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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第142話-4 創造主の石~人に創られし人の一族~と―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 サンバリア、第三回通常議会。

 サンバリアは民主制に移行した時、憲法を定めるための憲法議会と民主制誕生宣言をおこなった第一回通常議会。

 その翌年に、諸法および暫定処置のための特別議会と称される第二回通常議会。

 そして、今年、いろいろと審議するための第三回通常議会がおこなわれている。その会期の中の真ん中あたりの時期。

 この会議には、六百名の議員が集まっており、彼の多くは王政の時の有力者や王政打倒に活躍した実力者達が占めている。一部には、第三勢力となっている議員達もいるが―…。

 そんな構成となっている議会における仕組みは、年初におこなわれる議長による所信演説の後、有力議員による批判がおこなわれ、それに受け答えする討論がおこなわれる。

 その後、政策協議という形になり、各委員会という議員が所属する専門分野の審議がおこなわれ、そこで採決を通った政策が議会によって、再度、特別審議もしくはそれなしで、本採決がおこなわれ、それが可決した時、政策はサンバリアの国法として発動させるための権利を得ることになる。

 実際には、施行されるまでの移行期間が存在するので、その間は、政策が実施されるわけではないが、長期間延長されることは、サンバリアが民主制に移行しての時期が短いので、ないという感じである。

 そして、今、特別審議がおこなわれていた。

 アルタフが対峙された登壇の前に立つ。

 この登壇は、日本の議会における委員会によって話し合われる時に使われる形式を想像してもらうと分かりやすい。

 ただし、政権党側とそれ以外が対峙する形になっている。

 二つの登壇する台があり、マイクが二つあり、刀傷沙汰にならないように、武器が届かないようにするために、三メートル前後離れていたりする。

 勿論、議会内には警備員以外は武器を持ち込むことができない。

 それに、警備員になるための試験はかなりの知識を問われるだけでなく、体力や体術などを測るものもある。その試験の後におこなわれる身体検査はかなりのものであり、サンバリアと敵対しようとしている思想の持ち主は、たとえ、合格できるほどの人材であったとしてもはじかれ、不合格のメンバーに加えられる。ゆえに、その警備員になるための試験を合格できる者はサンバリアの中でエリートと言っても良いほどである。ただし、給料はそこまで高いわけではないのだが―…。

 それでも、安定職であるので、そこそこに人気はあったりする。

 さて、話を戻し、アルタフが登壇し、自らの意見を言い始める。

 「今日、私の孫が誕生日でしてねぇ~。そんな私の孫は良く言うのです。サンバリアはどうして周辺の国を支配しようとしているの? って。私は答えるのに困ったものだ。小さな子どもにどうしてサンバリアが周辺諸国へと戦争をしているのか。子どもにサンバリアの戦争している理由を説明すれば、サンバリアのためだと答えるのは簡単でしょうが、結局は、一部の人たちのためだと言うことを簡単に子どもに気づかれてしまうでしょう。私の孫のような子どもも、ちゃんと大人を見ているので、嘘は簡単に見破られてしまう。イバラグラ議長も子どもは簡単に大人たちの嘘を見破ってしまうから、本当のことをそう簡単に正々堂々と言えないでしょ。サンバリアが周辺諸国へと戦争しているのを―…。」

と、アルタフは噛むこともなく言う。

 これだけのことを噛まずに言えるのは、もう職業病というものでしかない。

 サンバリアが王政だったころから、言葉を噛むだけで、周囲から批判の嵐に晒されることは十分にあったので、それを反省し、いろんな教養をさらにしっかりと身に付けたり、確認したりしながら、自分なり誰かに説明できるように努めてきたつもりだ。

 政治というのは、魑魅魍魎であり、一つのミスを犯すだけで、他人を失脚させ、自分がその地位を手に入れるような世界なのだ。それは、権力を行使できるという魅力がその地位を狙っている者達にとって、行使できる地位にある者達を追い落として、少しでも多く自らが権力を行使したいために、僅かな隙でも見逃さないようにしているのだ。チャンスはいつ巡ってくるのか分からないのだから―…。

 ただし、今のアルタフの言葉はややこしく分かりにくいように言っている。

 それは、サンバリアの国民のためにしているのではなく、イバラグラに向かってしているのだ。

 理由は簡単で、分かりにくい言い回しや言葉を使い、自分の意図していることを相手に理解させるのではなく、そこに発生する齟齬という名の隙を突くためであるし、理解しても、イバラグラ側は真意を言わないだろうということが分かっているので、それを突くことを相手側に気づかせないようにしているのだ。

 考えさせるような言葉や言い回しは、自らの真意を気づかないようにする時には有効な方法である。

 それを、国民に向かって、その国に住んでいる人々に向かっておこない、自身の真意を気づかせないようにして、彼らに不利益を被らせるようなことをしたりする政治家がいたりする。

 その政治家らの目的は、自分の利益がその国に住んでいる人々の利益を搾取し、不利益を被ることによって、最大限に得られることを望んでいるのだ。そう、自分の利益のために他者を犠牲にしても良いという考えを中心にして―…。

 その結果、その国に住んでいる人々の生活が悪化したとしても、責任を取るどころか、他人に責任を擦り付けるようなことをしたりするのだ。そのような人達を支持する人々もいるが、結局、そのような支持をした人々を含めて、多くの者が損を蒙る結果となるから、意味がないどころか、損害でしかない。そんな輩は、その国に住んでいる人々の繁栄のためにしていますということを平然と言いながら、嘘を吐いたり、擬態するのが得意であったりするので、本音でその国に住んでいる人々の本当の意味での繁栄を達成しようとしている人と区別をつけるのが難しかったりする。

 人を追い落とすことに慣れているため、擬態して、味方のフリを平然としたりするので、彼らの行動はしっかりと観察した方が良い。四六時中は難しいであろうが、第三者への対応を見ながら把握する必要があるし、批判的に見ておく必要がある。

 言葉を鵜吞みにして信じることほど愚かなことはないのだから―…。

 ゆえに、言葉を扱う者は、行動において区別しないといけない。そのために必要な勉強はしっかりとしないといけないし、そこから逃げることはできない。国に住んでいる人々のすべては、自らが住んでいる国の支配者の行動をしっかりと監視し続けながら、その結果がどういうものであるかをしっかりと把握しないといけないし、そのための勉強を日頃から怠ることのないようにしないといけない。どんな苦しい時や辛い時であったとしても―…。落ち込んでいる人の気持ちを待ってもらえるほど優しさなんて持ち合わせていないし、そんなことは知らないという感じなのだ。

 勉強することも多岐に渡り、文系や理系だからという理由で、嫌いな勉強を拒否することはできない。それを許してくれる優しい人だけで世界は満たされているわけではないのだから―…。

 残念ながら、学ぶことに終わりはないし、学ばないという選択肢をすることはできても、学ばないことを続けることはできないし、許されることはない。

 人は完全にも完璧にもなれない存在である以上は―…。

 さて、内容がかなり逸れてしまったが重要なことなので、詳しく述べたという感じになった。

 アルタフはこの言葉を言っている間は、まるで、自らが演説しており、それを誰もが聞いているような素振りをしながら、イバラグラやその周囲がどういう動きをしているのかを見るのは怠らない。

 それは、小さな動きでも重要なことがおこなわれている可能性があるからだ。

 そして、アルタフの言っている間に、イバラグラは面倒くさそうにしながら聞き、秘書や官僚らの言葉を聞く。

 (アルタフめ、ややこしいことを言ってくれる。我も政治家としてどれだけ活動していると思っておる。お前の手口が分からないほどの馬鹿ではないぞ。)

と、イバラグラは心の中で思う。

 ドテっとした体形であり、肥満と分類されてもおかしくない体形であるが、頭の中の回転はしっかりとしている。

 だけど、イバラグラは元来、頭の回転が早い部類の存在ではなく、その父親からしてみれば、劣った存在でしかなく、完全に見捨てているが、一応は価値があるので、トップされているだけに過ぎない。そして、その父親が今、何をやっているのかを知っているのは、サンバリアの中でも一人しかない。そして、その父親の名前を出すのは、王政の最後の王のある時から禁句とされたのだ。その人物が犯した罪があまりにも人道に背くものであったからだ。

 その事件に関しては、後に触れるので、あったということを何となく頭の中に入れてもらうだけで充分だ。

 さて、イバラグラの方に話を戻すと、この存在の父親が何者であるかを知っているのは一部の人間であり、その人間の多くからしたらイバラグラの父親は危険な存在であると判断されており、知っている人間の中のさらに一部はこの父親から得られている利益のために、侵略戦争を止めることができなくなっている。その一部の原因となっていると言ってよい。

 イバラグラは面倒くさそうにしながらも、アルタフの言論で良く使う手法を知らないわけではない。だからこそ、アルタフが何をしようとしているのか分かっているのだ。それへの対処法も―…。

 「イバラグラ議長。ここはのらりくらりとした討論をお願いいたします。決して、感情的になるようなことはしないでください。メディアを統制することは可能ですが、それでも、限界がありますので―…。」

と、イバラグラの秘書の一人が言う。

 この人物も、秘書として仕事しているので、あまり家に帰ることができずに、食事もバランスの取れたものではないので、体は若干であるが小太りの感があり、動きもどこかゆったりとしたものとなっており、体もそこまで丈夫ではなくなっているのだろう。

 そして、ストレスはイバラグラから与えられるものなどとあり、そのせいで、精神への不調もあるが、この仕事によって家族を養っている以上、簡単に辞めるようなこともできない。

 イバラグラからしても、辞めさせるようなこともできない状態であるが―…。

 それが何を意味しているのかは、触れる必要もないだろう。

 そして、イバラグラのこの秘書からしてみたら、イバラグラが感情的になり、暴言を吐くようなことが過去にあったので、そのことによって一時問題になったことがある。

 その問題を拡大させたのは、アルタフらの勢力による行動が大きいのであるが―…。

 この問題は、数週間で鎮静化したが、いつその問題がぶり返されるのかは分かったものではない。

 そう、サンバリアは大きな問題を抱えているのだから―…。

 水面下にある壺の中に閉じ込めているが、それがいつ浮上するのか分からない。

 ほんの些細なきっかけで浮上して、壺が爆発して、問題が大きなものとなって表面に晒されることは十分にあり得る。問題はしっかりと解決しないと、消え去ることはなく、どこかしらでぶり返される可能性はしっかりと存在するのである。

 そのことを人は時に簡単な安全を手に入れた時に無視してしまう。その結果、再度、ぶり返された時に、「また」という言葉を発し、解決した問題であると勘違いするのだ。そうであるはずはないのに―…。

 だけど、その罠から簡単に逃れることはできないものなので、気を付けないといけないが、本当の意味で理解しているか、経験を積んでいるかしていないとどだい無理な話であることは確かだ。

 そして、権力者側からすれば、メディアを完全に統制することは不可能であったとしても、有力メディア機関の上部の人間を自らの側に引きずり込むか、自らの側の人間をその有力メディア機関の上部の人間に据えることができれば、大抵のことは自分達の思い通りにできるので、コントロールするのは容易いと思ってしまうであろう。

 だが、さっきも述べたように、問題にいくら蓋をしたとしても、結局、ちゃんと本当の意味で解決していなければ、その問題はどこかしらの場面でぶり返すことは避けることはできない。未来に先送りしているということで、先送りにしたことによって問題をより大きくしてしまう場合もあるのだ。

 そのことに気づかない、いや、気づかないフリをしてやり過ごすことで、大丈夫だと思いたいだけなのだろう。権力者側からしてみれば―…。適切なタイミングというものがあるので、先送りにした方が良い場合もあるが、できない場合もあるということになろう。判断は難しいことであるし、上手くいくかは人という存在には決して、完全に分かるようなことはない。

 そして、イバラグラが登壇すると、アルタフに対峙に、真剣な表情になる。

 嫌ってはいるが、睨み返すようなことをすれば、それが自身にとっての汚点になる可能性は十分にある。人々は一部の印象でしか判断しないし、自分からは何もしないくせに、何かしらを望むのだと、イバラグラは思っているのだ。

 イバラグラは、二年前の成功体験から、自身で行動することの重要性を理解したが、自分の行動が正しいと思っているし、サンバリアの多くの国民は何も動こうとはしなかったので、彼らのことを侮蔑しているのだ。

 だが、結局、彼らの行動がないということにおいて、成り立っているだけであり、彼らがイバラグラに反抗的な態度をとり、実際に行動をしてしまえば、イバラグラの政権を維持するのはかなり難しいことになる。まあ、その反抗的な人々に多くの被害を出させる方法などいくらでもあるが―…。

 それでも、サンバリアに住んでいる人々の数がかなり減少するだけで、結局、維持することができなくなってしまうのは確かなので、サンバリアに住んでいる人々を舐めるようなことは現実にはできない。気づいてしまえば、とんでもないことになるのは避けられなくなっているのだから―…。

 イバラグラは、アルタフに向かって―…。


第142話-5 創造主の石~人に創られし人の一族~と―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していきたいと思います。


セリフ以外の文が多くなっておりますが、こういうのは時々、筆が乗るような感じになってしまい、ついつい多くのことを書いてしまっているだけです。悪い癖でもありますが、嫌いな癖ではない、と私自身は思っています。

そして、議会の演説のセリフは長いし、回りくどいので、簡単に書くのが本当は良いのでしょうが、敢えて、回りくどい書き方をしました。そっちの方がサンバリアの議会の論戦という感じだと思いましたので―…。

次回も議会論戦の途中だと思います。

では―…。

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