に置いといてくれ。」

と、言う。

 そんな言葉に対して、アンバイドは、ギランドに視線を向けながらも、カースドを四角いリングの外に置く。この時、四角いリングから近い場所であったが―…。その間に、

 (ギランド(こいつ)は、チームのメンバーとかを大事にするということが頭にないのだろう。ギランド(こいつ)にとって、仲間は利用して、自らにとって利益になるかどうかで判断しているのだろう。まあ、俺も言えたものではないが―…。必要最低限、仲間の命はある程度が自分が生命の危険が迫らない限りは、大事にするが、な―…。)

と、アンバイドは心の中でギランドのことを評価した。そして、同時に、アンバイド自身もギランドと似たところがあることは認めていたが、ギランドほど、仲間のことをドライに見ることができるわけではないと思っていた。

 そして、続けて、アンバイドは、

 「邪魔したな。」

と、言って、瑠璃チームの方の向かって行った。

 (ギランド(あいつ)のような奴とは手を組みたくはない。それに―…、俺が感じたそこそこ強いと思ったのは、ギランド(あいつ)のことか。)

と、心の中で思いながら―…。

 一方で、ギランドは、

 (……アンバイド(あいつ)はやばい。だが―…、他はそうでもない。俺でも確実に倒せる。)

と、アンバイド以外の瑠璃チームのメンバーの実力を、ギランドにとって倒せるぐらいと判断した。

 そして、ギランドは、アンバイドが四角いリングから下りるのと同時に、四角いリングの上に上がっていった。


 一方、瑠璃チームのメンバーがいる所。

 アンバイドがその場へと歩いて向かい、四角いリングから下りた。

 「アンバイドなら、楽勝かぁ~。」

と、クローナは言う。

 「まあ、楽勝だな、カースド(あの)程度の相手は―…。だが、最後の相手は、気をつけたほうがいい。実力はかなりあるとみていい。瑠璃ほどじゃないが、な―…。」

と、アンバイドは、対戦相手であるカースドを倒した時に使った力は、まだ完全に自らの実力を最大限使って戦ったわけではないこと、ギランドの実力が瑠璃より劣っていることについて言った。その表情からも、真剣さを思わせるものであり、アンバイドから感じでは事実なのであろう。

 アンバイドの言葉を聞いた瑠璃は、油断はしないが―…、自らよりも弱いということから少しだけ余裕ができていた。


 【第52話 速い攻撃】


 ファーランスは、

 「第六回戦第四試合に参加される両チームの代表者は、フィールドに入場してください。」

と、促す。

 「私、行ってくるよ。」

と、ファーランスのアナウンスを聞いて、瑠璃は、四角いリングへと向かって行った。そう、第六回戦第四試合に瑠璃チームからは、瑠璃が参加するのである。

 そして、瑠璃の対戦相手は、すでに、四角いリングの上に上がっており、対戦相手チームの最後の一人となっていたギランドである。

 瑠璃は四角いリングの上に上がる。

 そして、四角いリングの中央へと向かって行き、ギランドと相対する。

 ギランドは、侮蔑でもするかのように、瑠璃を見る。そう見ながら言葉を発し、

 「瑠璃(キミ)は―…、私には勝てはしない。一瞬のうちに終わらせてやろう。この試合でね。」

と、穏やかさを感じさせるものであった。その中に、ギランドの瑠璃に対する強い油断というものがあったのは、事実だ。しかし、戦いにおいて手を抜く気などあるはずがない。

 ギランドの言葉に瑠璃は、

 (一体、どういうことだろう。)

と、ただ単純に疑問に思っていた。瑠璃も実際、ギランドから馬鹿にされているのはわかっている。しかし、怒りという感情は起こらなかった。たぶん、アンバイドが瑠璃よりもギランドが弱いという言葉を聞いたからであろう。いや、感覚的にそのことがわかっているからこその態度かもしれない。

 そんなふうに瑠璃が考えていると、

 「両者とも試合のための準備はよろしいでしょうか? 開始してもよろしいでしょうか?」

と、ファーランスが瑠璃とギランドに対して、試合を開始してもいいかと尋ねてくる。

 ギランドは、

 「ああ、試合を始めても構わない。むしろ、さっさと瑠璃(あの小娘)に尋ねることなどせずにでも開始してほしい。」

と、自らのことを優先させるのが大事でもあるかのように言う。

 一方で、瑠璃は、

 「試合を始めてもいいですよ。」

と、笑顔に近い表情で言うのであった。

 確認をし終えたファーランスは、自らの右手を上に上げ、

 「これより―…、第六回戦第四試合―…、開始!!!」

と、上げた右手を下に振り下ろしながら言う。

 そして、第六回戦第四試合が開始された。


 試合開始後、すぐに、ギランドは、今いる位置から一瞬で消える。

 (消えた!!)

と、瑠璃は心の中で驚く。

 そして、瑠璃はすぐに気づく。

 ギランドはすでに、瑠璃に攻撃を当てることができる範囲まで迫っていたのだ。そう、左腕を後ろ構え、前に出せば、一瞬で、瑠璃を手で突くことができる距離にいたのだ。それから、ギランドは、

 「消えろ!!」

と、冷静な声で言う。その時のギランドの表情は冷たく、そして、勝利を確信したものであった。

 そして、ギランドは、左腕を突きをするように前へと出し始める。

 (貫け―――――――――――――――――――――――――――――――。)

と、ギランドは心の中で叫びながら―…。

 瑠璃は感じていた、

 (この強い視線みたいなもの―…、もしかして殺気!!)

と、心の中で言葉にしながら―…。

 ギランドの左腕の突きは、瑠璃の目の前へと接近し、後は瑠璃に当てるだけになっていた。しかし、それが叶うことはなかった。

 パチッ!!

 ギランドは、急に停止させられるかのように、移動が止まり、左腕は、何かに弾かれたかのように、急に、進む方向とは逆になって引っ込められた。

 これには、ギランドも驚かずにはいられなかった。

 (一体―…、何が起きたぁ!!)

と、ギランド自身にさっき起きたことが何であるかを考えるも、答えがでないようである。それは、自らの左腕が弾かれ、攻撃を当てる対象であった瑠璃に、攻撃が当たらなかったことによる、瑠璃がギランドの攻撃を防ぐために何の仕掛けをしたのかということに対することであった。

 そして、一瞬、ピカァ、と光り、光と同様の音が鳴る。

 それを見たギランドは、すぐに答えに辿り着く。

 (アレは―…光!? いや、雷!!)

と、ギランドは心の中で、答えに結びつくかのように、説明できるようにしていく。

 その一方で、瑠璃は、

 (危なかったぁ~。)

と、心の中で思うのであった。

 (そうか!! 周囲に雷を落としながら、防壁としたのか!! なら、瑠璃(あの小娘)の周囲の雷の隙間を突きけば―…。)

と、ギランドは、瑠璃に周囲を覆っている雷の防壁の間にある隙間に狙いを定める。そして、今、目の前で攻撃することは、瑠璃によって何かの対策をされてしまうという可能性も考慮にいれたギランドが、再度、高速で移動を開始する。そのとき、瑠璃には、(消えた!!)と、思わせることに成功する。

 ギランドは、瑠璃の目線がない後ろへと移動し、再度、左腕を後ろに下げるようにして構え、突きのような攻撃をする。そう、後ろに下げた左腕を、前に出すようにする。

 ある程度、左腕の突きが進むと、ギランドの左手の先が中指が触れてしまう。

 パチッ!!

 それは、雷であった。触れたところに痺れのために、ギランドの体が勝手に反応してしまい、左腕を弾かれ、引っ込める。その時、ギランドの体も少しだけ後ろに下がることとなった。

 その時、パチッ!! という、音がした方向へ瑠璃は向きを変える。変えた時に、ギランドがいたので、すぐに、瑠璃の自身の武器である仕込杖の水晶玉の部分をギランドに向けて、雷を展開し、

 「()け。」

と、言って、雷をギランドに向かって放つ。

 瑠璃の放った雷は、ギランドの左手に当たるが、すぐに、ギランドは移動する。瞬間移動するかのように―…。ギランドにとっては、左手に当たった雷を振りほどくようにであるが―…。

 その移動の途中において、ギランドは、

 (くっ!!)

と、心の中で思うのであった。

 一方で、瑠璃は、

 (消えた!!)

と、一瞬で雷が当たったのにギランドは目の前から消えた。瑠璃は、目をキョロキョロさせる。対戦相手であるギランドがどこにいるのかを探すために―…。しかし、瑠璃には、瞬間移動のように速く動いているギランドは、見つけられていなかった。

 その様子を見ながら、移動していたギランドは、

 (速攻で決められるな!! 瑠璃(あの小娘)の視点は、俺を捉えきれていない。さらに、あの雷の防壁自体は静電気に近い感じのもので、相手にダメージを与えるものではない。つまり、相手の攻撃を一時的に怯ませて、その隙に相手にさっきのような雷の攻撃をだして、ダメージを与えることを狙っているのか。)

と、心の中で言いながら、続けて、

 (それさえわかれば、倒すのは簡単!!!)

と、心の中で自信を増幅させるのであった。

 そして、再度、ギランドは、突きの攻撃で瑠璃に当てられる範囲まで迫り、その時、瑠璃の視線がギランドの方を向いていないことを確認したうえで、再度、左腕を後ろに下げ、突きのように前へ左腕を出しながら攻撃をする。

 そのとき瑠璃は、

 (どこにいるの!! どこに!!!)

と、心の中で、少しだけ動揺しながら言うのであった。

 バチッ!!

 音が鳴る。

 それに気づき、

 「そっち。」

と、瑠璃は言いながら、音がした方へ向きを変える。

 それに気づいたギランドは、すぐに、高速移動みたいなのを開始する。

 そのため、瑠璃が音をした方向に向くと、そこにギランドはいなかった。すでに、そこから移動してしまっているのである。

 ギランドがいないのを見て、

 (いない。)

と、瑠璃は心の中で思うのであった。

 バチッ!!

 音が鳴る。

 雷の音が鳴れば、瑠璃は、

 「次はあっち!!」

と、言って、音がした方へと視線を向ける。

 そして、

 「いない―…!! 一体どこに。」

と、瑠璃は今度は声に出して言う。焦りも感じながら―…。

 その時、瑠璃には、声が聞こえた。

 「こっちだ。」

と、いうギランドの声が―…。

 瑠璃は、すぐに、ギランドのいる方向へと視線及び体を向けようとした。しかし、その時、すでに防御するのには遅すぎた。

 そう、ギランドは、すでに、左腕を下げ終えて、前へと突きのような攻撃に移行していたのだ。つまり、瑠璃が体をギランドのいる方向に向けようとしている途中で、ギランドの左腕によって、突くような攻撃を瑠璃に当たってしまうのである。

 それを確信してか、ギランドは、

 「ばいばい。」

と、言う。自らの攻撃は確実に当たるという経験したことがそう告げる。そして、ギランドが第六回戦第四試合に勝つという結末を―…。

 しかし、それは訪れなかった。ここでは―…か、もしくは、これ以後かはまだ語らぬことであるが―…。

 「!!」

と、ギランドは驚く。驚かずにはいられなかった。そう、ギランドが経験したこともないような方法で左腕による突きの攻撃が防がれてしまったのである。

 それは、ギランドが左腕で突くようなものを手で掴んだからである。その手は、ギランドも気づいているが、腕が黒い丸の何かからでてきていたのだ。そう、瑠璃が左腕を黒い何か、いや、赤の水晶によって展開した空間移動するためのものを使って、左腕のみをギランドのいる方向に向けてだしたのだ。

 そして、すぐに、瑠璃はギランドのいる方へ体を向ける。

 「くっ…なぜ!! 俺の位置がわかったんだ!!」

と、ギランドは瑠璃に聞く。現在、ギランドは、どうして瑠璃が、ギランドのさっきの攻撃を阻止したか理解できないでいた。

 ギランドの言葉に対して瑠璃は、

 「それは内緒―…、そして―…、ギランド(あなた)の―……負け。」

と、言う。そして、右手に持っていた仕込み杖の水晶玉の部分をギランドに向けて、

 「征け。」

と、言って、雷の攻撃を水晶玉の部分から放つ。

 瑠璃の雷の攻撃は、ギランドの体の一部を貫く。決して、体に穴をあけることはなかったが―…。その前(雷の攻撃が当たる1秒もたたない前)に、瑠璃は左腕をギランドの突きから離したが―…。

 それでも、瑠璃の雷の攻撃をほとんど受けずにギランドは、再度、高速移動のようなことを開始する。

 「いない!!」

と、瑠璃は声を出す。

 タン、と足音がする。そして、すぐに、ギランドは瑠璃の目の前に現れる。

 「瑠璃(お前)の雷の攻撃によるダメージを受けてしまった。―…しかし、俺は必ず勝つ!! それに、俺はまだ半分も力を出しちゃぁいない…。だから、瑠璃(貴様)が俺に勝てるはずがない!!!」

と、ギランドは瑠璃に向かって言う。

 (そろそろ、力を最大にしていく。ギランド(あの人)の攻撃の仕方もわかってきた。なら―…)

と、瑠璃は心の中で、ギランドの攻撃方法を理解し、どのように対処するのか、および次にどうするのかが決まる。すでに、ギランドに仕掛けをしたうえで―…。

 ギランドは移動を開始する。瑠璃の目では追えないスピードで―…。

 (決めてやる!! この一撃で!!!)

と、ギランドは心の中で言いながら、確実に瑠璃を倒すために自らが行うべきことを、突きではなく、今度はパンチで―…。

 そして、ギランドは瑠璃の攻撃を当てることができる範囲に辿りつく。

 ギランドは、左腕を素早く引っ込め、左手をグーにし、左足を前へ一歩踏み出し、左腕をその勢いでパンチ攻撃に移行するのであった。

 瑠璃は、ギランドにした仕掛けによって、ギランドがどこにいるかある程度のことが予測できた。ゆえに、

 「征け。」

と、言うと、目の前に向かって雷の攻撃を放つ。雷の攻撃を放つ寸前に、目の前で、黒い空間移動用の穴を展開していた。

 ギランドの攻撃している位置に、黒い空間移動用の穴が突如形成され、そこから、雷が出てきた。

 「!!!」

と、ギランドは驚く。

 そして、ギランドのパンチ攻撃をしようとしている左手に、瑠璃の雷攻撃が衝突することとなった。それは、周囲にドンという、大きな衝撃音と、後に、周囲に煙のようなものをもたらした。


 【第52話 Fin】


次回、一人の少女が見る悲しき、父の殺された日の光景。それはほんの少しの時間の出来事で、少女の記憶を強く鮮烈に、そのものを永き時間において残こる。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲範囲で修正していくと思います。


次回の予告みたいのが長くなりました。そして、次回の更新で、第六回戦は終了すると思います。予定ですが―…。

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