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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第4話-1 狩りの時間

これは第4話前半になると思います。

前回までは、瑠璃、李章、礼奈がリースへと向かう途中で、ランシュの刺客を倒して、村へと着くことになるが―。そこは―…。

 瑠璃、李章、礼奈は夜、村に到着した。


 「村についたのはいいけど、もう――……、夜だよ――――――」


と、瑠璃は声に出して言うが、心の中で叫び、声はショックを受けたようなものだった。

 瑠璃、李章、礼奈が到着した村は、すべて家の窓が開いておらず、すっかり明かりもない状態だった。



 【第4話 狩りの時間】



 瑠璃、李章、礼奈は、明かりが完全になくなっていた村の家々を眺めながら進んでいく。

 中央にある城みたいなところを目指して歩いていく。


 「はあ~」


と、瑠璃は上を見上げる。

 中央にある城みたいなところへ到着したのだった。

 礼奈や李章もまた上を見て、その大きさに驚愕するのであった。


 「近くでみると大きいな~、この城」


と、李章がいつもの敬語で話すということを忘れさせ、


 「これで今日の宿は―…」


と、瑠璃、


 「ここなら―…」


と、礼奈が言う。

 城、いや領主の館は、大きくそびえたっていた。

 今、瑠璃、李章、礼奈がいる村に似つかわしくないほどに―…。



 ◆◆◆


 

 瑠璃、李章、礼奈の三人は、城という領主の館の入り口へと向かった。

 そこはまさに城門を思わせるほどの立派な門であった。

 そして、三人が領主の館の入り口へと着いて、ほんの少しの時間が経つと、入り口は勝手に開き始めた。そう、何かを招きいるために―…。

 ゴ――、という低く重い音は、完全に館の入り口が開ききるまで鳴り続けた。瑠璃、李章、礼奈はその光景に驚きを隠せなかった。

 「門が開いて―…」


と、瑠璃が言い、


 (…………これは罠ですか)


と、李章は警戒を露わにし、


 「……おかしいな~。でも、まっ、いっか、入ろう」


と、警戒しながらも今は今日の宿のことを考えた礼奈であった。



 ◆◆◆


 

 領主の館のある場所。

 それは、瑠璃、李章、礼奈の三人を見ることができ、瑠璃、李章、礼奈たちからは見られるところのない場所で―…。

 レクンドは言う、


 「来たな」


と、瑠璃、李章、礼奈の三人を見ながら、これから起こることに対して笑みを浮かべ、


 「さあ、行くぜ」


と、レクンド自身が望む結果にのみの視野での未来が確実に起こることを自身に望み、


 「狩りの時間だ」


と。



 ◆◆◆



 領主の館の入り口は完全に開ききっていた。


 (この城、人の気配がほとんどしない。おかしい。どこに人がいる!! もしかして!!!)


と、李章の何となくの考えは自身の確信へと変わる、


 (これは完全な罠です!!!! その罠にかかったなら、相手の目的は?)


と、李章は考え始める。

 李章はこれが罠であることは確信できた。だが、何のために瑠璃、李章、礼奈(自分達)に罠を仕掛けるのか。それがどうしてもわからなかった。だから、李章は自らの警戒を怠らないようにした。瑠璃と礼奈を今守れるのが李章(自分)しかいないと思いながら―…。

 一方、瑠璃と礼奈は、李章の近くにいて、


 「きれいなお城」


 「でも、誰もいないね」


と、能天気に領主の館の入り口が見える館の外観を見て、そんな感想をもらしていた。

 コン、コン、コンと何かが近づいている音が聞こえる。

 これは足音。

 そして、瑠璃、李章、礼奈はその音に気づき、音のする方向を見る。

 そうすると、一人の人物が瑠璃、李章、礼奈の目の前で現れた。いや、瑠璃、李章、礼奈を探していたかのように瑠璃、李章、礼奈の目の前で止まった。

 そして、


 「あなた方は―…」


と、疑問を思いながら一人の人物であるシークドが言う。


 「あの~すみません。私たち…旅の者なのですが、村に着いたときには夜になっていて―……、それで……すみませんがここで一泊させていただけないでしょうか?」


と、瑠璃が言った。

 そうすると、


 「いいですよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ここは夜になると、真っ暗になりますので、もしくもここら近辺にいる賊にでも襲われたら大変ですからね。お嬢さん方は特に―…」


と、シークドは続けて、


 「そして、これは、この村の領主様フォルゲン=デン=ベークドは、とても寛大な人物で、旅の者がもし宿で困っているのであれば、たとえみすぼらしいかっこうをしていようとも、一泊をタダにさせてあげるように、と常々仰っていました」


と、言った。


 「長話をしてしまいました。では―…、お部屋へとご案内させていただきます。旅の者(お客人)、私についてきてください」


と、シークドが言うと、瑠璃、李章、礼奈を領主の館を案内し始めた。

 シークドは、元々、村の中で偶然を装って瑠璃、李章、礼奈に会う予定だった。そして、そこから領主の館へと案内しようとしていた。

 それを省略させてくれた瑠璃、李章、礼奈には感謝しかなかった。領主の罠に自ら飛び込んできたことに対して―…。

 一方で、李章の警戒度は最大となっていた。


 (……罠だ。そんな素性の知らない人間を泊めるわけがない。そんな善人はほとんどいません)


と、李章は、敬語をほとんどしないような喋りを口にはせずに、自分の心の中で言った。

 声を出してではなく―…。

 そして、李章は、シークドという人物に目を離すことなく、瑠璃、礼奈のことを見ながらどこに敵が隠れているのかを探っていた。シークド以外の敵を―…。



 ◆◆◆



 シークドは、瑠璃、李章、礼奈という三人の客人を領主の館の中へと入れた。

 領主の館の中は、大きな屋敷を思わせる。

 それは、玄関から入るとすぐに見える調度品を見れば一目瞭然である。

 玄関から入ってすぐ奥の壁にある大きな飾られた絵画。その下には鎧や甲冑がその自らの高価さを主張していた。それに領主の館は玄関から入った瞬間から現実世界における西洋の中世や近世のお城の中を思わせるようであった。いや、大きな西洋風の屋敷をも思わせるのかもしれない。それほどに、大きく豪華な館であった。

 瑠璃、李章、礼奈はあまり大きさに驚きを隠すことはできなかった。

 だが、李章は驚きを感じながらも警戒を緩めることはなかった。


 「瑠璃、李章、礼奈(お客人)、あなたがたの宿泊部屋に関しては、こちらの奥となっております」


と、シークドは言った。


 「では、ご案内いたしたいところでありますが―…、そのためには―…」


と、シークドは言葉を途中で止め、指を鳴らす。

 李章は一気に警戒をアップさせ、


 (どこですか。敵は!!)


と、すでに玄関入ってすぐに、領主の屋敷があまりにも暗いことと、シークドという人物がロウソクなどの明かりを出して周囲を照らす道具を用いて、部屋を明るくしなかったことを怪しんだ。

 そして、李章は結論に達する。

 ここで、瑠璃や礼奈、ひいては自分を襲うための場所ではないか、と。

 そして、シークドが止めた言葉に続いて、


 「さあ、狩りの時間の――」


と、暗闇から声がして、


 「始まりだ―――――――――――――――――――――――――――――――」


と、レクンドの声がした。

 その瞬間、瑠璃、李章、礼奈の周りで、ドゥオーンという音が鳴った。そう、シークド以外の瑠璃、李章、礼奈を殺すための攻撃が―…。

 この攻撃は、瑠璃、李章、礼奈のいるところの床面を壊したのである。仲間であるシークドのいるところを除いて―…。

 瑠璃、李章、礼奈のいるところは、煙のようなものができていた。それは、床面を破壊したことによってできた煙である。


 (……―もうこれで倒されたかなあ――)


と、レクンドは心の中で思う。



 ◆◆◆



 レクンドは眺めた。

 瑠璃、李章、礼奈のいるところを―…。

 そして、レクンド自身が破壊した床面のある場所を―。そこには、床面が張りあがっていた。

 そう、床面が破壊されて岩礁のように盛り上がっていたのだ。

 そして、レクンドは気づく。瑠璃、李章、礼奈がいないということに―…。


 (チッ!!)


と、心の中でレクンドは舌打ちした。


 (避けられた。一体、どこにいる)


と、レクンドの心の中は、瑠璃、李章、礼奈を殺す目的を果たすことにしくじったときの領主からの恐怖から逃れることを考えていた。

 シークドは探していた。あのレクンドの攻撃を避けたということは、レクンドとシークド(俺たち)を倒すためにどこからか狙っているのではないかと考えていた。

 そして、瑠璃、李章、礼奈がどこにいるかを周囲を見渡しながら探っていた。


 「瑠璃」


と、礼奈が声を発した。


 「うん、この城は私たちを狙うための罠みたいね」


と、瑠璃が礼奈の返事で、今、瑠璃、李章、礼奈(自分達)に起こっていることが何かの見当を言って―…。


 「だから、ここは私が光を使って――…」


と、瑠璃が言っているとき、瑠璃、礼奈の位置がレクンドに知られたのである。

 そうなるとレクンドは、すでに瑠璃、李章、礼奈を殺すために準備をしたときから右手に装備した武器を振り上げた。


 「させないぜ。お前らは俺らに殺され、領主様がランシュ様の指令を達成するんだよ!! だから、お前らはここで終わりだ――――――――――――!!! これ、運命―、決定事項――!!!!」


と言いながら、右手の武器を振り下した。

 レクンドの右手に装備している武器は、ハンマーである。それは持つということではなく、右手などの片手にハンマーをはめて使えるためのとっての部分を右腕にはめて使う物である。

 振り下した右手のハンマーは、床面に接し、その衝動によって床面が盛り上がりながら、衝撃が瑠璃と礼奈の方へと向かっていった。

 そして、瑠璃と礼奈の位置へと来たときには、より大きな衝撃となった。

 瑠璃と礼奈にレクンドの放った一撃が来たのである。

 大きな衝撃は大きな音となって―…。


 「瑠璃さん、山梨さん」


と、李章が叫ぶ。

 緑の水晶の能力である危機察知をすることができた。

 しかし、李章が瑠璃と礼奈(二人)のところへと向かおうとしている途中で、衝撃は瑠璃と礼奈に到達してしまったのである。

 李章は瑠璃と礼奈(二人)を守れなかったことに対して、茫然と見つめることしかできなかった。


 「レクンドのこの一撃で傷を負わなかったのは、領主様ぐらいさ。瑠璃と礼奈(あの二人)では無理さ。さあ~、これで達成だ」


と、シークドは言う。


 「あとは、あの李章(少年)だけだ。」


と、レクンドは言う。

 そして、レクンドは李章のいるほうへと自らの体を向けた。

 瑠璃と礼奈がレクンド自身の攻撃によって倒されたのかを確認することもなく―…。

 レクンドは確信していたからこそこの行動をすることができた。

 レクンドのさっきの一撃で無事でいられるのは領主であるフォルゲン=デン=ベークドだけだからである。ただし、これはレクンドの戦った相手との経験によってではあるので、それより強い相手ではどうかなどはレクンド自身もわかってはいない。

 そして、レクンドは李章を倒すためにまた、一撃を右手に装備したハンマーから繰りだそうとした。

 だが、その前にシークドの声がそれを阻止させた。


 「おい、レクンド。あれを見ろ」


と、シークドの声にレクンドはある場所へと体を向けた。

 瑠璃と礼奈がレクンドのさっきの一撃を受けた方向へと―…。


 

 

 


 

 


第4話-2 狩りの時間へと続く。

誤字・脱字に関しては、気づく範囲内で修正していくと思います。


2022年10月17日 以下などを修正および加筆する。

①「瑠璃は心の中で叫び、声はショックを受けたようなものだった」を「瑠璃は声に出して言うが、心の中で叫び、声はショックを受けたようなものだった」に修正。

②「一泊をタダさせてあげるように、と常々仰っていました」を「一泊をタダにさせてあげるように、と常々仰っていました」に修正。

③「敬語をほとんどしないような思い自分の心の中で言った」を「敬語をほとんどしないような喋りを口にはせずに、自分の心の中で言った」に修正。

④「シークドは、瑠璃、李章、礼奈の客人を領主の館の中へと入れた」を「シークドは、瑠璃、李章、礼奈という三人の客人を領主の館の中へと入れた」に修正。

⑤「領主の屋敷があまり暗いことと、シークドという人物がロウソクなどの明かりをつける器具を用いて、部屋を明るくしなかったことを怪しんだ」を「領主の屋敷があまりにも暗いことと、シークドという人物がロウソクなどの明かりを出して周囲を照らす道具を用いて、部屋を明るくしなかったことを怪しんだ」に修正。

⑥「どこからか、レクンドとシークドを倒すためにどこからか狙っているのではないかと考えていた」を「レクンドとシークドを倒すためにどこからか狙っているのではないかと考えていた」に修正。

⑦「右手の武器を振り落とした」を「右手の武器を振り下した」に修正。

⑧「振り落とした右手のハンマーは」を「振り下した右手のハンマーは」に修正。

⑨「李章は瑠璃と礼奈を守れなかったことに対して、茫然と見つめるしかなかった」を「李章は瑠璃と礼奈を守れなかったことに対して、茫然と見つめることしかできなかった」に修正。


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