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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
642/747

第137話-3 多すぎる敵の数

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 闇の噴き上げは消える。

 そして、すぐに姿を現わした最初に「闇の領域攻撃」を食らった者達は、その場で倒れるのだった。

 それだけ、ミランのこの技の威力が強かったということが分かる。

 それと同時に、彼らの実力はミランに遠く及ばないということを証明するものであった。

 (闇ごときでやられるとは―…。なさけないボスだ。)

と、一人の部下は心の中で思う。

 この部下は、実力自体は要領が良かったのか、すぐに暗部の仕事を覚えることができたが、そのせいかと判断するのは危険だが、自分ができることを相手もできるというあり得ないことを押し付けがちであり、自分なら、李章とミランを圧倒した実力で倒せるだろうという、実力の測り間違えをおかしている。

 そのことに気づけるようになってこそ、裏の人間として一人前であるが、そのことに気づいていないので、そうではないだろう、と判断することはできる。

 まあ、自らの思い上がりがどれほどの間違いであるかを知る機会は必要である。

 だが、その機会によって、二度とその職に戻れないような結果になれば、結局、成長できずということになるのであろうが―…。

 本当に、それをやれば完全に正解というものは、この世界には存在しないのであろうということを証明している。

 そして、ミランが発動した「闇の領域攻撃」がやみ、魔法陣のようなものは消える。

 その魔法陣が消えるのを、敵味方問わず、視線を集中させるのだった。

 そこでは―…。

 一人の人物が倒れているのだった。

 だけど―…。

 (違う!!!)

と、ミランは気づく。

 そう、倒れているのは、アルぺエスと言った人物ではなく、別の人物であり、格好は同じであるが、一瞬で身代わりにされたのだと気づく。

 ミランは驚きの感情をほんの一瞬見せるのであるが、今が戦いの場であるし、負ければ殺されることが分かっているので、相手側の士気が上昇させるようなことはさせない。

 一方で、李章は、

 (……一瞬で、味方を身代わりに―…。こんなことをするなんて―…、許せない。)

と、心の中で思う。

 李章からしてみれば、同じ仲間である人物を自分の攻撃をかわすために身代わりにしたのだから―…。

 そのようなことをするなんて、あり得ない。

 そう思っている。

 だけど、この世の中には味方すら蹴落として、自分の命を守ろうとする人物もいるし、そうしないといけない時が存在するのだ。本来は、そうならないようにしないといけない。

 世界が残酷であるし、この選択は裏の人間だからこそ、あっさりとおこない得たものである。

 アルぺエスと言った人物は、裏の世界の経験があり、最初に所属した組織が人を見捨てたり、上に逆らうことができないほどの大きな組織であったことから、自らが生き残るための術として自然と身に付けたものである。

 これを責めるのはかなり難しいことでしかないが、結局、人は変われないのではなく、変わらないことによる安定を望む傾向のある人間が多いのかもしれないことによる。変わることによって、自分が変わらないことによって得られていた利益とは違うが、同等以上の利益を確保できないことを恐れるのだから―…。

 そして、アルぺエスと言った人間は、李章の後ろに回り、今度は短剣で李章の首筋を狙う。

 だけど―…。

 (!!!)

と、李章は緑の水晶によって、何かしらの自分に危険が近づいていることに気づく。

 そして、その危険による自分が殺されるのではないかと思われることを回避するために、前に一歩ジャンプするように動き、すぐに、後ろへと振り返る。

 それと同時に、李章は後ろにも警戒するのだった。

 油断していない、ということを示すために―…。

 (チッ!!! 全方位に対して、目があるのか!!!)

と、アルぺエスと言った人物は心の中で悔しそうにする。

 態度には絶対に現わさないようにしながら、同時に、李章が厄介な相手であることを認識しつつ、ミランによる攻撃を回避するために、僅かに動きながら、部屋の入口へと素早く移動する。

 一回ほど距離をとっておく必要があると判断したからだ。

 そして、そこへと到着する頃には、李章もミランもアルぺエスと言った人物の今いる場所へと視線を向ける。

 さっきの攻撃は、確実に李章を殺せると判断していたが、まるで、後ろを振り返る時の李章が迷いの類がなかったことに対して、まるで、全方位を見渡せる能力を持っているのではないかと思うほどの行動であった。

 緑の水晶の効果なのであるが、そんな情報がない者からしてみれば、能力者、もしくは天成獣の能力であると判断した方が納得がいくというものである。

 能力のある水晶の存在など、ローや一部の人間にしか知られていないものであり、能力者がこの異世界にいると知っている者達よりもさらにその数は少ない。

 ローがあまり水晶に能力があるということを世間一般に言っているわけではないし、かつ、水晶を創る能力に関しては、多くの人間は知っているだろうが、それがローに結び付くかと言われれば、そうではないし、不思議な能力を持っている存在だとしか認識されていない。

 戦闘をローは、周囲に見せることなくやっているからだ。そして、それも噂の域を抜け出すことはできない以上、ローは戦闘できるという可能性を知っていても、老婆であることによって、疑いの目でみられるというわけだ。

 さて、ローの話ではなく、物語の方へと話を戻そう。

 李章とミランは、アルぺエスと自らの組織名を名乗った人物と対峙しながら、一方、部屋の入口近くもしくは中にいるであろう、アルぺエスの組織の一員達がどこで攻撃を仕掛けてくるのか分からないので、そこへの警戒も怠らないようにする。

 そして、アルぺエスと自らの組織名を名乗った人物は、二人のことを厄介とは思いながらも、ずっと黙っていることが正しいかと言われれば、そうではないと判断している。

 「中々、やりますねぇ~。私としてもこういうのは嫌いじゃないですけど。目的を果たした後の後処理がどうしても雑になってしまう。だから―…、あいつらをやれ!!!」

と、命じる。

 その命令は、アルぺエスに属している者たちで、この場にいる者たちにとって、上からの命令だ。

 ゆえに、李章とミランを確実に始末するためには、今いる数を二つに分け、李章とミランを分断して、包囲することが効率的である。

 それは、犠牲を減らすやり方であるし、相手の手助けによる大きなコンボを発揮させないということも含まれているからだ。

 だからこそ、やることは分かっている以上―…。

 消えるようにして高速移動を開始する。

 シュッ!!!

 という小さな音を李章やミランに聞こえるかどうかのギリギリラインでさせながら―…。

 (消えた!!!)

と、李章は心の中で驚きながらも、相手が何をしようとしてくるのかはある程度予測することはできる。

 だが、それは複数であり、その複数から一つに絞るのはかなり難しく、時間はない。選択肢を吟味するための―…。

 (どこから来る!!!)

 ミランは心の中で李章に近い感情になりながらも、それでも、警戒を怠るようなことはしない。

 アルぺエスと自らの組織名を名乗った人物のことに対する警戒も怠らないようにしないといけない以上、どうしても、それに割けるリソースというものが発生して、完全にということにはできないし、それより近い状況になることはない。

 その二人の様子を見ているアルぺエスと自らの組織名を名乗った人物は、

 (お前らの所だ。)

と、心の中で思う。

 部下たちにやるべきことはアイコンタクトでも分かるようにしている。

 なぜなら、話している言葉によって、相手にこちらの意図を伝えてしまうことになる場合があるので、そのことを推測させるけど、答えを出させないようにするために、アイコンタクトをしっかりと事前に取り決め、憶えさせていたりするからだ。

 そういう日頃の訓練が、今、この場で活きているというわけだ。

 そのアルぺエスの行動に、李章とミランは驚くのだった。

 「!!!」

 (囲まれた!!!)

と、ミランは心の中で思いながら、一瞬、驚く。

 だけど、そのような表情もすぐに変え、冷静な表情になりながら、心の中で自身が完全に冷静になるように暗示をしようとする。

 ここが戦いの場であり、負ければ、自らの命がなくなり、味方の命も全部奪われる可能性が存在している以上、冷静になれない状況や、自分のミスは仕方ないという言い訳をすることはできない。

 緊張感のはらんだものであるが、その状況は自発的におこされたものではない。

 そうである以上、自らが最大に状況に応じて、力を発揮しないといけない。

 (……………変に動くのは危険だけど、動いた時に相手を驚かせて、隙を作ることが大切。)

と、ミランは心の中で思うのだった。

 同様に、李章の方も―…。

 「!!!」

 (囲まれました!!! ここで時間をかけるようなことは危険でしかありません!!!)

 李章は、敵の数から判断して、この数ですべてだとは思えない以上、安否が確認できていない人の方の確認に向かわないといけない。

 だけど、この部屋が広いわけではないし、十数人いること自体、かなり狭くさせられており、自らの蹴りもかなり難しいのかもしれない状況だ。

 それでも、この船の部屋の中ではかなり広い方であり、かなりの金額がするものである。

 すでに、調度品に気を使っている暇もないし、敵を倒すのには慎重に体力の配分をした上で、相手の意図をしっかりと理解し、それを利用しないといけない。

 やろうではなく、やらなければいけないのだ。

 その中で、余裕の気持ちができているのは、アルぺエスと自らの組織名を名乗った人物である。

 (せいぜい、この数を相手に疲弊してくれると良い、天成獣の宿っている武器を扱う者達は、この数でもかなり難しい可能性はあるだろうが、こいつらを抑えて、分断させておくことはしっかりとした意味はある。最後は、私がとどめを刺し、他の奴らも始末してやろう。任務を達成さえすれば、我々の祖国を復活させることができる。)

と、心の中で思う。

 この人物からしてみれば、李章やミランだけでなく、瑠璃、礼奈、クローナを始末するのは、自分達の滅んでしまった祖国を復活させるための一歩に過ぎず、失敗は許されない。

 この人物も失敗イコール自らの命を失うことになる暗部の組織に属していたのだし、その考えが自らの体の芯の部分にまで染み込んでしまっているのだ。

 それから抜け出すようなことは簡単にできないだろうし、染みついてしまったものから反抗したとしても、それに染まりきっていることから、どこかでその部分が出てしまったりするものだ。

 ゆえに、強い経験や、嫌なことから抜け出すには相当な覚悟と同時に、かなりの神経を普段から使わないといけなくなるのだ。まるで、復讐の連鎖のように、幽霊の憑依であるかのように、根本を絶たなければ、結局は、続いてしまうことになるのだ。悲劇という形で、新たな犠牲者を増やしながら―…。

 そして、この人物は、自らの勝利を完全に確信することはできないが、油断に近いもの、集中力が若干ではあるが、きれているという面があるのは確かであろう。

 李章は、包囲されていることに気づいているので、全方位を警戒しないといけないことは確かだが、それを完全に上手くおこなえるかと言われば、それは不可能でしかない。

 李章は警戒しながらも―…。

 〈フィルネ。刀を使うのはかなり難しい。蹴りで今のところは何とかしないといけない。大丈夫。〉

と、念話をする。

 李章の武器である刀に宿っている天成獣であるフィルネは、李章がおかれている状況から判断して、刀を使うのは周囲への被害を大きくしてしまうし、ミランに当たる可能性を考慮に入れると、危険だと判断して、李章が戦い慣れている蹴りの方が良いと判断する。

 そうして、最悪の場合は、李章も自分で理解して刀を扱うことになるだろうという気持ちを抱きながら―…。

 〈わかった。〉

 フィルネは、念話で返事する。

 ちょうどその時―…。

 一人が消えたのに気づく。

 李章の視点からはそのようにしか見えない。

 そして、李章の後ろから蹴りの攻撃を入れようとするが―…。

 すぐに、緑の水晶の反応に気づき、すぐに避ける。

 シュッと、いう感じで―…。

 (チッ!!! 避けられるか!!!)

と、李章に攻撃をしようとしたアルぺエスの人間は、そのように思うが―…。

 それと同時に、李章は移動を終えたところで―…。

 (誰が見逃すかよ……。決まり!!!)

 自らの直感に従ったのか、李章が移動先の近くにいたアルぺエスの人間は目の前に現れた李章に対して、攻撃をおこなおうとする。

 その攻撃は―…。

 「!!!」

 (消えた!!!)

 短剣による攻撃で突き刺そうとしたが、失敗し、逆に―…。

 「グッ!!!」

 そう、逆に、短剣で攻撃しようとしたアルぺエスの組織に属する者は蹴りの攻撃を受け、吹き飛ばされるかのように、蹴り飛ばされるのだった。


第137話-4 多すぎる敵の数 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していく予定です。


このバトル……少し長くなると思いますが、決着は早いと思います。

いろいろと伏線はってますよぉ~。

では―…。

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