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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
614/746

番外編 ミラング共和国滅亡物語(268)~最終章 滅亡戦争(123)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。

 そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。

 一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…、ラウナンの策によりミグリアドから撤退しないといけなくなったが、その後、ミラング共和国が攻めてきたが、リーンウルネの影ながらの支えにより、勝利するのであった。

 そして、舞台は最終決戦となろう場所、ミラング共和国の首都ラルネへと―…。

 首都ラルネの上空。

 そこでは、一人の人物が空を飛んでいる。

 人が空を飛ぶためには能力者であるか、もしくは天成獣の中でそのような能力を持っているものに限られる。

 だが、今回のリース王国とミラング共和国における戦争の中で、空を飛ぶことができる人物が一人だけいる。

 そう、ランシュである。

 ランシュは、天成獣のトビマルの力で、羽を羽ばたかせ、空を飛んでいる。

 狙う場所はすでに、決まっている。

 エルゲルダへの復讐だ。

 そして、ランシュがここにいることは、ミラング共和国軍だけでなく、リース王国軍にも知られるわけにはいかないのだ。

 ランシュは、騎士団の騎士として一時的に復帰し、イルターシャの護衛をしていることになっているのだ。だが、正しくは、自由行動をとる権利を得ており、それを行使しているだけに過ぎない。

 さらに言うならば、エルゲルダへの復讐であったことを悟られないようにしておくことが、一番の目的である。

 だが、ランシュが自由行動をできるように許可を貰っている時点で、バレない可能性というか、勘づかれる可能性は十分にあるのだが―…。

 今のところは、気づかれていないようだ。

 そして、ランシュはラルネの上空を飛びながら、中央付近にある城のような建物へと向かっていた。

 そこからは、さっきまでに述べた別の門からラルネに侵攻することに成功したリース王国軍が戦っていた。

 ランシュは気づかれないようにするため、高度を上げているので、上手く観察できているわけではないが、おおむね合っているという感じだ。

 別の門から侵入したリース王国軍は、中央軍が今度は我先にとラルネの市内の中央へと向かって行くようになっており、ミラング共和国軍は戦慣れしているのか、簡単にあしらっていて、リース王国軍の左軍の兵士だと思われる人達は、慎重に行動をとっているのであるが―…。

 そこに、異様に強い一人の人物が現われ、その一人の人物がミラング共和国軍の兵士を圧倒的なスピードで始末していく。

 ランシュはそれを見ながら、それがアンバイドだということを理解し、かつ、彼ならこんなことできるのは朝飯前であり、驚くようなことではなかった。

 さらに、アンバイド一人で、どんどんミラング共和国軍の防衛ラインを破壊していくのだった。

 その様子を見ながらも、城の方へと向かい、飛んでいく。


 ランシュが見ていた場所では―…。

 「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

 「守れ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

 「無理です!!!」

 「あっ、あいつは!!!」

 「アンバイドだ!!!」

 ミラング共和国の兵士の声が飛び交う。

 兵士の目の前には、アンバイドがいるのだ。

 アンバイドは、ミラング共和国軍の防衛ラインを破壊しながら、ゆっくりとではあるが進んでいた。

 アンバイドとしては、一気に行きたいのであろうが、そんなことをしても、自分一人対ミラング共和国軍との戦闘になる可能性が高く、そこで、余計な力を使って、肝心の実力がある者達との戦いで、天成獣から力を借りることができなくなってしまえば、戦闘しても負けるのが分かっているからだ。

 そうである以上、アンバイドは周囲の味方の兵士にも活躍の場を与えながら、戦わせているのだ。

 ランシュの思っている右軍の犠牲を減らそうとしているわけではないが、そのことがアンバイドの頭の中にないかと言えば、嘘になろう。

 そして、アンバイドは歩くペースで進みながら―…。

 (ミラング共和国軍の兵士がわんさかと出てくるし、建物の中には一般住民か。住民を人質にしているのだろうか。なら、この国の支配勢力は、国民の命なんかこれっぽちも考えていないのだろうな。自業自得だとか、言う気にはなれんが、運がなかったとは言えるな。ふう~、それに―…。)

と、アンバイドは心の中で思う。

 アンバイドにとって、目の前にいるミラング共和国軍の兵士は、脅威にもならない程度の石ころに過ぎない。

 だけど、彼らが必死に戦っている理由も理解できないわけではないし、その必死さを馬鹿にする気はない。それでも、一般住民を戦いの渦中に巻き込もうとしているミラング共和国の支配層に対しては、怒りの感情が湧く。

 彼らにとって、国に暮らす人々の命を軽視していることから、よほど、自分だけが得をすれば、生き残れば良いと思っているのだろうと感じてしまうからだ。

 そんなことをして、国を再建できるのだろうか。

 いや、できないどころか、良い結果をもたらすことはない。

 なぜなら、人がいなければ、国は成り立たないのだから―…。

 そして、そこに住んでいる人々の生活を守り、繁栄させてこそ、国は栄えるのに、そのことに気づきもしない。

 悲しい人達である。

 アンバイドは、そう思っている最中にも、ミラング共和国軍の兵士からの矢の攻撃を向けられるのだから―…。

 (ミラング共和国軍の軍の本部の場所は分かってる。それに、じっくり向かったとしても、ミラング共和国軍の天成獣部隊が逃げるということはないだろうな。ミラング共和国の存亡がかかっているのだからな。)

と。

 アンバイドは、これがミラング共和国の存亡に関わる大事であり、ミラング共和国はリース王国に敗北し、ラルネを征服されたら滅亡を回避するのはかなり難しいことでしかない。

 ラルネの外に逃げるというのも可能であろうが、このラルネは外から侵入しても、壊すことができないぐらいに強固にしていると、対外強硬派の中では思われているので、ここを陥落される方を恐れる。

 アンバイドは、歩きながらもすぐに、襲って来るミラング共和国軍の兵士を―…。

 「隙あり!!!」

 ザン!!!

 あっさりと縦に真っ二つに斬る。

 その光景には、周囲のミラング共和国軍の兵士だけでなく、リース王国軍の兵士も驚くしかなかった。

 (一瞬かよ………………。味方で良かったぁ~。)

 この一人のリース王国軍の兵士が思っていることは、この場にいる多くのリース王国軍の兵士が思っていることである。

 アンバイドは、伝説の傭兵とこの地域で言われているぐらいの実力者であり、天成獣の宿っている武器での戦いではかなり強さを誇る。

 アンバイドは、剣の血を剣に残すことなく振り切り、それを歩きながらこなすのだ。

 ゆっくりと歩いていることにより、ミラング共和国軍の兵士には十分に威圧となるという結果となった。

 それは、恐怖というものを生み出すのには十分だ。

 動きを鈍らせるのにも十分だ。

 ミラング共和国軍の兵士の一人が一歩、進むのではなく、後ろへと―…。

 それが証左。

 アンバイドという男の実力を示す上で―…。

 恐怖は抑えていた感情の波を決壊させる。

 そうなってしまえば、起こることは決まっておろう。

 「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

 と、一人の叫び声とほとんど少しの時間の経過の中で、アンバイドの周囲にいるミラング共和国軍兵士の気持ちは、負の感情の方面で決壊する。

 恐怖は連鎖し、感情の波を決壊させ、戦力を奪っていく。

 絶望に支配されれば、どんなに強い者も意味をなさない。

 『ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。』

 同じような言葉が、アンバイドの周囲で響く。

 アンバイドにとっては、どうでも良いことではないが、それでも、気にすることではない。

 恐慌状態に陥ったミラング共和国軍が何をしてくるのか分からない以上、警戒しないわけにはいかないが、もう、彼らはミラング共和国軍の戦力になることはないし、逃げ出す者も続出している。

 この状態になってしまえば、さっさと奥へと進軍した方が得なのかもしれないが、そうすべきではないし、ミラング共和国軍の首脳陣が逃げ出せる可能性はかなり少ないとみている。

 それは、一部は勘の類でしかないが―…。

 アンバイドの実力を目の前で見ているリース王国軍の兵士は―…。

 (すげえええええええええええええええええええええええええええ。あんなに簡単に、ミラング共和国軍の兵士を―…。味方で良かったぁ~。敵にはなりたくない。)

と、心の中で、リース王国軍の兵士の一人は納得する。

 それだけの実力がアンバイドには、実際にある。

 だからこそ、アンバイドと敵対するようなことはしてはいけないし、この力に対抗できる力を自身で身に付けることはできないと理解してしまうのだ。

 自らの生涯を通してできない以上、敵にはなりたくはないし、敵になれば真っ先に逃げることを選択するだろう。

 生き残らなければ、名誉を回復したり、汚名を返上したりすることができないのだから―…。

 そして、アンバイドはゆっくりと歩いて行くのであった。


 場所は、ミラング共和国ラルネの中央部。

 そこにはランシュが空を飛んでおり、城の細かいところが見れるのに十分な距離に近づいていた。

 城はほとんどが白色をしており、城の屋根と思われる部分が茶色であり、リースにある王城よりも少しだけ小さいものであった。

 この中に、議会堂や統領が執務をとる行政機関や、統領の私的生活を送るための場があったりする。

 ランシュは、この場所に関して、絵というものは実際に見たことはあるが、実際の生で自らの目で見たことは一度もないので、簡単に判別することは難しいであろうが、それでも、似ているので、その場所が、自分が狙っている人物がいる場所であることを感覚的に理解する。

 (このミラング共和国の首都ラルネにある城の中にすべての政務を司る役所があり、その中央に総統の間があり、そこで総統と外国および地方領地の領主が謁見することになっている。さらに、その近くに総統が在任中に住むとされている総統の私邸と呼ばれる別邸へと繋がる通路があり、そこから城の中にある総統の私邸という別邸に向かうことができるようになっている。総統の私邸の中に関しては、詳しい間取りというものが、秘密にされており、俺が調べることのできなかったほどである。だが、そこには、何か総統を守るための秘密兵器みたいなのがあるとかないとか―…。まあ、噂の域をでないものであるが―…。)

と、心の中でランシュは思いながら―…。

 ランシュが調べたラルネの城に関する情報は、どうしても嘘という類のものが混じるだろうし、すべての城の中に関する構造などを公開することは有り得ない。

 なぜなら、ミラング共和国側が隠したい情報はいくらでもあるし、知られると大変なことになることも、周辺諸国に対して、自国の弱味を見せることになるからだ。

 そういうこと絶対に避けないといけない。

 それは、ミラング共和国が強い国であることを、周辺諸国に見せることによって、ミラング共和国を他国からの侵入から守ろうとしているためであり、恐れは迂闊に侵入という行動に移らせないためには必要なことなのだ。

 そして、ランシュは、飛びながらも、ミラング共和国の兵士に気づかれないようにしながら、騎士団の服ではなく、地味な貧民のような衣装に着替えた上でやってきたのだから―…。

 ランシュだと気づかれないようにしておく必要があるのだから―…。

 ランシュは、城の管理棟の一つから少しだけ離れた場所に、着地しようとする。

 着地場所を探していると―…。

 「モンスターだ―――――――――――――――――――。構えろ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、ミラング共和国の城を守る衛兵の大きな声がするのだった。

 ランシュは、モンスターか何かと思われているのだ。

 簡単なことだ。

 それは、空を飛ぶ人など見たことないし、空を飛ぶモンスターの方はいろいろな絵本で見たことがあるので、そういうことを理解しているし、そのように思ってしまうのだ。

 その方が、衛兵にとって納得できることであり、それに、ランシュの着地しようとするラルネの城には多くの衛兵が守っており、侵入できる場所はほとんどないのだから―…。

 そして、ランシュは、

 (というか、鳥じゃなくて、モンスターかよ。)

と、心の中で驚くのだった。

 モンスターはこの世界にもいるが、滅多に人のいる場所に姿を現わすことはないし、モンスターに出会って、逃げることに成功して、生き残ることができれば、幸運な人として、周囲から持て囃されるのだから―…。

 この異世界では、そういうことになっていたりする。

 ランシュは、バレてしまった以上、強行突破するしかなくなった。

 だからこそ、ランシュは衛兵の位置を確認しながらも、僅かでも着地できる場所を探すのだった。

 そして―…、

 モンスターは、この世界にもいる。

 (クッ!! とにかく、城の回廊の方に着地するか。)

 ランシュは、このように心の中で思いながら、すぐに屋上回廊の方へと向かい、そこに着地する。

 それを見逃すはずのない衛兵である。

 衛兵に見つかってしまっている以上、よっぽどのスピードで動かなければ、追われないということはない。

 「屋上回廊の方へと向かったぞ――――――――――――――――――――。全員そっちへ向かえ――――――――――――――――――――――――――――――。」

と、衛兵の一人が言う。

 ランシュもこの声に気づいているし、すぐに、着地を終えると邪魔になる羽を消す。

 これは羽が消滅したように見えるが実際はそうではなく、ランシュが羽を出したいと思えば、いつでも展開できるものである。

 ランシュとしても、気づかれずに侵入する予定であったが、その予定は見事に崩れてしまう。

 ゆえに―…、

 (ここからは、羽は邪魔だし、しまって、誰か一人を人質にして、エルゲルダのいる方へと向かうとしようか。)

と、心の中で、ランシュは思うのだった。

 ランシュはすぐに、屋上回路を移動し、適当に人質にできる人物を探すのであった。

 人質を殺す気はないが、それでも、人質がいると進みやかったりすることもあるだろうし―…。

 ベストはミラング共和国の政府の中の要人であると思いながら―…。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(269)~最終章 滅亡戦争(124)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正および加筆していくと思います。


では―…。

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