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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第49話-1 第六回戦

前回までのあらすじは、第六回戦第一試合クローナVSファーキルラードの戦いは、ファーキルラードの突きの攻撃によって、クローナは苦戦を強いられるのであった。戦いの行方は―…。

第49話も分割しまう。理由は、内容が多いからです。

 光がクローナに向かって伸びてくる。

 これは、ファーキルラードの攻撃だ。

 クローナは、それを防御するために、今度は右手に持っている武器を光が向かってくるところに構える。もちろん、武器に風を纏っている。

 そして、クローナの武器にファーキルラードの光の伸びる攻撃が当たる。

 双方が接している場所は、拮抗している。

 そんな中で、ファーキルラードは、

 「はああああああああああああ。」

と、叫ぶ。それは、光を伸ばしながらも、光の始点であるファーキルラード自身の武器を前へ伸ばすように動かす動作をする。

 それでも、クローナの武器を押すことはできなかった。それだけでなく、先端の一部がポキンという音をたてながら折れたのである。それは光であるために、再度復元することができるが―…。

 さっきの攻撃でファーキルラードは、クローナとの距離を5メートルから3メートル前後へ近づけていた。それをさらに縮めるためにクローナへと向かって走り始めた。

 それに対して、クローナは、ある程度の距離をとろうとして離れる。しかし、後ろに長い距離を走れば、四角いリングの端まで来てしまうので、長く、後ろに移動することはできなかった。

 ファーキルラードとクローナの間の位置は、1メートル50センチほどになっていた。そこから、ファーキルラードは武器を持っている右手を構え、前に突きだすように放つ。

 ファーキルラードがさっきよりも近いがゆえに、クローナは防御に費やせる時間が減っていて、防御するのに間に合わないほどになっていた。

 ゆえに、クローナはファーキルラードの今度の光を伸ばす攻撃を防ぐことはできなかったのだ。


 【第49話 第六回戦】


 伸びた光は、刀のようになっている。

 それは、ファーキルラードの武器である刀から光を刀よりも長く伸ばしているからだ。光で突くために―…。

 そして、その光の先端には、光とは違う色をしたものが付着していた。

 それは、赤色だ。この赤は、しばらくすれば、乾き、黒へとその色を変化させていくだろう。

 そう、これは血だ。わずかではあるが、水分をまだ含んでおり、ポタっと、地面に向かって滴になりながら、落ちていく。地面に接すれば、その血は乾き、黒になり、しばらくすれば、その色が残るか、あるいは、人によって踏みならされ、跡形もなく、なくなってしまうかという運命にあった。

 その光の先端についていた血に、瑠璃チームの全員が気づく。

 「「「「「!!!」」」」」

と、動揺させながら―…。この動揺は、チーム個々人、それぞれにおいて度合いは異なっていた。

 実際に、クローナは、避けることはできなかったし、攻撃を受けてしまった。それでも、避けようとしたため、腹部に当たることはなく、左手の内側を大きく掠ったのである。そう、横に避けながら、腕と胴体の間を三角の形で開けるという方法で自らの体が接しないような空間をつくっていたのだ。白の水晶の能力を使えば、この攻撃自体を防ぐことはできるが、それを展開するという判断を下すまでの時間すら今回はなかったのである。

 それでも、ファーキルラードの攻撃によるダメージを少なくすることには成功した。

 (また、怪我をしてしまった。光の攻撃が速すぎる。距離をとらないと。)

と、クローナは心の中で思い、再度ファーキルラードから距離を取る。今度は、自らの属しているチームのいる方向ではなく、自らのチームから向かって右の方向であった。

 ファーキルラードもクローナに対して、決定的な勝利のための攻撃を成功させていないことに焦りが出始めていた。

 (なかなかダメージを与えられていない。攻撃が当たったとしても、掠り傷だけだ。じわじわ弱らせれば、クローナ(相手)を倒すことは可能であろう。しかし―…、それまでずっと、私の光の攻撃を続けることはできない。なら、あれで―…、決める!!)

と、ファーキルラードは心の中で覚悟を決めるのであった。

 「これでは、(らち)が明かない。だから、これで終わらせよう。」

と、ファーキルラードはクローナに向かって言う。

 そして、ファーキルラードは、自身の右手に持っている武器を上に挙げた。その時、自身の右腕もあげた。

 そして、ファーキルラードの武器を覆っている光がしだいに膨張するかのように大きく、長くなっていった。

 それを食い入る様にクローナや、観客席にいる者たちは、見ていたのである。光の大きく、長くなっているのに魅入られながら―…。

 (おいおい、あんなにでかくして大丈夫なのか。あんなに武器をでかくしたら、さっきのように突きのような攻撃をすることができなくなるし、それに、隙もでてくる。何を考えているんだ、ファーキルラード(相手)は!! これで、クローナの勝ちは近づいたな。)

と、アンバイドは心の中で言う。アンバイドは、ファーキルラードの攻撃の突きが、攻撃の移行と攻撃する時の双方の速さがクローナに守らせる選択時間を削り、最高の選択をできる可能性を低くしていたと考えていた。

 ゆえに、ファーキルラードが自身の武器に覆っている光を大きく、長くしているのを見て、自らの今までの攻撃方法とは逆のことをしている。だから、スピードでクローナの選択肢を狭めていたのがなくなり、クローナに冷静に考えさせる時間と余裕を生むことになる。そして、結果として、クローナが勝機をうまく見つける機会を提供することになることとなる。アンバイドはそう考えるにいたっていた。それは、これ以後のクローナとファーキルラードの試合の流れではっきりすることになるだろう。

 (光が―…、大きく、それに長くなっている。これなら―…できる。)

と、クローナは心の中でファーキルラードを倒すための方法を思い浮かべたのである。

 そして、ファーキルラードの武器を覆っている光の膨張のようなものは終わった。そう、さっきまでの光で覆っていたものよりも、体積が10~20倍相当に膨らんでいた。

 「これが、俺の最大の力、光長膨刀だ。この刀の一振りで第六回戦第一(この)試合を終わらせてやろう。」

と、ファーキルラードはクローナに向かって、自信たっぷりに言う。

 「ファーキルラード、長突という異名を持っていて、あんな大きな攻撃をするとは―…。人は異名にはよらないものですか―…。それでも、クローナさんにチャンス到来ですか、アンバイドさん。」

と、セルティーは言う。このとき、瑠璃、李章、礼奈、セルティー、アンバイドはちょうど横に一列に並ぶようになっていた。

 「そうだな。しかし、ファーキルラード(あいつ)光長膨刀(あのでかいの)を防がないといけないが―…。クローナにとっては、それは簡単なことだろう。後は、俺らだよな―…。何か物凄い一撃が、フィールドを通り越してこちらへと向かってきそうな()な予感がするんだが―…。」

と、アンバイドは何か不安そうに言う。

 「私の緑の水晶の能力を使った結果は、立ったままだと危険です。そして、危機を回避するには、フィールドよりも低く屈むもしくは伏せることで可能です。」

と、李章は言う。その時の言い方が、機械のような言い方であった。それでも、感情を抑えて、冷静に言おうとした結果なのである。李章も、あの大きなファーキルラードの光長膨刀を見て、大きく動揺していて、その感情が冷静さを押し退()けるのかのようにしているので、それを抑えるのに精一杯であった。

 「っということは、みんな、伏せて!!」

と、瑠璃が言うと、瑠璃チームの全員が伏せるのであった。四角いリングよりも低くである。

 第六回戦で、今現在戦っている相手チームも同様に屈むもしくは伏せるのであった。

 ファーキルラードは、光長膨刀を見るために顔を上に向け、光長膨刀が完成していることを確認し、再度、クローナの方に、体を向けるのであった。光長膨刀をあげたままで―…。

 「消えろ。」

と、ファーキルラードは大きい声で威張るような感じではなく、小さく、ただ真にそのことが実現されるように思いながら、光長膨刀を振り下ろす。

 その瞬間は、まるで、これから振り下ろされた光長膨刀において、周囲のものは、ファーキルラードを残して消えゆくような感じを抱かせるかのようだ。もし、アニメなどであれば、この瞬間は、まさに、いろんな人々の表情、クローナの呆然とするしかない顔、そして、光が次第に強くなり、周囲をゆっくりとした時間を使って覆うような演出になるだろう。そして、リースの競技場にいる誰もがそのような感じの目から見える映像になっていた。

 数秒の時間が経っただろう。

 感覚的にいえば、その数十倍もの時間が経過したように感じただろう。誰もが―…。

 その数秒で、光長膨刀は、振り下ろされ、地面に接する。

 そして、光が周囲を覆いながら、拡大していった。

 その拡大していく光は、リースの競技場の中央の舞台のすべてを飲みこんでしまったのである。

 光が中央の舞台を覆ってから少しの時間が経過すると、ドンという衝撃音がなった。それは、この光の攻撃がとてつもないほどの威力があるものと実感させるのには十分なものであった。


 その光による中央の舞台を覆うということは、数分の間続くこととなった。

 その間は、観客席から中央の舞台がどんな風になったかを見ることはできなかった。できるはずもない。光があまりにも眩しいのだから―…。

 そのせいで、観客席の誰もが、手を目の前にだして、塞がずにはいられなかったのである。眩しさのせいで―…。

 審判であるファーランスもそうであった。

 (くっ!! 眩しすぎます。これでは、試合がどうなっているのか把握すらできない。)

と、心の中で呟く。


 そして、数分の時間が経過しただろうか。

 しだいに、中央の舞台を覆っていた光が少しずつ収まっていき、次第にはっきりと中央の舞台の様子が視界にはっきりと写るようになっていった。

 そして、審判であるファーランスは、ゆっくりと、目の前に出していた手をゆっくりと引っ込め、中央の舞台の四角いリングの視線を移す。そして、試合がどうなっているのかを見ようとする。

 瑠璃チームの全員も、光が消えていくのと同時に、伏せている体勢から起き上がって、四角いリングのほうを見る。

 観客席にいる人々も、光が消えていくのがわかると、中央の舞台の方へと視線を向けた。

 リースの競技場で試合に参加もしくは観戦している人々が、試合がどうなっているのかを確認するために―…。

 四角いリングは、光長膨刀の振り下ろされて、四角いリングに接したところは、リング自体は壊されていた。四角いリングで表面にでている面が、瓦礫のようになっていたり、蟻のような小さなサイズの生物であったなら、岩がむきだしの山のようになっていると思っただろう。ゆえに、四角いリングの表面の中にあった土の部分が一部表出していたのだ。

 四角いリングの中で、原形と保つことができた部分が二つほどあった。

 一つは、光長膨刀を振り下ろしたファーキルラードのいる場所である。そこでは、ファーキルラードは右手に刀を持つながら立っていた。しかし、刀には覆っていたはずの光はそこにはなかった。ファーキルラードも、光の中に飲み込まれたせいで、左手を目の前に出し、覆っていた。このとき、すでに光長膨刀はすでに振り下ろし終えていたので、片手を離しても大丈夫な状態であった。光が収まってから、しばらくして、目の前で覆っていた左手を戻し、クローナが光に覆われる前に確認できた場所へと視線を向けながら、

 (これだけの攻撃を喰らえば、たとえどんな相手もダメージ、それも大ダメージを受けていてもおかしくない。そうすれば、もう、クローナ(相手)は戦闘することができまい。)

と、ファーキルラードは自信を持ちながら心の中で言う。ファーキルラードが、光長膨刀を使う時は、自らの最大にして最強の攻撃をする必要がある相手であり、この光長膨刀を振り下ろした時の光の波動攻撃で避けることを不可能と相手に悟らせ、防御しても意味がないほどの威力の攻撃を実際にしているのである。ゆえに、光長膨刀の攻撃をして相手を倒せないとなれば、それは同時にファーキルラードの敗北を意味するものである。すでに、天成獣の属性の力をしばらくは借りることができないほどに使ってしまっていることになっていることを示す。

 クローナがいるとファーキルラードが思う所へと視線を向けた。そこには―…、

 (いない!!)

と、ファーキルラードは心の中で叫ぶ。それと同時に別の気配をファーキルラードは感じた。ゆえに、ファーキルラードは気配のした右側の方を見るために、体ごと右側へと向ける。

 (!!!)

と、ファーキルラードは驚く。

 そう、壊れた四角いリングの表面のわずかに人が一人立てる場所にクローナがいたのだ。その姿は、一切、ファーキルラードの光長膨刀の攻撃をを受けていないのである。それは、クローナは光に覆われる時に、白の水晶の能力でテント状のバリアの展開して、光の波動攻撃を防ぎ―…、光が消えていった後、すぐに壊れた四角いリングのジャンプしたりしながら、移動していったのであった。

 そして、クローナは右手に持っていた武器に、風を纏わせており、それを横に振る。

 振ると同時に風がファーキルラードに向けて放たれ、ファーキルラードが気づいた頃には、風は目の前に迫ってきており、防御することもできずに、攻撃が当たり、四角いリングの外へと飛ばされていった。

 それを確認したファーランスは、

 「勝者!! クローナ!!!」

と、勝者を宣言するのである。

 そして、観客は、その勝利の宣言と同時に歓声をあげるのであった。


第49話-2 第六回戦 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。

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