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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
627/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(281)~最終章 滅亡戦争(136)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。

 そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。

 一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…、ラウナンの策によりミグリアドから撤退しないといけなくなったが、その後、ミラング共和国が攻めてきたが、リーンウルネの影ながらの支えにより、勝利するのであった。

 そして、舞台は最終決戦となろう場所、ミラング共和国の首都ラルネへと―…。

 「そうか、まあ、俺の部下も優秀だから、そのイルターシャって奴は暗殺されないかもな。」

と、ランシュは言う。

 確実に言えることだ。

 現に、ランシュは、

 (まあ、確実にイルターシャの暗殺はないだろう。この部屋の中にいるエルゲルダの護衛の力を考えると、俺よりも弱いことは確かだろうが、ヒルバスの方がこういう場では俺よりも強いので、あっという間に終わってしまうだろう。ヒルバスの勝利によって―…。)

と、心の中で思いながら―…。

 ここに、イルターシャが戦力として入っていないように思える。

 だが、ランシュも勘違いしているが、厄介である以上、イルターシャの実力はかなりのものであることに変わりはない。

 つまり、シエルマスぐらいなら、簡単にあしらうこともできるし、シエルマスの幹部を始末することもできる。

 そうである以上、ヒルバスなしでも勝利することは造作でもない。

 現実に、ヒルバスなしに、シエルマスの幹部の一人を戦闘不能状態にしているのだから―…。

 それをランシュが考慮していないのはおかしいとこの場で言えても意味はない。

 人はすべてのことを考えられるほどの存在ではないし、そのようなことはできない。

 そんな存在なのだから―…。

 そして、ヒルバスの方も幹部の一人を始末しているのだから、実力はかなりのものであるし、ラウナンは知らない。

 知ることもないだろう。

 シエルマスの幹部の二人がシエルマスを裏切り、リース王国軍の側に降伏したということを―…。

 ラウナンの方は、ランシュの言っている言葉を完全に嘘だとは思っていないが、嘘の可能性が高いと判断し、ランシュの言葉を真剣に受け止めることはなかった。

 それよりも、どんなに強者であったとしても、隙を見せない存在などいない以上、その隙を素早く短剣で突き、何もさせずに始末する。それがランシュに勝つために必要なことであり、暗殺や相手の隙を突くことが得意なラウナンならできることだ。

 だけど、それが本当に成功するかどうかは、実際に起こってみなければわからないことであるが―…。

 そして、ラウナンは、

 「そうですか。まあ、その言葉が強く見せるだけの発言でしかないことを証明しますよ。」

と、言いながら、姿を消すのだった。

 ラウナンからしてみれば、ランシュは姿を消したラウナンを見て、警戒度を上げるだろうが、すぐに、僅かな隙を見せてくることになろう。

 そう思いながら、姿を消し、ランシュの視界から消える。

 これは高速移動を瞬時におこなうことで、ランシュから消えているように感じさせているだけに過ぎない。

 そして、ラウナンはしっかりとランシュのことを自らの視界におさめながら、隙が生じないかを探る。

 一方で、ランシュは、

 (そんなものは、対したものではない。ラウナン=アルディエーレは、イルターシャよりも天成獣の扱う才能はないようだし、圧倒的に差がある。そして、シエルマスの統領である以上、こいつに生き残るという選択肢を取らせるということはできない。後顧の憂いをなくすためにも―…。)

と、心の中で思う。

 ランシュは、ラウナンの才能を対峙した段階である程度理解することができた。

 その理解とは、ラウナンはイルターシャよりも天成獣の宿っている武器の扱い方を理解していないし、天成獣とのコミュニケーションをしっかりととって、天成獣の力がどういうものかをしっかりと把握していない。ゆえに、自らの戦いにおける力を十分に発揮できていないということをランシュは見破っている。

 ゆえに、ランシュが今のところ優位であるし、ラウナンの優勢な状態になっていないのだ。

 それに、ランシュは、別に動揺することもない。

 ランシュは、リース王国の騎士団に長く所属しているし、戦争も今回だけでなく、前に一回ほど経験している以上、相手が何をしようとしているのかを考えることはできる。

 戦争というか戦闘の中で生き残るためには、自分がどういう状況に置かれ、相手は自分を不利というか始末してくるために何をするだろうか、ということをこのような状況でも動じずに考えることができる。

 それだけの経験をしっかりとしてきたのだから―…。

 ランシュは考える。

 (さて、ラウナン=アルディエーレが透明になっておこなうことを考えると、二つに絞られるだろう。まず第一に、俺の隙を探ろうとすること―…。そして、第二に、エルゲルダを何らかの方法で逃がすために、自らが触れてエルゲルダを透明にするかもしくは時間稼ぎとして俺に襲いかかって、接戦を演じるか。 だが、後者の中のエルゲルダを逃がすためなら、無理に透明化する必要もない以上、一番の可能性が高いのは、同じく後者の中のエルゲルダを透明化させようとすると考えた方が良い。ああ~、本当につまらんな。そして、俺から逃れられると思うなよ。ラウナン=アルディエーレ。俺は、お前よりも実力が上であり、かつ、透明化させるという幻の属性を見破ることができるんだよ。)

と。

 ランシュが考えることをラウナンが考えているかというと、第二は違っていた。

 ラウナンが狙っているのは、ランシュの隙を探ることであり、エルゲルダをどこか遠くへと避難させようとは考えていなかった。

 その理由は、ラルネ全体が戦場となっている場に、傀儡の道具を逃がしたとしても、エルゲルダの動くペースが遅いので、どうしたって、ラルネの外に出るのに時間がかかるし、時間がかかればかかるほど、リース王国軍に見つかってしまう可能性がある以上、そんなことをする気はない。

 それに、ラウナンはランシュを始末することができると思っている以上、この場から逆転することも可能だと判断しているだろうし、その僅かな可能性に縋り付こうとしているともいえる。

 人は、自らが失うことを恐れる生き物であり、それが回避でき、利益を保障されるのなら、その選択しを狙うことは十分にあり得るし、予想できる。

 そうであるからこそ、エルゲルダを逃がすという選択肢をする気はない。

 それに、女たちに囲まれている以上、エルゲルダに到達することは不可能だ。

 そう思えば、ラウナンがやることはランシュの隙を探ること以外にない、と結論してもおかしくはない。

 ランシュは、ラウナンの気配を探す。

 そして、ランシュが勘違いしていることなのであるが、ラウナンの天成獣の属性は幻ではなく、生であり、姿を消したようにしたのは天成獣の能力ではなく、高速移動を応用したものでしかない。

 幻であれば、ラウナンの気配を探ってもランシュが探り当てられるかは分からない。

 だが、ランシュならその気配をしっかりと見つけられるだけの能力はある。

 なぜなら、ランシュの天成獣であるトビマルは幻を無効化できる特殊能力を持っているからである。

 そうである以上、この場でのラウナンの勝利の可能性はかなり低いものにならざるをえない。

 ラウナンは気づいていないだろうが―…。

 ランシュは一秒も時間をかけることなく―…。

 (いた。)

 ラウナンの居場所を見つけるのだった。

 そこから、ランシュが高速移動しても、ラウナンに追いつかれることなく、エルゲルダを始末できるのではないか、という結論にたどりつく。

 そして、ラウナンに考えさせる暇と動揺を誘うためには、ラウナンに向かって行くのではなく、ラウナンが守るべき存在であり、ランシュが復讐する対象を始末した方が得だと判断する。

 トビマルからの力の量はかなり借りられているし、すぐに、行動を開始することはできる。

 だからこそ―…。

 ランシュは動き出す。

 迷っている暇などない!!!

 何もない空間の方へと向かう。

 第三者が見れば、ランシュが血迷ったかのように見えるが、これは何も間違っていなかった。

 そう、この部屋は天成獣の宿っている武器を使いながらしっかりと察知をするか、気配を探るかしなければ、次第に、その幻影の中へと沈み込むといわれる別の大陸で開発されたというかなり珍しいアイテムが使われていた。

 そのアイテムをリース王国やミラング共和国の周辺、サンバリアにおいても再現ができないほどのアイテムであり、天成獣の力の一部を再現しただけに過ぎないものであるが―…。

 そのアイテムは所有者であるラウナンに対して、都合が良い状態にし、女たちとエルゲルダを隠したのである。

 そして、ラウナンの居場所を探し出すと同時に、女たち以外の気配を探しだし、その二つに絞り、その一つであるテラス方面へと向かう。

 ランシュは迷わず、周囲の女たちを傷つけないようにして、長剣を構え、素早く斬る。

 ランシュの視界では、何もない空間であるが、そこには―…。

 ザン!!!

 そうすると、ランシュの視界にエルゲルダが映るのだった。

 そのエルゲルダは自らが斬られたことにも気づかずに、その意識をなくしていく。永遠に―…。

 この時、エルゲルダは自らの走馬灯を見るのだった。

 それは、幼少期からのものであり、自分が劣っていると自覚させられたこと、そして、優秀な一族の者たちに嫉妬したこと、アババの力を借り、そいつらを始末し、アルデルダ領の領主となり、自分の思い通りにならない時は、その原因を排除した。人の場合なら、殺しもした。

 そんな恐怖政治の中で、先のミラング共和国とリース王国の戦争で王国側から見捨てられ、ラウナンに捕まり、傀儡となり、ミラング共和国の総統となり、最後は―…。

 ただ、ラウナンはこう思っていることであろう。

 自分がすべての人の中、それ以外の者に比べて上の地位にあり、何もかも自分の思い通りにしたいと思っただけなのに、このような悲惨な最後を迎えるなんて―…。

 あり得ない、あり得ない、って思うことであろう。

 だが、何もかも思い通りにはならないし、そんななかでも自らの思いを実現するために、足掻いてきたのだ。エルゲルダもそうであるし、結局、それは受け入れられることなく、悲惨な最後を引き当てるという結末となった。自業自得だと簡単に言う人もいるかもしれないが、物事は、いろんな要因が絡んでくる以上、単純に判断することはできないし、自分とそれ以外の要因が必ず絡まってくることになるし、それをできるだけ分析した上で、結論を下す必要があるだろう。

 決して、一つだけの単純な答えになることはまずない。ほぼ……。

 そうであるからこそ、何かしらの起こった原因を探るのは、大変なことであるし、簡単な言葉で口にして、適当な結論は時に、最悪の結果をもたらす場合があり、簡単に結論を言うべきではないし、押し付けるのは危険なことでしかない。

 エルゲルダがここで終わることは運命かどうかはわからないが、未来から過去を見た場合、一つの結果となるであろう。

 そして、エルゲルダの命が尽き、ほんのわずかにエルゲルダの目が動くのをランシュが確認できる程度であり、それは、命があった瞬間でしかなく、エルゲルダはその間に、走馬灯を見て、自らの人生を悔いたのであろう。

 その悔いは、決して、自らの罪を認めるものではなく、あったのは、自分がどうしてこんな目に遭わないといけないというものであった。

 それを知ることは、誰にもできないことであろう。

 能力者であり、人の心を読む能力とかなどでなければ―…。

 さて、話を戻そう。

 ランシュによってエルゲルダが斬られるのを見た女たちは、

 『きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。』

と、悲鳴を上げるのだった。

 その悲鳴を聞いて、衛兵がやってこないかを心配するのはランシュだった。

 一方で―…。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(282)~最終章 滅亡戦争(137)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


では―…。


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