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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第49話-2 第六回戦

前回までのあらすじは、クローナが無事、ファーキルラードに勝利しました。怪我はしてしまいましたが―…。一方、飛ばれたファーキルラードを見る、一人の人物がいた。

今回で、第49話は完成します。

 (ぶっ飛ばされたのか…俺は―…、ここは―…、フィールドの外―…、負けた……の・・・か。)

と、一人の男は心の中で言い、気絶するのであった。それは、声にすることもできずに、微かな意識のもとでは、わずかな男の体力が尽きていくように向かっていくのを感じながら―…。

 一人の男を見る味方のチームメイトがいる。

 (…気絶したか。)

と、チームメイトの一人は、呟くのであった。

 この人物にとっては、ファーキルラードは強い人物ではあるが、自らの実力ほどではないと思っていた。異名などは、たまたま活躍する場があり、活躍して人々の印象に残ったからに他ならない。ゆえに、決して実力と一致するわけではない。しかし、ある程度の実力なければ、それ自体もなすことができないと考えると、ファーキルラードには実力があったというのは事実となろう。

 そして、一人の人物は、気絶した男であるファーキルラードから視線を、自らが戦っている対戦相手のチームへと向ける。

 (……倒してやるだけだ。)

と、心の中で一人の人物は誓いながら―…。


 一方、四角いリングから降りてくる勝者。

 第六回戦第一試合に勝ったクローナである。

 クローナは、味方のチームのメンバーを見ながら、右手を前にして、右手でVサインをだす。

 そう、勝利したということと、無事であることを示すために―…。

 「勝ったよ。」

と、クローナは言いながら―…。

 その様子を見て、瑠璃は安心したのか、

 「よかったぁ~。」

と、息を大きく吐きながら言うのであった。そのため、瑠璃はクローナに対しての重要なことを頭の中から離れてしまっていた。

 李章やアンバイドは、あくまでも後ろから見守る感じであった。

 セルティーは、クローナのことに関して、クローナに言おうとするが、その前に礼奈が言う。

 「クローナ、勝利おめでとう。だけど―…、左腕を前に出して―…。」

と。

 「うん、わかったよ。」

と、クローナは、礼奈のその真剣なおふざけ禁止と思わせるほどに圧のある表情に、ただただ言われるがままに、左腕を前にだし、一番前が左手になるようにする。

 そのとき、

 「痛ッ!!」

と、クローナは急に襲った痛みについ、声を漏らす。

 これは、礼奈が理解していたことだ。いや、全員が理解していたことだ。なぜなら、その光景を見ていたからだ。クローナが、ファーキルラードの攻撃で、二度血が出るほどの怪我したことを―…。

 瑠璃や観客などは、忘れてしまっていただろう。クローナの勝利および試合の決着による勝利の歓喜のために―…。

 礼奈は、ゆっくりと、クローナの左腕の怪我を内と外の両方が含まれるように自らの両手を出す。

 「青の水晶。」

と、呟くように礼奈は言う。

 そして、礼奈は青の水晶の能力を発動する。そう、クローナを青の水晶の能力である回復で怪我の部分を治すために―…。

 礼奈の手から出た青い光に覆われたクローナの左腕の部分は、次第に怪我の部分が徐々に小さくなっていき、傷が塞がっていき、治っていくのだ。

 「一応、怪我した部分の傷は塞いだけど、一度、確実に消毒したほうがいいね。菌のほうが活性化するから―…。セルティーさん、私の持ってきたリュックの中に入っているので出してください。」

と、礼奈は言う。

 「はい!!」

と、セルティーは言うと、近くにあった礼奈の持ってきていたリュックを開け、「医薬品」とリース近辺で使われている言語で書かれた箱を見て、それをリュックから出して礼奈の元へと走って向かって言った。

 「これでしょうか。」

と、セルティーは尋ねるように礼奈に言う。

 そして、礼奈はセルティーが持ってきた箱を見る。

 「はい、これです。セルティーさん、ありがとうございます。」

と、礼奈は言うと、箱を開けて、消毒効果があるもの(葉状のもの)を見つけ、青の水晶の能力の発動をきって、クローナの傷口にあてる。この消毒効果のあるものは、リースや近辺に生えているもので、昔から傷口に効果があるとされるものである。その知識を礼奈に教えてくれたのは、リースの城にいる医者であった。医者は、瑠璃や李章などの傷口が治っているのを見て、誰かが適切に治療を行ったのではないかと思い、誰が行ったのかをアンバイドなどに聞いたのである。その後、アンバイドらから得た情報によって、礼奈がそれをしたということがわかり、礼奈にそのことを聞いたという。その後は、礼奈にリースなどに知られている医療の基本的な知識(怪我の治療法などであり、外科などのあまりにも専門的なことは教えていない)を教え、医薬品の使い方を説明し、医薬品の入れた箱をプレゼントしたのである。さらに、それを運ぶ物がなかったので、医者が買ってから一度も使っていないリュックを礼奈にあげたという。

 消毒効果があるもので、傷口を触れられたクローナは、

 「~~~~~~~~~ッ!!」

と、しみる感覚の痛みを感じて、それを声にしないように抑えようとするが、それでも声が漏れる。

 しばらくすると、礼奈は、クローナにあてた消毒効果のあるものをどけて、再度、青の水晶を発動させてクローナの傷口を塞ぐのである。

 なぜ、このように青の水晶を一回切ってするのか。それは、青の水晶の能力が回復である以上、傷口を塞ぐのと同時にそこにいる細菌をも活性化させかねないからだ。ゆえに、先に傷口をある程度塞いだうえで、消毒効果のあるものを使って消毒し、生きている細菌をかなりの数減らした後に、再度青の水晶を使うことにしているのだ。それで、細菌の活性化の阻止と傷口を塞ぐということをうまく両立させているのである。

 礼奈はこの後、しばらくの間、クローナの治療に時間を割かねばならなくなった。


 時間は1時間ほど経過しただろうか。

 その間、四角いリングは、ファーキルラードの攻撃で、かなりのほど損傷されていた。

 そのために、修復するのに時間がかかったのである。

 この四角いリングの修理の方法は、誰もその四角いリングの中に入らないで、放置することだ。そうすることで、徐々に時間をかけて四角いリングは修復されていって元の状態に戻るのである。その回復する量が一定であることから、損傷の激しい場合は、特に、時間がかかるものとなる。

 今回の場合は、四角いリングの表面の部分を空中に勝手に浮かび始め、ある程度表面の部分が上昇すると止まり、土の部分がしだいに修復されていくのであった。じわじわと―…。土の部分が完全に回復すると、表面の部分が元々あった場所へと動かされて、ゆっくりと下降していって、元の位置に元のように戻される。そして、損傷しているを埋めるかのように回復する。そして、最初からそこには、壊れたことがまるでなかったかのように、第六回戦第一試合が始まる前の四角いリングの状態になるのである。

 この原理は、この異世界においてもわかっていない。調べてはいるのだが、全然わからないという。今の時代にとっては、再現することも、理解することも、できていないものが存在しているのだろう。

 四角いフィールドが完全に回復したのを見たファーランスは、

 「では、両チームとも、次の試合に参加される方をフィールドに入場させてください。」

と、第六回戦第二試合に参加する人を司会リングの中に入るようにアナウンスする。

 それを聞いた、瑠璃チームのメンバー。

 李章が、

 「私が行ってきます。」

と、言うと、四角いリングへと上がっていった。

 そして、一方の相手チームは、

 「俺が行くっス。」

と、背が高く体が大きい一人の人物が言う。

 そして、その人物は、四角いリングへと上がっていくのであった。

 その人物は、背が高く体が大きいのは事実であった。そして、腕もサイズの大きい服から今にも破れでてしまいそうに思わせるものであった。背は二メートルを超え、李章の二倍以上あるのではないかと見た目から判断すると、そう思ってしまっても仕方がないし、実際にそれぐらい体積的にはあるのではないか。

 その背の高く、体が大きい人物は李章の近くへと向かって行った。

 李章の近くに辿り着くと李章の対戦相手となる人物は、李章を見る。物珍しいそうに、次第に顔を顰めながら―…。

 「李章(お前ぇ)―…、何か嫌いっス。自分が一番最強だぁ~とか、自惚れてそうで―…。」

と、李章を近くで見ている人物は言う。

 その言葉を聞いた李章は、

 「そうですか。私はあなたには負けません。ただ、それだけです。」

と、冷静に冷めたように言う。

 その裏で、瑠璃は、

 (あいつ―…、李章君の悪口言った。後でしめてやる。)

と、思っていたそうだが―…。その雰囲気に、クローナが怯えそうになり、アンバイドが、(敵にはまわしたくねぇ~)と、思うこととなる。

 一方で、李章のさっきの言葉を聞いた背が高く、体が大きな人物は、

 「やっぱり、ムカつくっス。だが―…、名前も知らずに倒されることを憐れに思い、俺の名を名乗ってやるよ。俺は―…、レガース。」

と、背が高く、体が大きな人物が自らの名であるレガースということを言う。その前に、李章の冷たい態度と言葉に頭にきていたことも言っている。

 李章とレガースの会話が一区切りがついたと判断したファーランスは、

 「両者とも準備はよろしいでしょうか。準備がよろしければ、試合の方を開始したいと思いますが―…。」

と、李章とレガースにそれぞれ尋ねる。

 「俺はOK、っス!! さっさと始めてくれっス。」

と、レガースは試合の準備は、できているとファーランスに向かって言う。

 「準備はすでに完了しています。試合を開始しても構いません。」

と、李章は丁寧にファーランスに向かって、試合の準備完了していて、試合を開始してもいいということを伝えた。

 試合を開始してもいいという李章とレガースに対する確認をし終えたファーランスは、右手をあげる。

 「では―…、これより第六回戦第二試合―…、開始!!!!」

と、あげた右手を下に勢いよく下ろす。

 こうして、第六回戦第二試合が始まることとなった。


 ファーランスの試合開始宣言の後、すぐに、

 「先手必勝っス!!」

と、レガースは叫ぶ。そして、右手を振り上げて、振り下ろす。自らの前にある四角いリングの表面に向かって―…。

 そのスピードは凄まじいものであり、李章の目で追えるものであったとしても、攻撃を仕掛けることは難しいものであった。

 ゆえに、李章はただ見ることしかできなかった。何が起こるのかを警戒して―…。

 レガースの右の拳は四角いリングの表面に触れる。

 そこから、じわりとヒビが入っていく。ピリッ、ピリッ、と。

 そして、そのヒビはいくつかの線のようになり、進んでいく。いや、広がっていく。

 所々で、枝分かれする。それも、同じくらいもしくはそれ以上、それ以下の大きさという感じで、まちまちだ。時には合流するようなことさえある。

 そうなりながらも、李章のほうへと、ヒビは向かってくる。

 李章は、そのことに気づいていた。それと同時に、緑の水晶を使い、危機が迫ってきていることを感じる。

 (地面にヒビ!! タイミング良く避けないとな。それに、あのヒビのところは、確実に避けて―…。)

と、李章は心の中で思い、タイミングを待つ。避けるためのタイミングを―…。

 ヒビが李章の近くへと辿り着くと、

 「終わりっス!!!」

と、レガースは確信をもつように言う。実際に、確信をもっているのである。李章を倒すことがこの攻撃でできることを―…。

 李章は、

 (ここだ!!)

と、心の中で言うと、李章から見て右側にジャンプした。

 それと同時に、ヒビが入っていることが割れたのである。ドゴーンっと、させながら―…。

 その音は、観客席にも生の音として伝われる。この音は、競技場に来ている観客に対して、強い攻撃であるという印象を与えるのである。

 割れたところは、四角いリングの表面であったものが岩山のように浮き上がり、所々、四角いリングを盛っている土の部分を表出させたのである。

 (地面が割れている!! この攻撃は厄介ですが―…、大丈夫、何とかなります。)

と、李章は心の中で言う。まだ、この時は、ジャンプしているため、足が地面に着いていないが―…。

 一方で、レガースは、

 (素早いっス!! 李章の(あのひ弱な)奴。)

と、心の中で歯を噛みしめるかのように苛立ちながら思うのであった。ここに、レガースは、李章相手に対する冷静さは欠けるものとなっていた。それでも、戦局を判断できないほどにはなっていなかった。

 そして、李章は、足を地面に着地させ、

 (やることは決まっています。目の前の相手を倒す。今やることはそれのみ。)

と、心の中で覚悟のようなことを決める。

 李章は、すぐに移動を開始する。走りながら―…、レガースに向かって行く。

 それには、さすがのレガースもすぐに気づいた。

 李章は、レガースに自らの攻撃を当てることが可能だと判断される範囲に入ると、左足を軸にして、右足でレガースに向かって蹴りを入れようとする。

 レガースは、李章の蹴りが来ることをすぐに予測し、

 「守れっス。」

と、言う。

 そうすると、すぐに一つの盾が出現したのである。大きさは、レガースが屈めば、前の方からレガースが見えなくなるものであり、真ん中に黒丸があった。

 そして、李章の右足の蹴りは、レガースの盾とぶつかることになる。

 その盾は、李章の蹴りに対して、動くこともなく、ただただ、守ったのである。レガースを―…。

 李章は、右足で今度は盾を押そうとする。しかし、動かなかった。

 そして、李章は、いったん、レガースとレガースの展開した盾から距離をとる。後ろへ下がって―…。

 レガースは盾を消滅させ、

 「呆れたっス!! ひ弱すぎるっス!!!」

と、レガースが言い、今度は右腕と右手を横にする。

 そして、今度はレガースの周囲にあった土が、レガースの右腕と右手を覆う。それは、まるで人が装甲を装着させるかのように―…。

 数秒もしないで、土はレガースの右腕と右手は完全に覆われたのである。

 その間、李章は、見ていることしかできなかった。確実に、隙があったとしても、緑の水晶がそれをも危機とみなしたからである。

 そして、唯一危機とみなさなかったのは、これから起こることによって証明されることとなる。

 

 【第49話 Fin】


次回、装甲が弾かれる!?

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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