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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
580/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(234)~最終章 滅亡戦争(89)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は、ファルケンシュタイロが率いるクローデル領にいるミラング共和国軍と対峙するのであるが、その最前線にいたのは、クローデル領から徴兵された兵士達だった。その兵たちはアンバイドの実力の前に戦わず降参するのだった。

それが重要な問題となる。

ファルケンシュタイロはファロネンズをクローデル領に派遣し、マーゼルの真意を確かめ、ファロネンズの独断でマーゼルを始末するのだった。

そして、マーゼルが殺されたことを、マーゼルの重臣たちに見せしめ、完全服従を勝ち取る。

一方―…、ファウンデーション領(旧アルデルダ領)では―…、領都のミグリアドが包囲されるのだった。それを打開しようとして―…、シエルマスを投入し、リース王国軍の中央軍のトップを始末するのだった。

その後、クローデル領でも動きが―…。

 しばらく時間が経過する。

 「裏切り者、ナガランド!!!」

 マーゼルの側近だった一人の人物が、ナガランドを発見し、攻撃する。

 槍の使い手で、剣よりも攻撃範囲が広い。

 ゆえに―…。

 キーン!!!

 「オルバット!!! マーゼルの腰巾着が―…。」

と、ナガランドは言う。

 オルバット=マクマオーン。

 この人物は、マーゼルの側近だった人物であり、クローデル領における軍事職の中でもナンバーツーの役職にあり、性格は媚び減らうことが得意である。その人物は、マーゼルから甘い汁を貰い続けていたが、ファロネンズのせいで、甘い汁を吸えなくなってしまったのだ。ファロネンズを倒すのは不可能だから、その原因となったナガランドへとその恨みの矛先を向ける。

 憎くて仕方ない。

 自分の安寧を壊したのだから―…。

 そして、その気持ちは大きくなり、歪みつつある。

 「お前は大人しくミラング共和国のための犠牲になっていれば、全員ハッピーで居続けられたのによぉ~。お前のせいで、クローデル領の領民の男どもの多くが、捨て駒にされたんだよ!!! 裏切ったお前がすべて悪いんだ!!!」

と、マクマオーンはそう言いながら、槍でナガランドを攻撃する。

 キーン。

 右、左と―…。

 キーン、キーン。

 (……甘い汁しか吸っていなかった人物が良く言えたものだ。それに、クローデル領の領民を犠牲にしても良いとミラング共和国軍は思っているのか。それがミラング共和国の意思というのなら、そんな奴らに味方する気にはなれない。アンバイド様が今、敵の根元を倒してくれるんだ。俺は信じて待つしかできない。)

と、ナガランドは心の中で思う。

 マクマオーンの攻撃を受けながらも、守りながら、そして、マクマオーンを倒すための方策を練る。

 アンバイドは信じることができる人物である以上、必ずやってくれるのだと―…。

 本当の意味で、やってくれるかを確実に保証することはできないので、結果が成功であることを待つのが正しいことであろう。

 「しつこいなぁ~。」

と、マクマオーンは言いながら、何度も何度も攻撃をする。

 キーン、キーン、キーン。

 それをナガランドは防ぐ。

 「クッ!!!」

と、心の中でそう思いながら、ナガランドは決して、油断しないようにする。

 マクマオーンばかりに思考を割くことはできない。

 ここは戦争の場である以上、どこから敵が自らの命を狙ってくるか分からないからだ。

 「さっさと死ね―――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、マクマオーンを叫びながら、攻撃する。

 キーン!!!


 一方、リース王国軍の右軍の本陣では―…。

 フォルルークは後悔した顔をしている。

 予想外が起こったのだ。

 「そうか。なるべくクローデル領の者達同士を当てないようにしていたが、相手の方がそれを望まず、嫌でも当てるようにしてきたのか。向こうには裏の者から報告によると、ファルケンシュタイロが自ら指揮を執っているとか。ミラング共和国軍の英雄と言われるだけある。勝利のためなら何でもするか―…。困ったものだ。」

と、ファルルークは口にする。

 フォルルークとしては、クローデル領の者達同士が戦うことは避けたかった。

 理由は、お互いに気まずい思いをするのが分かっていたし、同じ出身者同士の戦いが大きな溝を双方に戦後も発生させてしまう可能性があると思うと―…、どうしても嫌な気分になってしまうし、しこりを残すのは、ミラング共和国を征服し、支配していく以上、統治の面で問題が発生するかもしれないからだ。

 統治面での問題は、自らの国の力を弱らせたり、周辺の国に対して、隙を見せる結果になることは言うまでもない。だからこそ、統治面での問題になる可能性があることで、自らが想定できることは避けないといけない。

 そして、それをファルケンシュタイロはさせてくれなかった。

 そこから、ミラング共和国軍の英雄といわれるファルケンシュタイロが勝利のためなら、戦後にリース王国側に溝ができることを平然とおこなってくる。

 これは困ったものであり、どうしようか迷うのだった。

 時間はそこまで待ってくれることはない。

 そして、考えながらも、焦りのような表情を見せないようにする。

 (………ファルケンシュタイロの方へと向かわせるのは、アンバイドしかいない。彼ぐらいでなければ、どんな人でもミラング共和国軍の強力部隊に簡単に阻まれるだけ。)

と、フォルルークは心の中で思っていると―…。

 報告者がやってくる。

 「フォルルーク様。アンバイドが敵対象の方へと向かって行きました。」

と、言う。

 その言葉を聞いたフォルルークは、歓喜の表情を浮かべるが、すぐに、元の表情に戻す。

 「わかった。私の言おうとしていることをしてくれているのか。アンバイドさんには感謝しかない。」

と、フォルルークは言う。

 フォルルークは、アンバイドに感謝の気持ちを抱くと同時に、アンバイドが敵の大将を倒してくれることを望むのである。

 そして、フォルルークは続ける。

 「我々は、アンバイドが勝利してくれることを祈るしかない。」

と。


 ミラング共和国軍のいる場所。

 そこにはすでに―…。

 「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 叫び声がする。

 だけど、そいつらはまだ、斬撃による風圧の攻撃を受けて、吹き飛ばされただけに過ぎない。

 それだけ、今の攻撃を発した者の威力が強いということだ。

 その攻撃をしたのは―…。

 「さあ~、そちらさんの大将を出してもらおうか、ミラング共和国軍の方々よぉ~。」

 そう、アンバイドである。

 アンバイドの感情に怒りというものがある。

 だけど、冷静さを失っているわけじゃない。

 感情を完全にコントロールすることなどできない。

 代償やらいろんな代替的な方法で、感情のストレスを解消しているのだ。

 そのストレスの原因となっていることを忘れるようにして―…。

 忘れるということはデメリットもメリットも、双方にある行為だ。

 いた、デメリットもメリットも、正義や悪のような主観的なものでしかない。

 そうである以上、そこにデメリットもメリットも、それをおこなっている者の考えや価値観が経験というものが反映されて区別されているだけに過ぎない。

 ああ―…、そうだ、人は完全に主観性を排除することなど物事の要因から発生されるものからはできないのだ。だからこそ、上手く付き合っていくしかない。

 そう思えば、敵のような悪もまた、自分の行動の一つの要因にもなり得るし、正義や善も同様となり得るのだ。

 社会で生きるためには、不安定な世界に安定させるために仮の点というものをしっかりと決め、それを中心に回し、誰もが守るべきものにしないといけない。

 だが、不安定である以上、時に変更を余儀なくされる。

 そんなものだ。

 さて、話が逸れたので、戻すと、アンバイドは冷静さを失わずに怒りの感情という難しいことをしながら、ミラング共和国軍の前に姿を現わす。

 ここにいるのは、天成獣の宿っている武器を扱うことができる者達ではないからだ。

 それをアンバイドは感覚的に理解しており、圧をかけるように言うのだ。

 アンバイドの狙いがミラング共和国軍の大将であることを―…。

 (ここでの大将は、フォルルークの野郎から聞いた感じだと、ファルケンシュタイロだという。直接にそいつの名前を言った方が良いのではないか。なら―…。)

と、アンバイドは心の中で思う。

 だから―…。

 「出てこい!!! ヌマディア=ファルケンシュタイロ!!!」

と、目一杯に叫ぶ。

 アンバイドの怒りはその声の大きさぐらいにあろう。

 判断する基準も曖昧となってしまうであろうが、そういうものだ。

 そして、アンバイドの叫び声に、アンバイドから最も近い距離、目測にすれば、十メートルぐらいの距離にいるミラング共和国軍の兵士はほんの一歩、後退(あとずさ)ってしまうのだ。

 それは恐怖。

 生存への本能。

 いくらでも表現する方法があるかもしれないが、自らが生き残り、自らの血の宿った子孫を増やし、年老いて自然と自らの生を終えていくことを目標としている人からしてみれば、今のアンバイドの叫び声は、その目標を達成を一生できないようにさせてしまうことを感じ取ってしまうのだ。

 生き残るための本能がそうさせることである以上、それを乗り越えていけ、というのは簡単なことではないし、その気持ちを完全に否定してはいけない。

 (……………………うっ……………………………………。)

 これが、今のミラング共和国軍の兵士が心の中で言える精一杯の言葉でしかない。

 アンバイドに対する恐怖を見事に表現することができているであろう。

 だが、それは声になって初めて、周囲に理解されることであろうが、表情からもそれを察知することができる。

 アンバイドが一歩を踏み出す。

 ミラング共和国軍の兵士が一歩、さらに後退る。

 自然とできてしまう。

 まるで、遺伝子にプログラミングされているかのように―…。

 「俺が叫んでも出てこないとはなぁ~。要は、俺に勝てないと思っているから、こうやって守りを固めているんだろ。……意味のないことだ。」

と、アンバイドは言う。

 言いながら、さっきの攻撃を繰り返す。

 そして、ミラング共和国軍の兵士のアンバイドに近い兵士のアンバイドの進行方向にいる者達は、斬撃により真っ二つに斬られる。

 そう、アンバイドは斬撃を横に繰り出しているのだ。

 その一撃は、さっきも見たので、ミラング共和国軍の兵士の一人であり、今の攻撃の進行方向から反対にいる者は―…。

 (こんなの相手にできるかよ。どんな軍事訓練を積んだとしても、追いつけるはずないだろ。俺らはグルゼンのような化け物になれるわけじゃねぇーんだ。逃げるしかない。だけど、足が―…。)

 竦むのだろう。

 恐怖と同時に、逃げようとして、アンバイドに気づかれ、自らの体が真っ二つにされることがイメージされてしまって―…。

 それも鮮明に―…。

 ああ、どうしてこのようなことになってしまったのだろうか。

 人が理解できるには範囲があり、人が何かしらを憶えるもしくは覚えることには時間を消費する以上、思考するのと同じような結果をある面では出してしまうということになる。そう、理解にも限度が存在するということだ。寿命というものがある生物は、その運命から免れることはできない。

 それを受け入れて進むしかないだろう。

 この兵士が思っていることは、この場にいる誰もが大なり小なり思っていることである。

 全員ではないだろうが―…。

 そして、そんな気持ちなど一切顧みることなくアンバイドは、向かう。

 (さて、大将が出てこないつもりなら、俺がやることが決まっている以上、そっちへと向かって行ってやらないとなぁ~。)

と、アンバイドは心の中で思いながら―…。

 それを止めることは、この場にいる者達の中ではできやしない。

 無駄死にを増やすだけだからだ。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(235)~最終章 滅亡戦争(90)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


では―…。

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