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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
644/746

第138話-1 10人以上も敵はいるんだよ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 闇のオーラに覆われているミラン。

 その様子を、ミランを囲っているアルぺエスの一員らは見る。

 そして、動くことができない。

 さっき、ミランに隙ありと言って攻撃した人物があっさりと倒されたのだから―…。

 そうである以上、迂闊に動くことができないのは当たり前のことであろう。

 (攻撃できねぇ~。)

と、一人はこのように思う。

 そのような言葉を心の中で言ったとしても、問題がないどころか正しいとさえいえる。

 天成獣の宿っている武器を扱う者とそうでない者の実力差はかなりのものである。

 グルゼンのような存在は例外だ。

 グルゼンは過去にランシュに天成獣なしに勝ったほどの実力者であり、軍人としてもその資質は抜きんでたものであり、指揮官としてもかなり優秀で、こんな人物が多く世間にいるということを考えるならば、ほとんどいないだろうし、グルゼンのみだとしてもおかしくはないのだ。

 そうである以上、全部に近いぐらいの多くの人物は、以上で触れたように、天成獣の宿っている武器を扱う者とそうでない者の実力差はかなりのものであり、勝てる可能性は奇跡に近いもので、その時点で退くという選択は真面なのだ。

 今、このように隙を突くという感じで、任務を成功させるという選択をしている以上、どうしてもその成功可能性は奇跡的なものであり、気づかれた時点でそこまでに追い込まれているのだ。アルぺエスにとっては―…。

 だけど、すでに退くという選択はない。

 メンバーが捕まっている以上、そこからアルぺエスの今回の任務が何であったのか、それに加え、アルぺエスに依頼してきた組織に関する情報を間接的にでもあるが、どうしても漏れるようなことはある。

 それは、アルぺエスの組織として破滅を意味するし、そこに属すメンバーがどんな目に遭うかは想像したら、予想が付くだろう。

 ゆえに、もうここから僅かな勝利の可能性に縋り付くしかない。

 アルぺエス側は必死ということになる。

 (慎重に―…。)

 そうであったとしても、攻める方法がない以上、どうしても対峙状態になることは避けられない。

 攻めれば、さっきの奴のようにしたミランの攻撃によって倒されてしまうのは分かりきっていることなのだから―…。

 だけど、このような状態はアルぺエス側にとって有利な展開になることはないだろうし、時間稼ぎをすれば、ミランや李章の方が有利になる。

 なぜなら、船の職員がどうなっているのか気になって見回りに来る可能性もあるし、瑠璃やクローナ、礼奈が何かしらの異変を感じて、目を覚ましてやってくる可能性があり、そうなれば、このような状態は打開され、李章やミラン側は一気に相手を捕まえることができるようになるのだから―…。

 ただし、これはアルぺエス側が別のメンバーによって、瑠璃、礼奈、クローナが始末されていないことが条件となるのであるが―…。

 そうだと思うと、李章の方が焦っておこなったさっきの行動の説明もつくだろうし、李章は瑠璃思いなのである。

 そして、アルぺエスのメンバーの中でも、この状況を無理矢理に打破しようとする人が登場してもおかしくはない。

 そう、ミランを囲っていた一人が―…。

 急に動き出す。

 ミランの方向に向かって―…。

 痺れを切らしてしまったのであろう。

 (決めてやる!!!)

 ミランの方に向かっていった人物の心の中には、隙はないかもしれないが、ギリギリで倒すことができれば、自分にとって戦果となり、その戦果はアルぺエスでの自らの地位というものを上昇させるのには十分である。

 そうである以上、誰もミランを攻めないのであれば、自分が横取りのようなことをしても、大丈夫だと判断したのだろう。

 ミランへと今の状況で攻撃したらどうなるのかということを念頭から外して―…。

 それだけ、戦闘経験が浅いのだろうか?

 ミランの方は、

 (この技―…、全身を覆うから長くは使えないのよねぇ~。もって、後、数分かしら。そして、痺れを切らして攻めてきたのは一人―…。数を減らしておくことは大事ね。)

と、心の中で思うと―…。

 さっき、アルぺエスのメンバーの一人を倒した同様に方法で、倒そうとするのだった。

 結局、ミランの「闇の防壁領域」とそれに加えた「反射」の技による犠牲者を一人増やす結果となっただけだ。要は、前の奴はこの今、倒された人物にとっての犬死と何も変わらない結果となった。

 その光景は、この選択をすると、ミランに倒されるということをアルぺエスのメンバーに印象付けるようになる。

 そして、アルぺエスのボスだと思われる人物は、

 (また、一人!!! 馬鹿なことをしやがって!!!)

と、心の中で思うのだった。

 戦闘経験がしっかりとあり、冷静な判断をこのような緊張感のある場面で下すことができるのであれば、このような結果にならないという自分ができたことは他人でもできるということを押し付けて考えるのだった。

 重要なヒントと今後の経験として、失敗した経験を後の人に伝える面では役に立つことになるだろうが、それでも、そのことを受け入れるかは本人次第であるし、その人との人間関係によるということになる。良い関係を気づけるのが一番であるが―…。

 それと同時に―…、ミランは、

 (これで私の倒した敵が一人―…。)

と、増えることを認識するのだった。


 【第138話 10人以上も敵はいるんだよ】


 一方、李章の方では―…。

 「はあ……はあ……はあ………はあ……………。」

と、李章は肩で息をする。

 かなりのダメージを受けたことは確かなようだ。

 だけど、李章の目に降参した、負けたという感情の類は一切感じられない。

 普段であれば、囲まれている時点で、李章の勝利などあり得ないことであるし、その囲んでいる者達は隠密部隊の人間であり、相手の隙を探っていたりして、少しでも隙があれば、簡単に攻めてくることができるほどの実力を有しているし、それだけの経験がある。

 そして、そこで調子に乗るような無鉄砲な人間はほとんどいない。

 一部には、無鉄砲に行動する輩はいるだろうが、そんなことをしても結局、相手に利用されて倒されるだけなので、大部分は無鉄砲な行動をする気はない。

 ゆえに、ゆっくりと様子を確認しながら、李章の今の状態が嘘か本当かをしっかりと観察している。

 この観察は、彼らの経験からの判断であり、相手の表情から得られる情報を加味してのものだが―…。

 そういうことを考えると、迂闊に攻撃しない理由になっているが、チャンスを不意にすることはない。

 そして、李章の様子を観察して気づく者が一人―…。

 (狙いだ!!!)

 そのように思ったのは、李章が肩で息をしながらも、こちらへの視線を向けてくることは分かるが、それでも、動いてこないのだ。

 罠の可能性は十分にある。

 それでも、李章は今、肩で息をしており、それが本当の状態であり、戦うのもやっとなのではないかと思うには十分であった。

 かけるべき時なのではないかと思える。

 最悪のことを想定しながらも―…。

 もう一人は―…。

 (疲れている。ダメージを受けているのは確かなようだな。こっちはさっさと済みそうだ。そして、あの女の方がかなり厄介なのは確かだ。この餓鬼(がき)はそこまでではない。)

と。

 このように思ったのは、今の戦いの中で自分達がその隙を突けない相手ではないと、李章の動きから判断したのだろう。

 ミランの方は、戦い慣れというのもあり、自らの隙が生じた場合の対策法をしっかりとしており、持久戦になることは致し方ない。

 それは避けられないことなのだから―…。

 そうだとすると、李章の方を先に倒しておくことが、後々、自分達を不利な状態にせずに済むのではないか。

 倒せる敵は倒せる時に倒しておけ。

 そうすれば、最後の危険な敵に対しても余力を残して戦うことができると経験則から理解しているのだろう。

 そして、今、この心の中で思ったものが、李章の後ろにいたので、その李章の隙を突きやすいと判断し、動き出し、左足で李章に対して、蹴りの攻撃を決めようとする。

 すでに、李章に攻撃できる範囲まで近づいた後、すぐに攻撃に取り掛かり、攻撃の動作に移行する。

 だけど、李章の方も肩で息をしながらも、冷静さを失っていない状態であり、今の状態が返って、余計な情報を入れて考えることがなくなっているので、必要な情報のみであることから、判断力の早さに関して、かなりの良さが発揮できるようになっている。

 〈李章!!!〉

 フィルネの言葉に李章はすぐに気づき―…。

 ジャンプして、自らの後ろからの攻撃をかわす。

 「!!!」

 アルぺエスの一員で李章を囲っていた一人で、李章を後ろから攻撃しようとしていた人物は、李章に自らの左足での蹴りの攻撃が李章に当たると予想した地点までに到達する頃には、李章は残像の感じになっており、かわされてしまったのだ。

 そのことに気づき、驚いた表情をする。

 そして、李章があっさりとかわすという動作をしたことから―…。

 (こっちは五対一。勝てるわけがないのに―…。それに弱らせたのに―…。)

と、李章に左足の蹴り攻撃しようとして、外れた人物はこのように心の中で思う。

 李章に関して、一回、こちらの側で大きな蹴り攻撃を何度も何度も与え、地面にまで叩きつけるような攻撃を受けているのに、こんなに簡単に避けられるとは李章を囲っている側では思えなかったのだ。肩から息していることもそのことを補強するに十分な材料だったから―…。

 そう判断すると、李章を囲っている側からしてみれば、五対一という自らに有利にアドバンテージがあるからと言って、自分達が本当の意味で勝利ができるかは分からなくなってきたのだ。

 それを認めるわけにはいかない。

 なぜなら、任務が暗殺である以上、失敗は許されないし、失敗すれば、再度、暗殺をおこなうようなことを考えれば、相手側はかなりの警戒をしてくるだろうし、そうなってくると、暗殺の成功率は極端に下がる。

 それに、自分達に対して、誰かを暗殺して欲しいという依頼は、再度、今回の任務の失敗により、依頼されなくなる可能性の方が高いからだ。隠密部隊としての実力は、結局のところ、任務を成功したかというところにかかってくるのだ。

 失敗しても、それを挽回することができないわけではないが、その挽回はかなり難しいものであり、信頼を築くよりも大変なことであるのは確かだ。

 そうである以上、失敗をしたい理由はない。

 ゆえに、アルぺエス側のかなりの本気モードに入っているのだ。

 それに対して、李章は一回攻撃を避けた後、地面に着地し考える。

 (蹴りだけで倒せる可能性はかなり低いと考えた方が良いです。そうなってくると、武器を使うしかありません。ミランさんを巻き込む可能性もありますが、ミランさんならしっかりと避けてくれると思います。)

と、李章は心の中で思う。

 李章からしてみれば、武器を使わず、蹴りを使っての勝利の方が望ましいが、そのようなことはできないと判断せざるをえなかった。

 負ければ、瑠璃やクローナ、礼奈に被害が及ぶのは分かりきったことなので、負けないためにも、自分が出せる実力の最大限を出すことを選択する。

 そのためには、武器を展開することが必要である。

 そのための準備を考えるのであるが―…。

 そのようなことを相手側が許してくれるはずもなく―…。

 李章を囲っている中の三人が着地した李章のいる場所へと素早く向かう。

 その時に、李章に気づかれないようにして、李章のいる場所で、三方向から攻め、蹴りの攻撃で李章に当たる段階までのところに来た時点で迷わずに攻撃をする。

 蹴りの攻撃を―…。

 短剣などの武器を使っても良かったであろうが、それに蹴りの方がしっかりと李章には効くだろうと判断したし、そっちで、こちらの優位性を証明することができれば、相手は絶望する可能性があると判断したからだ。

 そして、そのような攻撃されるような段階で、李章は動くことなく、じっとしている。

 この三人の動きに気づいていないわけではない。

 勿論、気づいているのだ。

 だけど、タイミングというものが重要であり、それをはかっている感じだ。

 (決めてやる!!!)

と、李章に攻撃しようと思っているアルぺエスの一員の一人は思う。

 心の中で決着がつくと判断してのことであろう。

 (三対一。そして、この距離から避けられることはない。そして、そのように考え込んだことが油断。)

 (決める……決めてやる!!!)

 後、李章に攻撃しようとしている二人は、李章が油断していることを理解しているからこそ、今回の攻撃で李章は倒されると判断する。

 未来は決まっていない。

 未来が決まっていない以上、その確定的な考えを抱くことは時に危険なことでしかない。

 なぜなら、人は完全に未来を予測することも、予知して未来の一時点を当てることはできないのだから―…。

 そうである以上、勝負が決まっていない段階で、勝負が決まったというようなことは言うことなどできやしない。

 そして―…。

第138話-2 10人以上も敵はいるんだよ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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