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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
682/747

第144話-1 人に創られし人はこの場に三人いる

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。



 【第144話 人に創られし人はこの場に三人いる】


 砂漠の中。

 その中のほんの一粒ではないが、動きのある集団がいる。

 すでに、サンバリアから離れ、ある場所へと向かっていた。

 「明日にはちゃんとつきます。」

と、リファーネが言う。

 リファーネからしたら、これぐらいの砂漠の行動は大したことではない。

 それに、サンバリアの軍勢から狙われないようにするために、サンバリアを抜け出した夜の間に、かなりの距離を歩いている。

 そのおかげで、こちらとしては、疲労困憊であったが、文句を言う者は誰もいなかった。

 自分達の今の状況を小さな子どもであったとしても、しっかりと理解しているからだ。

 子どもは我が儘だと言われるかもしれないが、察することができないわけではない。我慢することが長い間、できないわけではない。

 甘えられるかどうかを見ているのかもしれない。

 子どもにはそれぞれに違いという名の個性が存在している以上、誰もが同じように耐えられるというわけではない。

 そうであるからこそ、アルタフの孫であるメリサは、しっかりと周囲のことが理解できる子であることが分かる。

 それと同時に、デメリットという面もあり、自分が困っている時にそれを主張することが得意でない可能性があり、そこに関して、親は配慮しないといけない。大人にとって都合が良い性格であったとしても、問題がないわけではなく、ストレスを溜めやすかったりするので、しっかりと子どもの要望を達成させる、言いかえるなら、要望を叶えてあげることをしないといけない。

 分からないという理由で聞かないという選択肢よりも、日頃からの会話を繰り広げながら、日常のその子の行動からしっかりと把握するように努めなければならない。

 親も完璧な存在ではないので、ミスをしてしまうこともあるだろうが、その時は、自らの子どもであったとしても、しっかりと自分から気づいて心から本当に申し訳ないと思っている気持ちで謝罪しないといけない。

 そこで付け上がる自身の子どもは将来的に駄目になるだろうという判断は下した方が良いが、そうでなければ、人として成長していける可能性は十分にあるので、期待しても大丈夫だと思える。

 子育てに正解など存在しないし、正解がないからこそ、いろんな可能性があることを忘れてはならない。

 さて、話を戻す。

 リファーネの言葉に対して、アルタフはしっかりと頷くのだった。

 「分かった。あの一族は敵に侵入されないようにしているから、簡単に見つからなくても仕方はない。そして、レオランダ国王は、あのイバラグラの謀略によって―…。」

と、アルタフは申し訳なくなるのだった。

 これは自身のミスであった。

 イバラグラがどこの生まれなのかをしっかりと把握できなかったことと、あまりにも誠実な顔をしてサンバリアの有力者の中に入ってきたのだから、気づくことができなかった。

 そのせいで、レオランダは国王の地位を追われることとなったのだ。

 それは、アルタフ自身のミスでしかないことはアルタフの理解しているからこそ、サンバリアに王政へと再度もっていくことが実現できない場合があろうとも、サンバリアに住んでいる人々の暮らしが不幸なものではなく、幸せなものであることになるために、しっかりとしてきたつもりではある。

 自分の基準を他人に押し付けるのは、控えるべきであるし、社会的な問題がなければ、しない方が良いものであろう。だけど、社会を成り立たせるためには、ある程度は必要な場合があったりする。ゆえに、その使いどころがかなり難しいものであるし、自分に対して、自分の選択が間違っているかもしれないという可能性を自問自答し、いろんな方法で確かめながら、それと同時に、人々の意見を聞き続けないといけないし、そこから自分で考えないといけない。

 完璧にも完全にもなれない存在が人という生き物の定めであるが、同時に、それらに近づけることができるのが人である以上、この矛盾を理解した上で、行動しないといけない。

 予想外というのは、完全ではないからこそ、完璧ではないからこそ、起こるものであり、それはどんなに自身が完璧だと思える方法や手段を用いたとしても、逃れることのできないことであり、目を背けることはできたとしても、現実に突きつけられる場合はあったりするのだ。その可能性をゼロにすることはできない。

 そして、アルタフの申し訳なさそうな表情を見ながら、「人に創られし人」の一族の関係の人間は、薄暗い表情へとなりながら、同時に、あの二年前の出来事を思い出してしまう。あれは―…、王城が燃えるような出来事でもあったのだ。

 サンバリアの公式見解では、レオランダ以下国王の一族は、あの二年前の事件で全員、命を落としたということになっているのだから―…。

 そして、このことに対する真実を知っているのは、()()しかいない。

 ゆえに、公式見解しか知らない人物たちは―…、あの事件のことに対しての見方は、レオランダに反対する者は歓喜し、賛成するものや「人に創られし人」の一族にとっては悔しい、やるせない気持ちしかない。

 そして、アルタフも真実を知らない人間の一人である。

 そんな人間であるからこそ、「人に創られし人」の一族が住んでいる集落へと向かうのは憂鬱な気分となるし、申し訳ない気持ちが増幅してしまうのだ。

 自分の失敗であることが分かっているからこそ―…。

 それでも、その場所へと向かうことは避けて通ることはできない以上、集団の長に向かってどのような謝罪をするのかを考えるのだった。

 そして、リファーネはアルタフの態度を見ながら同時に、あの時を思い出し、怒りの感情が湧く。

 ゆえに―…。

 「!!!」

 アルタフは驚く。

 リファーネは、アルタフの胸倉をつかむのだった。

 その行動は急なことであったからこそ、周囲は驚かずにはいられなかった。

 「私はお前がしたことを許す気はない。お前のせいで、私たちの親友が殺されたのよ。親友だと思っていた人間に―…。」

と、リファーネは怒声を交えながら言う。

 この砂漠の中で、怒声を言えるだけのエネルギーがあるのなら、少しでも先に進むことの方を費やした方が良いのは、砂漠の中で移動している集団からしてみれば、当たり前のことだ。

 それを知っていたとしても、このように怒りの感情を見せるのは、よっぽどのことであることは分かる。

 そして、「人に創られし人」の一族で、今回のアルタフ暗殺を阻止するために動いていた者にとっては、分かるからこそ、止めなければならないと感じるが少しだけリファーネの様子を見てしまうのだった。

 「……………………………。」

 アルタフは黙り込む。

 あの日の出来事を思い出しながら、それと同時に、自分の無力を理解すると、言葉すら発することができなくなる。

 自分が言い逃れしようとしている弱い気持ちが完全に抜け切れていない証拠であろうが、それでも、罪悪感がなくなることはないだろうし、あの時、本当はどうすれば良い正解だったのか、自分なりの答えを見つけ出すことができていないのも影響しているのだろう。

 その沈黙は、周囲が言葉をはさまないことによって、その沈黙は目立っている。

 そして、怒りという感情を爆発させてしまえば、リファーネの方も歯止めをかけることができずに―…。

 「何か言ったら!!!」

 怒鳴る声を大きくする。

 これ以上、リファーネの前で沈黙を貫くことは危険だと判断して―…。

 「済まない。それしか言うべき言葉はないだろうが―…。親友と言っていたことからすると、リファーネ。君は過去にサンバリアでラーナ王女の同年代のお付きだった女の子の一人―…、当時……………、あの事件後に一番に私に詰め寄ってきた、()()()ちゃんかい?」

と、アルタフは言う。

 その言葉を聞いたアルタフのパートナーの方が、呆れるのだった。

 ぶん殴ってやりたいぐらいの最悪の回答だから―…。

 (アホ!!!)

と、心の中で思いながら―…。

 リファーネからしたら、余計に怒りを買ってしまう一言であった。

 「あの女なら、イスドラークに向かったわよ!!!」

と、リファーネがアルタフに向かってビンタをしようするが―…。

 パチン!!!

 アルタフのパートナーにアルタフはビンタされるのだった。

 「リガ……、暗殺犯からあなたの本名を聞かれるので、この人に説明しなかった私が悪いわ。この人―…、本当、昔から変わってない。女性に対する気遣いができないのを―…。」

と、アルタフのパートナーは言う。

 自らとアルタフの出会いを知っているし、長年共にしているからこそ分かっているのだ。

 アルタフは、女性への気遣いがかなり下手なことと、普段は有能なのが、どうしてここでポンコツになるのかと言われるぐらいのことをしてしまうのだ。

 呆れるしかない。

 そして、この人の今、言っていることは真実であり、嘘はない。

 この場で嘘を言う気はない。

 そして、アルタフの方も、自らの長年連れ添っているパートナーを見て、雰囲気を察して、何も言わなくなる。

 というか、今、ビンタされたことに対して、何かを言うものなら、さらに酷い目に遭うことが分かっているので、経験上、大人しくしておくのが正解だと思っているのだ。

 そして、アルタフのパートナーは、リファーネ……いや、リガに対して、申し訳なくするのだった。

 アルタフのパートナーの行動に対して、リガは、反応に困るのだった。

 説明しなければならないことは、アルタフにいろいろと説明していなかったのだ。護衛ということぐらいは言っているが、その人物の本名はアルタフには言っていなかった。なぜなら、その本名がどこで漏れるか分からないことと、サンバリアと過去に関係があったことを知られると行動がとりにくくなるか、もしくは討伐の対象される可能性が十分にあったのだ。

 フェーナには何となくだけど、バレていたが、イバラグラには一切、バレていないところから察するに、ある程度は上手く言っていると判断してもおかしくはない。

 そうであるからこそ、アルタフのパートナーは、上手くいったとしても、アルタフという時におかしなところでポンコツのようなことをしてくるのが、今、ここで発動してしまったことに対して、移動途中に言うべきことだったと後悔するのだった。

 「あんたは、女の顔は三日も見ないと、忘れるもんねぇ~。」

と、アルタフのパートナーは、アルタフに向かって言う。

 常日頃から会っている人の名前は憶えているのだが、数年ぐらい会わないと、面影ぐらいの印象しかない人は結構、忘れてしまっていたりするのだ。ちなみに、これはもとからなので、呆けたわけではない。そのことに対しての補足は必要であろう。

 「すみません。」

 あのアルタフは、形無しという感じになってしまうのだった。

 どんな時代であったとしても、権力者であったとしても、逆らえない存在はどこかしらにいるということを示す例であろう。

 アルタフの場合は、自ら長年連れ添っているパートナーであるが―…。

 そして、アルタフの家族は、いつものことか、と思うのだった。


第144話-2 人に創られし人はこの場に三人いる に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


次回の投稿日は、2025年4月22日頃を予定しております。

では―…。

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