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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
690/748

第146話-2 砂漠へ―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 斡旋ギルドで隊商の護衛を受けることができなかった瑠璃たち一行。

 ラナトールの商店街を歩く。

 必要なものは、揃えることが完全に終わったわけではないので、探す。

 「イスドラーク行きの隊商の護衛依頼がないとなると―……、つまり、私たちは自力で砂漠越えすることになるというわけ。さらに、ミランさんが受付の人から聞いた話によると、イスドラーク、サンバリア、どっちもが政情不安―…。」

と、礼奈は言いながらも考える。

 李章と会話する。

 礼奈は、このような会話を表立ってするのは良くないかもしれないが、商人から出ている以上、どこかしらで噂にはなっており、暗黙の事実となっている可能性も高い。

 ゆえに、話したとしても大丈夫だと判断しているからであろう。

 今、砂漠越えの食糧の買い足しをおこなっている最中だし、商品関係はクローナと瑠璃がしっかりと見ているし、馬鹿なことをしないかミランが見張っている以上、こういう会話もできたりするのだ。

 礼奈は、李章に対する恋愛感情は一切ない。

 というか、好きになる要素が見えないのだ。

 そうである以上、あなたに好意はありませんよ、という態度を出しながらトークすることができるのだ。

 「ですね。情報を整理しますと―…。兎に角、何かしらの事件に巻き込まれないように細心の注意を払いたいとは思いますが、結局、巻き込まれるような予感しかしません。豪華客船の中で、私たちの命を狙ってきた人達は、結局、誰に依頼されたのか分かりませんでしたし、その依頼人がどこにいるのかも分かりませんから、次はどのように私たちの命を狙ってくるのか想像できません。サンバリア側が仕組んだことなのか、そうではないのか、その判断だけでもできれば良いのですが―…。」

と、李章は言う。

 李章からしてみると、瑠璃の命を狙ってきているのも感じて、決して、襲ってきた連中、瑠璃の命を狙うように依頼してきた連中のことを許せる気持ちにはならないし、絶対に、瑠璃の命が狙わないようにするために、徹底的に潰したいと思っているし、実行する気は満々だ。

 だけど、リースからラナトール間の豪華客船の中での刺客との戦いは、明らかに、敵の幹部の一人を倒すことに成功するにはしたのだが、結局、それはギリギリでの勝利でしかなく、まだまだ自分の実力が足りないことを嫌でも理解させられてしまう。

 自分の実力が足りなければ、瑠璃の命を守ることはできないし、瑠璃の命を守ることができなければ、きっと、自分の心の中の()()()()が李章を飲み込んで、暴走するのではないかと思ってしまったのだ。

 それに、あの存在を李章は表に出したいとは思わない。

 あれは、李章にとっての汚点でしかなく、瑠璃を守るのは自分だ、自分の意志なのだ、ということをしっかりと持っているからこそ、あの存在はどこかで潰さないといけないと思っている。

 だけど、今もまだ、抑え込むだけで精一杯であり、あの存在からしてみれば、李章が弱いことは分かっているし、自分のプライドのために、守るものから守られている存在でしかないと思われている。

 あの存在は、只管(ひたすら)、機会を待つ。

 今、この異世界で、李章は戦いから逃れることができない以上、あの存在が李章から人格を奪う機会は幾らでもある。それぐらいに、李章の実力をしっかりと把握している。

 ゆえに、待つことに嫌になることはない。

 一方で、李章は、そのことを起こさせないように必死であるし、瑠璃を守らなければならないという気持ちもあり、異世界において、一番危険な綱渡りをしているのではないかと思えるのだが、本人はそのことを表に出さないようにしている。

 周りに迷惑をかけるから―…。

 李章の言葉に対して、礼奈が返事をする。

 「………その判断は難しいと思うし、今のところ手がかりは、襲ってきた連中と戦っている時に、矢で攻撃してきて、船ごと私たちを沈めようとした頭のイカレた人であるということだけ。どう考えれば、あんなことができるのだろうか。もしくは、自分が助かる方法を知っていたのだろうか? 分からないことだらけだけど、サンバリアと関係がある可能性を排除することはできない。兎に角、サンバリアに向かうしかない。予想以上に危険なことになっているけど―…。」

と、礼奈は言う。

 そう、当初では、サンバリア側から何かしらのアクションがあるか、もしくは、サンバリアへと瑠璃たちを向かわせることに意味があるのか、そのように考えているが、リースからラナトールへと向かう豪華客船の中で襲ってきた以上、サンバリアへと向かわせることに意味があるのかという可能性はなくなった。

 礼奈はそう判断している。

 だけど、物事はそう、一枚岩に、簡単に、単純に判断できるものではなく、人の意思もしくはそれ以外の要素が折り重なることによって、何かしらの現象を引き起こしている。そうである以上、すべての可能性を排除できることもあるだろうが、できない方が高いものであったりする。

 未来のある一地点において、核心にいたることもしくは現象として発生して初めて、答えというものが提示されるということによってわかることになるので、結局、その前に止めるか、起こっていることにおいて、対処し、良い結果へと方向付けるようにするしかないのだ。

 さて、礼奈は、今の言葉を言いながらも、周囲を警戒することは怠らないし、命を狙ってきた側の依頼人の関係者がどこから監視しているのか分からない以上、警戒できる時は警戒するようにしないといけないし、暗殺者系の組織を雇っている以上、組織だって動ける可能性があるし、勢力である可能性は十分にある。

 組織や勢力に対抗する以上、何かしらのことが起こっても良いようにしておく必要はある。今のところ、李章の「緑の水晶」の反応がない以上、襲ってくるということはないのだろう。

 そういう意味では、こちら側には「緑の水晶」という危機察知のできる水晶があるのは幸運なことでしかない。その幸運は決して無駄にはしてはいけないし、その幸運が自分達の問題解決の大きな役割になれるようにしないといけない。

 運が良いからと言って、自分達にとっての良い結果になるとは限らないのだから、一つのことに頼り切りになるのは危険でしかない。

 「はい。だけど、私がしっかりと皆様を守ります。なので―…。」

と、李章が言いかけたところで―…。

 「いや、豪華客船の中での奇襲ではかなりやられそうになっていたし、ミランさんのサポートを受けていたような気がするんだけど―…。それに、瑠璃のことばかり、見ているよねぇ~。」

と、礼奈は言うのだった。

 礼奈は、李章が瑠璃のことを好いているのは分かっている。

 それに、李章の視線から考えれば、女の勘という類で、はっきりと分かってしまうのだ。李章は、何があっても、一番に守るのは瑠璃であり、瑠璃優先で行動しているのだ。

 それに加え、李章は自分達の中で、天成獣の宿っている武器で戦うことに関しては、弱いのだ。それは、強くなろうとしているけど、天成獣の宿っている武器ではなく、蹴りで勝とうとしているせいで、自身の天成獣との会話ができていないのではないかと思えてしまうのだ。

 ランシュが仕掛けたゲームの途中から、刀を使うという選択肢を選ぶようになり、剣術の修行もするようになったけど、蹴りでの戦いにはかなりこだわっているようだ。

 そんなことは、李章の普段の行動を少しだけ見れば分かる。

 観察力が優れているのだ礼奈は―…。

 ゆえに、礼奈を誤魔化すようなことはかなり難しいと思っておいた方が良い。

 そして、礼奈の今の言葉で、李章は黙ってしまうのだった。

 李章からしたら、心の中を読まれているような感じになるし、さらに、礼奈の言っていることが図星である以上、これ以上、自分の不都合となる情報を渡すわけにはいかないということを本能的に理解し、黙ることで、情報をなるべく漏らさないようにするのだった。

 そのこと自体が情報を漏らしていることになるであろうが、言わないことによって、証拠というか根拠をなくそうとしているのだ。根拠や証拠なき情報によって、ある物事における感情がどうであったかということの立証をできないということを本能的に知っているのだ。

 自白しなければ、問い詰められても意味はないのだから―…。

 だけど、人は何かしらの行動をしないということはできない以上、情報を完全に漏れないようにすることはできない。なぜなら、行動をしない、何かしらの動きをしないということは、すなわち、自らが生きている存在もしくは生きていたという過去における状態をも否定することになるし、呼吸するという行動、心肺を動かすということなどの絶対にしないといけないことを行動に含めるのなら避けることはできない以上、何も情報を外に提示しないということはできない。

 情報の排出量が少なければ、曖昧になりやすい傾向にはなるであろうが―…。解釈の仕方が多様になりやすいとも言うが―…。

 沈黙は肯定。

 礼奈はそのように心の中で受け取りながら―…。

 (自分の命は自分で守るのが大前提だけど―…。)

と、礼奈は心の中で思うのであった。

 礼奈からしてみれば、誰かを当てにしないというわけではないが、基本的に戦いの中では自分の命は原則として自分で守るということが当たり前であるし、できなかったからと言って自業自得だと思うのはあまりにも短絡的なことでしかない、ということを知っている。

 ミスをしない人間がいないように、自分から何かしらの失点になるようなことをしない人間はいないし、相手もそういう面では同様である以上、自業自得だと考え、思考を放棄することはできない。思考を放棄することはできたとしても、次は自分がそのような目に遭うかもしれないと思うと、自業自得だと言って馬鹿にすることはできない。

 そういうことで、他者を馬鹿にすることは、結局は、自分に返ってくる可能性を高めるだけだと思っているのだ。そういう人間は、どこかしらで油断というか、相手に対して、傲慢な態度で接しているのであって、その態度が悪いことであることに気づくことができていない。

 そういう態度に自身で嫌悪感を抱くようになれば、少しだけでも自分にとって望まない最悪の結果になる可能性を下げることができるかもしれない。

 どんなに注意をしていたとしても、自分が最悪の結果に遭うということから逃れることはできない。そういう可能性から完全に逃れる方法はない。そのようになりたいのであれば、自らが未来も過去においても、今においてさえもすべてを知っており、そのすべてを知っているがゆえに、絶望するということに向き合わないといけない。まあ、過去のすべての行動および現象をどうやったとしても人間という生き物は知ることはできないであろう。

 ただし、何も知ることができないわけではないということも成り立つので、そこら辺に関しては注意が必要であるが―…。

 一方で、李章の方は、礼奈の言っていたことに対して、ギクッ、とするが、すぐにいつもの冷静な態度となる。

 李章からしてみたら、瑠璃が異性として好きなのだから、しょうがないことだと思ってしまう。

 人を愛するとは、そういうことなのだから―…。

 そして、李章と礼奈が一緒に会話をしている間、瑠璃、クローナはいろいろと見回りながら―…、お店のいろんなものを試食させてもらいながら、ミランに怒られるという図が展開されていくことになる。

 そして、結果として―…。

 李章の目の前には―…。

 「李章―…。」

と、ミランが言うので、ミランの方へと視線を移す。

 そこには両手で、いろいろと抱えたミランの姿が見えるのだった。

 その姿に気づく李章であるが、相手が何が言いたいのかだけは分からないと言った状況である。

 「ミランさん、どうかしましたか?」

と、李章はいつものように言ってしまう。

 礼奈はすぐに、右手を頭の方で運び、「あちゃぁ~」という言葉が似合うような仕草となるのだった。

 礼奈はミランが言いたいことが分かってしまっているのだ。

 その理由も―…。

 そして、ミランの今の気持ちも―…。

 ゆえに、李章には気づいて欲しかった。

 (瑠璃、大変だねぇ~。)

と、礼奈は心の中で思う。

 そう、李章と瑠璃が結びついた時、瑠璃の気持ちを理解できずに、瑠璃をガッカリさせるのではないかと礼奈は勘付いてしまったからこそ、瑠璃の恋路は大変だと思ってしまうのだった。

 親友が幸せになってくれることは良いことなのだ。

 礼奈はそう思いながらも、親友は険しい道をこれからも歩んでいくのだと、感じ、瑠璃には言わないけど、心の中で応援してしまうのだった。

 それと同時に、自分のことを適度に理解してくれる素晴らしい異性に出会えるように、そういう人に恋ができるように、心の中で祈るのだった。


第146話-3 砂漠へ―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していきたいと思います。


第146話は長めとなります。

では―…。

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