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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
693/746

第146話-5 砂漠へ―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 カルフィーア。

 「人に創られし人」の一族が住むオアシスにある村。

 彼らのことは以前にも、ある程度述べているし、これから分かることもあるので、述べる必要はないだろう。

 ここで、重要なことは村がどのような外観をなしているのか、そのことについては触れないといけない。

 まず、オアシスの大きな湖の南面に、サンバリアへと向かうことができる方面に対して、集落が形成されており、防御柵および、その中で、オアシスの水を使っての農業をおこないながら暮らしている。

 建物の外観に関しては、土を材料にして作られたと思われる焼き煉瓦を使った家の構造になっており、土色の家が多いが、移動しないといけない可能性もあったりするので、テントの類がかなりの数、保管所と思われる場所に保管されており、テントでの生活にも慣れている。

 そういう意味では遊牧民族なのだろうか、定住民なのだろうかと問いたくなることもあるが、定住民の方に分類した方が良いのは確か。

 この場所が攻められるということがないわけではないが、ここを陥落させるのはかなり難しいことである。サンバリアの現在の技術力においてさえも―…。

 その原因はある人物によって与えられた魔法のシステムがあるからだ。ただし、大型の兵器に対して対応することは可能であるが、人の侵入に対して効力を発揮することはないので、人の侵入にはそんなに強くない。

 ゆえに、彼らは天成獣の宿っている武器を扱えるようにしているのだ。

 この村にいる者の多くが兵士であり、その力はかなりのものであることは、再度、言っておく必要があるであろう。

 その実力に関しては、いずれ分かるかもしれないが、この村で発揮されることを見ることがないことだけは、予め言っておく必要がある。

 さて、この村の中へと、アルタフらの一族が入っていく。

 アルタフにとっては、懐かしいことであり、この村の生まれではないにしても、サンバリア王政の最後の王を王として迎える時にやってきた時、以来だ。

 そう思うと、時代の経過というものは、早いものであろうと長年生きてきた者達には感じられることであろう。時間という曖昧なものにおいては―…。

 さて、話を戻し、アルタフは歩き続ける。

 声を発する気はない。

 「人に創られし人」の一族の住むオアシスの村の住民の多くが、何があったのかと思い、外へと出てくる。

 その数はちらほらから、そうだと認識される人数以上に―…。

 ヒソヒソ話をする。

 「一体、誰?」

 「ねぇねぇ。」

 子どもや大人の言葉だと思われるものがいくつか出てくるのであるが、今の二つはほんの一部でしかない。

 ここで重要なことは、このような村にやってきた者達のことを不思議に思いながらも、一部に見知った顔があったので、何かしらの仕事関連でのものであろうということを理解するが、有名な人物がいれば、そこから、どうしてやってきたのかということが村の大事な噂話の役割を果たすことになる。

 追加しなければならないことがあるとすれば、この村に住んでいる者は時に略奪をおこなうようなことはあるが、あくまでも、こちらのことを非難したり、村を襲おうとしている連中、村人間に危害を加えた場合においてという制限が加えられており、それ以外の略奪は禁じられている。

 これを正義だ、悪だ、などのようなことで議論を繰り広げるのは勝手であろうが、郷に郷のルールがあり、そのルールの形成過程には何かしらの理由……歴史というものがある。

 それを自身の村でしっかりと記録をしたり、口承、歌などの形で、後世へと伝えられるということができているのであれば、その理由という名の歴史を知ることができるし、現状との比較で、必要かそうでないかを判断することができるであろう。

 一方で、ルールの制定過程の理由が分からない場合があったりする。その歴史はどういったものかを知られていなかったりする。忘れ去られていたら最悪なことでしかない。

 ルールというものが恣意的な理由で決められ、それが公的性の皆無さの割合が酷い場合だってあったのなら、こんなルールを守れという何も考えず従っているのであれば、疑問に思って欲しい。

 このルールが築かれていく間に恣意的なことだけなのかどうか。

 そうしないと、ルールがルールという枠組みだけで守られているようなことになってしまったら、それは結局、手段と目的をはき違えた状況になったとしても気づかないという矛盾を抱えることになる。

 そのようなことによって、最悪の結果になることは十分にあり得るのだから、人が制定するルールというものは常に考えられないといけないし、現状に合っているのかということを常に、確かめられ、考えられ、議論されないといけない。そうしないと、ルールは社会の中で良き効果を発揮することができなくなってしまうだけなのだから―…。

 同時に、気を付けないといけないことがある。

 それは、人は完全に正しいということができない以上、議論や確かめるようなことなどにおいて、その時点でミスを犯すことは避けられないということに気づいた上で、慎重におこないながらも、時には最悪の場合を想定して、決定しないといけない。

 人は完全でないことに気づかずに、完全性や完璧性があるなどということに間接にでも関連付けられるような認識を持っている者が完璧だと言っており、権力を持っている場合は、その思いのために、思考が停止し、ルールが今の社会に合っているかどうかということを考えることをしなくなり、そのルールが無意味なものになっていることに気づかず、社会を悪化させることがある。

 そのような傲慢な人間は、結局、自身が視野狭窄および情報収集をおこたり、思考することを放棄していることに気づきもせずに、他者による自分よりも素晴らしい可能性を手に入れる機会を損失しているという、残念な人間でしかないし、同時に愚者でもある。

 愚か者ほど、自分の意見を完璧だと思っている。残念ながら―…。

 そうならないためには、信じることと同じぐらいに、疑うことが大切であることを認識しておく必要はある。信じることはどうしても考えることなどの思考放棄に直結しやすく、疑うことは反対の状態を導きやすい。

 なぜなら、疑っている人間は、何が正しいのかを只管に考えることができるような状態であるし、考えることを実践してもいる。ゆえに、思考は停止していないとは思う。

 ただし、信じると疑うには同時に共通点というものが存在し、それは視野狭窄になる可能性を双方において、しっかりと持っているからだ。

 それに人はあるものを信じ、あるものは疑うという領域に区別することがあるので、そのことにより、良い方向にも悪い方向にも突き進むことができてしまうので、気をつけないといけない。自分の考えが正しいのかを常に問いながら、同時に、信じながら―…。この二つの気持ちを同時に抱けるぐらいはしても良い。

 そして、学び続けることを忘れてはいけない。視野狭窄にならないために―…。

 長くなり過ぎたので、ここまでにして、話を進めていくことにする。

 アルタフらが歩きながら向かっていると、家の大きさは規格でもあるのかという具合に、一階建てのものばかりであり、そして、村の中央へと向かっているのが分かる。

 そちらの方に、村長と思われる人物の家があるのだろうか?

 (昔、来た時とはあまり変わっているような感じはしないが、人は変わっているような感じか。歳をとるものだしな~。子どもの数は変わらずか―……。)

と、アルタフは心の中で言う。

 アルタフはカルフィーアの村の現状を確認するかのようにして、周囲を見渡しながら、どこに何があるのかを確認する。

 これは、公務員時代からの癖であり、それは周囲がどうなっているのかを理解することで、最悪の場合、逃げ出すことと同時に、襲って来る敵に対して、上手く対応するための方法がないかを探るための情報を手に入れることができるからだ。その材料になるともいえる。

 相手を撃退する方法はどこにあるのか分からないのだから―…。

 そして、同時に、カルフィーアという村の現状を把握することにも重要なことなのであるから―…。方角や太陽の位置を知れば、いざって時に役立ちはする。

 情報が多くて、判断を下すことが遅くなることはあるが、少なすぎて、最善の手が打てない方がもっと問題であるし、生き残るための方法は情報が多いとその可能性は少しではあるが上がる傾向がある。だけど、言っていることがすべてにおいて正しいかと言えば、それは嘘になってしまうが―…。

 要は、あくまでも可能性が上がるということだと理解することである。

 リガを先頭に歩きながら、そして―…。

 (そろそろね。)

 そして、リガは目的の場所に辿り着いたのか、歩きを止め、目の前の簡素な建物を見る。

 カルフィーアの村の建物の中では、最も大きいのではないかと、この場を初めて見た者達はそう思っているしまうのではないだろうか。

 人は最大に多いものと最大に小さいのを本当の意味で知ることができないという性質を持ち合わせている以上、どうしても何かしらの比較という方法から抜け出せないし、絶対的な評価ではなく、どうしてもある基準を示して、相対的に評価することしか持ち合わせておらず、その相対的な完全でない基準からでしか判断することができない。

 ゆえに、建物においても、範囲を設定し、範囲のあるすべてを含むことができない基準の中で、比較して判断し、建物の大小の判断を下しているだけだし、結局、全部を見て判断しているわけではないのだ。そう、どんな専門家であったとしても、このことから逃れることができないし、サンプル数が大きいかどうかの違いでしかない。

 サンプル数が多いということで、正確な判断を下せる可能性は上がるだろうが、完璧である保障はどこにもない。あるのは正確性が高いかどうかぐらいであろう。

 それでも、無視できるかと言えば、それはできないであろうし、それをそのまま信じて良いかと言われれば、あまりそのようにしない方が良いということを言わないといけない。

 だから、人は考えるし、悩みもするし、判断をミスすることも、当てることもあるのだ。

 だからこそ、自らの人生において、自分が後悔しても大丈夫だと思える選択をしてみるのが良いのかもしれない。本当なら、後悔しない選択をするのが良いのであろうが―…。

 リガは言う。

 「長がいるかどうか確認してきます。」

と。

 リガは大きな建物の中に入る。

 リガとしては、長がいるのかどうか、任務を果たしたことを簡易的にでも報告しないといけない。

 その間、エンゲルが―…。

 「じゃあ、待つのもあれなんで、少しだけ、エンゲル様のお笑い話を始めまーす。」

と、元気よく宣言する。

 それは、サンバリアからここまで来た者にとっても、カルフィーアにいる者達にとっても―…。

 (つまらねぇ~から、止めろ。)

 と、心の中では言えることなのであるが、口にすることはできなかった。

 その理由は、こいつを止める方法を知ってはいるのだが、それを行使した場合、十数の間、沈黙が訪れることなり、気まずい雰囲気になってしまうからだ。

 ゆえに、つまらないエンゲルのトークであったとしても、ないよりかはマシだと思ってしまい、別の意味での地獄という名の沈黙が始まるのだった。

 地獄という名の沈黙においては、エンゲルも同じなのであるが―…。


第146話-6 砂漠へ―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


では―…。

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