第5話 3対2
第4話でレクンドとシークドの戦いが完結するような次回予告をしたと思います。しかし、片方しか倒せませんでした。誠に申し訳ございません。次回予告がはずれたことをここに謝罪いたします。
では、前回までのあらすじ、レクンドとシークドとの対決が続いています。
「!!! お前~~~~~~~~~~」
と、シークドは大きな声をあげる。
そう、シークドは蹴られたのだ。
「さっき、俺の一撃をもろに受けたというのに、どうしてだ。李章――…」
と、シークドは自らを蹴った対象を見ながら言う。
確かに、李章はシークドの攻撃を受けた。
李章のお腹に対して強力を一撃を与えることに成功したことは、ちゃんとシークドの目で見ている。
そして、李章は倒れたのである。一時的に気を失いそうになるぐらい、というほどに―…。
だが、李章自身は自らの守る人のために立ち上がらないといけないと思っていた。その強い意志のために、李章は気を失うということから免れていた。
そして、シークドが瑠璃へと向かうなかで、シークドが瑠璃に意識を集中させたと感じたので、李章は、その隙を見逃すことはなかった。
李章は自らの体に鞭をうつように立ち上がり、シークドに向かっていき、蹴りをかましたのである。
◆◆◆
シークドは李章の蹴りを受けて、転がっていった。
そして、転がりが終わると、立ち上がった。シークドは瑠璃、李章の両方を意識しながら、
「お前ら~。許さねぇ―。この俺がぶっ殺してやる~~」
と、言った。
シークドの表情は、瑠璃と李章、二人に対する自らがここまでやられたことに対しての怒りと同時に、強敵であると認めたが上に、ここで倒しておく必要があると感じるのであった。本能に近い感覚で―…。
【第5話 3対2】
自らの武器、腕、足を凍らされたレクンドは、
「くっ!!! だが、こんなものは私の体を無理矢理動かせば―……」
と、歯切りさせながら言う。
レクンドは悔しかったのだ。
自らがどうして凍らされたのかを理解できないことに―…。
そして、同時に自らが気づかないが心の奥底で礼奈に対する恐怖を抱いていた。
だから、レクンドは悔しくもあり、さらに苛立たしくもあった。
その間に、レクンドから受けた体へのダメージを青の水晶の能力によって回復させた礼奈は、起き上がった。そのことは、感情剥き出し状態のレクンドも気づかないことはない。
(……!!! 礼奈は、私の手で倒さないといけない。この自らの手で――…)
と、レクンドは心の中で思う。
礼奈という強敵の存在は、自分達のボスである存在を倒しうる可能性を秘めていると―…。そのように感じたとしても、レクンドが負けて良い、戦わなくて良いという理由にはならない。
このままただ負けてしまうことが悔しい。
その気持ちの強さで、レクンドは礼奈を自らの手で倒そうとするのだった。
他の誰にも邪魔させないと思いながら―…。
◆◆◆
李章と礼奈が無事であったことと、戦えることに希望を見出していた瑠璃は、
「李章君、礼奈」
と、嬉しそうに聞こえる声で言う。
「瑠璃さん、すみません。私がここが罠であることをお二人に早く伝えていればよかったのですが―…、相手側がどのように仕掛けてくるのがわからなかったもので、伝えずにいたことがここまで悪い状況にしてしまいました。申し訳ございません」
と、李章は言って、瑠璃と礼奈に謝った。
「それは、別に今はどうでもいいこと。いや、どうでもよくはないけど――……、今はレクンドとシークドを倒すことが優先」
と、礼奈は言い、武器である槍を構える。
「瑠璃、李章君。ここは、どちらで2対1をつくるかが重要だと思う。だから、作戦は、李章君が近くにいるシークドを、私と瑠璃がハンマーを相手にする。それでいい? 二人とも」
と、礼奈は瑠璃と李章に向かって言う。
この声は、シークドとレクンドの双方に聴こえていた。
そう、礼奈は李章や瑠璃にわかるように大きな声で言ったからだ。
だけど、それは礼奈とっても想定済みであった。
こうして、瑠璃、李章、礼奈はレクンドとシークドを倒すための行動をとっていく。
◆◆◆
数分の時間が経過した。
「これでも喰らえや~~~~~~」
と、響き渡る声をあげるシークドは、李章に向かって攻撃を仕掛ける。
それは、右手から攻撃を繰り出そうとしていた。
だが、それは、李章によって避けられる。
(避けた!!)
と、シークドは心の中で驚いた。
だけど、表情に若干であるが、驚きの表情がでてきていた。
李章は、そのわずかの間に、武器から天成獣の力を借り、シークドの近くでジャンプをした。
そして、ジャンプとともに、右足で蹴りを入れる。
足のつま先がシークドの顔にあたるような高さでの蹴りであった。
蹴りは見事にシークドの顔面に直撃した。
「ぐっ!!」
と、顔面に攻撃を受けたことに対しての痛みによってシークドは声をあげる。
だが、見事であったとしても顔面の頬の一部に当たったにすぎなかった。
そして、シークドはすぐに体勢を立て直すことに成功する。
◆◆◆
一方、礼奈と瑠璃はというと―…。
瑠璃が、レクンドに向かって雷の攻撃を放つ。
しかし、レクンドは右手に装着したハンマーを振り落として、雷から守るために床面を壁のようにして―…。
このとき、礼奈はすでに攻撃の準備はすでに完了しており、氷をレクンドが作った壁のようなものへと放つ。
そして、壁が凍るのをわずかでもレクンドが見えると、レクンドは壁のようなところからすぐに離れた。
だが、それを考えに入れていた礼奈はすかさず氷の攻撃をレクンドに向かって放つ。
レクンドは、礼奈の氷の攻撃が自分にさらに向かってくるのを見た。
それを、右手のハンマーから振り下ろした。
そして、レクンドの周囲に衝撃が発生する。
そのため、礼奈の氷の攻撃はいとも簡単に跳ね返えったのである。
そして、衝撃の周囲には礼奈の放った氷がパラパラと床面へと散らばっていく。
衝撃は、埃や煙のようなものを発生させた。それはほんの少しの時間だけ舞い、しだいに晴れていった。
そして、レクンドの姿が見えてくる。
「ふん。これでは俺は倒せないなぁ~」
と、レクンドは言う。
さっきまでは、なぜ自分が凍らされたのかわからなかった。
それは、このときにおいてもそうであった。
だが、攻撃が単調でレクンドさえもの予測可能な攻撃方法であったからだ。
それに氷に関しても、簡単に自らの力で割ることができた。
レクンドは以上の点から自らの結論を下す。
それは、礼奈は氷の攻撃は決して強いものではなく、弱いダメージを連続で与えるか、罠を仕掛けて相手を全身を凍らせるのが主な戦い方であるということだ。
そう、これは実際の正解の解答であるが、ただし部分正解の解答でしかない。
レクンドは、今なって気づく、
「ッ!!! また、凍らされているだと!!!!!」
と、言いながら、自身の武器を見る。
右手に装着したハンマーが凍らされていたのだ。それも大部分が―…。
また、レクンドは考え始める。どうしてハンマーが凍らされてしまったのかについて―…。
◆◆◆
シークドは、李章と離れた位置から、李章に向かって左足で蹴りを入れる動作をする。
これでは蹴りが李章にあたることはない。
だが、蹴りの動作をおこなったところから一撃が放たれる。
その一撃は李章に向かっていく。
これには李章も驚くしかなかった。李章はすぐにどうすればよいかを理解し、シークドから見て右側へと回避行動をとった。
シークドの一撃を回避することに成功した。
一撃は玄関の近くで衝突し、ドオーンという衝撃音がなる。
衝撃音に関して李章は、一瞬注意をそちらにむけた。だが、その瞬間にシークドは李章に近づき、蹴りを入れようとした。さっき一撃を放ったのとは逆の右足で蹴りを入れようとした。
シークドの右足の蹴りに李章は、一瞬注意をそらした後にすぐに気づいた。だから、素早く回避行動をとった。
そのため、シークドの攻撃は、簡単にかわすことができた。
(また避けられた!!)
と、シークドは心の中で思った。
そして、同時に避けられたことがなぜかを考える一瞬のうちに、李章を自らの視界からはずしてしまった。
その隙を李章が見逃すはずもない。
李章はすぐに右手を引いて構えた。
天成獣の力を右手に集中させ、シークドのお腹に当たるように狙いを定めて、ぶん殴る!!!
シークドは気づく。そう、李章が自らの視界をはずしているほんのわずかな隙にすでに攻撃態勢から攻撃に入っていたことに―…。そのため、シークドは回避行動をとるのが遅れてしまった。
ゆえに、李章の右手のパンチは、シークドのお腹にモロにあたった。こうして、シークドは大きな一撃を直接受けてしまった。
「がはっ!!!」
と、シークドは口から大きく息を無理矢理吐きだされるような感触と、衝撃によって飛ばされていく。
そして、シークドはほぼ一直線に飛ばされ、一直線上にあった壁面にぶつかり、さらにダメージを受ける。
シークドは、座ったような状態で床面へとつき、崩れるように気絶していく。
「くそう―……」
と、気絶していくなかでシークドは、言葉を吐くのであった。
シークドが気絶した壁面の周囲は、窪んでおり、ひびがところどころにはいっていた。
◆◆◆
レクンドは右手に装着しているハンマーを振り落とし床面へとあて、衝撃を放つ。
しかし、礼奈と瑠璃はそれを素早く避けていっていく。
(チッ!! こうも簡単に素早く避けられるとは!!!!)
と、心の中でレクンドは思いながらも、歯ぎしりをおこなっていた。
(あのハンマーから繰りだされる攻撃に当たるわけにはいかない。絶対に今の私と礼奈が耐えられる威力の攻撃じゃない)
と、瑠璃は心の中で思っていると、礼奈から、
「瑠璃!!!」
と、声をかけてくる。
この言葉で瑠璃は自分のやるべきことを実行へと移していく。
そのために、
「わかっている。いくよ」
と、瑠璃は言った。
そうして、瑠璃は自らの武器である仕込み杖の水晶玉から電気でできた玉をだす。そして、その電気でできた玉の周囲には電流が円を描くように流れていた。
(私が時間をかけて作っていた電玉を―…)
と、心の中で瑠璃は言う。
レクンドと礼奈の戦いにほとんど加わっていなかったのは、電玉をつくるためであった。
【第5話 Fin】
次回、ついにレクンドを倒すことができるのか。そして、領主のところまで瑠璃、李章、礼奈はたどり着くことができるのか。今度こそ、次回予告があたるようにしたいです。
誤字・脱字に関しては、気づく範囲で修正をおこなっていきたいと思います。
2022年10月22日 以下などを修正および加筆。
①「李章のお腹に対して強力を一撃を受けた」を「李章のお腹に対して強力を一撃を与えることに成功したことは、ちゃんとシークドの目で見ている」に修正。
②「「お前ら~。許さねぇ―。この俺がぶっ殺してやる~~」と、言った」の後に、「シークドの表情は、瑠璃と李章、二人に対する自らがここまでやられたことに対しての怒りと同時に、強敵であると認めたが上に、ここで倒しておく必要があると感じるのであった。本能に近い感覚で―…」を加筆。
③「レクンドは心の中で思う」の後に、
「礼奈という強敵の存在は、自分達のボスである存在を倒しうる可能性を秘めていると―…。そのように感じたとしても、レクンドが負けて良い、戦わなくて良いという理由にはならない。
このままただ負けてしまうことが悔しい。
その気持ちの強さで、レクンドは礼奈を自らの手で倒そうとするのだった。
他の誰にも邪魔させないと思いながら―…」
を加筆。
④「うれしそうに聞こえる声で言う」を「嬉しそうに聞こえる声で言う」に修正。
⑤「私がここが罠であることをお二人にはやく伝えていればよかったのですが―…」を「私がここが罠であることをお二人に早く伝えていればよかったのですが―…」に修正。
⑥「罠を仕掛けて相手を全身を凍らせるの主な戦い方であるということである」を「罠を仕掛けて相手を全身を凍らせるのが主な戦い方であるということだ」に修正。
⑦「あのハンマーから繰りだされる攻撃はあたりたくはない」を「あのハンマーから繰りだされる攻撃に当たるわけにはいかない」に修正し、その後に「絶対に今の私と礼奈が耐えられる威力の攻撃じゃない」を加筆。
以上となります。