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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
658/747

第141話-3 船は沈めさせない

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 瑠璃とナガレダの対決。

 ナガレダからしてみれば、さっきの礼奈と比べれば、弱いと判断する。

 「誰かは知りませんが、あのお嬢さんの仲間であることは分かります。だけど―…、あのお嬢さんよりは強く感じないのだが―…。」

と、ナガレダは言う。

 ナガレダが言うことは、ある意味で間違っていない。

 戦いの天才である礼奈に比べて、瑠璃はそこまで戦いの才能を持っているわけではない。

 それも瑠璃自身はしっかりと分かっている。

 だけど、それに負けないぐらいに天成獣から借りられる力量は多かったりする。

 そのことを敵であるナガレダに教える義理はない。

 教えても良いのだが、そんな時間はないだろうと判断している。

 ナガレダの実力がどこまでかは分からないけど、この戦いは十分ぐらいで決着が着くと予想しているからだ。

 予想外のこともあるので、可能性としか思っていないであろうが、瑠璃は―…。

 そんななか、ナガレダは瑠璃を見ながら、瑠璃の実力がさっきの礼奈よりも弱いと判断しているのか、自分でも勝てるという気持ちを抱いている。

 だからこそ―…。

 (嘗められているような感じしかしないが―…。かつてシエルマスの南方副首席まで出世した人間。天成獣の宿っている武器も扱うことができる。その実力で―…、雷なんぞの奴に負けることはない。隙だからけだ。)

と、ナガレダは心の中で思う。

 ナガレダからしてみれば、瑠璃は油断しているようにしか見えず、隙だらけであり、ナガレダ自身の武器を使えば、圧倒的な実力で勝利することは可能であると、自身の中で判断する。

 ゆえに、ナガレダは自身の天成獣の宿っている武器であるクナイを取り出す。

 その様子を見た瑠璃は、

 (忍者だぁ~。)

と、のんびりなことを心の中で思うのだった。

 それと同時に、ナガレダからしてみれば、油断しているようにしか見えない感じになる。

 (油断しやがって―…。)

と、ナガレダは心の中で悔しそうにする。

 だけど、悔しそうな表情を表に出す気はない。

 なぜなら、それは相手側の油断を誘いだすこともできるが、それと同時に、自分の感情というものを相手に諸に伝えることになり、余計に相手に有利なものにさせてしまう場合があるからだ。後者の方を避けないといけないと判断したナガレダは、表情を表に出さないようにする。

 〈瑠璃、油断しすぎだろ!!! というか、準備は万端だ。〉

 〈もふもふさんありがとう!!!〉

 〈もふもふさんじゃねぇ―――――――――――――――――――――――――――――――――!!! 俺はグリエルだ!!! 久々だから、俺の名前を忘れるな!!!〉

 瑠璃は別に、グリエルの名前を忘れているわけではない。

 グリエルのもふもふとした肌触りが瑠璃の中にグリエルに対する強い印象を与えているからこそ、このあだ名で呼んでいるだけに過ぎない。

 そっちのあだ名の方で瑠璃の中ではグリエルのことが浸透してしまっているのだ。

 こんな会話をナガレダが知ってしまえば、ふざけるな!!! と、心の中で憤慨していてもおかしくはないであろう。いや、確実に憤慨して、こんな場でなかったなら、言葉にして、瑠璃のことを叱っていたかもしれない。

 ナガレダは、裏の組織にいる以上、油断が自らの生命のこの世から喪失に繋がるということを嫌というほど知ってしまっている。というか、見て見ぬフリなどできやしないのだから―…。

 それだけ油断が自らにとっての不利な状況を招くのかを知っているのだ。

 そういう経験を後世に伝えるような仕事をすれば、それで稼げる可能性はあるだろうし、その経験というものを人に伝え、そこから新たな人材が自らの中に眠っている才能を目覚めさせ、それがその人だけでなく、周囲の人々、社会に貢献するようなことなどが十分にあり得るはずだ。

 それを今、この人物に期待しても意味はないことかもしれない。

 人という生き物は、どんなことをしたとしてもそれが最高の選択であったことを本当の意味で知ることはできない。その逆であることも知ることはできない。いろんな並行世界を見るということは現時点で、見ることなどを含めてできないのだから―…。将来において、並行世界を観測することが可能であるかについては、未来のある地点において可能であると証明されるかもしくは人類が終わるまでのできないことが証明されるかまで、可能性の世界の産物でしかないことを忘れてはいけない。

 ゆえに、人は自らの出来事に対して、有限な範囲で推測という考えを自らの確実な出来事であったかのように想定した上で、自らのおこなってきたことに対する判断の材料にして、自分の中で最高の選択だったかそれとは逆だったのかを判断しているだけに過ぎない。

 それに加えて、その判断を下すことにおいても、本当の意味で妥当な判断かを判断することは無理であろうし、未来のある一地点でのみ、その答えに近いことという名の結果が分かるだけに過ぎない。それ自体も完全に理解できないから、本質を探るのはなお難しいことであるし、偶然見つけるという要素を完全に外すことはできない。

 原因も結果も、偶然という要素を完全に取り除くことなど一切できないのだ。

 そのことを理解した上で、経験という名の出来事を分析し、そして、別の可能性を考慮に入れながら、自分の中での結論を導きださないといけないし、他者の指摘があれば、それを考慮に入れて考えないといけない。

 否定も一つの意見であるが、拒絶で他者の指摘を罵倒し、他者の人格を傷つけ始めれば、それはもう否定ではない。いや、否定という言葉は妥当かもしれないが、否定的意見とは違う性質のものであり、それは人格否定および精神的成長の拒絶という表現の方が正しいであろう。確実性のある言葉はまだ見つかっていないが、あくまでも仮定というものでしかないが―…。

 さて、話が逸れたので、元に戻すことにしよう。

 瑠璃とグリエルの念話が終わる頃には、ナガレダの方でも準備は完了していたようだ。

 瑠璃からしても、ナガレダから動かせるようにしているのは、ナガレダが隙を狙ってくる傾向があるのではないかというのを推測しているからだ。

 これまでの戦いの経験がそうさせているのかもしれない。

 死にかけるようなことを一回は経験しているので、慎重さというのはしっかりと身についているということと、人の意見はしっかりと聞くという感じにはなっている。

 その必要性を理解しているのである。

 躾として物理的な攻撃で子どもに理解させようとして、無理矢理言うことを聞かせないとできないと思っているだろうが、現実、その逆の方針で放置したとしても変わらずに真面な人間として育つことは十分にある。

 結局、大事なのは、失敗という経験を子どもにさせ、そこから他人の意見を聞くことが必要である経験をしっかりとさせることであり、失敗から学ぶということを学ばせる方が重要である。ただし、それが、子どもの命が奪われるようなもしくは社会的に大きな大損害になるようなことにならないように、そこに親および周囲の大人は注意しておく必要があり、そのことを忘れてはいけない。それと同時に、失敗は子どもにとって恥の部分であるが、大事な経験となり、社会へ出るためには必要なことであることを認識することだ。

 失敗をしなかったことに失敗し、失敗から立ち直ることができなかったがゆえに、それを乗り越えることができなかったがゆえに、自分の弱さを隠すかのように、他人の単純で薄っぺらい強さに憧れるのかもしれない。

 失敗という出来事を乗り越えるためには、周囲の人の力は絶対必要であるし、いろんな人の経験を知ることによって、同じ失敗する可能性を下げることができるのだから―…。

 そうでなければ、同じ失敗をし、その失敗が多くの人を犠牲にするのだから―…。

 そのことを絶対に忘れてはいけない。

 また、話が逸れてしまい、すみません。

 そして、ナガレダは仕掛ける。

 瑠璃は、ナガレダの方へ視線を向けなおすという馬鹿なことをしているが、それと同時にナガレダが何人も増えているように見えるのだ。

 それがどういう意味かを瑠璃はすぐに理解する。

 (幻!!!)

 そう、ナガレダの持っている武器であるクナイの中に宿っている天成獣の属性が幻であることを―…。

 そんなことを理解したからと言って何だ、とこれを見た者で思うものはいるかもしれない。

 現に―…。

 (すでに遅い!!! 私の天成獣の属性を幻と知ったからといって、私に勝てるわけがない。私は属性が幻であったとしても、そのスピードがかなりのものだ!!! シエルマスの中でもスピードだけなら、一、二に速いと言われていたのだからなぁ!!!)

と、ナガレダは心の中で思いながら、瑠璃が攻撃できる位置に移動する。

 ナガレダが移動しているように見せながらも、瑠璃の視点からではゆっくりと動いているようにしか見えず、ナガレダ本体の移動の方は瑠璃に見えないようにさせている。

 ゆえに、瑠璃はナガレダが近づいていることに気づかない。

 だけど―…。

 (ほ~ら。)

と、ナガレダは心の中で思いながら、クナイを瑠璃の心臓に向けて刺そうとする。

 そして、突き刺す!!!

 (勝った!!!)

 ナガレダは勝利を確信する。

 その確信ほど、隙になることはない。

 最大の隙だ。

 瑠璃はまるで攻撃を受けているように見えるが、それはまるで光の速さで―…。

 (消えた!!!)

 そう、瑠璃はナガレダが狙ってくることに気づいていなかったが、何となく、今の場にいるのは危険だと判断して、すぐに、光の速さで移動したのだ。

 その方法は、瑠璃の血の繋がった父親であるギーランから教えてもらった光での移動方法だ。

 ゆえに、瑠璃はギリギリのところでナガレダの攻撃を避けることに成功する。

 それと同時に―…。

 ナガレダは気づく。

 (何だ。これは―…。)

と。

 ナガレダからしてみれば、謎の物体でしかない。

 そう、目の前にあるのは、球体が一つとその周囲には雷が太陽から虹のように出るマグマのように発せられていた。

 それを見た時、ナガレダは自身の危険を感じ取った。

 ゆえに、距離を取ろうとしたが―…。

 「電玉―……。全方位電。」

と、瑠璃が言うと、ナガレダを雷の放電の中に巻き込むのであった。

 電玉が―…。

 「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 ナガレダは悲鳴に近い声を上げる。

 離れようとしたけど、離れる前に、「電玉 全方位電」の攻撃を受けてしまったようだ。

 瑠璃からしてみれば、ナガレダの扱っている武器に宿っている天成獣の属性が幻であると判断した時から、自分へと攻撃してくるのは分かっていたので、自身の背後に小さな電玉を一瞬だけ展開し、それを「赤の水晶」の発動させて、別空間の中に隠し、それを増幅させ、ナガレダが攻撃して、自分の体に触れる瞬間に神経の伝達スピードを音の速さに近い感じまでに加速させていたので、そこで、気づき、すぐに躱すのと同時に、別空間に入れていた電玉をナガレダのいる空間へと戻したというわけだ。

 瑠璃のいた場所の真後ろに―…。

 後は、素早く攻撃すれば良い。

 こうしてナガレダは瑠璃の仕掛けにまんまと嵌ってしまうのであった。

 その結果、今、目の前で現われている。

 (……………一応、天成獣の宿っている武器を扱うからその人が気絶するだけの一撃を与えられるようにしてるけど―…。まだ、油断できない。)

と、瑠璃は心の中で思うのだった。

 この時には、すでに瑠璃は油断するようなことはなく、幻の属性である以上、完全にナガレダが倒れているのを確認しない限り、安心することはできない。

 幻は相手の隙を狙ってくるのだから―…。

 さっきまで、油断していた人が言える言葉ではないが、戦闘モードに入っているのは確かである。

 そして、瑠璃は周囲を警戒しながらも、ゆっくりと近づく。ナガレダの方へと―…。

 一方で、ナガレダの方は―…。

 (あっ……。ダ……………………メ……………………………意……………シ………………………………………………。)

と、意識を無くすのだった。

 バタン。

 そう、本当に瑠璃はナガレダに圧倒的な力で勝利したのだ。

 だけど、もう少しの間だけ、瑠璃はそのことに気づくことはなかった。

 幻の属性に関して、相手する場合はそれだけの警戒を抱かないといけないことなのだから―…。

 

第141話-4 船は沈めさせない に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


次回の投稿日は、2025年2月25日の予定です。

では―…。

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