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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
602/747

番外編 ミラング共和国滅亡物語(256)~最終章 滅亡戦争(111)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。

 そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。

 一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…、ラウナンの策によりミグリアドから撤退しないといけなくなったが、その後、ミラング共和国が攻めてきたが、リーンウルネの影ながらの支えにより、勝利するのであった。

 そして、舞台は最終決戦となろう場所、ミラング共和国の首都ラルネへと―…。

 夜へと突入する。

 場所は、ミラング共和国の首都ラルネ。

 そして、アマティック教の本部。

 そこに多くの信者がいた。

 イルカルは面倒くさそうな視線を向けるが彼らの問題を解決しないといけない。

 人々を洗脳させることはできるであろうが、それでも、弱めるようなことをしてはいけないと分かっている。その弱める可能性があるのは、人々の不安をイルカルに頼んで解決されないことであろう。お前の努力が足りないからということを言うのは簡単であるが、それが積もりまくってしまい不信感に変わる場合もある。

 それを避けないといけないのは分かっているが、面倒くさいのだ。

 人という生き物が創意工夫をしながら、楽をしたいと思っているが、結局、楽になることはないのだ。より余った時間を有効活用するかのように忙しくなる。

 余裕って、どうやって保障されるのだろうか。本当に―…。

 これが真実だとは限らないが、完全な嘘だとも思えない。

 そんななか、この場に集まっている人々は、アマティック教の信者であることに勿論間違いないが、こんなに数がいるのは、今、ラルネをリース王国軍が包囲しており、家が破壊されるのではないかと思い、避難してきているのだ。自主避難と呼ばれるものである。

 「イルカル様ぁ~。どうすれば、リース王国軍の輩を倒してもらえますか。」

 「イルカル様ぁ~。私たちをお導きくださぁ~い。」

 「イルカル様ぁ~。」

 『イルカル様ぁ~。』

 この場にいる者達は、イルカルの言葉を待っている。

 イルカルは、アマティック教の創始者であり、教主であり、ここ数年、ミラング共和国における勝利の予言をしてきた人物なのだ。今回も、その予言は当たるだろう、と―…。人々は思いながら、イルカルに言い寄る。

 だけど、ここで勘違いしてならないのは、人という存在である以上、ずっと予言をして、的中させることができるわけではない、ということだ。

 こういうと、イルカルの肩を持つと思う人もいるかもしれないが、決して、そうではなく、イルカルというのは人間であり、完全にも完璧にもなれる存在ではなく、未来のすべてを予測して的中させることなどできやしない。

 未来を完全に理解しているわけではないが、そのように他人に思わせてしまっているのだ。それはイルカルが半分意図的にしている以上、イルカルの責任は十分にあるし、それによって、イルカルは自身にとって都合が良い利益を得ている以上、この状況における責任がしっかりと生じてくるし、どうすることもできなかったわけではない。

 最後の方は語弊があるかもしれない。なぜなら、イルカルの背後にはシエルマスがおり、イルカルの予言は、シエルマスがこれから起こるだろうということをイルカルを通じて、ミラング共和国の人々に向かって言わせていただけなのだ。

 要は、イルカルの予言の類は、シエルマスがこれから起こすことの結果であり、本当の意味で、イルカルの予言ではない。

 そして、今、イルカルは自らの能力でのみ予言しないといけない。これまでの人々の言葉というものはあるだろうが、それを使って、未来をある程度予測することをしてこなかったからこそ、イルカルに予言の類をしろと言ってもかなり難しいことである。

 なぜなら、未来を完全に言い当てることはできないし、ある程度の範囲でしか予測し、見通しを立てることしかできない。未来を完全に知っているのであれば、そもそも自らの最後まで見えてしまっているか、それ以後のことも見えて、絶望する可能性が大いにあるのだし、それを避けることはできない。

 これは、実際に、そういうことができる能力を持った人が仮にいた場合か自身がそのようにならなければ分からないことである。なので、実際、それを証明することは不可能と言った方がよっぽど説得力があるというものだ。

 さて、イルカルはそれをちゃんとできるだろうか?

 (……………………ラウナンの野郎~。どこに行きやがった。逃げ出したとか言うよな。………だが、シエルマスの人間がいる以上、ラウナンが消えたということは有り得ないだろ。それに、ラルネをリース王国軍に包囲されて、籠城とか―……、実は不利とかそんな感じだろ。ミラング共和国軍が勝てる見込みなど…ないぞ。それに迂闊に馬鹿なことを言えば、こっちの首がマジで飛ぶ!!! シエルマスの野郎、何を俺が言うべきかを教えろよ!!!)

と、イルカルは心の中で不満を述べる。

 さらに、イルカルは盟友であるエルゲルダが城の中へと連れていかれ、多くの自分の洗脳した女たちをそっちへと持っていかれてしまったのだ。その中には、イルカルのお気に入りの女だっているのだ。

 この言葉を聞いた者達の中の多くは、虫唾がはしるものであるし、それは当然のことだ。

 イルカルにとって、女性は性の捌け口でしかなく、自分が一番で、それに付き従っており、イルカルにとって都合が良いとしか思っていないのだ。

 そうである以上、女性の多くからの反応は、イルカルは気持ち悪いし、嫌悪感しか抱けない。洗脳はその価値観を無理矢理肯定的なものするので、恐ろしいとしか言いようがない。

 そして、イルカルは、迂闊に、予言を言うことはできない。

 なぜなら、迂闊にシエルマス側…ラウナンの気に入らないことを言えば、イルカルの首が物理的に飛んでしまう可能性が十分にあるからだ。そんなことをイルカルが望むはずもないから、イルカルはシエルマスからの指示にあったことを言えば、シエルマスの言う通りにしたのだから、失敗したとしても自らの首が物理的に飛んでしまうこともないだろう、と思っている。

 それは甘い予想であろうが、イルカルにしてみれば、今まで、シエルマスに逆らうことなくやってきたから、自分のせいでなく失敗したとしても、許されるのではないか、と思ってしまっているのだ。

 そういう意味では、イルカルは運が良いのであろうか?

 それでも、かなり酷いことをしているので、その仕返しはきそうな気もしなくもないが、今のところはそうでもないような感じだ。

 そして、イルカルは、悩み続けながらも、答えを出すことができずにいた。

 信者の不満は面倒くさいけど、なるべく解消しておかないといけないと思っているのだ。

 自分に不都合な結果にならないようにするために―…。

 「イルカル様ぁ~。」

 『イルカル様ぁ~。』

 と、イルカルに何かしらの答えを期待するが、イルカルは答えを出せずにいるなかで、イルカルは奥へと引っ込んでしまうのだった。

 その時の態度に絶望した者は誰もおらず―…。

 (イルカル様さえ、思いつめることなのだな。リース王国軍…許すまじ。)

と、一人の信者が心の中で思い、伝播を開始する。

 「イルカル様は、リース王国軍がラルネを包囲したので、勝つために何も言わないのは、言わない方が我々の勝利に繋がるからだ、と暗に仰っているのかもしれない。」

と、一人の信者が言い始める。

 その言葉に―…。

 「そうだ。」

 『そうだ。』

 誰もが次第に、賛成していくのだ。

 イルカルを救世主のように崇め、イルカルにとって都合が良いように解釈する。

 その洗脳のせいで、イルカルは運良く生き残れているのだろう。

 だけど、そのことにイルカル本人は気づかないだろうし、自分の欲求を満たしたいとばかり思っていることであろう。

 この場にいるアマティック教の信者の士気は、イルカルの分からないところで、どんどん上がっていくのであった。

 その場にいたシエルマスの工作員は、この状況を悪いとは判断することはなかった。

 むしろ、リース王国軍を悪だとする気持ちが昂ることは、シエルマスにとっては好都合なのだから―…。


 場所は城の中。

 エルゲルダの寝室。

 そこには多くの女性がおり、その数は百をくだらないことであろう。

 その女性たちはイルカルの洗脳を受けており、エルゲルダとともにいることが幸せだと思っているが、心の奥底ではそんなことを思っていないので、何かしらの強い出来事があれば、すぐにでも逃げ出すことは間違いない。

 そして、エルゲルダはラウナンに対する不満はもっているだろうが、ラウナンから発せられる圧によって、この場にいる誰も完全に黙ってしまっていた。

 「エルゲルダ様。女と遊ぶのは構いませんが、今回のすべてのリース王国との戦争に関して、私がすべての作戦の指揮をおこないますので、あなたはこの部屋の外から出ないように―…。出れば、エルゲルダ様を私の手で始末しないといけなくなりますので―…。」

と、ラウナンは言う。

 この言葉に嘘はない。

 今回、ラウナンは、ミラング共和国軍の全作戦の指揮をおこなうことはないが、エルゲルダにはそのようなことを伝えておくことにし、問題が発生したとエルゲルダが思えば、ラウナンに話させるようにしているのだ。部屋の外に出さないために―…。

 ラウナンはファルケンシュタイロがしっかりとラルネ内での戦いの全指揮を執ってくれるだろうし、軍の基地は最後まで陥落することはなく、リース王国軍はどこかで撤退の選択をしてくるだろうと、考えている。

 だが、予想外の出来事から逃れることはできない。

 そして、ラウナンはこの後、予想外のことに遭遇することになる。

 本人は気づいていないだろうし、気づけというのが無理なことでしかない。

 「分かった。」

と、エルゲルダは気まずそうな表情で返事をするが、ラウナンに逆らって良いことはないと分かる。

 ラウナンに逆らえば、自らの首が物理的に飛ぶということが頭の中で想像できてしまうのだ。

 そんな未来になりたいと思っていない以上、ラウナンに何かしらの不幸が訪れ、エルゲルダを追うことができない状態にならなければ、ラウナンのもとからエルゲルダが逃げることはないだろう。

 それだけ、ラウナンという存在は恐怖の象徴であり、自分達ではどうすることもできない、天災と同義なのだ。

 ゆえに、できる返事はラウナンに従うような言葉でしかないのだ。

 「そうですか、私はしっかりとラウナン様をお守りいたしますので―…。」

と、言いながら、ラウナンは消えるのだった。

 その様子を見ながら、エルゲルダはしばらくの間、警戒を続けるのであったが、すぐに、女と遊び始めるのだった。

 こうして、五日の時が流れるのだった。

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