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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
668/746

第142話-6 創造主の石~人に創られし人の一族~と―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「ヤジを言っているイバラグラに味方にして嵩に着た者たちも満足したか。イバラグラも私に対して暴言を吐いて満足したか。私の方は、怒りという感情もあるかもしれないが、それ以上に、あなた方が可哀想な存在にしか思えない。私はアラジャさんを馬鹿にしたのではなく、アラジャさんが聡明だと言って褒めていますよ。なのに、イバラグラ議長は私がアラジャさんを馬鹿にしたと言いました。これは、れっきとした偽証になってしまいますよねぇ~。議会のルールに関する法律である議会法の中に、「運営に関する条項」、その中にある「議会論戦上での偽証に関して」、「それに伴う暴言に関して」の条文によると、「議会の会期中に議場において、議員を貶める発言をし、それが偽証によるものであった場合、その発言をおこなった者は、議会の判断により、一か月の議員活動停止処分を課すことができる」とあり、「議会運営に関する施則」の第115条によれば、「議会の判断によりは、議員一個人の判断によって提起され、議会の審議によって判断されるものであるとする」という規定があることから、アルタフ……私に対するイバラグラ議長のさっきの言葉を暴言だと判断し、イバラグラ議長の一か月の議員活動停止処分に関する議題を緊急におこなわせてもらいます。宜しいでしょうか、イバラグラ議長。それに議会での証言は映像としてすべて残し、それを保存しなければならないと、「公文書管理法」の「議会における議論の発言を文書として記し、その記された文書の保存に関して」の条項に書かれていることですし、その中には、「議会での発言は、たとえ、失言及び暴言のように他者や社会の名誉を棄損するものであったとしても、未来における研究などのために、しっかりと残すようにしなければならない」とあり、これは努力義務ではなかったはずですよねぇ~、去年の議会でタチアーノ議員へのイバラグラ議長の回答によりますと―…。自らの過去の発言をなかったことにすることができますか? イバラグラ議長。」

と、アルタフは言う。

 アルタフがここまでどんな法律が今、この場で適用できるのかということを言うことができるのは、必死になって、今の法律を暗記したからに他ならないし、日頃からいろんなことを覚えるようにしているのだ。その理由は何かを考えながら、どういうふうに活用できるのかということを考えながら―…。

 鍛えることも怠ることなく―…。

 こんなことをもう、数十年も続けているので、習慣となっているし、自分を守るためには必要だと感じているからこそ、辛くてもできているのだ。

 できなければその地位にはいられない。

 国の重役に就任することは隙を見せないようにしながら、自らの欲望よりも他者や国民、国の中に住んでいる人達の繁栄を考えないといけないことであり、とても重要な役割であり、そのために協力してくれる人物もまたちゃんと今、本当の意味で必要なことを提示してくれて、それを修正したり反省したりすることがしっかりとできる人と話し合わないといけないし、それをどのような人物が持っているかは鮮魚や野菜の鮮度をしっかりと見極めるように、人を見抜くための知識だけでなく、それを見つけられる実践力を養わないといけない。

 経験も重要となってくるということでもある。

 だが、人は完璧でも完全な存在にもなることはできないので、どこかしらでミスをするということは避けられないし、自分が思っていることが間違いであることもある。最初は正しいような期待通りの経過を見せるが、後になって最悪の結果になることだって普通にあり得るのだから―…。

 それを恐れることも大事だが、失敗した時にはしっかりと学び、本当の意味での失敗の理由を見つけて、対処していく必要がある。ここで、本当の意味だと言っているのは、失敗をした時に反省したとしても、それがさらに失敗を増長する結果となり、結果として、より最悪の状態へと招く可能性を避けることはできないからだ。

 ゆえに、人々は経験から学びながらも、経験イコール正しいという妄信を抱かないようにしないといけない。人生での判断とは難しいものであり、綱渡りをしている感覚であり、その感覚を理解すると重みになってしまうだろうが、その重みに負けることなく、日頃からしっかりと判断するしかない。

 大事なのは、選択に自分の意思をどれだけ介入させるのかということを、状況によって見極め、失敗する可能性も考慮に入れた上で、おこなっていくことが大事である。

 不安定な世界では、何が正しいのかを判断するのは難しいことであるのだから―…。

 さて、話を戻し、アルタフは、イバラグラの激怒を利用して、イバラグラの議員資格を一時的に停止させようとする。アルタフはその可能性も考慮に入れて話していたが、そうでない場合でも、議論になるような場合には、真剣に相手の言葉の問題点をしっかりと突くつもりであった。

 そして、どういう場合にでもある程度の対処できるように普段から、いろんなシチュエーションを想定しながらここ、議会にやってくるようにしている。

 情報もしっかりと集め、そのまま受け止めるのではなく、精査するような作業などもおこない、批判的に受け入れるようにしているし、何かしらの予感を感じられるようになるため、情報の引き出しを素早く取り出せるように日頃から、脳トレなるものをしている。

 それだけ、このアルタフという人間の人生は、完璧や完全というものを見せなければいけないという修行僧もびっくりするような人生を送っているのである。休みがないのだから―…。

 このような生活が気が狂う人がいても、人それぞれ、自分が耐えられる量には限度というものがあるのだから―…。高低という感じで―…。

 アルタフが細かい法律を理解しているのも、他者の隙をしっかりと突いていくためでもあり、そのことによって、自身を有利にしながらも、他者が自分を攻めればどうなるかという舌戦での危険性を悟らせようとしている。

 それがアルタフの人生で自らが生き残るために必要な処世術というわけだ。

 この世に楽なものは、何かしらを手に入れるためにはないし、それは自らの人生において体現しているのだ。

 現実は、簡単に手に入れられるものはあろうが、それが返って、最後は自分の人生を最悪の結果へと招く副作用のあるものである可能性があるので、実際、苦労した方が良い場合もあるし、しない方が良い場合もある。我々は、いろんな意味で、まだ知らない領域を開拓し続けることを無意識のうちに実行していたりするのだから―…。

 そして、アルタフは決して、表情を変えることなく、今は、イバラグラの回答を静かに待つのだった。

 冷静でいられない人間が、この場でどのような目に遭うのかは分かっている。権力者側は自分の都合の良いようにしているだろうが、それを永遠不変に続けられるという保障はどこにもないし、自分達が前の倒れていった権力者とすべての面において違うということはないのだから―…。違う面もあれば、共通する面があるだけなのに、それを簡単に一つの違いを見つけて、すべての面において違うと言っているのであれば、彼らに未来があるとは到底思えない。

 自分が過去の何ものよりも優れていることを証明したいだけに過ぎない。お前がその過去の何ものの一つにどこかの未来で加えられるだけなのに―…。

 そして、イバラグラの周囲には官僚やイバラグラ側の議員が集まり―…。

 「イバラグラ様。アルタフの野郎は、こうやって我々を追いつめて、王政を復活させようとしているのです。こんなことをすれば、イバラグラ様の身も危ないのです。これは緊急事態なのです。なので、ルールに縛られる必要などございません。」

と、一人の議員がイバラグラの耳にコソコソ話をするかのように言う。

 アルタフに聞こえてしまえば、そのことを突かれるのは避けられないのだから―…。

 この人物からしてみれば、議会の権力者側が法律やルールは守る必要はないと思っているし、法律やルールは国民や国に住んでいる輩が守るものであり、自分達は権力を握れるほどに偉いのだから、自分達のしていることは正しく、ルールや法律に縛られるのは正しいことから離れるものだと認識し、自分達が法律やルールを守らないのはサンバリアのためなのだと思っているし、それが当たり前のことだと認識している。

 この人物は、自分がサンバリアの国民や、サンバリアに住んでいる人々よりも偉い存在であり、劣った者達を導いているという一種の差別主義者的な考えを持っている。

 そのような認識は権力を手に入れたことの愉悦感と、それを手に入れる前までの不当な扱いを常日頃から受けているという自身の認識の合体によるものが、悪い方向に拗れることによって起こっているものであり、実際、不当な扱いもあろうが、そうでないものもあり、第三者が見た場合の判断になろうが、そういうことであるが、それを含めて、この人物にとっては、不当な扱いでしかないのだ。

 それが今となっては、自分より地位の低い者に対して、不当な扱いをしていたりするのだから、困ったものでしかないし、この人物は周囲からの人望があまりなかったりする。

 イバラグラに媚びることで、権力を手にしているだけの凡庸な存在でしかないし、それよりも劣っているとみられてもおかしくはない。

 そして、この人物は、イバラグラにルールや法律を無視した行動が今、すべきことだという。

 そのようなことをする場合であり、イバラグラが失脚してしまえば、今度は自分が不利になってしまうのだ。

 「カサブラ。そうだよなぁ~。」

と、イバラグラは言う。

 周囲の議員の一部には、イバラグラがアルタフに向かって、ルールや法律を無視する行動をとるべきではないと思っている者達はいる。さらに、官僚の、この場にいる者たちはほとんどがそのように思っている。

 アルタフが狙っているのは、イバラグラがルールや法律を守らないような行動をしていることを糾弾して、イバラグラを失脚させることなのだから―…。

 ただし、勘違いしてはいけないことは、別に、アルタフはサンバリアを王政に戻そうというわけではなく、周辺諸国への侵略戦争を停止し、サンバリアの社会保障、教育への投資の拡大がメインだし、人を育て、サンバリアが征服した地域の復興と同時に、彼らの繁栄とともにサンバリアを繁栄させる必要があるということだ。

 純血にこだわり、思考や視野狭窄に陥ってしまうようなことをせず、いろんな人の考えを取り入れながら、自らの価値観を拡げていく必要があるのだ。人の歴史というものはそんなものであり、同じものをただすべての面で同じに受け入れ、次の世代にバトンを渡してきたわけではないのだから―…。すべて違うようにしているわけでもない。

 そういうことをアルタフは分かっている以上、サンバリアも体制だけでなく、価値観も少しずつ変化させていかないといけないのだ。別れがあるのなら、新たな出会いもあるのだから―…。

 ゆえに、イバラグラのようなサンバリアの過去に固執しているような輩では、どこかで限界に達し、どうしようもできなくなる未来しか迎えないのだから―…。

 結局、そこに気づけるかどうかは、大切なことであったりするのだ。

 変化しない社会はなく、変化しないことが普遍に近い要素を持ち合わせているのかもしれない。変化しないという面もあるのだが―…。

 世界は人が理解できるには大きすぎるものであり、一部を理解し続けることができる最大の暇つぶしのようなものを提供してくれる。

 さて、話を戻し、カサブラという自分の思い通りにしたいだけの権力欲に浸っている愚か者の議員の言葉はイバラグラにとって、心地よい言葉となる。

 その言葉を聞いてしまえば、イバラグラの判断は決まってしまう。

 それを制止しようとするも―…。

 失敗する。

 この場にいるイバラグラの支持者、およびその議員、官僚の全員がイバラグラに意見できないことを―…。

 ゆえに、これは起こる。

 「アルタフを退場処分にしろ!!! 議長の決定である!!! 反論することを許さん!!!」

と、イバラグラは怒声を吐く。

 その言葉に、アルタフへと冷たい視線を向ける者がいるが、アルタフからしてみれば、返って、自分にとって都合が良い結果になった。なぜなら、後に、自分が権力を握った場合に、イバラグラの横暴な態度を示す証拠の一つとなり、これまでの積みあがってきた証拠とともに大事な役割を果たすことが分かっている。

 まあ、それでも、実際に、アルタフがサンバリアで権力を握ることに成功しなければ、意味のないことではあるが―…。

 そして、アルタフは議場からの退場処分を受け、警備員によって外に出されるが、その時―…。

 「どんな体制も、結局、権力を自分のもとへと寄せることによるデメリットから逃れられない。」

 そんな言葉をアルタフは残すのであった。

 それが意味することは、政治をする人間が逃れることのできない宿命のようなはたらきをするものであり、どんな国民に主権があったとしても、権力をわが物しようという競争が開始された時点で、権力者に主権の一部以上を委譲した時点、それを代理にさせた時点で、逃れることのできないものであり、主権の形骸化という結果を避けることができない。

 それに対抗できるのは今のところ、共同体の数があまりにも少ない状態でないといけないということか、もしくは国や社会などから離れて個人として過ごすことでしか逃れるのは難しいものであるが、それであったとしても、完全に逃れられるという判断を下すのは良くない。外圧というものがある以上―…。

 その後、この議会は平和であったりしたが、しこりが残るものでしかなかった。

 イバラグラの側の者達の多くは、アルタフを追い出すことができたので、不快な気持ちをアルタフのせいにすることで、自分達が正しいということを確かめるのだった。

 結局、権力闘争の場でしかないし、権力のための協賛機関でしかなかった。今のサンバリアの議会は―…。


第142話-7 創造主の石~人に創られし人の一族~と―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していきたいと思います。


では―…。

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