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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
649/746

第139話-3 こんな数も部屋に入らないんだけど

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 喜んでいる。

 喜ぶ状況にあるのだこの人物にとって―…。

 どうしてか?

 そんなのは簡単だ。

 この人物……、アルぺエスという自らの組織名を名乗った者にとって、天成獣の宿っている武器を扱うミランと李章に対して、部下であるメンバー達がダメージを与えることができたのだから―…。

 天成獣の宿っている武器を扱っている者とそうでない者にとって、実力差は天と地ほどのものがあるが、それでも、確実に倒せないことはない。一対一で倒せるような猛者は今、この世界というよりもこの地域においてはたった一人しかない。

 だけど、その人物も先のミラング共和国とリース王国との戦争で、天成獣の宿っている武器を手に入れているのだが―…。その人物も世間的には行方不明となっている。

 そして、十数人が倒されるようなことになりながらも、ミランと李章の二人をここまで追いつめているのだ。素晴らしいと賞賛されてしかるべきであろう。

 (これで二人を戦闘不能にして、始末することも可能になった。後は、部下らによって綺麗に始末されることだろう。証拠は残さない。隠密組織アルぺエスである以上―…。)

と、心の中でこの人物は思う。

 すでに、李章とミランは始末するだけの状態だし、始末することも簡単にできるであろう。

 それは部下たちによって達成されることであり、それを邪魔する者なんぞいるはずもない。

 ここで戦闘がおこなわれているなど、誰にも分かりやしない。

 李章とミランのいた部屋の近くにいたヤバい人間はいたが、その人間がここに向かって来ることなどない。

 そして、高い金を払ってサンバリアと交易している商人から買ったミニ型連絡通信機を取り出し、連絡しようとする。

 このミニ型連絡通信機は、現実世界で言えば、ガラケーと呼ばれるものに近い形をしている。ただし、数字しか打つことができないようになっており、その数字しか表示されないのだ。

 そうである以上、通信機同士で交換した連絡を入力して、連絡する。

 「アガ、応答しろ。」

と、アガという人物に連絡を入れる。

 アガとは、このアルぺエスという自らの属している組織の名前を言った人物の部下であり、この人物とは別行動をしており、ミランと李章ではなく、礼奈を殺そうとしていた人物だ。

 そして、この人物は礼奈の顔を見ているはずなのだが、アガが担当していた部屋だとは思ってもいなかった……、いや、正しくは勝利の光景のせいで、頭の片隅から消えてしまっていたせいだ。

 ゆえに、この事態に動揺する。

 (………………………………………………返事がない。どういうことだ。)

と、心の中で思う。

 通信機から返事がない。

 アガは、この人物が認める実力を有しているのは確かで、ゆえに、別行動を任せることにしたのだ。

 この人物からしてみれば、アガと連絡がとれないようになることは想定していなかった。

 倒されている可能性を考える場合、確実に、アガが任務を実行する前に気づかれ、返り討ちに遭ったということになる。

 そうだと考えると、やったのは抹殺対象の人物の中におり、かつ、天成獣の宿っている武器を扱うことができる人物―…。

 そして、この人物は頭の中に、さっきの映像が一枚の写真のように浮かぶ。

 (ッ!!!)

 そう、自分が李章とミラン以外の瑠璃、礼奈、クローナを始末しようとした時に出てきた礼奈の存在である。

 その人物が李章とミランの仲間であるならば、確実に、自分達の手でヤバい存在を敵に回したということになる。

 この人物は、すでに判断ミスを犯していたのだ。

 そのことに気づいてしまったところで対処のしようがない場合も存在する。

 このアルぺエスと自らの属す組織名を名乗った人物は、その例に当て嵌まるのかもしれない。未来のある地点でのことなので、ここで確定させるようなことを言っても意味はない。

 そして、気づいたとしても嘘であって欲しいという気持ちがある。

 だからこそ、再度、声を出すのだった。

 「応答しろ、アガ!!!」

 だけど、反応はない。

 その時間が過ぎるだけ、この人物に焦りというものが出始める。

 「どうなっている!!! 反応しろ、アガ!!! ………どうなってる!!! ………………どうなってる!!! ………………………グッ!!!」

と、悔しそうな声を出す。

 通信機からアガという人物からの反応がこないのだ。

 何かしらあったのではないかと思えることになるのは当然のことだ。

 最悪の場合について、考えないといけなくなってしまうからだ。

 すでに、ここで暇を潰しているような場合ではない。

 声を上げようとするが―…。


 一方、李章の方は―…。

 (体が………………………。だけど、まだ動かないといけない。ここで負けるわけにはいかない。)

と、李章は必死に立ち上がろうとする。

 倒れているわけではなく、両手を地面につけるぐらいにはなっており、誰かが馬乗りになったりすることができる体勢。

 そんな状態でありながらも、自分の状況も理解できないわけではないからこそ、自身のダメージを追加するようなことになったとしても、自分の限界を越えたとしても、目の前の囲っている敵を倒さないといけない。

 瑠璃たちを守るために―…。

 そんななか―…。

 「お前は立ち上がることすらできない。」

と、囲っている人物の一人が言う。

 そして、李章に向かって短剣を取り出し、李章を刺そうとする。

 多量出血による李章の命を奪うことを狙っているのだ。

 そのような状態であったとしても、李章に諦めるとか、どうせダメだという感情は一切ない。

 使命感というものを強く持っているからこそ、どんな状況でも強くいられるのかもしれない。希望にしがみつくことができるのかもしれない。

 「諦めません。」

と、李章は言いながら立ち上がる。

 そこには気迫というものがあり、それは圧となり、一瞬だけ、李章を囲っている敵側を怯ませることができた。

 (こいつ―……。)

 どれだけ諦めが悪いんだ。

 と、囲っている人物の一人が言いそうな言葉であり、李章を囲っている人物たちも同様な気持ちになっていることだろう。

 そんな気持ちを持っていたとしても、李章の今の状況を理解できない敵側ではない。

 戦闘とか、隠れてからの行動に慣れているからこそ、相手の状態がどういうものであるかを経験則から判断できてもおかしくはない。というか、できなければ、この裏の世界では生き残ることはできないのだから―…。

 ゆえに、李章が必死なのも分かる。

 李章はギリギリの状況ながらも、いや、それがゆえに、冷静さが最大限の状態になることができているようだ。

 (後ろから攻めてくる。だけど―…、緑の水晶(すいしょう)がなっていない?)

と、李章は心の中で気づく。

 気づいてしまうのだ。

 「緑の水晶」の効果は、危機察知なのだから―…。

 危機察知は、この「緑の水晶」の持ち主にとって、生命の危険などの重大な危機が迫っている時に、それを持ち主に教え、どうすればそれを回避することができるのかを教えることができる。

 だが、持ち主の実力では対処できないこともあるので、この水晶の能力を扱えるためには、それなり身体能力を有していることが絶対条件であるが、そうであったとしても回避できないことはあったりする。

 ゆえに、便利なのかどうか分かりづらいものであるが、あるとないとでは生き残れる確率が僅かであるが違っていたり、重要な場面で最悪の事態を回避できるという面ではかなり優れたものであろう。

 その優れ度の具合を確かめるのは難しいことであろうが―…。

 そして、李章は、「緑の水晶」が明らかに危機の状態にあるのに、何も反応していない。攻撃を受ける時であったとしても、その前に反応することがあるのに、反応しない。

 故障したとか、そんな類ではないということは分かっている。

 ゆえに、答えは決まっている。

 希望を抱き―…。

 「あなたたちに、ここで負けない。」

と、李章は自信をもって言う。

 その自信がどこから出てくるのか、その理由や根拠を知らない者達にとってみれば、李章の今、言っていることは強がりでしかない。

 「まだ、諦めないのか。残念だが、俺らのために―…。」

と、言いかけたところで、李章は立ち上がろうとする。

 だが―…。

 「ふせて!!!」

 その言葉に従う。

 李章は、これが自分にとっての危機を回避するための方法であることを知っているからだ。

 「緑の水晶」がそのように教えてくれたからだ。

 何が起こったのか何とかなく分かる。

 皮膚から冷たい感覚が伝わってくるのだ。

 そして、これができるのが誰だと予想することができる。


 一方で、ミランの方も―…。

 (ふう~、起きていたなら、さっさと助けないさいよ。)

と、心の中で怒りの感情を露わにするも助かったのは事実なので、言葉にはしない。

 まだ、戦いは終わっていないのだから―…。

 ゆえに、体を無理矢理でも立たせ、囲われている場所からミランは逃げ出す。


 その間―…。

 自らの組織名を名乗った人物は呆然とするしかなかった。

 あり得ないことが起こっているのだから―…。

 (凍らされた!!! ここにいる私以外の味方を―…。)

 心の中では動揺しかできない。

 どうして一気に凍らされたのかが分からないのだ。

 そして、気配のした方へと視線を向けると、そこには―…。

 「!!!」

 礼奈がいた。


 【第139話 Fin】


次回、矢を持った者に注意 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


第140話は、意外な展開で第141話に進むと思います。

というか、重要な新キャラを出さないといけないので、かなり後々の展開のこととか考えないといけなかったので、大変でした。

では―…。

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