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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第39話 リンエン兄弟の力(兄)

前回までのあらすじは、エンレン対礼奈の試合は、礼奈の勝利となった。そして、第二試合へと向かっていくのであった。

 時は一週間前近くに遡る。

ここは、暗闇の中。

 一人の少女はいた。妖精みたいな小さな生き物がいた。その光は青色をしていた。

 「仮に、私の今持っている武器が相手かもしくは自分によって、この手から離れた場合は、天成獣の力を使うことができるの?」

と、一人の少女、いや礼奈が聞く。

 「それは―…、武器を放しても可能な天成獣もいるにはいるみたい。私の場合は、その武器を放した場合は、だいたい半分か8割程度までの威力で扱うことができるよ。」

と、妖精みたいな小さな生き物が礼奈に向かって、礼奈の質問に答える。

 さらに、妖精みたいな小さな生き物は付け加えて、

 「ただし、長く離したままにいると、扱える力の量はどんどん減っていくだけよ。だから、あまりオススメはしないね。」

と、言う。

 「うん、わかった。」

と、礼奈は妖精みたいな小さな生き物が答えようとしているを理解したという意味を込めて返事した。

 「そう。これからの武運を祈るよ、礼奈。」

と、妖精みたいな小さな生き物は言った。

 そして、時は第三回戦第一試合と第二試合の間の時間へと戻る。


 【第39話 リンエン兄弟の力(兄)】


 「では、両チームとも次の試合の参加者をそれぞれ一人選出して、フィールドへ入場してください。」

と、ファーランスは言う。そう、次の第二試合に参加する人をリースの競技場の中央の舞台の中央にある四角いリングの中に入るように促していたのだ。

 リンエン兄弟のチームは、弟が第一試合に参加し、人数が二人のチームであるため、第二試合は兄が自動的に出場することになる。そのため、リンエン兄弟の兄はすでに、四角いリングの中に入っていて、自らの対戦相手を待っている状態である。

 ファーランスも形式上のことを言った後、視線を瑠璃たちのチームへと向ける。

 瑠璃たちのチームもすでに出場の順番を決めていたのだろう、ファーランスが言うとすぐに、クローナが四角いリングに向かって歩いていった。

 そして、四角いリングに着くと、その中へと上がって、入っていった。

 リンエン兄弟の兄とクローナの双方の視線が合う。

 「弟を倒してくれたものだな。なかなかにやるな。だが、私は弟のようにはあまくはない。」

と、リンエン兄弟の兄は言う。

 「そう、なら、相手にとって不足はない。良い勝負をしましょう。」

と、クローナは少し冷静に言う。

 その様子を眺めていたファーランスは、

 「両者とも、準備はよろしいでしょうか。」

と、クローナとリンエン兄弟の兄に聞く。

 「OK!!」

と、クローナが答え、

 「ああ、いつ試合を開始してもらってもかまわない。」

と、リンエン兄弟の兄が答えた。

 試合開始しても構わないというクローナとリンエン兄弟の兄の合意がとれたので、ファーランスは右手を上に挙げ、

 「では、これより第二試合―………、開始!!!!!」

と、右手を振り下ろしながら言うのである。

 こうして、第三回戦第二試合が始まった。


 ファーランスの試合開始の合図でクローナとリンエン兄弟の兄の両方が、両者に視線を合せる。これは、両者ともに相手の出方を窺っていたのである。

 この時間は、二、三分続いた。

 そして、このままでは、埒が明かないと判断したリンエン兄弟の兄は、

 「この俺の名は、リンガイ!! クローナ(お主)を倒し、一つ上の高みを目指し続けるものだ、いざ、参らん!!!!!」

と、リンエン兄弟の兄であるリンガイが言う。

 リンガイは、さっきの第一試合に出場したエンレンと顔や姿は似ているが、大きな違いは武器であった。エンレンは、素手で攻撃するタイプで、武器は、両手にある腕輪であった。一方で、リンガイは、両手にグローブをしていた。これがリンガイの武器であり、グローブには、手の裏側にそれぞれ五本の刺が付いていた。それは、殴る攻撃で、振動によるダメージではなく、相手の体を突き刺すように、その刺で相手の体から出血を促して、相手にダメージを与えるものであった。

 リンガイは、さっきの言葉を言い終えると、クローナに向かって突き進んでいく。走りながら―…。

 しかし、エンレンとは違い、そこまでスピードが速い移動ではなかった。そう、リンガイの装着している武器に宿っている天成獣の属性は生ではなく、鉄である。ゆえに、リンガイのグローブは重く、刺も金属で出来ていた。

 それでも、リンガイのスピードは一般の人(天成獣の力をもっていない人)よりもかなりの差で速いのであるが―…。

 リンガイは、数秒でクローナに攻撃を当てられる範囲へと入ってくる。

 「奥義!! 鉄拳!!!」

と、リンガイは叫ぶように言う。

 そうしてリンガイは、右手をすでに後ろに構えており、そして、同様に後ろにある右足を前へと踏み込みながら、右手からパンチのような攻撃をする。

 リンガイが迫って来ていることは、クローナも十分に理解できていたので、右手に持っている自らの大鎌の刃物の部分のみの武器の持ち手近くの部分を相手に向けて、相手の右手のパンチに当たるように横へと振るう。

 そして、リンガイの拳とクローナの武器が当たる。

 そして、金属音が周囲に響き渡る。そう、衝突した時の金属の音が―…。

 「はあああああああああああああああああああああ――――――――――――――。」

と、リンガイは叫びながら、拳の刺の部分をクローナの武器の中でねじ込もうと強く押す。

 (……強い………。)

と、クローナは、リンガイの攻撃の強さ、押そうとする力に対して、何とか右腕を後ろにさせないように耐える。この耐えることは数十秒の間にわたって続くことになった。

 リンガイは、右手を下げ、今度は左足を前へと踏み出しながら、左手で再度クローナに目がけてパンチをする。

 そのとき、リンガイは、

 「まだ一発!! 残っている!!!」

と、叫ぶように言った。

 クローナは、さすがに自らの武器で対処できないと判断せざるを得なかった。

 「鉄拳!!!」

と、リンガイはパンチを決めるときに言葉を発した。

 そして、リンガイのパンチはクローナに当たることはなかった。直接には―…。そう、クローナはギリギリのところで、後ろへと何歩か下がって、リンガイの攻撃範囲から脱出することに成功したのである。

 しかし、クローナは、リンガイのパンチ攻撃による風圧を少しだけ受けてしまう。

 (ッ!!)

と、心の中でクローナは、声にしてしまう。

 その痛みは、クローナにリンガイへの集中を逸らすの重要な効果を発揮した。

 ゆえに、クローナが次のリンガイの攻撃に気づいた時、

 「!!!」

と、クローナは動揺するしかなかった。

 そう、リンガイはすぐに、再度右足を踏み出して、クローナに目がけて右手の拳で攻撃をするのだった。パンチをするように―…。

 そのパンチはちょうど礼奈の胸部の中央に当たるのである。

 まるで、心臓が口から飛び出しそうな感じで、肺から口を通って、無理矢理に大量の息がでていく。それは、

 「ガッ…ァ!!!」

と、クローナに声を漏らさせるほどであった。

 そして、クローナはリンガイのパンチ攻撃による風圧でブッ飛ばされるのである。

 このとき、何とか、意識があり、冷静に考えることができるようになっていた。リンガイから受けたパンチみたいな攻撃による痛みを強く感じていながら―…。

 (今は、とにかく立たないと、フィールドの外に出たら負ける。)

と、クローナは心の中で強く思い、自らの武器を四角いリングの地面に刺して、無理矢理に吹っ飛ばされるの止めようとした。そのため、四角いリングに接し、中へと突き刺さったクローナの武器は、少しの間、リンガイとは反対方向に移動するが、何とか、四角いリングの外にクローナを出す前に止まった。

 その様子を見たリンガイは、

 「…ッ!! フィールドの外にでる前で止まりましたか…。まあ、体の方は、さっきの俺の一発でボロボロだろう。」

と、言う。それは、すでに自身の勝利が確定しているのかのようなものであった、リンガイはクローナの様子を見ながらわかっている。胸部に受けた一撃によって、体の骨が折れていてもおかしくないのだから―…。そう、リンガイの攻撃の一発は、相手の体の骨を折りかねほどに強く、固いのだ。

 一方で、クローナは、リンガイの攻撃を受けたが、何とか、胸部近くの骨を折られることはなかった。それは、何とかは自らの周囲に風を纏わせていたことによる。つまり、自身に纏わせていた風によって、リンガイのパンチの一撃のダメージをある程度まで相殺したのである。しかし、すべてのダメージを相殺できたわけではなかったが―…。

 ゆえに、

 (体が―……………、胸の辺りが痛い…ッ!!!)

 「ガハッ…。」

と、クローナは、心の中で胸部辺りの痛みによって息がしづらくなっており、何とか息をしようとしてもがいている。そのもがいている声が、漏れていた。

 「もう動けないみたいだな。さあ、これで終わりとするか。」

と、リンガイはクローナの苦しむ様子を見て、言う。そう、勝利のための一撃の準備を開始する。

 (このまま負けるわけにはいかない。)

と、クローナはこの時、思っていたのだった。少しずつではあるが、呼吸ができるようになっていた。


 その頃、クローナが属するチームでは―…。

 「あれでは、もう―…!!!」

と、礼奈が動揺したように言う。叫ぶのにも等しかった。礼奈は知っている。リンエン兄弟の弟のパワーがものすごく強いということを―…。ゆえに、リンエン兄弟の兄も弟と同様に攻撃力に高い可能性があったのだ。特に、武器がグローブからしても、弟と同様に近いものではないかと予測させるのに十分であった。そうなってくると、一撃を受けることは、受けた相手にとって命すら奪われかねないほどの危険に直面することになる。礼奈は青の水晶の能力で回復させることで何とかできるが、クローナはそうではない。だから、礼奈は、クローナに降参するように促そうとする。

 それと同じ頃、アンバイドは、

 (たぶん!! もうあの体じゃ試合をするのは無理だ。ここは試合を止めるべきだ。)

と、心の中で思い、試合阻止のために四角いリングの中へと入ろうする。

 しかし、それを止める声がしたのだ。

 そう、

 「大丈夫。」

と、いう声が―…。

 李章、礼奈、セルティー、アンバイドは、その声がしたほうに視線を向ける。

 この「大丈夫」と言ったのは、瑠璃だったのだ。

 瑠璃は、礼奈がどう思っているのか、アンバイドが何をしようとしているのかの大まかなことがわかっていた。ゆえに、言ったのだ。同時に、瑠璃はある事も口にする。

 「クローナは、()()()()()。あれはたぶん―…。」

と。そう、この時、瑠璃は、あまりにも強い確信とも思われるような勘を言ったのだ。クローナがまだ本気を出していなかったということを理解したうえで―…。


 タン、と音がする。

 そう、リンガイが走り出したのだ。

 クローナに向かっていっているのである。

 それは、つまり、

 「この一撃で、第二試合(この試合)を終わらせてやる―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、リンガイは叫ぶように言う。たとえ、リンガイが自ら言葉を発したとしても、クローナはすでに対抗することなどできやしないとリンガイは、思っていたのだ。

 リンガイは、クローナに自らの攻撃を当てられる範囲に入ると、すぐに、右足と右手を踏み込むようにして、パンチのような殴る攻撃を目の前にいるクローナに向かって放つ。

 それに気づいたクローナは、

 (予想以上だった。リンガイ(この人)の攻撃は―…。だけど―…、私の風なら―…。)

と、心の中で確信めいたように言う。

 そして、クローナは右手に握っている自らの武器に風を纏わせ、リンガイの右手の殴る攻撃に対して、防御しようとする。

 それに、気づいたリンガイは、

 「鉄拳!!」

と、再度叫ぶように言うのである。

 そして、クローナの左手に風を纏っている武器と、リンガイの右手のグローブが衝突する。凄まじい衝撃音をさせながら―…。

 

 数十秒が経過しただろう。

 クローナは左手を後ろに下げられ、リンガイは右手を後ろへ下げさせられた。

 そう、両者の攻撃が衝突した結果として―…。

 そして、両者ともに、次の攻撃を準備していた。

 それは、クローナは右手に持っている武器に風を纏わせ、リンガイは左手をすでに後ろに構え、左足を前に踏み込むように―…。

 「まだ、片方が残っている!!」

と、リンガイが叫ぶ。

 結果、クローナの右手の武器に纏わせている風と、リンガイの左手によるパンチ攻撃が衝突するのだった。さっきと同様に、ものすごい衝撃音をさせながら―…。


 一方で、観客席の中の貴賓席にいたランシュは、

 (このままだと―…、十二の騎士をだすのは確定してしまいそうだな。まあ、試合がどうなるかはわからないが―…、な。)

と、心の中で呟く。そう、ランシュにとって、リンエン兄弟の試合がどういう結末がどうなるかある程度予測できた。つまり、十二の騎士の投入が避けられなくなるということを―…。


 時として、一、二分ほど経過しただろう。

 衝撃音が止み、クローナとリンガイはある程度、双方の距離をとっていた。

 (仕留め損ねたか―…。クッ!!!)

と、悔しそうにリンガイは呟くのである。そう、リンガイの左手の殴る攻撃は、礼奈の右手に持っている武器によって防がれてしまったのだ。完全に、っといっていいほどに―…。

 一方で、クローナは、

 (そろそろ本気でいく!!)

と、どれくらい自らの力をだすべきかということを決めて―…。


 【第39話 Fin】


次回、風纏う、大きく、長くに、そして、相手を倒さんがために―…。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


もうそうそうすると、魔術師ローの出番があります。たぶん―…?

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