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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第146話-12 砂漠へ―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 翌日。

 ラナトール。

 イスドラーク方面に面している入口。

 そこには五人の影があった。

 そして、その五人は、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、ミランである。

 この五人は、これからイスドラークを経由して、サンバリアへと向かうのだ。

 サンバリアの刺客が瑠璃を襲ってきたのだから、その理由を聞かないといけない。

 そして、場合によって、もう二度と襲えないようにするために、報復をしないといけない。

 魔術師ローからしてみれば、サンバリアへと向かうことによって、ベルグに対抗できるほどに成長することができるのではないかと思っているからこそ、ベルグの陽動作戦にわざと乗るのであった。

 そういうことを知らされていない者達にとっては、ローの目的がそこにあるとは知らないであろうし、刺客を送ってきたサンバリア側への報復という意味以外にないのだろうと思うのだった。

 そして、そんな砂漠を見ながら、その雄大さに少しだけ飲み込まれてしまうのだった。

 オートローガー砂漠。

 アウリア大陸の中で最大の砂漠であり、その砂漠の中間点にイスドラークがあり、その終着点にサンバリアがあるということを認識していただきたい。

 サンバリアには海もあるのだから―…。

 「改めて聞くけど―…、この砂漠越えられる? 今からでも海から行く方に変えない?」

と、瑠璃が言う。

 瑠璃からしてみれば、今、目の前に見えている砂漠は明らかに自分達だけで乗り越えられるラインを越えてしまっているのではないかと思っている。

 それも無理からぬことであろう。目の前の砂漠は、ラナトールの海と同じように地平線があるものであるし、明らかに、果てしないものであることを理解させないでおかない。

 恐怖というのも感じるし、明らかに自分達の手に負えないという感じを強く抱かせるのだ。

 そうだと思うと、海のルートに変更した方が安全なのではないだろうか、そう思ってもおかしくない。

 「瑠璃の言う通りだけど、そこまで行くためのお金がどれくらいかかるか分からないし、ラナトールから出ているのかも改めて調べないといけなくなるけど、仕方ないと思います。」

と、礼奈は言う。

 瑠璃たちは、サンバリアへはラナトールから砂漠で向かうことを想定したのだ。そこばかりに集中していたので、海から直接行くということは考えていなかったのだ。ローもそのことを認めないであろう。

 そして、それを調べるのにはかなりの時間がかかるし、ラナトールから出ているのかは分からない。

 一人は―…。

 「暑い――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、クローナが叫ぶのだった。

 今日、ラナトールのこの時期では珍しいぐらいに朝から暑いのだ。

 ラナトールに長年住んでいる者達ですら、今日はこの時期にしては珍しい暑さだということを言っているだろう。会話のネタになっているかもしれない。

 そうこうしている間に、ミランは言う。

 「あんたたちねぇ~。ここからだと海路に変更したら、遠回りになるし、砂漠越えをしないといけないのは、サンバリアに私たちで乗り込んでいったとしても、簡単に捕まってしまうからよ。あそこ、文明大国。私が知らないような機械を扱うのよ。だから、そういうのに対抗するためには、協力者が必要になるのよ。私としては嫌いだけど―…。」

と。

 ミランからしたら、濁したい言葉があった。

 単語と言った方が良いのだろうか。

 数日前に会ってしまった人物を頭の中で思い浮かべてしまうのだった。

 そう、ドグマロの顔を―…。

 そして、ローの狙いが瑠璃たちに対して、「人に創られし人」の一族に出会わせるためであろうことは分かっているし、サンバリアが文明大国であれば、それぐらいの戦力がなければ、話し合いの可能性すら見えてこないだろう。

 瑠璃を襲っているところから考えると、瑠璃を殺そうとしているのは確かであろうし、サンバリアに今のメンバーだけで行ってしまえば、飛んで火に入る夏の虫でしかない。そんな危険はしないし、ローもさせないように考えているはずだ。

 そうだと考えると、絶対に、瑠璃たちに「人に創られし人」の一族の協力を得ないと勝てないと言われているのに、等しいし、そのように行動させているとしか思えない。

 ミランからしたら、彼らに会いたいかと言われれば、そこまで会いたいとか協力したいとか思えない。

 彼らの目的が何であるのかを朧気ではあるけど、知っているのだ。

 ゆえに―…。

 「協力者?」

と、礼奈が聞いてくる。

 礼奈からしたら、ミランの言っている言葉の中で、気になったのは、協力者という単語であり、知り合いか何かがいるのではないかと感じたからだ。

 (………まだ、あれに触れるわけにはいかないが―…。)

と、ミランは心の中で思う。

 礼奈の言葉に反応したからこその心の中の言葉であるが、ミランにしてみれば、「人に創られし人」の一族に関しては、触れるわけにはいかない。

 後々には、言わないといけないことなのであるが―…。

 そういう意味では、言わないといけないことを先送りにさせているということになる。

 「まあ、今は言いにくいわね。イスドラークに到着すれば、そこで情報を集めることにするわ。それに、そこに商売でやってくるかもしれないから―…。」

と、ミランは濁す。

 濁すように言うしかなかった。

 勘の鋭いところのある礼奈には、ある程度疑問に思われているかもしれないが、それは仕方のないことだと割り切るしかなかった。

 疑問に思われようとも、誤魔化し続けていれば、何とか話の視線を逸らせることはできると考える。

 (………………………何か隠してる。)

と、礼奈は疑問の視線をミランに向ける。

 だけど、これ以上、問うようなことはしない。

 そんなことをしている暇があるのなら、砂漠越えに出発しないといけなくなる。

 海での護衛は戦闘が難しいのは先の船上の中での戦いから想像することで可能である。ゆえに、陸での護衛の方は砂に足をとられるようなことがなければ、海での護衛よりもそれなりに楽にはなるだろう。

 そのようなことを思わなくもないが、隊商の護衛の依頼がないのであれば、自分達で砂漠越えをしないといけないので、そのようなことを考える必要は結局のところ、なくなったのであるが―…。

 後は、砂漠越えを始めないと、サンバリアへと向かうことなどできないのだから―…。

 そう、思っていると―…。

 クローナが何かに気づく!!!

 「あれ!!!」

と、何かしらに指を指す。

 それは、いくつかの馬車の荷台の形をしたものであり、かつ、ラクダによって牽かれており、それが何台も何台もあるのだ。

 そうだと思うと、クローナからしたら、彼らの後をついていけばイスドラークに辿り着けるのではないかと思ったのだ。サンバリアへとも―…。

 そして、クローナの指差した場所の方を、瑠璃とミラン、さらに、李章、礼奈も一緒になって見るのだった。

 ミランはそれを見て気づく。

 「キャラバンいるし!!!」

 盛大なツッコミを入れるのだった。

 ミランからしたら、これの後について行けばよいということは分かっている。

 キャラバンが向かっているのは、明らかにイスドラーク方面であるのは確かなのだから―…。

 そして、ミランは今日、イスドラークに向かって行くキャラバンがあるとは一切、知らなかった。斡旋ギルドには中小の商人たちが諸事情により、依頼を出すことはなくなってしまっているので、ミランが気づかないのも当然のことであるが、それと同時に、ミランは自らの失態に気づくのだった。

 (……………あ…………斡旋ギルドの仲介なしにおこなわれる隊商がいるのを忘れてたぁ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!)

 これはミランの心の中の叫び。

 ミランが犯した失態はかなりのものであり、瑠璃たちからしてみれば、そのことに気づけたのは幸運の類でしかなく、失態を回復するチャンスはそこにあるかもしれないが、一緒にイスドラークへと向かってもらえるかに関しては、運によるところが多いのはまだ変わっていない。

 なぜなら、イスドラーク方面に向かっているとしても、イスドラークへと本当の意味で向かうとは確定していないのだ。現に、今、少し向こうで出発している隊商(キャラバン)の人の話を聞いていないのだから―…。

 そういう意味では、幸運でもあるが、それを掴むのが難しい状況なのである。

 そして、キャラバンが隊商であることに気づいていない人もいた。

 「キャラバンって何? お姉ちゃん。」

 そう、その正体は瑠璃である。

 キャラバンという言葉に触れることは小学生高学年であったとしても、あまりないのかもしれない。全員が全員、そうだとは思えないし、知らなくても文脈というか会話の内容を少し考えれば、分かってしまう人もいるので、そうだと思うと、気づけるかどうかは何かしらの要因が必要なことだけは確かであろう。

 そして、疑問に思っていると―…。

 「お姉ちゃんって言うな!!! 私たちがイスドラークへと向かうために探していたのがキャラバンよ!!! キャラバンの護衛の依頼に乗じて、イスドラークへとある程度の安全を確保しながら向かう予定だったのよ!!!」

と、ミランは言う。

 そして、瑠璃に対して、頭にきたのか、瑠璃の方法へと向かい、胸倉をつかみ、揺らすのだった。

 そのせいで―…。

 「お姉ちゃん、く…る………し……………い。」

 瑠璃の方は声にならない声を出そうとする。

 瑠璃は頭が揺ら揺らと揺らされ、乗り物酔いなのではないかぐらいに、気分が悪くなっているが、ミランはそんなことお構いなしにやってしまっている。

 それだけ自分の失態ということに対して、悔しい感情を抱いているのであり、瑠璃のノーテンキ発言にはミランの怒りの感情の上昇を加速させただけに過ぎなかった。

 そして、李章の方がミランの方にやってきて―…。

 「ミランさん、瑠璃が苦しんでいるので、そこまでにしてください。」

と。

 李章の言葉で気づいたのか、瑠璃の方を見ると、吐き気をもよおしているのではないかと思われる顔をしており、危険な状態ってことは分かる。

 礼奈に介抱されながら、李章から説明されるのだった。

 「瑠璃さん、キャラバンとは商会や商人たちが一つの隊を組んで、街から街へと砂漠を移動するための集団のことです。彼らは砂漠から盗賊や危険生物から身を守るために、こうやって大きな商人集団、商会集団を形成するのです。私たちは、彼らから護衛の依頼を受けることによって、なるべく安全に砂漠越えをしてイスドラークに向かうのです。護衛の依頼ですので、危険は伴いますが、自分達で砂漠越えをするよりは比較的に安全です。」

と。

 李章は、普段から勉強やら武術をしっかりとしており、いろんなことに対する経験や知識を兼ね備えている。勿論、キャラバンに対する基本的な知識をも有しているが、あくまでも、そこまでであり、あまりにも詳しいことは分からないし、その歴史がどうであるかを説明しろと言われたら、できないと言えるであろう。

 小学生の中でもキャラバンに対して興味を持ち、調べている子なら、かなりキャラバンに関することに詳しいということはあり得るだろう。

 彼らの興味あることに対する知識吸収量はかなりのものであり、そのまま覚えるという感じに近いのだ。疑うということが時に邪魔をして、知識吸収に阻害要因を与えるようになる大人とは違うという感じだ。

 だけど、疑うということは同時に、知識をただ、そのままで判断することはないので、しっかりと深く調べるという面、新たな可能性を見つける面ではかなりの有効性を発揮するのであるが―…。そのことをする大人がどれくらいいるのかは分からない。

 そして、そのまま吸収する知識は、結局、何かしらの発見をするには別の知識を組み合わせることができる、それは偶発的でも構わないが、ということが必須条件となる。

 なぜなら、知識に対するそのままの吸収だけでは疑問に気づけるのではなく、何の疑いもなしそのまま受け入れるという行為をしているだけに過ぎない。要は、知識に対する正しいのか間違っているのかという審議をしているわけではない、ということである。

 さて、話が逸れそうなので、本筋に戻す。

 李章が説明をし終える時に、何かしらの違和感を感じるのだった。

 ガタガタ。

 揺れを―…。


第146話-13 砂漠へ―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


次回の投稿日は、2025年6月17日頃を予定しています。

疲れが酷く、活動報告を書いてから数時間で完全に体調が悪化してしまいました。

回復させる方に専念します。

では―…。

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