表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
78/748

第46話-2 眠っていても見えている

前回までのあらすじは、ネリワッセが強すぎる。そして、眠そうにしているなぜ強いのか?

今回で第46話は完成します。

 それは、簡単なことだ。

 李章が避けたのだ。瑠璃の攻撃を―…。

 そう、瑠璃の右手から繰り出されたパンチ攻撃を、瑠璃から見て、左側に避けたのである。

 それも、目を瞑りながら―…。

 ゆえに、その光景を見た瑠璃は、唖然とする。そうせざるをえなかった。

 「えっ。」

と、声を漏らすことしかしばらくの間言葉にできないほどに―…。

 李章は、ゆっくりと目を開ける。

 李章は見る。瑠璃が唖然としている姿を―…。

 そして、左を向くと瑠璃のパンチが自らの左側にあることを―…。

 李章は確信する。これで、なぜ、ネリワッセがセルティーの攻撃を防ぎ、反撃することができたのかを―…。

 李章は、瑠璃が落ち着くのを待って、話しを始める。

 「私がなぜ瑠璃さんのパンチを避けられたと思いますか。」

と、質問するかのように李章は言う。

 瑠璃のパンチ攻撃を避ける様子を見ていた礼奈は、気づいた。ゆえに、

 「まさか!!」

と、礼奈は、何かわかったかのように強く、短く、はっきりと言うのであった。

 「人は目を瞑ったとしても、ある程度は、周りのことはわかっているものです。瑠璃さんが私に攻撃したときに、私がしたようにであります。それは、目が見えない状態であったとしても、あらかじめ、相手、建物、物や、地面に何があるかをある程度把握しさえすれば、目を瞑っていたとしても相手がどのようにしているのかはわかります。さらに、ネリワッセ(相手)はさらに、自らに攻めてくる者の気配を感じることに敏感なのでしょう。そして、セルティーさんの気配を感じて、気配と元々の位置から推測しているのだと思います。そして、セルティーさんが攻撃する箇所にだけ、あの黒い何かを防御を集中させて、防いだ。そして、その防いだ時の、セルティーさんの大剣の音を聞いて、今度はセルティーさんの攻撃位置を推測すれば、簡単に反撃ができるわけです。目を瞑る時に、セルティーさんの位置とともに、背丈や横幅などを予想してこれぐらいなのではないかと判断したうえで、攻撃はどのようになるのか、防御はどうなるのかを経験から予測してやっているのだと思います。ただし、ネリワッセ(相手)のようにやるには、実力と、経験がかなり必要です。今の私でも、完全に再現することはできません。」

と、李章は説明するのだった。要点をまとめてしまえば、人は目を瞑ったとしても、ある程度のどこに何があるのかを把握するということが可能である。ゆえに、セルティーの大きさ、位置、武器、攻撃方法の可能性などの要素を推測し、気配を用いて、相手がどこから攻撃するのかを予測して、黒い何かをそこに集中させ、セルティーの大剣が衝突した時の音で、セルティーの居場所をわりだし、反撃を加えたということである。

 これは、実際にネリワッセがおこなったことであり、李章の言っているとおりなのである。それも、ネリワッセ自身の戦いの経験と、知識などによって可能にしているのだ。ゆえに、李章が完全に真似ることは完全にすることはできないし、アンバイドでも同様にするのは難しいであろう。ただし、やれと言われれば、アンバイドはやってしまうかもしれないが―…。

 李章の説明を聞いた瑠璃とクローナは、完全には理解しきれていなかったが、目を瞑っても、周りがある程度見えていること、気配で攻撃を防いだり、居場所を探したりしていることだけはわかった。

 一方で、礼奈は全部といっていいほどかもしれないぐらいにわかった。李章の説明を聞いているときには―…。ゆえに、

 (李章君の言うとおりだと思う。そうなれば、セルティーさんがネリワッセ(対戦相手)を倒すことはほぼ不可能といってもいい。現に、李章君の言うことが事実ならば、相手の攻撃を防ぎ、反撃させないためには、確実にセルティーさんはネリワッセ(対戦相手)に接触しないといけなくなる。体のある場所を押さえるために―…。)

と、礼奈は心の中で思うのであった。礼奈は同時に、目を瞑っていたとしても相手の攻撃を防いだり、当てたりすることのできるネリワッセの対策としてかなり無謀なことにも辿りつく。

 「でも、この目を瞑っていながら攻撃や防御のできる人にも弱点はあります。ただし、それを実行するには、セルティーさんは確実に相手の体のある部分に触れないといけません。そうすることで、相手は目を瞑っている状態のために、周りが把握できなくなります。しかし、それは今のセルティーさんにとっては無謀なことでしかありません。」

と、李章は残念そうに言う。

 そして、続けて、

 「ネリワッセ(相手)が目を瞑っているときに、ネリワッセ(相手)の耳を塞がないといけません。そうすれば、目を瞑っている状態では、周りを把握することができなくなり、目を開け続けないといけなくなります。」

と、李章は言う。

 「じゃあ、黒い何かをどうにかしないと、セルティーさんは負けるっていうこと。」

と、瑠璃は言う。その表情は、セルティーさんの今の状態ではできないという事実を理解し、驚かずにはいられなかった。

 そして、クローナの表情も驚きに満ちていた。

 瑠璃の言葉に対して、李章は、

 「そうです。」

と、しか答えることができなかった。


 一方で、セルティーとネリワッセの試合の方は、というと。

 (あんなに強いなんて―…。もう寝ているからといって直接攻撃していくの止めよう。ここからはネリワッセ(あの人)が本気で戦っている戦士という一人の人間として考えて戦っていくしかない。そうしないと、あの眠そうな様子せいで、油断してしまいそう。)

と、セルティーは心の中で覚悟を決める。それは、ネリワッセが眠そうにしているのを見ると、明らかに油断したような攻撃をしてしまっているのではないかと思い、すぐに倒そうとしてしまうからである。

 (それに―…、あんな眠そうな表情しているネリワッセ(相手)を倒すには、私の天成獣の属性である幻をかけていく必要があるが―…、それもできません。)

と、悔しそうな表情をセルティーはしていた。理由は、ネリワッセが眠そうにしているために、どうやって、セルティーの天成獣の属性である幻をかけていけばよいか判断ができなかったからだ。むしろ、眠そうにしているような相手とセルティーは戦ったことすらないのだから、難しいともやりづらいとも、思っても仕方ないことである。

 セルティーが考えている間もネリワッセは、

 「眠いよぉ~。」

と、何回も言い続けるのであった。

 セルティーは考えながらも、ネリワッセの「眠いよぉ~」と何回も何回も聞えてくるために集中できなかった。

 (あんな調子でやる気のなさそうに眠い発言を繰り返されるとこっちのペースが狂ってしまいます。それに―…、一人の戦士として扱うと決めたのだから、あれは、ネリワッセ(相手)が私を油断させようとしているものなんだ。そう、思わないと―…。)

と、セルティーは葛藤しているかのような表情になっており、心の中で呟くのだった。ネリワッセがセルティーを油断させるための作戦なのだと―…。

 実際は、ネリワッセは、ただ単に眠いだけなのであるが―…。

 意を決したセルティーは、ネリワッセに向かって行く。攻撃をネリワッセに当てるために―…。

 (只管(ひたすら)、本気で戦うのみ!!)

と、セルティーは心の中で強く思いながら―…。

 数秒が経過すると、セルティーは、ネリワッセに自らの大剣での攻撃が当たる範囲に辿りつく。

 (幻をかけるタイミングを見るのが難しいのならば、物理攻撃で倒すのみ!!!)

と、セルティーは思い、今度は大剣をネリワッセに向かって、一直線に真っ直ぐにさせて、突こうとする。

 しかし、突こうとした攻撃は、ネリワッセの手前で何かにぶつかってこれ以上、進めなくなってしまう。

 そう、ネリワッセは、セルティーの大剣の進むと思われる場所で、ネリワッセの前に黒い何かを集中させていた。それで、セルティーの大剣による突きを防いだのである。

 黒い何かと大剣が接する部分では、キンといった金属同士の音がなった。

 それから、数十秒の時間が経過しただろうか。セルティーは大剣を黒い何かから離し、ネリワッセから少し距離をとったのである。

 (ぜんぜん通じない。)

と、さっきの攻撃について、黒い何かに防がれたことを悔しそうにセルティーは心の中で呟く。セルティーにとっては、どうすればいいのかわからなくなりかけていた。セルティーは、ネリワッセにどうようにすれば攻撃が通じるのか、もしくは幻をかけることができるのかと、考えてはいるけれどもどれもできそうにないと絶望に近い感覚になる。それほど、セルティーとネリワッセには実力差がありすぎるのである。

 (どうすれば―…。)

と、セルティーは焦り始めるしかなかった。

 一方で、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、アンバイドがいるところでは、一人が言葉にする。セルティーには、この言葉は聞えなかったが―…。

 「まあ、チームとしては勝利することができた。お前ら、ネリワッセ(あいつ)は今のところ、チーム内では()しか倒せない。それほどに、ネリワッセ(あいつ)の実力は抜きんでている。そして、お前ら、よぉ~く見ておけ。このランシュの野郎が企画したゲームで、ランシュに勝つためには、ネリワッセ(あいつ)レベルの相手を倒して、勝利を得ることができるくらいの実力にならないといけないってことだ。」

と、アンバイドは瑠璃、李章、礼奈、クローナに向かって言うのであった。今、瑠璃チームにとって、ランシュを倒すためにはどれくらいの実力がいるのかを―…。

 瑠璃、李章、礼奈、クローナは理解する。自らがどれくらいの実力であるのかを―…。ゆえに、強くならなければならないということを理解せざるにはをえなかった。


 そして、セルティーとネリワッセによる第四回戦第三試合の決着の時が迫りつつあった。

 その決着をつけるための一言がネリワッセによって言われた。

 「セルティー(お前)、弱い。俺の睡眠の敵だ。」

と、ドスの効いたネリワッセの声が響き渡る。

 その声を聞いたセルティーは、寒気を感じてしまった。そのために、ブルっと震えてしまったのだ。決して、今日は、外の気温がそうなるほどには寒くないのであるが―…。それは、ネリワッセが自らの実力をさっきよりも、強くしめしたためである。簡単に言ってしまえば、威圧のようなものを放ったのだ。セルティーに、自らとの実力差を示すために―…。

 (何!! この威圧は―…!!!)

と、セルティーは、怯えるようにネリワッセに対する恐怖を感じざるをえなかった。

 セルティーは、ネリワッセに視界を合わせる。恐怖はあるが、それでも相手に立ち向かおうとする意思があった。そのために、相手の実力を見ようとしたのだ。ゆえに、わかった。

 (何!! 見えるはずもないオーラが見えてしまうなって―…。それも強すぎるほどの―…。)

と、セルティーは心の中で呟く。すでに、この時にはセルティーは、呆然とでもしているような表情になっていた。たぶん、声を発することはできなくなっていた。ネリワッセの威圧や、見えないオーラによって―…。

 さらに、

 (足がすくむ。)

と、セルティーは心の中で言う。そう、今セルティーが心の中で言ったようにセルティーの足はすくんでいたのだ。ネリワッセの圧倒的な強さによって―…。

 「じゃあ、攻撃。」

と、ネリワッセが言う。

 そうすると、ネリワッセの周囲に黒い何かが半球状に形成され、ネリワッセはそれに飲み込まれた。

 この状況を観客を含め、全員が言葉にすることもできずただ見ることしかできなかった。

 そして、この競技場にいるすべての人に聞えるのではなかろうかと思われる声で、

 「拡大せよ。」

と、ネリワッセは言った。

 そして、急に黒い何かは、物凄いスピードで拡大していった。

 その拡大に対して、セルティーは防御する時間すら与えられなかった。1秒という時間が経過しない間に、セルティーに接し、弾き飛ばしたのである。

 結局、黒い何かは、四角いリングの大きさまでに、半球を拡大させて止まった。そのときには、セルティーは宙を舞い、観客席と中央の舞台を隔てる壁に衝突し、セルティーは気絶した。

 この光景を、瑠璃、李章、礼奈、クローナは、唖然としながら眺めることしかできなかった。

 さらに、唖然としていて、意識と思考が飛びかけていたファーランスは、しばらくして、

 (はっ!! 私としたことが―…、あまりの衝撃に、我を忘れていました。試合の状況を確認しないと―…。!!!)

と、ファーランスは気づく。

 セルティーが四角いリングの外へと弾き飛ばされているのを―…。それを見たファーランスは、

 (勝負は決まりましたか。)

と、心の中で言うと、

 「勝者!! ネリワッセ!!!!」

と、第四回戦第三試合の勝者を告げた後、

 「以上、第四回戦を終了する。」

と、言った。

 こうして第四回戦は終了することとなった。


 【第46話 Fin】


次回、勘違いってものあるんだよ。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


今回の更新で第四回戦が終わります。そして、第五回戦はそんなに長くならないと思います。むしろ、第六回戦からが長くなりそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ