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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第146話-9 砂漠へ―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 数十秒後。

 エンゲルへの裁定が終わり、これから真面で、真面目な話をすることができるようになった。

 「さて、余計なものの裁定を下さないといけなくなったが、これも無事に済み、サンバリアに関する話ということになろう。」

と、ランドロは、一回ほどゴホンとした後に、言う。

 ランドロからしてみれば、見られたくないことがバレそうになったので、それを何とか阻止することができて、気持ちとしては落ち着かせることができた。

 だけど、ランドロは知らない。

 (あいつ、まだ、子どもに見せられないことを書いていたのか。女性関係があまり得意でないのは変わらずということ。)

と、スメラは心の中で思うのだった。

 スメラからしたら、歴戦の猛者なら、女性にモテてもおかしくはないのだが、ランドロは女性が得意でない。話をするのとか、女性とどのようなことをすれば良いのかということなどが―…。

 ランドロの家庭は、幼い頃に母親を失い、父親が一人で苦労しながら育てたのだ。

 そういう意味で、ランドロは男だらけの家庭で育ったため、女性の相手は逃げてであったりするのだ。それでも、ランドロもしっかりと結婚して、子どももいる。だけど、奥さんや娘さんとしか上手く話せないのだ。

 だからこそ、多くの言葉を他の女性に向かって、言うことはない。

 そういう意味では、ランドロと話せる彼の妻は、コミュニケーション能力が半端ないものである。コミュニケーション能力を自分から話すことだけだと認識している人にはできないことをやっているのであり、意思疎通と訳されるように、相手の話をしっかりと聞き、適切な返答をすることが重要なのであり、そういう能力が高いのは誰とでも上手くやっていける可能性が高いということなのだ。

 人にはそれぞれ個性という名の違いが存在する以上、意思疎通能力があまり高くない人がいたとしても、それはおかしなことではないし、別の面で、何かしらの素晴らしい能力を有している可能性は十分にあるので、そういう人は無理に落ち込む必要はない。その別の面の素晴らしい能力に気づいてもらえるように、その能力を磨く必要はあろうが―…。

 それに、気づけるだけの能力に気づけるだけの才能を開花させ、持ち合わせている人に出会う運もいるだろうが―…。見抜くということが普段からできる人はかなり少ないであろうし、どんな人でもそういう人に会うことができなければ、それを無駄にしてしまうことは十分にあり得ることだ。

 そして、その縁というものは大切にした方が良い。

 さらに、社会があまり良くないと、そういう人材が活躍できる場所がないのではなく、他にとられることもあるし、その生かし方を上手くできなければ、結局、宝の持ち腐れのようになることは避けることはできない。要は、ちゃんとした場所で才能を開花させ、その才能を磨くことができるようにして、それが良い方向に向かわせるようにしないといけない。

 そのことに気づけたとしても、実践するのはかなり難しいことであり、人は完全にも、完璧にもなれない以上、その才能を完璧に見抜くのは不可能と言っても良い。そして、その才能を磨くというための方向性においても―…。

 だからこそ、謙虚に自らが本当に正しいのだろうかということを、しっかりと問い続けながら、それと同時に、正しいと思えるように思わないといけない。この矛盾したようなことを上手く活用しながら、実践することが大切だと思われる。それでも、成功が保障されていることは完全にはないだろうが―…。

 この世界は、そんな世界だ。

 さて、話がかなり逸れてしまったので、元の話に戻そう。

 そして、スメラはこれ以上、指摘したとしても、決して、良い方向には向かわないだろうと判断し、追及しないようにする。それが優しさだということだと理解して―…。

 ランドロも何もなかったかのように振舞いながら、話し始める。

 この場にいる他の者達も、これ以上、追及してはいけないと思いながら―…。

 「さて、アルタフ殿よ。聞きたいことがある。サンバリアで何があった。リガから聞いていること以外にもあろう。」

と、ランドロは言う。

 ランドロもリガから報告は簡潔に聞いてはいるが、それはほんの少しのことでしかなく、詳しいことを知っているわけではない。判断を下すには、情報量が少ないし、リガ以外からの視点というのも必要になる。

 多すぎるものの判断を下すのには、脳の処理スピードに限界が存在しているのなら、その処理スピードを超えてしまっている場合があり、どうしてもどこかしらの情報を偏らせるようなことになってしまう。それは結局、全てを考慮したというよりも、思考速度が追いつかなかったから、偏ってしまったということになり、偏らせたのとは違う側に重要な情報があれば、そのことによって、ミスする可能性があり、最悪の結果を招くことだって十分にある。

 ゆえに、情報が多すぎるのも問題なのである。

 一方で、情報が一つからしか入ってこない場合は、その一つからの情報で判断しないといけなくなり、情報に間違いがあれば、誤った判断を下すという結果となり、それが最悪の結果を導くということもある。

 さらに、最悪なのは、一方の情報しか価値がないと判断し、その情報を間違っている可能性も検討することなく、正しいと妄信してしまうことだ。そうなってしまうと、間違った判断によって、同様に最悪の結果を導くことになり、そういう人物はその間違いすら間違いだと思わず、反省せず、同じ過ちを繰り返すのである。

 それは、社会にとっての不幸な災厄でしかなく、周囲に大きな犠牲を及ぼし、最悪の連鎖になる可能性があるので、こういう判断ばかりを下す人間は、最悪の場合、その存在を世界から消さないといけない判断を下すようにしないといけなくなる。

 このようなことにならないようにするのがベストなことであるし、そのように努めないといけない。だけど、それが失敗してしまう場合がある。人は完璧でも完全にもなれない存在であるがゆえに―…。

 そして、この失敗を犯してしまった場合、仕方ないと思うのは勝手であるが、それと同時に、自分がこのように判断を下したことに対して、反省し、なぜそうなったのかを検証し、二度と繰り返さないようにしっかりと謙虚になり、それを実践しないといけない。

 本当の意味で反省できる人間は、その失敗に対して、くよくよするものであるし、鬱のように悩むことだってある。だけど、そのようになっている人々は、自分がしっかりと反省できるための舞台に立つことができているという気持ちを抱いて欲しい。そして、自信をもってその問題に立ち向かい、時には、行き詰れば、色んな人のアドバイスを受けながら、自分が直感的に良いと思うものを選ぶと良い。それが正解である時だってある。そのことによる前向きの失敗なら、きっとちゃんと反省できるし、その成功は自身の自信に繋がるのだから―…。

 さて、何度も話が逸れるので、話を戻そう。

 ランドロは聞いてくる。

 アルタフは何を聞こうとしているのか、分かる。

 ゆえに、答える。

 「ああ、サンバリアが二年前にレオランダ王を倒し、王政が崩壊し、王政崩壊の立役者となったイバラグラが議長に就任するという方法で、民主制へと移行した。実際には、イバラグラが主導したように思われるが、その裏には何者かがいる可能性が高い。それを知っているのは今、サンバリアの護衛長となっているフェーナであろうが、彼女はかなりの実力者で、天成獣の宿っている武器を扱っているのは確かだ。武器はレイピアだが、明らかに黒いものを纏わせるようなことをしていたのだから―…。」

と。

 それだけで、アルタフの言っていることは終えないが、ここで一区切りにしよう。

 この場にいるエンゲル以外の誰もが、サンバリアの王政が二年前にイバラグラの主導によって崩壊をしたことを十分に知っているし、イバラグラを操っている者が後ろにいることも何となくというだけでなく、状況証拠的には分かっている。

 そう、フェーナと繋がりがある人物なのではないか、と―…。

 その人物がどこの家の者かは何となくだけど分かっているのだ。イバラグラの過去の言葉から―…。

 そして、フェーナを倒すことはかなり難しいことであり、彼女がどういう武器を扱い、どういう戦いをするのかが少ししか分かっていない以上、かなりの実力から判断して、黒幕のことを自白させるのはかなり難しいことでしかない。その確認すら―…。

 そして、アルタフは続ける。

 「そして、彼女からの自白は以上の実力から不可能。イバラグラの名前からラング家の者が裏で関わっていることは皆さんも知っているでしょう。そして、ラング家の誰かは分かりませんが、もし、ラング=トラガルが関わっているようなことがあれば、サンバリアは建国時代以来の侵略戦争にも説明がつく。二百年前に突然滅んだ、大帝国の復活、それ以外にないか、と―…。まあ、ここまでは前段階のことであり、今回のリガ君から報告を受けている以上、私がこれから言うことには重複がある。」

 アルタフは息を整える。

 ラング家というのは、サンバリアの中でも有力な家柄であり、その家が過去の帝国に固執しているのではないかというのは、昔から良く知られており、多くはないが、過去の当主がそのことに対して、公的な場で言及していることがあるので、史料として残っていたりする。

 大事な点は分かっていないが―…。なぜ、彼らがその二百年前の大帝国を欲しているのか。欲望駄々洩れの言葉でしかなく、幼稚なものしか史料には残っていないが―…。

 そのラング家の中でアルタフが知っているのは、イバラグラとアラジャ親子と、もう一人―…、過去に因縁のあるラング=トラガルである。

 そのトラガルとの因縁に関しては、後に触れることになるので、ここでは省略しよう。

 そして、この場にいる者はラング=トラガルがどれほど危険な人物であるかを知っている。あの人物の狂気に―…。

 さて、話を戻して進めることにしよう。

 「まず、イバラグラ側の誰かが私の暗殺を進言し、それが採用されたようだ。イバラグラは過去に私を殺そうとして、実際にはスメラの活躍によって失敗している。ゆえに、スメラには感謝しかない。ゆえに、イバラグラは私を暗殺しようなどということはしない。あいつは失敗した作戦を何度も何度も、しつこく同じ方法でとるような性格ではないし、自分がしたということを世間に知られれば、私の側の人間が暴走することに気づかないような人間ではない。その脅威を知っている。」

と、アルタフが言う。

 そこで、

 「だけど、実際には暗殺されそうになったのだろ。」

と、ランドロは尋ねる。

 ランドロからしたら、疑問にしか感じない。

 アルタフの話を聞くに、イバラグラは過去にアルタフを暗殺しようとして、失敗しているのだから、そのことによるデメリットを理解しているのだから、暗殺などのような真似を部下の意見であったとしても、採用するようなことはあり得ない。

 そんなことをしてしまえば、自分の側に求心力がないことをアルタフに悟られる可能性があるからだ。

 そして、ここまでフェーナが出てこない以上、関わっているのかというのを判断するのは難しいことでしかないし、関わっている可能性が高いであろうという仮定をするしかない。

 あくまでも、変わる可能性のある仮定を―…。

 「ああ、今までなら、フェーナの側が私の暗殺をしてくるようなことをしてこなかった。フェーナが率いる護衛部隊は、全員が天成獣の宿っている武器を扱うことができる者であるし、さらに、部隊の服装から考えて、護衛部隊はあり得ず、暗殺部で、イバラグラ側の人間、公安関係の同様の側の人間であることは調べたから確かだ。そして、今回の暗殺で、フェーナの部隊だと思われる人間が私を実際に殺そうとした。そうだと考えると、サンバリアに私と家族がいるのは危険なことでしかなく、逃げ出すしかなかった。その可能性を数日前から掴んでいたから、実際にそうならばと思っていたが、現実はそういうことだ。ゆえに、フェーナの後ろ盾の側でも何かしらの理由で、私のことを本気で排除しないといけなくなったのではないかと思う。暫くの間、匿ってもらいたい。私としては、カルフィーアにいる部隊でサンバリアを奪還して、自分自身がトップになることも、政権を握るようなこともしたいとは思わない。」

と、アルタフは言う。


第146話-10 砂漠へ―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


疲れがきています。

無理しない程度に頑張ります。

では―…。

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