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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
588/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(242)~最終章 滅亡戦争(97)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きがあり、ミラング共和国軍とリース王国軍右軍の対決となるが、アンバイドの活躍により天成獣部隊のトップを始末し、かつ、撤退させることに成功して、クローデル領での勝利を得るのだった。

 そして、オットルー領の方に向かって勝利したリース王国軍の左軍は交渉の場にいた。そこでは話し合いがおこなわれていたが、衝撃の事実が突きつけられるのだった。それは、ファウンデーション領を攻めていたファルアールト元帥が暗殺されるというものであったが、オットルー領の領主との話を終え、ミラング共和国の首都ラルネへと向かうのだった。

 一方で、ファウンデーション領を攻めていたリース王国軍の中央軍は―…。

 「なぜ隠れるのです。姿を見せれば宜しいのに―…。」

と、リーンウルネのお付きの人が言う。

 彼女からしてみれば、リーンウルネが姿を現わせば、リース王国軍の中央軍の多くの兵士をリーンウルネ側の味方にすることができるのに―…。

 そうだと、考えてしまってもおかしくはないし、そう考えるのが普通であろう。

 リーンウルネの派閥の側から考えれば、ここで目立てば、自らの立場を強化することにもなり、ラーンドル一派に恩を売ることができるのだから―…。そういう恩を仇で返そうとすれば、それを利用して、ラーンドル一派の地位の低下と同時に、自身の派閥がリース王国にとって有効であるということをリース王国の国民に示せるので、どっちを支持するか分かっている。

 「勢いに任せるのも大事じゃが、肝心の人材が集まっていない時に、権力を握るのは避けた方が良いの~う。それに、ラーンドル一派の息のかかっている軍人達は、嫉妬深い輩が多いからの~う。あいつらは、ハミルニアにかなりの難題を吹っかけておるところから類推するに、ここで助ければ奴らはさらに無茶な要求を儂らに吹っかけてくるに違いないのじゃ。そうだからこそ、ここは目立つよりも、姿を現わさないことにして、こっそり援護するのがよい。それによって、彼らは神が味方しているのだというぐらいな、根拠のない理由を無理に繋げようとして、根拠のない増長をするだけじゃ。行動も大胆になり、大きなミスをする確率も上がる。」

と、リーンウルネは言う。

 ヒソヒソと―…。

 リーンウルネからしてみれば、現状は派閥の人材が少しだけ増えたが、それでも、ラーンドル一派からリース王国の権力を奪った後に、政治を開始した場合、人材不足で上手くいく可能性は低い。上の地位で踏ん反り返るために、権力を握ろうとしているわけではないのだから―…。

 リーンウルネとしては、リース王国において実権を握る理由はリース王国をちゃんと発展させることであり、ラーンドル一派のように私腹を肥やして、人々から搾取するだけということをさせないようにすることだ。

 権力者というものは、人々の支持においてその地位が存在している以上、彼らに対して、誠実であり、彼らの真の利益に寄与しないといけない。それは、彼らが見ているものとそぐわないものはあるだろうが、結果として、彼らの利益になるということにおいて、重要であれば、しっかりとする。

 ただし、真の利益を判断する上では、自分の私欲のためだけではなく、リース王国に住んでいる人の利益になるといろんな人の意見とともに判断を下し、そこには知識やら経験という根拠に基づき、判断されていることが重要であり、その判断が完全に素晴らしいものではないと思えるかが大切だ。

 なぜ、そのように言うのか。

 人の下している判断を本当の意味で完全に合理的であり、かつ、完全に正しい判断であると決めることができる根拠を人が持つことは一切できない。どんな輩で、どんな侮辱な言葉やら、行動をする人であったとしても、そこから逃れることはできないし、自分は正しいと周囲に言っている人でも、そのことからは免れることはできない。

 反論しようが無駄である。

 本当にすべての面において正しいのかを証明することなど、真の意味でできやしないのだから―…。ゆえに、成長という言葉の存在する余地があるし、完璧という言葉の存在する理由もあるのだから―…。

 そして、増長するような輩は、成功体験によって気が大きくなり、自分は完璧だと思い、何でもできる、何をしても良いと思い、そのことが返って、大きなミスを誘発する原因となり、現に、それが発生するのだ。

 そのミスを利用して、ラーンドル一派の権力を地の底に陥れ、かつ、リーンウルネの派閥がそこで功績を挙げて、権力を握るということが可能であり、そっちの方がリーンウルネ派は地盤と人々からの信頼を獲得することができる。

 本当に、政治という人間が関わるものは、人という要素を完全に無視することはできないし、人の感情という厄介なものを相手にしないといけない。一人じゃない、関係するすべての人の……、である。

 そして、リーンウルネのヒソヒソの長い言葉を聞いたリーンウルネのお付きの者は、「はぁ~」と一つ溜息を吐きながら、同時に、リーンウルネが頑として言うことを聞かないことを理解している。

 だからこそ、リーンウルネに対して呆れながら―…。

 「分かりましたよ。」

と、言うしかなかった。

 それでも、リーンウルネが馬鹿なことをするとは思えない。なぜなら、リーンウルネはしっかりと信念というものを持っているからだ。

 そのことをリーンウルネのお付きの者が分かっている以上、心配はそこまでしていない。

 「そうか、しばらくは待ちじゃな。」

と、リーンウルネは言うのだった。


 一方―…。

 ミラング共和国側。

 ファウンデーション領のミラング共和国軍を率いるのは、シエルマスのトップであるラウナン=アルディエーレ。

 ラウナンは、今の状況に驚くしかなかった。

 (なぜ、簡易だとしか思えない防御壁から前へと進めないなんて―…。一体、何が起こっている!!!)

と、心の中で動揺する。

 だが、ここで動揺してるという表情を出せば、ラウナンの求心力が低下しかねない。そんなことは許されるはずもない。

 だからこそ、何が何でも自身の失敗が許されないからこそ、必死に、この進めないことに対する策を練り始める。

 事態がどうなっているのか、理解するとかしないとか、そんなことは関係ない。

 物事を解決していく上では重要なことなのであるが、ラウナンはシエルマスの中にいて、そこで出世した経緯を持っている以上、失敗が許されない中での成功をさせ続けたので、失敗イコール自らの命を奪われることへの恐れというものがあり、さらに、失敗しないという自信によって、失敗に恐怖するのだ。

 「クッ!!! 正面が駄目なら迂回するしかない。二方向に分かれて―…。」

と、ラウナンが言いかけたところで―…。

 「反撃を加えろ―――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、リース王国軍の現場指揮官の声が聞こえる。

 そう、リース王国軍の中央軍の遊撃部隊がこのミラング共和国軍の動きが止まり、動揺している隙に攻めてきたのだ。

 ラウナンが目の前にいたとしても、ラウナンの顔を知っているわけではない。

 知らないということがこれだけ幸せであり、思い切った行動をとらせることができるのだ。

 常識も大事だが、同時に、常識は完全で、すべての時代において、すべての場所において通じるものでも、完全に正しいものではない以上、常識外の行動も時には重要な場合が生じてくる。

 そして、知らないことによってできる思い切りが時、この場において、正解だと思わせる結果を生み出すことがある。

 (!!! 挟み撃ちをする計画だったか。だとすると、あれを仕掛けたのは、天成獣の宿っている武器を扱う人間!!! リース王国軍の中央軍は今まで手を抜いて戦っていたのか……ここからは本気……そういうことだな。)

と、ラウナンは心の中で焦る。

 ラウナンとしては、あっさりとリース王国軍の中央軍を倒せる予定であったが、こうも簡単に狂ってしまったのだ。

 どういうことなのか、原因を無理矢理でも推測して、納得させることしかできない。

 それでも、ラウナンは負けるわけにはいかないと思いながら、必死に思考を巡らせる。

 その間に、ミラング共和国軍の兵士は、上の人間に指示を仰ごうとするのだった。

 そして―…。


 少し時が戻る。

 リース王国軍の中央軍の本陣。

 そこに―…。

 「大変です。」

と、報告者がやってくる。

 「何だ!!! 今は、ミラング共和国軍が攻めて来て、大変なんだ!!! まさか、さらに悪いことがあったとでも言うのか!!!」

と、オバーラは言う。

 オバーラからしてみれば、これ以上、悪い事は起こらないでくれという気持ちになる。

 なぜなら、ミラング共和国軍によってかなりのダメージを受けていて、ミラング共和国軍のファウンデーション領にいる軍を倒すことが何とかできるだけなのだ。ファルアールト元帥の失策をカバーしないといけないのだ。尻拭いとも言うが―…。

 そして、これ以上悪い事が起きた場合、このファウンデーション領から撤退しないといけないのだ。オバーラにしてみれば、自身に失点をつける結果となり、最悪の場合、軍法会議に処せられる可能性だってある。そのような、最悪の事態になるのは何としても避けないといけない。

 そうである以上、不幸な事は一切、起こって欲しくはないのだ。

 「いえ―…、簡易の防御策を越えようとしているミラング共和国軍が、防御策の上に到達する前に、透明な何かによって進軍を阻まれています!!!」

と、報告者は言う。

 その言葉には、どうしてそうなっているのか分からないという感じだ。

 分からないけど、リース王国軍にとって幸運な出来事であるのは間違いない。

 そうである以上、リース王国軍の中央軍のトップであるオバーラがその手を使わないわけがない。

 (………進軍が阻まれている。理由が分かっているような感じではない。………そうだとすると、素早くその隙を使った方が良い。)

と、オバーラはすぐに命令を発する。

 「今すぐ、遊撃隊によって挟み込んで攻めさせろ!!!」

と。

 そして、すぐに行動に移すのであった。


 そして、時は戻り―…。

 「ミラング共和国軍を蹴散らせ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 その声に―…。

 『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 リース王国軍の中央軍の遊撃隊の兵士の大きな声が聞こえる。

 その声の大きさは、ミラング共和国軍の前線にいる兵士に大きな威圧を与えるほどの気持ちを湧かせる。

 そのことによって、ミラング共和国軍の前線の兵士を撤退して、逃げようと考えるが―…、そこにいるのはラウナン=アウディエーレである。

 そして―…。

 (仕方ないですね。私の力で倒すとして―…。)

と、ラウナンが動こうとすると、動けなくなっているのだ。

 (!!!)

 ラウナンにとっては驚きでしかない。

 動揺してもおかしくはない。

 ラウナンは、一切、動くことができなくなってしまっているのだ。

 足に何かしらのものが重しとして乗っかっていて、かつ、地面にしっかりと固定されていなければならないと思えると想像できる。

 実際に、そうであり、ラウナンという人物を知っている者によってなされているのだ。

 いや、正確に言うなら、ラウナンという実力者を瞬時に見破って、そいつを素早く動けないようにしているのだ。

 (天成獣の宿っている武器を扱っている奴ですか。私の声が響きにくいようにして、指揮系統を乱す気ですか。本当に厄介。だけど、私の指令は―…。)

と、ラウナンが思っている間―…。

 すでに、リース王国軍の中央軍が攻めてきており、すでに、交戦状態となった。

 混乱してしまったミラング共和国軍に勝ち目はなかった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(243)~最終章 滅亡戦争(98)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


では―…。

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