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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
617/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(271)~最終章 滅亡戦争(126)~

 申し訳ございません。遅れました。


『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。

 そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。

 一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…、ラウナンの策によりミグリアドから撤退しないといけなくなったが、その後、ミラング共和国が攻めてきたが、リーンウルネの影ながらの支えにより、勝利するのであった。

 そして、舞台は最終決戦となろう場所、ミラング共和国の首都ラルネへと―…。

 アマティック教の教団本部。

 その中で、いろんな声が木霊する。

 それは怒りなのだろう。

 緊張をはらんだものである。

 「急げ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 「侵入者を撃退しろ――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 「侵入者の特徴は!!?」

 「女が二人だ!!!」

 「どうしてこんなに簡単に侵入できたんだよ!!!」

 衛兵たちだけでなく、アマティック教の教団職員の声も混じっている。

 彼らは、侵入してきたリーンウルネに対処しようとしていた。

 リーンウルネは、アマティック教の教団本部に不法侵入してきたのだから―…。

 目的は、イルカルであり、彼らが侵入者を撃退しようとしていることは間違っている行為ではなく、正しい行為でしかない。だけど、彼らは、侵入者であるリーンウルネが何を目的にしているのか分からず、何となくイルカルなのではないか、イルカルの身に何かあってはならない、そのような気持ちで動いているだけに過ぎない。

 それは、洗脳されているだけに過ぎない行動なのかもしれないが―…。

 それを判断するには、まだ、この場にいた者なら早計であると判断することであろう。

 そんななか、リーンウルネに対処しようとするが―…。

 「ふむ、こんな数で囲んで、儂を捉えようとしても無駄だというのにの~う。理解してくれると助かるのじゃが―…。イルカルへの忠誠のために、そのことを理解してしまえば、お主らは負けを認めてしまったことになり、精神が崩壊してしまうのかの~う。それに加えて、お主らの洗脳を解除したとしても、精神の崩壊は避けられぬか、お主らの心の―…。じゃけど、どっちにしても精神の崩壊をなすことになったとしても、儂以外の人―……、お主らが本当の救いとなる人物を見つけ、そこから自らの精神の崩壊から立て直し、そこから己の弱さを知り、それに向き合うことができる本当の強さを持つ人間になることを祈るさせてもらうとするかの~う。」

と、リーンウルネは言う。

 リーンウルネの言っている意味を理解できる者がこの場には、ほとんどいないだろう。

 従者であったとしても、リーンウルネの言っていることの意味の大枠が理解できても、それに賛成できる気持ちにはならない。

 だけど、リーンウルネには分かっている。

 自らがその人に対する悪という存在になる覚悟がない限り、その人を救えないこともある。今のような場合がその例に該当するのだろう。決して、すべてのケースで、このようなことをすれば良いというわけではない。完璧で、完全な方法でしかない。

 リーンウルネは同時に、自らがしようとしていることが無責任なことであることは重々承知している。

 洗脳されている人の洗脳を解除することは、その洗脳されていた時期の記憶を消すことではなく、その逆の洗脳されている時期の記憶を残したまんまにすることである。

 そうである以上、自らの真の意味での意思に反した行動をとっていたので、その洗脳解除後は、その時期の記憶が嫌でも残り、それに悩まされるということになるのだ。忘れられないということは、嫌な記憶、思い出したくもない記憶を永遠に引きずって、向き合っていかないといけないことになる。要は、忘れるということは、その嫌な記憶や思い出したくない記憶から逃げることができ、精神的安定を保つ上では必要なことなのかもしれない。

 だけど、向き合わないといけないことも時にはあり、その時に、逃げることは許されないが―…。

 そのことのパターンを人が見破ることや、正確に判断することは、時と場合によって、できたりできなかったりする。完全にも完璧にもなれない存在であるがゆえに―…。

 そして、リーンウルネがイルカルの方に向かっているのだ。

 何とかしないといけない。

 「誰か、侵入者の元へ向かった奴から情報は!!!」

 とにかく情報は必要だ。

 正しいか、間違いか、もしくは全部ではないが、一部もしくは多くの部分が正しいという要素を持っているのか、その逆が成り立つのか、そのようなことになるであろうが、情報がなければ、判断を下すことはできない。

 そう、不正確というか、何が起こっているのか分からないがゆえに、情報がゼロのままに判断することは何も分かっていない要素に適当に名前をつけているだけに等しい。というか、そんな賭けのような決定ほど、危険なものはない。

 当たれば良いが、外れた場合は、最悪の可能性を引き当てると、自らの破滅に抵抗する時間すらないのだから―…。

 実際は、僅かではあるが、情報というものは存在していたりする。人の感覚というか、認識できる範囲ではないが―…、直感ははたらく類の―…。

 「そんなの分かるかよ!!!」

 「だけど、侵入者に近づこうとしても、弾かれる!!! どうなってやがるんだ!!!」

 分からない人もいれば、実際に、体験している人もいる。

 ここから推論できることは―…。

 「ふむ、何をしたとしても無駄じゃろうに―…。なのに、それでも、諦めずに向かってくるとはの~う。そういう気持ちは大事じゃけど、弱肉強食の世界じゃと、そのような選択は良い意味をもたらすことはないじゃろう。ということで、イルカルのところへ案内してもらたいのじゃが―…。」

と、リーンウルネが姿を現わす。

 リーンウルネは歩いているだけだ。

 歩くだけで、しっかりと進むことができる。

 それと同じように、アマティック教の教団職員は後ろへと後退していかないといけない。

 リーンウルネの周囲に張っているバリアによって、教団職員が攻撃をしても意味がないどころか、使用している武器が駄目になっていくのだ。

 使い物にならなくなるので、結局、リーンウルネはゆっくりと歩くペースで進んでいくことができるのだ。

 そして、リーンウルネは、イルカルのところへと案内しろと、球団職員に要求しながらも歩いて行く。

 それは、敵が集まってくる方向から、どこらへんにイルカルがいるのかの目星をつけているからだ。それが正確に、イルカルの場所に到達するための方法であるかどうかは分からないが、敵からしてみれば、こういう場所では、自らのトップを守るために行動する可能性が高い。

 特に、教祖を崇め奉るアマティック教のような組織では、その傾向が強いとリーンウルネは判断したからだ。相手の立場に立つとは、相手を有利にすることもあるが、自らを有利にすることもできる。それに、相手が何を考えて行動してくるのかを理解することで、その対処法をうつことができる。これは、何かしら敵と戦う時には必要な能力であり、敵のことを無視しているだけでは、勝てる勝負も勝てない場合だってあるし、思わぬ一撃を喰らうことだってある。そのことを忘れてはいけない。

 リーンウルネは、そういう相手の立場を知るということを、怠る気はないし、自分が正義だと思って威張り散らし、他者をぞんざいに扱いながら、他者のことを無視をするようなことはしない。他者のある程度の理解こそが、自らの望む結果を手に入れるためには必要であり、予想外を少しでも防ぐためには必要なのだ。

 まあ、人という生き物がちゃんと完全に他者を理解することはできないが、何もかもすべてを理解できないというわけではない。そのことはしっかりと覚えておく必要はあるだろうが―…。

 他者の理解は、いろんな場面で重要であったりするので、そのことを忘れてはならない。

 リーンウルネの言葉を聞いた者達からは、リーンウルネに対する印象は傲慢だとしか感じられなかった。そのせいで―…。

 「侵入者風情が―…。ふざけたことをぬかしやがって!!! そんなふざけた能力を解除し、大人しく捕まれ!!!」

 「そうだ。」

 『そうだ、そうだ!!!』

 アマティック教の教団職員は、リーンウルネに向かって、能力を解除しろと言う。

 これは、リーンウルネの能力ではなくて、天成獣の能力であり、それを使っているだけに過ぎない。

 そして、このアマティック教の教団職員が群集心理というものをしっかりと理解しているわけではないが、このように大勢を使い、標的の人に迫れば、簡単に標的となった人がその人が持っている元々の意見を無理矢理、自分達にとって正しい意見に変えることができるという成功体験をいっぱい知っている。

 ゆえに、今度も、成功するだろうと思うのだった。

 人は一人では何もできないし、人は多くの人と一緒のことをすれば、大きな成功を得られると―…。

 だけど、それがいつも通じるわけではないのだ。

 「ふむ、そうやって、多くの数の者を動員して、まるで、自分を一人だと思わせることにして、自分が間違っているのではないかと思わせるものでしかないの~う。本当に、お主らのような一人では弱いのに、数が集まれば自分は強いと勘違いした者がやりそうな作戦じゃ。勘違いするな。本当の意味で、分かり合えるようになった者以外がそのようなことをしたとしても、ただの圧力であり、しょうもない脅しにしかならんわ。それで、一人の意見を捻じ曲げたとしても、それがお主らにとって本当に正しい選択だったとは限らぬのに―…。それが理解できぬから、こういうことをするんじゃろ。自らの弱さを隠すために……の~う。じゃけど、そんなことをしても無駄じゃ。自らの弱さを受け入れぬ奴に、真の強さなど手に入れられるようなことになるわけがないの~う。ということで、邪魔じゃ!!!」

と、リーンウルネは長台詞(ながぜりふ)を言う。

 リーンウルネがそのようなことをやっていては、簡単に誰かに隙を突かれるのではないかと思う人もいるかもしれないが、バリアをしっかりと張っているので、このような長時間話したとしても、リーンウルネに傷一つつけることはできない。

 そして、リーンウルネは最後の方で圧をかけるような感じで言い、アマティック教の教団職員はその言葉に少しだけ狼狽えるのだった。

 なぜ、自分がそうなっているのか教団職員には理解できなかった。

 (………………何だ、侵入者がどうしてここまで輝かしく見える。不法侵入者だぞ。イルカル様を守り支え、アマティック教を栄えさせることが私たちの幸せ。こんなにも同士がいるのに、どうして俺たちはこんな二人の女にビビらないといけない。)

 アマティック教の教団職員は、自らの数の優位を理解しているからこそ、リーンウルネにビビっていることの真の理由を探ろうとはしない。

 その数の優位に縛られてしまっているのだ。

 その縛っている鎖の強さはかなりのものであるし、常識という概念がそれをさらに強化してしまっているのだ。

 この異世界でも数の優位は重要な、自らの優位性を確立するために必要なことであるが、それが絶対だということではない。天成獣という存在がいる以上、その可能性に気づける機会は多いだろうに―…。

 だけど、気づくか気づかないかは、時の運やきっかけというものが必要であろうが―…。

 まあ、天成獣ということを知っていなければ、気づきもようはないだろうが―…。

 そして、リーンウルネは従者とともに歩きながら、アマティック教の教団職員の包囲を無理矢理壊しにいく。

 「周りが敵ばかりになっても、自分の意思をしっかりと示そうともしなかったのだからの~う。」

と、リーンウルネは付け加えるのだった。

 その言葉には、この場にいる者のすべての強さよりも明らかに上回るものであった。

 王族だからとか、貴族だからとか、そんなものは一切関係なく、人一人としての力強さであることに間違いない。

 それは自らの人生経験と知識、そして、それを生かそうとした結果によるものである。

 運という要素がないとは言い切れないが―…。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(272)~最終章 滅亡戦争(127)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


では―…。

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