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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第51話 照幻滅鏡

今回の更新が遅くなってすみません。

第51話と第52話に関しては、一度書いたもの(第52話に関しては途中まで)をワードに保存しているのですが、それが開けなくなってしまう事態が発生してしまい、再度、第51話と第52話を書くことになりました。今回の分は再度書いたものです。

今度から、対処法として、ワード以外の分とPDFの分に分けて保存することにしましたので、ある程度は大丈夫だと思います。

さらに、その後、体調を少し崩してしまったことと、盛り上がることがあったので、そのせいで遅くなってしまいました。本当に申し訳ございませんでした。深く反省しております。

その間に、第52話はすでに、簡単に修正するぐらいまでには完成しています。


以下から、『水晶』の前回までのあらすじについて述べていきます。

前回までのあらすじは、幻覚人間をアンバイドの対戦相手であるカースドが発動する。どうなる第六回戦第三試合!?

 黒は人。

人が多くいる。

 人間と区別することは可能であろう。

 その人は、黒のみで人の形をしているのだ。

 いや、むしろ藁人形に近いといったほうが輪郭的にはいいのかもしれない。

 それは、一体、一体、同じ形をしている。

 そう、これは、カースドが展開した幻覚人間である。

 そこに、黒い人の形をしたものは現実には存在しない。

 この幻覚人間は、リースの競技場の観客席で見ている人、中央の舞台にいる者のすべてに見えているのだ。つまり、リースの競技場のほぼ全体に幻覚を範囲的にかけたのである。

 そして、黒い人のようなものは近づいてくる。アンバイドに向かって、足音をさせながら―…。

 一方で、幻覚人間を見ているアンバイドは、

 (そろそろ―…、()()を使っていくとするか。)

と、心の中で思う。

 黒の人のようなもののなかには、カースドも紛れており、アンバイドや他の者もカースドを黒い人のようなものとしか認識できていないのである。

 そのなかで、カースドもアンバイドへと攻撃するために近づいていくのであった。


 【第51話 照幻滅鏡(しょうげんめっきょう)


 観客席の中の貴賓席。

 そこには、ランシュがいる。

 ランシュは、カースドの幻影人間を見ながら思う。

 (フン!! なかなか難しいことをやっている。それに、アンバイドの姿も、黒い人のようなものに見えてしまっている。何をするつもりだ。面白そうではある。)

と。


 一方で、四角いリング。

 (俺は負けない。俺の背のことを馬鹿にした奴なんかに―…。この幻覚人間で、俺もアンバイド(お前)も黒いものになって見えているんだよ。そして、アンバイド―…、お前は目の前の黒いのを攻撃しろ。そして、自滅してしまえ。)

と、カースドは心の中で呟く。

 実際、四角いリングで見えるのが黒い人のようなもののみになっているのだ。中央の舞台および観客席から見ると―…。ゆえに、アンバイドも黒い人のようなものになってしまっているといっていい。四角いリングの外からでは―…。

 そして、さらに、アンバイドの見えている目の前の黒い人のようなものは、アンバイドと繋がっているのである。それは、幻覚人形を展開するときに、カースドは一つの暗示をかけたのだ。目の前にいるものを攻撃すれば、アンバイド自身も攻撃を受ける、という内容のものを―…。

 ゆえに、カースドは、機を窺っているのだ。アンバイドが目の前の黒い人のようなものを攻撃することを―…。

 しかし、アンバイドは黒い人のようなものに攻撃をすることはなかった。

 (カースド(あいつ)の天成獣の属性は、たぶん、幻だろう。ならば―…。)

と、アンバイドは心の中で呟く。

 そして、アンバイドは、今出している武器と同じ形をした武器をもう二つ展開する。

 その様子には、カースドも気づき、

 (何だ!! 同じ武器を二つも追加して出してきた。つまり、範囲攻撃で一斉に俺の幻覚人間を攻撃しようとしているのか。だが、それをしたところで、俺へと攻撃を当てる可能性は低いがな。それに、目の前の黒いのを攻撃してしまうことには変わりない。)

と、心の中で思い、呟く。声にはしていなかったが―…。

 アンバイドは幻覚人間に攻撃することはなく、展開した同じ形の三つの武器を合体のようなことをさせるのである。三つの武器を四角いリングの上空、10メートルほどまで上昇させてから―…。


 それを見た、瑠璃チーム。

 「ルーゼル=ロッヘで出した、反射(あの)鏡なのか。」

と、クローナは言う。

 「それって、確か―…、竜を倒したときに出したとされるものですか?」

と、セルティーは、クローナの言葉を聞いて、尋ねる。

 それに、答えたのはクローナではなく、

 「いえ、違うと思います。水晶の力では、アンバイドさんがルーゼル=ロッヘの時に出した反射鏡(もの)ではこの危機を打破することはできません。しかし、今、アンバイドさんが出そうとしているものは、今の危機を脱することができます。」

と、李章であった。李章は、緑の水晶を使って、今の危機を乗り越えるのは何かについて、いくつか質問しながら、水晶の力で危機を回避することが答えを探していたのである。その結果が、ルーゼル=ロッヘでリークが展開した闇の竜のときに使った反射鏡ではなく、別の、今からアンバイドが展開しようとしているものであった。


 アンバイドの三つの武器が合体のようなものをするとき、そこに光が発せられた。そして、三つの武器が合わさっていく。

 その時、カースドは、

 (あれは―…、一体何をするつもりだ、アンバイド。)

と、心の中で思うのであった。表情は動揺しているものではなかったが、何をするのかわからないことによる恐怖感によって、先に攻撃しようとも考えるが、そうする隙がアンバイドが残すかに至ってしまい、アンバイドに攻撃することはできなかった。

 そして、アンバイドの展開した同じ形の三つの武器は合体のようなものを終えた。そして、その時、発せられていた光も徐々に収まっていき、その姿を現わしたのである。

 「照幻滅鏡(しょうげんめっきょう)。」

と、アンバイドは言う。その声は、大きいものではなかったので、カースドや他には一切その声は聞えなかった。

 四角いリングのアンバイドの真上、大体上空10メートルぐらいに展開された照幻滅鏡は、反射鏡と似たような鏡ではあるが、上部は異なっていた。上部のほうでは、反射鏡が竜をモチーフにした彫像であるが、照幻滅鏡は何かの獣の顔をモチーフとした彫像のようなものであった。

 (鏡!? 何で、あんな鏡を展開する必要がある? アンバイド(あいつ)第六回戦第三(この)試合を捨てたのか? いや、何かを仕掛けるために展開したのか?)

と、カースドはアンバイドが展開した照幻滅鏡に対して、アンバイドの戦う意思に対する疑問を思い浮かべるのである。

 観客席のほうからは、呆然としたざわざわな声が聞こえてくる。それは、アンバイドが何をしようとしているのかその意図はっきりと掴めないがゆえにであった。

 一方で、貴賓席のランシュも、

 (……………。)

と、ただ考えるしかなかった。ただし、ランシュの方は、何かの策ではないかということには勘付いていたが―…。

 アンバイドは、

 (照幻滅鏡で、居場所を見つけますか。)

と、心の中で呟く。

 そのとき、カースドは、

 「照幻滅鏡(こんなもの)を出したところで意味などない。アンバイド(お前)は俺に負ける。」

と、アンバイドに向かって威勢をはるように言った。たとえ、それが空威張りと思われるようになるとしても―…。

 それを聞いたアンバイドは、

 「じゃあ、照幻滅鏡(これ)が意味のないものか、確かめてやろう―…。」

と、言う。その時の表情は、すごくいいものであった。

 「照らせ。」

と、アンバイドが言うと、照幻滅鏡の鏡の部分が光り始める。そして、この光は、カースドと幻覚人間がいる側を明るく照らすのである。その眩しさは、カースドが目の前で手をあてて、光から目を守ろうとするぐらいであった。

 強い光により、黒い人のようなもののは、しだいに自らの体から少しずつ煙のようなものを発生させていた。これは、火ではなかった。まるで、何を浄化するような感じであった。

 そう、浄化するようなものなのである。幻覚人間を消滅させるための―…。

 そんな状況に、手で目の前を覆っていても、わずかな隙間から見えたカースドは、

 「俺の幻覚人形が…消えてるだと!!」

と、呆然としたような声をだす。カースドの表情においてもそうであった。

 ゆえに、カースドに動揺が現われ、

 「くそっ!! どうなっている!!!」

と、叫び出すことしかできなかった。その時には、もう、頭の中でどのようにして照幻滅鏡に対抗していけばいいのかを考えることさえもできなくなっていた。目の前の状況を完全に理解することができなかったがために―…。

 そして、黒い人のようなものは、次第に消滅していった。時間にして、数秒ぐらいである。

 そう、照幻滅鏡は、光で照らしたものの幻を消滅させる鏡である。相手の攻撃を反射する反射鏡とは違い―…。生の属性の天成獣多くは、直接肉体強化などの強化したり、単に攻撃したりするのが多い。これは、原則でしかなく、例外はある。例えば、アンバイドが使っている武器に宿っている天成獣である。生の属性であるが、いくつかの特殊な能力を持った鏡と一撃を強化したものなどという特殊系と強化系の二つを合せ持っている。そのため、生の中では珍しく、幻などのトリッキーな属性に対しても対抗することができる。

 完全に黒い人のようなものは消滅した。

 (消えたか。)

と、アンバイドも目の前の光景からそう判断した。すぐに、アンバイドは移動を開始する。瞬間移動に思えるようなスピードで―…。

 一方のカースドは、

 「くっ!!」

と、悔しそうにしていた。

 その時、後ろに気配を感じた。

 そう、カースドの後ろにはアンバイドが移動していたのだ。

 アンバイドは、すでに攻撃の体制を完了しており、右手をカースド目がけてパンチするようにしていた。

 「俺の勝ちだ。」

と、そのときにアンバイドが言う。

 それと同時に、カースドはアンバイドの右手のパンチを受けて、四角いリングの地面へと倒れていくのであった。

 「ガァ…。」

と、カースドは声にならない声をあげながら―…。

 四角いリングの地面にカースドの頭が衝突すると同時に、カースドは気絶した。カースドが受けたダメージは、カースドに後遺症を残すようなものではなかった。これも、天成獣の宿っている武器を身につけていたおかげであろう。

 ファーランスは、この光景を見て、

 「勝者、アンバイド!!! そして、第六回戦勝利チーム、瑠璃チーム!!」

と、勝者の宣言と、第六回戦の勝利チームを宣言するのであった。

 その宣言と同時に、観客席にいる観客の歓声があがった。勝者を称えるかのように―…。


 その勝者に対する歓喜が止まない頃、第六回戦の瑠璃チームの対戦相手であるチームの最後の一人、ギランドは、カースドの敗れるのを見ていた。

 その表情は、負けたチームメイトに対して向けるチームとしての悔しい気持ちがギランドにはなかった。あるはずもない。あくまでも、自らの中で、勝てそうだと自らが判断してチームを組んだにすぎない。

 お互いが利益での関係である以上、そこまで、チームに対しての思い入れはなかったのである。

 ギランドの表情は、次第に敗れたチームメイトに対する侮蔑に近いものへと変わっていった。

 (ここまで雑魚な奴らだったとは…、がっかりだ。)

と、心の中でギランドは言いながら、表情を変え、

 (だが―…。)

と、瑠璃チームの方を向きながら、

 (お前たちは、この俺様、ギランドには勝てやしない!!)

と、自らの自身を異常なまでもちながら―…。


 【第51話 Fin】


次回、動き速いよ、ギランドさん!? あと、パンチじゃないんですね。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


第52話は、今日中にできれば、更新していきたいと思います。

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