番外編 ミラング共和国滅亡物語(279)~最終章 滅亡戦争(134)~
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。
一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。
その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。
翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。
戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。
その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。
翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。
リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に
、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。
リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。
その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。
ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。
その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。
一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。
その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。
一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。
その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。
それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。
その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。
ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。
そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。
一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。
それが重要な問題となる。
ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。
そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。
一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。
その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。
そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。
一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…、ラウナンの策によりミグリアドから撤退しないといけなくなったが、その後、ミラング共和国が攻めてきたが、リーンウルネの影ながらの支えにより、勝利するのであった。
そして、舞台は最終決戦となろう場所、ミラング共和国の首都ラルネへと―…。
ランシュの言葉に対して、エルゲルダは動揺する。
エルゲルダからしたら、その言葉の意味が分かってしまうからだ。
(クルバト町―……。あそこの人間は全員始末したはずだ。後々、俺に対する復讐を発生させないようにするために―…。こいつはクルバト町の出身を名乗っているのか。生き残りがいたって言うのか!!!)
と、エルゲルダは心の中で考える。
動揺している表情をしているから、ランシュにはバレバレであるが―…。
エルゲルダは、自分がどのようにして過去にアルデルダ領の地位を手に入れたのかという経緯、かつ、自分がおこなってきたことがかなり人の恨みをかう可能性があったこと、復讐されそうになったこともあった経験から、クルバト町に関しては、クルバト町の中における自らの側の人間をも始末した上で、クルバト町にいる者達を殺害し、情報を改竄して、それを世間に公表した。
それが矛盾することもあろうが、調べさせている奴にいろんな意味で警告、最悪の場合、始末することによって、何とか、自らのおこなった汚い行為に関して、世間に白日のもとに晒されるようなことにならないようにした。
そうすることで、自らの馬鹿な行為を追及され、言い逃れできない状況になるようなことを防いできた。
そして、証拠をなるべく残さないようにするのが一番だ。
その最大の証拠が人となる以上、人の始末が最も合理的である。
だけど、それを達成できることなんて一切、ない。
全滅なんてものは奇跡的なことでも起こらない限り、達成されることはないし、運良く生き残るという可能性の方が高いのだから―…。
決して、忘れてはいけない。
情報が漏れないということはまずなく、追及できないようにすることができるだけであり、そのようなことをしても、自らにとって、都合の良い展開できるという保障はどこにもないし、自らの破滅から完全に何事においても起こらないところから逃げ延びることなどできない。
あるのは、新たな不幸でもあろう。
そして、完全にできたと思っていたし、数年、そのような噂もなかったので、エルゲルダは気にするようなこともなかったが、侵入者が入ってきて、そのようなことを言うのだった。
ランシュの目が真剣そのものである以上、嘘を吐いているとは思えなかった。
それでも、嘘を吐いていると思いたかった。
一方で、ランシュは、エルゲルダがランシュのクルバト町の出身であることを聞いて、エルゲルダが言葉を発さないで、動揺するのを見て、生き残りがいることに驚いているのだろうと、思った。
そして、ランシュは、この部屋にいる女たちすべてではないが、エルゲルダの近くにいる女たちが自らの生まれた姿を隠しているのを確認して、言い始める。
「俺がクルバト町の出身であることは言わないでもらおうか。俺は、お前らの命を奪う気はないし、どことへも行けばいい。俺の用事は、エルゲルダ様だからなぁ~。」
と。
ランシュからしてみれば、女たちを殺す動機はなかった。
ただし、ランシュがクルバト町であるという情報を漏らさなければ……であるが―…。
まあ、漏らしたとしてもそれが世間に広まるようなことがなければ、始末するようなことはないだろうし、そのような状態になる時は、よっぽどのことである。
そして、ランシュの強さを理解できないわけではないが、強いということが理解できたのか、エルゲルダから離れ、一か所に集まっており、ランシュものそのことを理解する。
それは、ランシュにとっても無駄な殺生をすることに繋がらないので、心の中で安心するが、懸念がないわけではない。
(エルゲルダの女を殺すとは思えないが、エルゲルダが不利になれば、そのようなことをしかねないのは、可能性としてかなり確実性の高いものとして考えることができる。俺よりもエルゲルダやその護衛たちが―…。本当に、何で復讐者の俺が守らないといけないのか。しょうがない。俺が自発的に復讐をしている以上、余計な恨みを抑えるためには仕方のないことだし、それぐらいの配慮をしないと、俺にとっても最悪の展開になるし―…。)
と、ランシュは、心の中で思う。
ランシュからしてみれば、エルゲルダの女がイルカルによって洗脳された女性たちであることを知らない。ゆえに、エルゲルダに媚びを売っているのだろうと思っているが、それでも、無駄な殺生は余計な恨みをかうだけであるし、ランシュがエルゲルダを殺すこと、ランシュがクルバト町の生まれだということを世間に言いふらさなければ、問題はないと思っているのだ。
そして、ランシュはエルゲルダから視線を完全に外すこともなく、かつ、警戒を緩めることもなかった。
さらに、この部屋に入ってからの違和感も感じていたが、それはあまり重視していなかった。
何かしらの動きがあれば、動く予定ではあるが―…。
勿論、エルゲルダを見逃す気はないが―…。
一方で、部屋に潜んでいたラウナンは、
(……………クルバト町か。確か、エルゲルダが過去にいちゃもんをつけて滅ぼした町か。その生き残りがいるとはな―…。運が良かったとも言えるが、復讐にはしるとは―…。正面からやり合っても勝てないが、隙さえつければ勝てる。軍人であるからこそ、隙はあるはずだ。それでも、動けないと感覚が告げる。何故だ!!!)
と、心の中で思う。
ラウナンは、ランシュが危険であることには気づいているが、それでも、自らが暗殺においてランシュよりも弱いということを認める気にはなれなかったし、自分の傀儡という玩具に手にかけようとしているのが分かるので、それを阻止しないといけないからこそ、ランシュに対する見方を歪曲させるのだった。
そうしなければ、ラウナンの人格が崩壊してしまう危機に直面してしまうことになるからだ。
だからこそ、ラウナンは、ランシュの隙を探し、そこを突けば良いと考えるのだった。暗殺者のような思考をして―…。
しばらくの間、無言の空間が続いた後、エルゲルダが話し始めるのだった。
「クルバト町だと―…。あそこは、俺の言うことを聞かずに、反対しやがったから~その見せしめに―…。」
と、オドオドしながら―…。
エルゲルダからしたら、ランシュは恐ろしい存在であることは確かだが、ラウナンが負けることはないだろうと判断し、本音を言うのだった。
これは、戦闘経験がエルゲルダに不足していたからに他ならないどころか、そもそもないからこそだと思う。
それでも、独特の雰囲気を感じ取ることができるのであれば、危険性というものは分かった可能性はあるかもしれない。
だが、人というものは経験や本能というものがどれだけ正確なものになり、状況に適応できたものになるかの度合いかは判断のしようがない。同時に、一寸先は闇とも思えるぐらいに、自らの予想できなかった結末を迎えることだって十分にあり得る。
自らの生命の終わりという結末だったりと―…。
そして、エルゲルダにとって当然だと思える判断も、周囲からしてみれば、エルゲルダ以外からしてみれば、油断にしかならないことだって十分にあり得るということにもなる。
ランシュは、
(ここで本音を出すとは―…。オドオドした喋りをしながらも言えるとは―…、何というか、色に溺れて頭が弱くなったのだろうか。元々なのか。そんなことをいくら推測したところで、エルゲルダ本人にしかどうやってなったのかわからないことであろう。いや、本人もわかっていない可能性も存在するか。まあ、そんなことを考えても仕方ないか。)
と。
ランシュは、今、エルゲルダの言葉がオドオドとしていたものから、エルゲルダの頭が女遊びのしすぎの結果、思考力が衰えたのではないか、と思ったのだ。
エルゲルダは、ここ数年、ランシュの指摘した色に溺れるような日々であったからこそ、安寧がかなり保障されていたからこそ、頭を使ったり、自らに刺激を与えたりすることがなかったせいで、予想外の出来事に対処する能力を低下させてしまっていたのだ。
人という生き物が環境に適応する生き物である以上、必要とされるものを人ができる範囲で強化していきながら、その能力を伸ばしていくだろうが、それとは反対に、使わない能力を次第に、衰えさせることによって、勘を鈍らせると言った方が良いかもしれないが、そうすることで、次第にそれができないというか、やり方を思い出せないようにしていく感じであろう。
その感覚を論理的に説明できる段階に来ていないので、この表現になってしまい申し訳ない。
人という生き物は時間を使った上で、自らの行動を行使して能力を使用したり、伸ばしたりしており、生死という存在の始まりと終わりがあり、それは時間という軸の上を移動しているような感じである以上、どうしても使う能力、使わない能力が発生することから免れないし、自らの全ての能力を知るということは完全にはできない可能性が高い。
確定的な表現も可能であろうが、まだ、そこまでの思考には言っていないので、このような表現となる。
そして、ランシュは、エルゲルダの様子を観察するが、それをしても無意味だと思い、会話をする方を選ぶ。
「ああ、エルゲルダ様がクルバト町の税を増やすと示したことに対して、クルバト町の町長は反対し、町長との交渉も平行線で終了し、その帰りで町長は何者かによって殺され、埋められた。そいつに命じたのは、エルゲルダ様だという。そして、エルゲルダ様は見せしめにクルバト町を攻め、エルゲルダ様に繋がっていたクルバト町の一部の勢力と結託するも、そいつらも殺し、町で殺人をおこない、クルバト町を燃やし尽くすのだった。そのエルゲルダ様の遠征で俺の妹と母親は殺された。俺はその二人の死体をこの目で見ている。俺は、家族を殺したエルゲルダ様に復讐しに来たんです。エルゲルダ様―…、こんな呼び方は面倒くさいな…、お前を殺しに―…な。」
と、ランシュは言う。
エルゲルダと会話をすることは、ランシュのストレスでしかないし、復讐という自らの目標を早く達成することに、今、集中したい。
そんな気持ちもあるだろうし、他の衛兵によって囲まれるリスクがこの部屋に長くいればいるほど、高まってくることが分かっている。
ならば、エルゲルダを始末するために、このような会話をしなければ良いじゃないかと思われるかもしれないが、間違ってエルゲルダでない者を殺害すれば、それはただの殺人者にしかならないと、ランシュが思っており、そのような間違いによって、ランシュへの復讐を企む者が現れるのは、余計な手間にしかならない。
ゆえに、それが発生しないために、ちゃんと確認しておく必要はある。影武者とかの可能性も考慮入れないと、本当はいけないのだが―…。
そうしなくても、ランシュは、エルゲルダということが分かるのだろうと思う人もいるかもしれないが、そうではなく。
エルゲルダがそうだと言っているので、エルゲルダだと信じているだけなのだ。
現に、正解であるので、ある意味で運が良いということであろう。
そして、ランシュは興奮に包まれた感情を上手く隠しながら、今、すべきことに集中する。
一方で、こういう場にはなれていないエルゲルダは、すぐに、感情を表に出してしまう。
「儂を愚弄しおって~。それに、どこでそのような情報を手に入れた。まあ、考えても仕方ないか。だがなぁ~、お前は俺の部屋に入った瞬間に殺せば良かったぁ~。もう遅いがな―…。俺はミラング共和国の総統。絶大な権力を持っており、俺を裏切ったリース王国なんかよりもはるかに強い権力を…な。」
と。
エルゲルダは、リース王国のアルデルダ領の領主の時代は、リース王国に臣従するしかないほどの実力であったが、ラウナンに捕まり、数年後、ミラング共和国の総統となり、ミラング共和国は国であり、リース王国に臣従していないので、強い権力という名の力を手に入れているのは事実だ。
だけど、それと同時に、ラウナンに事実上は従わないという一面では、リース王国のアルデルダ領の領主の時代と何も変わらないし、共通点と言っても良いだろう。
そして、エルゲルダはリース王国の裏切られる形で、前回のミラング共和国とリース王国の戦争で見殺しにされそうになったのだから、リース王国を裏切り者だと判断してもおかしくない。特に、ラーンドル一派、レグニエド、この二人は―…。
ゆえに、今、この強い権力は、リース王国を滅ぼすために使われ、それが達成された暁には、自らを裏切った者達に対して、自らを裏切ることがどういうことになり、自分が如何に優れた存在であり、無視せず、崇め奉らねばならないのかを教えてやるのだ。あの世まで―…。
そして、エルゲルダが思っている間に、ランシュはこれ以上の会話は意味がないと判断し、エルゲルダへの復讐へと行動に移す。
ランシュは、
(なるほど、最初から気づいていたけどな。この部屋には、侵入者がエルゲルダしかいないと感じて、油断している隙に、護衛が素早く殺すということか。まあ、殺そうとしても無駄だけどな。威圧で動けないようにしているしな―…。だけど、一人だけ、俺の決定的な隙というものを狙っているのがいるが―…な。そいつが、護衛の中で一番強いのか。何となくだけど―…。天成獣の宿っている武器でも扱えるのか―…。いや、数年前に俺が戦ったグルゼン親方は、天成獣の宿っている武器を持っていないのに、俺を倒すほどの実力を有している人物さえいると、その類なのかもしれない。そうなると、かなり厄介なことになるが、俺としては、数年前よりも確実に強くなっている以上、対抗できないということにはならないはずだ。)
と、心の中で思いながら、部屋に入った時から気づいていた。
そう、ラウナンの存在をも―…。
だけど、名前を知っていたわけではないし、それ以外の急増のシエルマスの見習いを衛兵として雇っており、隠れさせていた。
まあ、見習いである以上、まだシエルマスの工作員のように完全にできないので、欲情する輩もいたが、それを裏で始末することによって、無理矢理理解させるのだった。
そういう恐怖のおかげで、しっかりと任務を見習いでもできていた。
そして、ランシュの侵入により、圧によって動けなくなっており、今も、シエルマスの見習いは動けなくなっていた。
さらに、続けて、
(だが、グルゼン親方よりも強いとは思えない。俺の決定的な隙を窺っている奴は―…。ふう~。それよりも先に、雑魚を片付けるか。)
と、ランシュは心の中で思いながら、念話をする。
〈トビマル。準備はいいか。〉
〈大丈夫だ。いつでも、本気を出して構わない。〉
この会話によって、ランシュはエルゲルダへの復讐に移りながらも、まず、シエルマスの見習いを始末して、最後に、ラウナンの始末へと向かおうと考えるのだった。
そして、ランシュの天成獣であるトビマルはすでに、準備を完了しており、いつでも、実行できるような状態にしていた。
お互いが意思疎通をしっかりさせているからこそ、できることであろう。
トビマルの行動に心の中で感謝の気持ちを抱きながら、すぐに、移動をしようとするが―…。
「だから―…、貴様は終わりなんだよ!! クルバト町の生き残りは、あの馬鹿な町長の一派にすぎないんだよ。殺せ、殺せ!!!!」
と、エルゲルダが大きな声で言う。
その言葉は、エルゲルダが冷静に状況を見られていない状況になっており、ランシュの始末に躍起になっている証拠であろう。
ラウナンは指示を送る。
「やれ、侵入者を。」
その言葉により、シエルマスの見習いたちが姿を現わし、ランシュを始末しようと向かうのだった。
その数、軽く二十は超えている。
だが―…。
番外編 ミラング共和国滅亡物語(280)~最終章 滅亡戦争(135)~ に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆をしていくと思います。
2024年の10月の前半までに、『水晶』の番外編「ミラング共和国滅亡物語」の投稿は終えると思います。すでに、仕上がっていることに関しては、活動報告でしたと思います。
反省すべきことはたくさんあると思いますが、新章の執筆を今日から一部再開しながら、意外にも予定よりも進んだので、楽しめているのかなぁ~、と思っています。
サンバリアへと到着するまでに、数十話分を消費すると思います。エピソードに直すと100から200前後ぐらいになるのではないかと予定では思っています。予想以上に伸びる可能性はあると思いますが―…。
サンバリア到着前までにグロい回やシーンを出さないといけなくなると思いますが、なるべくオブラートに包む感じで執筆していくようにするつもりです。
サンバリアに到着後は、ある意味でバトルの連続だと思いますが―…。
ということで、一年以上も「ミラング共和国滅亡物語」を執筆してしまったことは、自分の予想の甘さと加えたくなるという気持ちのせいだと思いますので、反省します。
そして、私の作品を読んでくださっている皆様には感謝しかありません。ありがとうございます。
では―…。