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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第48話-1 登場 十二の騎士

前回までのあらすじは、第五回戦はセルティーの圧勝で終わりました。かなりの短さとなったのである。

第48話は分割となります。たぶんの今回はその前半になります。

 ランシュは、多くの人に会っている。

 人数にすれば、十二人。ランシュを除くとであるが―…。

 いつもは、ヒルバスとともにいることが多い。

 場所は、ランシュが、相手と謁見する場合に使う場所。それは、過去においても何度も謁見している場所だ。

 ランシュは、いつも通りに椅子に座っている。

 そのランシュから見て左側の少し離れた位置にヒルバスがいる。

 そして、ランシュの目の前には十一人いる。

 これは、ランシュが今日の用件のために呼びだした者たちだ。これらの人々は、ランシュに次ぐ、もしくはそれと同等に近い、実力を持つ者たちである。天成獣を用いての戦いには、かなりの腕が立ち、今の時点においては、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティーが戦ったとしても、この十一人には勝てないだろう。

 ランシュが彼らを呼んだのは、顔合わせという側面と、あともう一つあるのだ。

 「よく、集まってくれた。()()()()()よ。」

と、ランシュは王や皇帝のような一つの国や領土の支配者のトップが言うのような尊厳さをだしながら言う。

 それを見ているヒルバスは、面白くないと思いながら見つめていた。

 (こういう場でも、ランシュ様は、ギャグキャラのように、おふざけもしくは言葉を噛むということをしてこそなのにぃ~。これじゃあ、ただの真面目な会議になってしまうではありませんか。ランシュ様。)

と、心の中でヒルバスは思うのであった。とにかく、ランシュを弄りたいがために―…。たぶん、これをランシュが知っていたとすれば、かなりの怒りをヒルバスに浴びせ、場合によってはヒルバスの好む展開になっていたではあろうが―…、真面目なことだとわかっているランシュのために、それはなかった。

 「お前たちは、第七回戦から我の企画したゲームに参加してもらう。すでに、お前らがどのチームに所属しているのかは、すでに決めてもらった。最終戦である第十回戦は、我のチームとする。他に関しては、まだ決まっていない。ゆえに、残りの3()()()()に関しては、希望を聞こう。」

と、ランシュは言う。ランシュは第一回戦から第六回戦まですでに、ランシュの案より決めていた。それを命令する形で、各チームに伝えたのである。

 しかし、第七回戦以後はランシュの率いるチームが最終戦である第十回戦に参加すること以外は決めていないのだ。それをここで決めようというわけだ。

 「えぇ~。そんなの後でいいとして―…。そんなことよりも、二点に関しては、はっきりさせないといけないのじゃないの? ランシュ。」

と、背が160センチ後半ぐらいの二十代前半の女性が言う。髪は長めで、結われておらず、色は金色をしていた。

 「イルターシャか。何だ。その二点とは?」

と、少し面倒くさそうにランシュは、イルターシャというさっき質問した女性に向かって言う。

 「まず、十の騎士であったのが、二人増えてるんだけど。その二人って、強いの? 私たちと互角の実力があるの? 一人は、十代後半の小娘だし、それに、ランシュ、あんたの討伐対象と顔や容姿が似てない。それにもう一人は、ランシュが可愛がっていた坊やね。アンバイドに負けて、のこのこと帰ってきたっていうじゃない。本当に強いの? ・・・私にとっては疑問なの。もう一点は、クローマが勝手に第四回戦に偽名を使って参加していたことよ。もし、負けていたら()()()()の面汚しよ。まあ、勝ったからそうはならなかったが、そんな独断に対する処分は、ってことよ。」

と、イルターシャは言う。不満そうに感じながら―…。

 そのイルターシャの指摘は、他のここにいる人物の幾人かにとっては同様であった。二人の追加と、クローマの独断行動に対して、ランシュはどう思っているのか。その答えしだいでは、十二の騎士の解体もしくは分裂にまで至りかねないのだ。そうなってしまえば、ランシュが企画したゲームどころではなくなってしまうのだ。それは不味いとランシュも考えないわけではない。一つ言葉を誤ってしまうと、自らにとって最悪の結果になってしまうとわかってしまうので、言葉を慎重に選び、言い筋を見つけるために黙って思考するのであった。

 そのときの、ここに集まったランシュとヒルバス以外の目は、ランシュに集中していた。何を思っているのかを聴くために―…。

 そして、数十秒の沈黙が流れ、それを終わらせたのは、もちろんランシュの言葉であった。それは、

 「まず、二人の十二の騎士への登用は、簡単に言って、このゲームで、討伐対象である、瑠璃、李章、礼奈(三人組)を倒すために必要な人物であること、そして、そのための戦力としての実力は申し分ないまでだ。一人は、すでに、俺と近いレベルであること、もう一人のリークは、クローマに修行をつけてもらっていた。そのクローマによって、実力はさきほど認められた。ゆえに、二人を十二の騎士に加えたまでだ。そして、クローマの第四回戦への独断による出場に関しては、こちらで厳重注意をした。さらに、クローマを処分した場合、ゲームにおける勝利を危うくするものである以上、現時点で処分を下すよりも、最終戦に参加してもらって、勝利することを処罰の内容とした。これならば、こちらは必要な戦力を失うことなく、ゲームを進行させていくことができ、討伐対象の討伐に成功する確率を維持することができる。以上がイルターシャの指摘した二点に関する、我の見解だ。何か不満があるか?」

と、ランシュはイルターシャの指摘に対する理由を説明した。

 それを聞いたイルターシャは、完全には納得しなかったが、返って事が大きくなってしまうことを望んでいない。もし、ランシュと対立すると、自身の力だけでは、ランシュに勝つことはほぼ不可能であり、現実的ではないと考えた。ゆえに、イルターシャは、

 「わかったわ。それで手をうちましょう。」

と、無理矢理納得させたのである。

 一方で、他の者は、

 「へっ。そういう理由か。まあ、完全には納得できないが、ランシュの案は受け入れるぜ。それに、クローマの独断行動は気に食わないが、クローマ(あいつ)らしいから、まあいいや。それよりも、俺らは七回戦からの登場となると、第六回戦はどのチームがやるんだ。」

と、鍛え上げられた筋肉が、自らの服からはみ出しそうな格好のニードがランシュに対して質問する。第六回戦に十二の騎士を投入しないのならば、他のどのチームを参加させるのかを単純に疑問に思ったからである。

 「それは、すでに決まっているよ。」

と、ランシュが言う。そして、ランシュのそのチームの人数とを告げた。

 その言葉にニードは、

 「そうかい。まあ、このままだと、七回戦は、その瑠璃チームとやらがくるだろうなぁ~。」

と、第六回戦の予測するのだった。

 「ニード、もう疑問はないか。」

と、ランシュはニードに問う。

 「ああ、ないぜ。」

と、ニードは答えるのだった。そのとき、右腕の筋肉がピクッと動いたのである。その後もピクピクと両腕の筋肉が交互に動きながら―…。

 (これが、ランシュの直属の騎士ね。どの人物も強いね。私と同じ属性なのも何人かいるみたいだし。それに、私が属しているチームは、全員がその直属の騎士みたいだしね。瑠璃(あいつ)と対戦する以外は興味はない。瑠璃(あいつ)に復讐することこそが、母さんを悲しませずに済むこと。父さんが家に戻ってくれることに繋がる。だから―…、瑠璃(あいつ)を私との戦いの場に引きずりだす。もう、過去から進めない()()なんて見たくないから―…。)

と、瑠璃に似ている少女は言う。家族との時間を奪われた恨みをはらすために―…。そして、普通の幸せをつかむために―…。

 そして、第七回戦から第九回戦までに参加するチームが決められたという。


 【第48話 登場 十二の騎士】


 リースの競技場の中央の舞台。

 今、現在、第五回戦が終了して、勝利したセルティーが四角いリングから下りた。

 そして、セルティーは、自らが属しているチームのもとへと向かって行った。

 「勝利することができました。」

と、セルティーは言う。

 そうすると、

 「これで一週間後には、第六回戦。前回からの修行でセルティーは、さらに強くなっている。う~ん、これは儂の修行の結果であるなぁ~。」

と、前半は明るく、後半は何かの悟りを開いたおじいさんのようにクローナは言う。しかし、おじいさんの声にはなれなかったようだが―…。

 それを聞いたセルティーは、

 「ありがとうございます。クローナさんの修行で強くなっていますよ。」

と、クローナの冗談みたいな言葉を、冗談だと理解した上で、あえて感謝するのであった。自らの勝利は、他者との関係において、始めてなされることをセルティーは知っていたからである。

 「クローナの余計なひと言はさておき―…。」

と、言いかけるのがアンバイドで、このことを言われたクローナが、「さておきとは何だ――。」と、言うが、それを無視してアンバイドは、

 「あそこまで圧倒的に相手を倒すとはなぁ~。ここ一週間での成長は目を見張るほどだ。」

と、驚きながら言う。

 「ありがとうございます。アンバイドさん。」

と、セルティーはお礼を言うのである。

 (何か、このお礼は嬉しいのだが―…、違和感というものを感じてしまうのはなぜだ。)

と、アンバイドは心の中で思うのであった。理由は簡単であろう。セルティーは、本当の意味で感謝しているが、アンバイドに対して、修行をキツイものとされた恨みを一部皮肉を込めながら言っていたのであるから―…。

 「怪我とはないみたいですね。第四回戦第三試合(前回)は、大きな怪我こそはしなかったために、何とか翌日に修行に参加することができましたが、大怪我も出ているので念のために―…。」

と、礼奈はセルティーに向かって心配そうに言う。瑠璃と李章がそれぞれ一回は、大怪我を負って、一週間前後もしくは、数日は大人しく安静が必要であったため、確認しているのだ。礼奈は、自らの持っている青の水晶によって、怪我の治療をして、回復させることができるから―…。怪我が広がる前に、早く治療すれば、大怪我に繋がらないからである。

 「ありがとうございます。痛むところもないですし、相手の攻撃を受けていないので、怪我はないです。」

と、セルティーは言う。

 「セルティーさん。勝利おめでとうございます。」

と、瑠璃はいろいろと言おうとするのであるが、結局、単純で簡単な言葉となってしまう。

 「ありがとうございます。」

と、セルティーは感謝するのであった。

 そして、少し会話をした後、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティー、アンバイドは、リースの城へと競技場を出て、帰っていった。


 リースの城の中。

 瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティー、アンバイドの向いている後ろにはリースの城の中へ入るための門の一つがある。

 その門は、ちょうど閉まったところである。

 日はもう少しで完全に沈んでしまう時間。

 瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティー、アンバイドの目の前には、二人のメイドがいた。彼女らは、セルティーに仕えていた。

 「お帰りなさいませ、セルティー王女、皆様。」

と、この場にいるメイドの一人であるニーグが言う。

 「ただいま。」

と、セルティーが代表していい、その後に、瑠璃、李章、礼奈、クローナがそれぞれ「ただいま。」と、言う。アンバイドだけが、無言のままであった。決して、アンバイドは脛ているわけでもなく、機嫌が悪いわけでもない。ただ単に、面倒くさいからである。

 「ご無事でなりよりです。第四回戦(前回)は、いろいろとショックを受けられていた方もいましたので、今日は、快勝といったところでございますか。夕食の準備を開始しますので、皆様は、入浴と着替えをいたしましたら、食堂の方におこしください。」

と、ロメが言う。

 その後、入浴と着替えを終え、食堂で夕食をとった。


 翌日から、第六回戦にむけての修行が開始された。

 そして、その修行は、第六回戦のおこなわれる前日まで実施された。


 第六回戦当日。

 リースの競技場の中の中央の舞台。

 すでに、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティー、アンバイドの瑠璃チームのその場にいた。到着したのは、十分ほど前であった。後は第六回戦の相手チームの到着を待つのみである。

 審判であるファーランスは、四角いリングで行われる試合を斜め上からの位置で見える場所、観客席の中で、瑠璃チームとその相手チームがいる場所の中間の位置になる場所であった。

 今日は、観客席の貴賓席にランシュがいた。

 (第五回戦は、一人であったし、フランドラドルはアルディーよりも少し強いぐらいだしなぁ~。今回の第六回戦は、十二の騎士には及ばないが、その候補にはなるぐらいの実力が何人かいるからなぁ~。それに、十二の騎士も今日は観戦させる予定だ。)

と、ランシュは心の中で呟く。そう、今日は貴賓席はランシュとヒルバスだけでなく、十二の騎士の何人かが来ていたのだ。決して、全員ではないが―…。

 (ほう、あれがアンバイドか。あいつとの対戦以外なら勝つことは可能か。俺らのチームは全員で六人だからな。)

と、十二の騎士の一人が言う。身長は百八十センチ前半で、細長いが、ひょろひょろしているわけではなく、細マッチョに分類するほどには筋肉がついていた。そして、顔はイケメンと分類してもいいほどに塩顔系であった。さらに、この人物の両腕から手にかけて、天女が身に纏っていればその美しさを思わせるほどの効果を引き立てるような羽衣を身に纏っていた。羽衣も、この人物の顔の良さとイケメン度を引き立てていた。

 (あれが、私たちの対戦相手になるかもしれないチーム。アンバイド以外は、そこまでないのね。だけど、今までのチームを倒してきているとなると、その成長力は油断できないわね。良ぉ~く観察しておく必要があるわ。)

と、イルターシャが心の中で呟く。自らのチームを代表して観察していたのだ。戦いにおいて、事前に相手の情報を知っておくことは、勝利するために必要なことであり、戦闘では絶対に勝敗を左右し、自らの生死をも決定させかねないからである。そのために、観察、いや、分析に集中する気合いが違っていた。

 (…………。)

と、十二の騎士の一人は無言で、これから対戦相手なるかもしれない瑠璃チームを見ていた。イケメンとイルターシャとは違う人物であるが―…。


 そして、中央の舞台では、十二の騎士が瑠璃チームに視線を向けていた頃。

 瑠璃チームと第六回戦で対決するチームが中央の舞台に現われたのである。

 人数は四人。背が高く細いのが二人、背が高く体が大きいのが一人、背が少し低いのが一人であった。

 (ほう…彼らが相手ですか…。)

と、背が高く細い一人が心の中で瑠璃チームに対して感じたことを心の中で言う。

 もう一人の背が高く細い一人は、

 (タッタッ…と、あいつらの相手の中の一人を倒してしまおう。)

と、心の中で呟く。

 (ふ~お~。あいつらか―…。だが、アンバイド以外は俺の敵ではない。)

と、背の少し低い一人が心の中で言う。

 (自信をもってす、自分!!)

と、背が高く体が大きい一人が相手チームとの対戦に不安を抱いたのか、自らの自信を持たせるように心の中で掛け声みたいに言う。

 一方、瑠璃チームは、相手のチームのメンバーを見た感想は、以下のようであった。

 礼奈は、

 (実力は、まあまあってところか。)

と、心の中で思った。

 アンバイドは、

 (一人、そこそこ強いのがいるが、後はそれほどでもないな。)

と。

 クローナは、無言のままであって、セルティーは、

 (まあまあです。)

と、心の中で呟く。

 李章は、

 (誰が相手であろうと、決して負けるわけにはいきません。ただそれだけです。)

と、決意を心の中で意にする。

 瑠璃は、

 (とにかく、目の前の相手を倒すのみ。)

と、心の中で思うのであった。

 両方のチームが揃ったことを確認したファーランスは、

 「では、これより第六回戦を開始いたしたいと思います。今回は、少ないチームに合わせて行いますので、四試合となります。では、第一試合に参加される方は、フィールドに来てください。」

と、言う。

 そのファーランスのアナウンスを聞いた、瑠璃チームは、

 「私が行ってくる。」

と、クローナが言って、四角いリングへと上がっていった。

 クローナが四角いリングに上がった後、数秒の時間が経過して、相手チームの一人が四角いリングへとあがった。

 「私の相手は、クローナ(あなた)ですか。」

と、対戦相手の背の高く細長い一人は言う。

 「そうです。」

と、クローナは、いつもような陽気さはなく、真剣な表情になっていた。ゆえに、声も大きくはなく、相手に聞えるぐらいの大きさで、強さをもって言った。

 「そうですか。私は、対戦する相手、特に1対1のときには名を名乗ることを信条としています。ゆえに、名乗らせていただきます。私の名は、ティー=グルマ=ファーキルラードでございます。よろしくお願いいたします。」

と、ファーキルラードがクローナに向かってお辞儀をする。

 「はい、こちらこそ。」

と、クローナもファーキルラードに引きずられたのか、同様にお辞儀をする。

 (ファーキルラードか。聞いたことがあるな。確か―…、あの人物には、通り名がったはずだ。)

と、アンバイドは心の中で考え始める。そう、アンバイドは、ファーキルラードという人物を聞いたことがあるのだ。会ったことは一度もないが―…。

 アンバイドが考え始めていて、少しすると、アンバイドとは別の人物が、

 「確か―…、“長突(ちょうとつ)”という異名があったと思います。」

と、セルティーが言う。

 「長突?」

と、瑠璃が疑問に思うであった。

 「ええ、ファーキルラード(クローナの対戦相手)の異名です。どのような能力かは、実際に見たほうが瑠璃さんにもわかると思いますよ。」

と、セルティーは言う。実際、セルティーは口頭でもファーキルラードの異名に関する説明は可能であるが、それよりも実際にいるファーキルラードの戦いを見た方がよりわかりやすいと判断したから、セルティーは今の瑠璃にそれを説明しなかった。

 それを聞いた瑠璃は、四角いリングの方に目を向け、ファーキルラードの異名の理由と、クローナの戦いを見ようとする。

 李章も、ファーキルラードの異名は気になっていたので、四角いリングの方へと目線を向ける。

 アンバイドは、ファーキルラードの異名をセルティーが言ったことで、ファーキルラードがどういう戦い方をするのかがわかっていた。ゆえに、

 「瑠璃には、参考になるかはわからないが、見ておいて確実に損はないはずだ。」

と、アンバイドは瑠璃に向かって言う。

 「えっ、それはどういうことですか?」

と、瑠璃はアンバイドにさっきの言葉の意味について尋ねる。

 「まあ、見ていればわかるさ。」

と、アンバイドが言う。

 そして、瑠璃は、再度四角いリングの方へと目線と体を向けた。

 一方で礼奈は、

 (長突。これが意味することは恐らく、武器が伸びるもしくは長くする何らかの方法をもっていて、それを使って戦うということなのかもしれない。)

と、ファーキルラードの異名の理由を心の中で分析していた。そのため、礼奈は四角いリング、特にファーキルラードに目線を合わせた。

 一方で、四角いリングでは、ファーキルラードが自ら見て左側の腰にさしていた自らの武器を引き抜き、右手だけで持って構える。その武器は、一メートルほどの長さをしていて、刀の形状をしていた。しかし、柄の部分がなく、持ち手は、刃になっていない部分で、そこは円のようになっていた。そこを持っていたのだ。そして、刃をクローナのいる方向に向ける。

 それを見たクローナは、

 (あれ、長突とかいうから、武器自体が長い物だと思ったら、それほどでもない。もしかして、手が伸びるとか?)

と、心の中でファーキルラードの異名と戦い方について予想する。その中で、クローナは自らの武器の二つを両手で持って構える。

 「両者ともに準備のほうはよろしいでしょうか。」

と、ファーランスがクローナとファーキルラードに聞く。

 「構わない、試合を開始してください。」

と、ファーキルラードが言う。

 そして、クローナは、

 「こっちも準備万端だよ。試合を開始していいよ。」

と、言う。真剣な表情であるが、声は陽気さを取り戻していた。

 確認をし終えたファーランスは、右手を上にあげ、

 「では、これより、第六回戦第一試合―…、開始!!!」

と、あげた右手を下に下ろす。

 こうして、第六回戦第一試合は始まった。


第48話-2 登場 十二の騎士 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


第6回戦に入っていきます。少し長いかはわからないですが、ここから以後の回戦は前よりも長くなる予定です。

今日、明日、明後日の3日間は、午後17時に更新すると思います。予定ですが―…。

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