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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
616/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(270)~最終章 滅亡戦争(125)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。

 そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。

 一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…、ラウナンの策によりミグリアドから撤退しないといけなくなったが、その後、ミラング共和国が攻めてきたが、リーンウルネの影ながらの支えにより、勝利するのであった。

 そして、舞台は最終決戦となろう場所、ミラング共和国の首都ラルネへと―…。

 そして、怒られているハウルラは申し訳なさそうにしながら―…。

 「すみません―…。」

と、つい、小さな声に言ってしまうのだ。

 ハウルラとしては、この職場をあまり好きになることはできなかった。

 給料は良いけど、新人として入ってきてから三年の間、ずっと怒鳴られてばかりだし、出された仕事も夕方までに終わるものではなく、それよりも遥かに多い量だし、一日で片付くはずもないし、残業は毎日であったし、家に帰ることができない時もあった。

 さらに、ハウルラは容姿はイケメンであるが、それをこの上司は気に入っていないことも、このようなパワハラと現実世界で呼ばれているものに、拍車をかけていた。

 ハウルラはそのせいか、体が疲れ切った状態になっており、いつか過労死してしまってもおかしくはない。

 そんなことになったとしても、この職場では嘲笑されて終わりであろう。

 議員と伝手やコネがある者が、威張り散らかしており、上の人間に従順な職場なのだから―…。

 そんな職場だからこそ、優秀な人がつける仕事だと世間一般で言われながら、噂ではそこに就職するのは止めておけの代表格となっていたりする。ラルネの中では―…。

 だけど、ハウルラはそのことを知らず、優秀だったために、このような職場に就いて、ミラング共和国の人々のために働くことができるという気持ちが強かったために、就職してしまったのだ。筆記試験のためにかなりの時間を勉強に割いて―…。

 だからこそ、後悔というものはあるが、それでも、ミラング共和国の中でかなり給料と待遇があるので、なかなか辞める勇気を持ち出せずにいた。ストレスのかかる職場であり、イケメン的ななりは完全に潜めていた。

 そして、ハウルラは謝るしかなく、恨みの言葉を言ってやりたい気持ちはあるが、どうすることもできなかった。

 ハウルラの上司は、

 「素直に謝って、俺たちが与えられる仕事をこなしているだけで良いんだよ。ペーパーテストがいくら良くても、意味ないしな。まあ、そんな優秀な奴が良い職に就くことができるために、俺たちが救ってやってるんだ。感謝の言葉の一つでも述べろよ!!!」

と、ハウルラを嘲笑うように言う。

 そして、周囲も―…。

 『アハハハハハハハハハハはハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。』

と、ハウルラを馬鹿にするのであった。

 馬鹿にすることによって、筆記試験で成績が良い人よりも自身が優れていることを感じ、優越に浸るのだ。そうしているからこそ、自身の気持ちも安定するし、馬鹿にしている奴らの成果を横から分捕ることで、出世することもできる。

 これが本当の意味で、能力主義だと言うのであれば、誰もそのような能力主義を求めたりすることはないだろう。

 というか、そんな能力主義なんて結局、誰のためにならないどころか、社会にとってマイナスにしかならない。国にとっても―…、だ。

 そうだと考えると、民主主義も結局、運用の仕方や、その中の実態が良くないものであれば、簡単に腐敗するような体制でしかないということだ。

 だからこそ、大事なのは、どうやって自分達の暮らしている国というものを運営し、しっかりと他者への配慮と同時に、しっかりと考えながら、悩みもあるだろうが、そのなかでしっかりと周囲の人々とともに、少しでも良いと思われる判断と指針で上手くやっていくしかない。自分だけでなく、自分以外の第三者が心の底から素晴らしいと良い方向で思えるのような答えを確かめながら―…。

 完全に正しいということの判断基準も、それを探る方法も持ち合わせることのない人類という不完全から完全に近づくことしかできない存在である以上、何かしらの変化から逃れることはできない。それは同時に、成長できるというものであろう。

 さて、馬鹿にされているハウルラに反抗する危害などないし、それだけの勇気もない。勇気があれば、こんな職場をとっくに辞めていただろうし、そんなことになったとしても、この職場は再度、筆記試験をおこない、次の犠牲者を増やすだけだ。

 人はいくらでもいるのだから、人材に困ることはないと、思っているのだ。この職場で上にいる人間は―…。

 だけど、人は無限ではなく、有限である以上、どこかで人材で困る可能性から逃れることはできないのであるが―…。

 そういう声は無視しそうであるが―…。

 ハウルラは反論できない以上、上司に従うしかない。

 「こんな惨めな私を雇ってくださり、ありがとうございます。」

と、たどたどしく言う。

 ハウルラの今の言っている言葉は、ハウルラにとって悔しいものでしかない。

 だけど、反論できない以上、こう言うしかないし、逆らっても良いことはないと、理解している。

 もう、自分だけの力では、この地獄から抜け出すことはできないほどになっていた。

 そう、自分一人だけの力で、できるのであれば、他人に助けを求めたりしない。すぐに、他人に助けを求めることができるのは、甘え上手な人間であり、それを悪い方向に使っている他人依存して、自分は何もしない人間であろう。だけど、あまり普段から人に頼まない人が他人を頼るのは、よっぽどのことであり、その人にとって大きな危機であることに間違いない。

 理解して欲しい。恥を忍んでやってくるのは、それだけの理由に該当するし、社会や国に頼ることにするのは、寄生虫のように寄生する人以外は切羽詰まった理由からなのだ。寄生虫のように寄生するのは、自らの分け前が減らされることに怒りを感じるタイプなので、他人が頼ることに対して、嫌がるような態度を見せるし、力が強いと思わせながら、一部の周囲を同じ意見にして、頼ることのできない人を無理矢理に自身の味方にして、頼ってしまった人のことを侮辱させるのだ。

 そうすると、見事に、誰も社会や国に頼ることのない人間は良くないという風潮が完成し、頼るのは社会や国を自身の利権に向けていく、寄生虫のごとき人間や組織ばかりとなってしまい、社会の腐敗、国家の搾取がおこなわれ、国家の方は骨の髄までしゃぶられてしまうのだ。その結果、困るのは、社会の中で暮らしている人々や、国の中で暮らしている人々なのであり、本当に困っている人達なのだ。それをどうやって判断するのかは難しいが、衣食住が充実せず、それに加えて医療を受けることが難しい状態であれば、困っている人と原則として判断することができるであろう。細かいところに関してのところがあるので、それは社会や時代の状況によって、基準は変わってくるものであろう。衣食住医に関しても、時代によって変わることは十分にあり得る。

 さて、話を戻し、ハウルラは頭を下げ、このような屈辱を受けながらも、耐える日々であった。

 そして、上司は、このようなハウルラを心の底から楽しみながら、さらに、追い打ちをかけるようなことを言い始める。

 「俺らへの感謝が分かったのなら、これを、関係各所に運んこい。」

と、数枚ほどの紙の資料を出しながら、言うのだった。

 これは雑用である。

 そのようなことを誰かがするのは致し方ないことであるが、この中にエルゲルダやその直臣へと運ぶ資料はない。なぜなら、そのような資料や報告書は、自分達で運び、彼らに名前を憶えてもらうことが必要なのだ。ハウルラがここに一生いれば、訪れるようなことのない仕事である。

 そして、ハウルラは、

 「畏まりました。」

と、言って、数枚の資料を目的の場所へと運んでいくのであった。

 その時、ハウルラの同僚および上司は、ハウルラのことをさらに馬鹿にしていたようであるが、そんな言葉を聞き流すしかできなかった。

 そうしないと、ハウルラの心が決壊して、自暴自棄になり、将来を台無しにしてしまうのだから―…。


 一方、時は戻る。

 以上のことがあり、ハウルラは、資料を目的とする場所へと運んでいた。

 (農務と社会保障と環境の役所に運ぶという感じですね。どれも、城の端っこにある役所じゃないですか。)

と、ハウルラは心の中で思いながら、廊下を歩き、溜息を一つ吐く。

 そんななか、近くにいたランシュは、見つけるのだった。

 ハウルラは、ランシュが近くにいることに気づいていないようだ。

 ラルネの中にある城に不法侵入をしている人物であり、衛兵が探している人物であるランシュは、ハウルラの存在に気づいているので、彼に案内してもらおうと考えるのだった。

 エルゲルダのいる場所へ―…。

 それに、ハウルラはあくまでも文官の恰好をしているのだということに気づいたので、無駄に殺すようなことをしなくても良いだろうと考えるのだった。

 見た目を見ながら、不憫だなぁ~、と感じたからだ。

 同情に近いものであろうが―…。

 そして、ここでうかうかしている暇はないので、ランシュは、ハウルラに気づかれないように近づく。

 近づき終えると、声をかける。

 「あの~、すいません。エルゲルダ様のいらっしゃる場所へと案内してもらえないでしょうか?」

と、ランシュは言う。

 ハウルラの真後ろから言ったので、ハウルラは驚くのだった。

 (真後ろから!!! いつの間に!!!)

と、心の中で思ってしまうし、心臓に悪いとも感じるのだった。

 そして、ハウルラは声のした方に視線を向けると、ミラング共和国の一般的な人が着てそうな服を着ている人が目の前にいるのだった。

 これだけでは、城内にいる有名人に会いに来た迷惑な人だと思うかもしれないが、ハウルラは気づいた。

 ランシュは長剣を持っていたからこそ、何かしらの目的をもって侵入してきた人間であることを―…。

 だけど、ハウルラがこれに対処することはできなかった。

 ハウルラは勉強はできるが、軍事訓練のようなことは一切したことのない戦闘の素人のそれでしかないのだ。

 そうである以上、迂闊に、叫んだところで、ハウルラは始末されるだけと思ったし、さっき、上司や同僚たちに馬鹿にされたせいか、あまり彼らの得になるようなことをしたくはなかった。

 その気持ちが混じっているので、どうしても不機嫌な気持ちで尋ねるのだった。

 「何の用ですか。普通の庶民がエルゲルダ様に会えるわけないじゃないですか。」

と。

 ランシュの目的がエルゲルダに関係することであるが、ハウルラを始末することはいつでもできるが、今回はそんな目的を持っているわけではない。

 ランシュは、

 (まあ、そう言うよな。というか、そう言わないで、素直に俺を案内したのなら、文官として失格どころか、エルゲルダによって命を狙われるのは確実だよな。だけど―…。)

と、心の中で思う。

 ハウルラは、ランシュがエルゲルダを狙っていることに気づいており、それは、ランシュの動きから理解することができた。

 (あの動きから考えて、エルゲルダ総統の命を狙っているのは確か。裏組織の関係者、リース王国の―…。だけど、それにしては、何となくだけど違うような―…。)

と、ハウルラは心の中で思う。

 ハウルラとしては、リース王国の裏組織に属しているのだろうと、ランシュのことをそう判断していたが、確信を持つことはできなかった。それでも、エルゲルダの命を狙っているのは分かった。

 だからこそ、エルゲルダのもとへと向かわせないべきだという判断を下したとしても、圧倒的にランシュの方が実力が上であるし、人の動きで察知できる能力を持っているのではないかと思えば、迂闊なことはできない。

 ということで、大人しく従うしかないだろう。

 そう思いかけたところで―…。

 ランシュは、ハウルラに向けて、素早く長剣が使えなくなった時に備えて、ナイフを取り出し、素早く、ハウルラの首筋につける。

 「!!!」

と、ハウルラは驚くが、すぐに冷静さを取り戻す。

 ランシュは、

 「だけど、会わせて欲しいんだ。エルゲルダ様に―…。お願いではなく、これは―…。」

と、言いながら、ハウルラの首筋につけたナイフを少しだけ、ハウルラの首の内側へと圧をかけるようにする。

 決して、ハウルラの首筋から血がでないようにしながら―…。

 そういう意味では、ハウルラはランシュが何を言おうとしているのか、どういうことをしようとしているのかを理解するのだった。

 それゆえに、

 「……私は―…。」

と、一瞬に動揺しながら、躊躇うのだった。

 (折角、ミラング共和国でエリートとされる役職に辿り着くことができましたが、こんなところで―…。だけど、いつもいつも、馬鹿にされてばかりだし、雑用ばかり。さらに言えば、夜遅くまで働かせられることばかり―…。本当に出世できるのだろうか。)

と、ハウルラの心の中でこのように思う。

 ハウルラだって、このような役所に勤めている以上、出世を望んでいる。

 だけど、今の状況で、出世できると、とても思えなかった。

 将来的に保証されているのであれば、そこまで気にしなかったであろうが、この三年の職場での扱いを見ていると、とてもではないがそのように思えなかった。

 そうである以上、ハウルラには悩みというものを感じてしまうし、自暴自棄になってもおかしくはなかった。

 一方、ランシュの方は、ハウルラがシエルマスの関係者というか、その組織に属しているのであれば、後の憂いを絶つために殺しておかないといけない。

 そして、ランシュは、

 「案内しろ。案内すれば、お前の命の安全は保障する。確実に、だ。」

と、言う。

 シエルマスに関係していなければ、の話であるが―…。

 ハウルラからしてみれば、ランシュの実力がかなりのものであり、自分ではどうすることもできないことを、この場、この時に悟ってしまった。

 ゆえに、なるようになれと思って、流れに身を任せるのだった。

 「わかりました。」

と、ハウルラは返事をして―…。

 そして、ハウルラはランシュをエルゲルダのいる場所まで案内するのであった。

 (もうどうにでもなれ。)

と、心の中で思いながら―…。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(271)~最終章 滅亡戦争(126)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


では―…。

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