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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
651/747

第140話-2 黒幕は現場にいる

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 場所は礼奈がいた部屋。

 そこでは―……。

 一人の捕まっていた人物がいた。

 その人物は―…。

 「あの女ぁ~。」

と、怒りの表情をしていた。

 なぜ、そうなっているのか?

 そんなこと、考えれば簡単に分かることであろう。

 この人物は、礼奈を殺そうとして礼奈の寝ている部屋に入ったのであるが、返り討ちに遭って、逆に凍らされてしまい、縄で縛られるというオチまでつけられてしまったのだ。

 隠密部隊として、これほど惨めなことがあろうか。

 そんな思いを抱きながらも、この屈辱が消えるためには、礼奈を暗殺するしかないのだ。

 そうだと思いながら、この人物は思い出すのだった。

 凍らされた後のことを―…。


 少し時が戻る。

 (なっ、……凍らされるなんて―……。この俺が―…。)

と、心の中で思いながらも意識が次第に薄れていく。

 そんななか、礼奈が起き出すのを見て、侵入に最初から気づかれていたことに対して気づくのだった。

 そのことに気づくと、悔しい気持ちがしたのだ。

 そして、意識を失うことに抗うことはできずに、意識を失っていくのだった。

 そこから少しだけ時間が経過した後―…。

 「!!!」

と、この人物は目を覚ます。

 いや、意識をはっきりと覚醒させるという表現の方が相応しいであろう。

 そんなこの人物の目覚めの中で、少しだけ体をゆする。

 それは、自分の体の状態を確かめるものであると同時に、自分の体を動かすことによって、何かしらの周囲がどんなものであるかを把握しておく必要があるのだ。

 そして、気づく。

 (手の方が動かない。いや、正確には動くのだが、まるで、縛られているような感覚―……。手首の方が動かなくて、そこから先の方が動くのだからな。………っと、こんな分析をしている暇などない。凍らされた上に、意識を失い、返り討ちに遭い、こんな惨めな姿をさせられてしまっているのだ。)

と。

 そう、この人物は縛られている自身の状態に気づき、かつ、自分が隠密部隊の人間としてはあるまじき状態になっていることに悔しさを滲ませるが、この状態から脱しなければ、屈辱を晴らすことなどできやしない。

 そんなことは分かっているからこそ、すぐに行動にとりかかる。

 (ふう~、こんな縄ごときで俺を縛れるとは思わない方が良かったな。さっきは油断したが、今度は油断しない!!!)

と、思いながら、力技で手首を縛っている縄を破壊するのだった。

 まるで、何かしらの力に開花するような感じで―…。

 そのようにした後は、後は立ち上がるだけだ。


 時は戻る。

 (良くもこの俺を罠に嵌めてくれたものだ。あの女は絶対に俺が始末してやる!!!)

と、心の中で思いながら、礼奈が眠っていた部屋から外に素早い動きで出るのだった。

 そして、この人物をこんな目に遭わせた礼奈を探すのであった。

 それを見ている人物が二人いた―…。

 (何か、凄いスピードで移動して人がいるのだが―……。)

と、瑠璃は心の中で思いながらも、後を追うようなことはしなかった。

 今、この場には、何十人の瑠璃たちの命を狙っている人々が捕まっているのだから―…。

 彼らが意識を取り戻し、何かしらの行動をするのであれば、それを阻止しないといけないので、瑠璃とクローナはこの場にとどまっているのだ。

 礼奈が李章とミランの二人を探しに行ったし、さらに、普段なら眠っている時間なのに、見張りをしていないといけないので、瑠璃とクローナからしてみれば退屈でしかなかった。

 「退屈ねぇ~。」

と、クローナが言うと、

 「うん。」

と、瑠璃は頷くのだった。

 今、広い場所では大きな戦いが起こっているだろうが、瑠璃とクローナはそのことに気づくこともなく、のんびりしているのだった。

 警戒をしていないわけではないであろうが―…。


 大きな広場。

 空はすでに真夜中であり、黒が一面になっていてもおかしくはないが、今日は満月なのか、月の光によって、周囲を見渡すことは可能であった。

 そうである以上、敵の姿も数メートル、数百メートル離れると暗闇によって見ることも難しくなる。

 だけど、夜目というものがあれば、そこまで難しいことではないとしても、それに慣れるのにそこそこの時間がかかる。

 そして、この場にいる誰もが夜目をしっかりと使いながら、相手のことを警戒しながら見つめるのであった。

 自らの組織名であるアルぺエスという名を名乗った人物は、

 (さっさと殲滅しろ、ナロー、ベグ。)

と、心の中で思いながら、自らも行動を起こすのだった。

 狙いはすでに決まっている。

 危険な人物から排除する。

 そして、この人物が動いたのと同時に、ナロー、ベグと呼ばれる二人の人物が、それぞれ敵の場所へと向かうのであった。

 その移動の間―…。

 (ボスが一番危険な女のところに向かうだろう。俺としては、あの暗い色をしている鞭みたいにうねうねと動く方に向かうとしようか。遠距離も近距離も俺の得意どころさ!!!)

と、ナローと呼ばれる人物はミランの方へと向かうのだった。

 そして、ベグは―…。

 (あまりものの少年か。まあ、弱らせてくれたことに感謝していくか。)

と、心の中で思いながら李章のいる方へと向かうのだった。


 李章のいる場所。

 そこでは、李章が何かしらの気配を感じるのだった。

 (来る!!!)

 李章は最大限の警戒を抱きながら、「緑の水晶」の反応とそれへの答えを感じながら、タイミングを見計らって一気に、今いる場が移動するのだった。

 自身からみて右側にジャンプする。

 シュッ、っと。

 そして、数秒の時間もかかることなく―…。

 一人の人物が李章のいた場所へと踏みつけるかのごとく着地するのだった。

 ドォーン!!!

 という、弱い音をさせながら―…。

 「!!!」

 このように着地したベグは少しだけ動揺する。

 (さっきまでいたのに、いつの間に―…。)

と。

 ベグからしてみれば、攻撃が当たる寸前まで、李章は今、ベグのいる場所にいたはずなのに、残像を残すかのように消え、攻撃が当たったという感触がないのだ。

 一瞬のうちに、移動して避けられたということになる。

 そうなると、李章の移動スピードがベグ以上のものではないかと感じるのだった。

 だけど、そのようなことがあったとしてもベグの焦りというか、動揺というものは長く続くものではなく、すぐに、相手である李章が考えそうな手に対する対処をしようとする。

 (避けられたということは、必ず俺の隙を突こうとしてくるはずだ。そうだとすると―…。)

と、ベグは心の中で思うのだった。

 そう思っている間に、すでに李章はジャンプから着地すぐに次の行動を起こしていた。

 李章は、ベグの後ろへと走りながら回り、すぐに、そこから蹴りの攻撃を入れるのだった。

 ベグへと攻撃できるまでの領域に入った時点で、蹴りの動作へと移行していた。

 そして、ベグが答えに辿り着くころには―…。

 (後ろか。)

と、ベグは心の中で思いながら、後ろへと回るのだった。

 体を回している最中に―…。

 「ガハッ!!!」

と、声を漏らすのだった。

 そう、李章からの攻撃をもろに受けてしまうのだった。

 李章の方は、すでに攻撃の段階に移行しており、ベグが振り向く間に、蹴りはベグに命中したのだ。

 それだけ、李章は迷うことなく自身の攻撃へと移行したことであるし、相手が罠を仕掛けているのではないかということすら頭の中から排除しながら―…。

 そのような排除を可能にしたのは、「緑の水晶」に心の中で問いかけたからにほかならず、危険な知らせというものがベグからしなかったので、そのまま攻撃に移行できたのが大きい。

 要は、「緑の水晶」のおかげだ、とも言える。

 そして、ベグは少しだけ吹き飛ばされるようなことになるが、それでも耐えることならできる。

 なぜなら、ベグの方も天成獣の宿っている武器を扱うことができるのだから―…。その武器は小手であり、身体能力を上昇させることしかできないのだが―…。本当はそれ以外にもできるのだが、アルぺエスのボスがそこまで天成獣の宿っている武器の力の発揮のさせ方というものを知らないからだ。本人は知っていると思っているのだろうが―…。

 そうこうしている間に、ベグは李章の方へと視線を向ける。

 その間、李章も追撃をしようと思ったが、ベグの方がしっかりと警戒していることを感じ取り、攻撃に移行することはできなかった。

 躊躇いというものがあったのは確かだ。

 それゆえに、ベグは李章の方へと視線を向けることと同時に、警戒ができる時間を確保することができた。

 言葉を発する時間さえも―…。

 「さっき、私の部下がお前のことを弱らせてくれたはずなのだがなぁ~。それにしても、なかなか…やってくれるねぇ~。君の力はすごいよ。…でもねー…。」

と、ベグは李章を褒めるのであるが、最後の方でトーンを下げ、

 「私の力で君を倒すことは簡単にできるのだよ。さっきの蹴り攻撃へのスピードは凄まじいものであったけど、私の前ではもう意味をなさない。私への攻撃は意味のないことなのだからなぁ~。」

と。

 その間に、ベグは消える。

 李章の目には映ることもなく―…。

 (!!!)

 李章は驚くのだった。

 だけど、李章の冷静さがなくなるということはなかった。

 なぜなら、こんなとこで、冷静さを失った場合、今、戦っている敵から勝てるようなことは一切、なくなってしまうのだ。

 そんなことが許されるような状態ではないことを、李章は知っている。

 ここで負けることは、自らの命だけでなく、大好きな瑠璃の命をも失われる可能性があるということになるのだから―…。

 そんなことを李章は望みはしない。

 相手がどこか攻めて来るのかを考えている最中に―…。

 そう、すでに、ベグは李章の真後ろにいて、蹴りの攻撃へと移行していたのだ。右足での―…。

 そして、李章は気づくが―…。

 「雑魚が!!!」

と、ベグが言うと、ベグの右足の蹴りの攻撃は―…。

 !!!


 一方、ミランの方は―…。

 (何かしら向かっているけど、大丈夫―…。)

と、思うと、後頭部に何かしらのものが触れる感触がした。

 それは、自らの命の危険があるものであることにミランはすぐに気づく。

 ゆえに、その後頭部にあるものに集中しないといけない。

 自らの命を奪われたいという感情は一切ないのだから―…。

 相手を倒して、自らが生き残ることを望むのだから―…。

 ミランは、

 「私をこれで追いつめたとか思っていないよねぇ。」

と、言う。

 その言葉は駆け引きであり、相手の武器が何かしらのものであるかを推測することはできる。

 ミランは、後頭部にあるものは丸い形で、中央側に大きな空洞があることから感じて、銃なのではないかと思ったのだ。

 ミランの記憶に、何人か銃を扱う人間がいることは知っているし、拳銃だけでなく、リボルバーの類のようなものも―…。細かいところまでは分かっていないであろうが、銃であることを予想するのは容易い。

 それと同時に、自らのピンチを理解しながらも何もしないわけではない。

 それを相手に悟られるわけにはいかない。

 そして、ミランの後頭部に銃口を突きつけているのは、ナローである。

 ナローの武器は銃であることが分かる。

 そして、ナローは自身の勝利を確信し―…。

 「バイバイや。」

と、言いながら、銃の引き金を引くのであった。

 パン!!!


第140話-3 黒幕は現場にいる に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


では―…。

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