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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第35話-1 心の中のもう一つ

前回までのあらすじは、礼奈VSレヒの試合は、礼奈の圧倒的な実力による勝利という結果になった。

第35話は、分割となります。次回で第35話は完成すると思います。

 【第35話 心の中のもう一つ】


 礼奈は、四角いリングから降りる。

 それは、礼奈がさっきの試合に勝利したからである。

 降りた後、戦った相手であるレヒを凍らせていた氷を解く。

 そして、レヒは氷がなくなったことに気づき、礼奈が外にいるということは降参したのかと考えるが、

 (降参したのか。いや、傷がない。っということは、私は―…。)

と、心の中で思い、

 「ファーランス(審判)。私は負けたのか。」

と、ファーランスに疑問を言う。

 「はい。凍らされて戦闘不能状態で、しばらく動きがありませんでしたので、勝敗をつけさせていただきました。」

と、ファーランスは言う。

 (そうか。悔しいがたぶん、私の光の矢をだしたとしても、礼奈(彼女)には通じない。……私の完全な負けだ。)

と、レヒは心の中で礼奈に降参を認め、四角いリングから降りていった。

 レヒは、降りた後、まだ戦っていない最後の人物とすれ違う。

 「礼奈(あの子ども)は、強いが、最後の奴はいかにも弱い…。お前らに悪いが、俺は後に登場するチームに参加させてもらうぜ。」

と、こっそうとレヒに向かって言う。

 「そうかい。あたしは別に構わないよ、アルディ―。」

と、レヒはまだ戦っていない一人の人物であるアルディ―に対して言う。レヒ自身、アルディ―だけが勝利して、後に別のチームでこのゲームに参加したとしてもどうでもよかった。すでに、ランシュからゲームについてのルールを知らされたときから、そう思っていたのだから―…。

 「わかった。」

と、アルディ―は言って、四角いリングへとあがっていった。


 一方で、礼奈は、四角いリング降りて、レヒにおこなった氷を解除した後、自らのチームの元へといた。

 「何とか、勝つことができました。」

と、礼奈は謙遜して言う。

 「いや、謙遜する必要はないな。自分の戦い方と、攻撃に対して仕掛けやらどんどんしてきたしな。それに、俺は礼奈みたいな奴とはあまり戦いたくない。倒すのに時間がかかりすぎる。こりゃ~、チームの中の一番の成長株になるな。」

と、アンバイドはさっきの試合の感想を礼奈に言う。なぜか、アンバイドは全ての試合に対して自らのチームを解説しかねないような勢いであった。

 「あはははは、ありがとうございます。アンバイドさん。」

と、礼奈は遠慮がちに、少し心の中でひきながら言った。

 「後は、李章が勝利すれば、二回戦全試合で勝利だよ。」

と、クローナは言う。つまり、クローナは李章に勝ってほしいと思っていたのだ。第一回戦で瑠璃が勝利するも敵の攻撃による大量出血で生死を彷徨ったことに対してショックを受けていた李章が、戦いの中で勝てば少しは気が晴れるのではないかと思ったからだ。

 しかし、李章の気持ちは、後半部分でそれとは反対だった。ショックを受けたのは事実であるが、戦いの中で勝てるほどの自信も、天成獣の力を十分に発揮させるようなこともできなかった。なぜなら、あのショックで自分が守れないという不甲斐なさに自信を完全なくしており、自らの武器である刀を用いないために、天成獣の力を十分に発揮することはできないのだ。

 ゆえに、彼の勝利は可能性の低いものでしかなかった。

 李章は、クローナのさっきの言葉に対して、

 「あっ、はい。」

と、さっと自信なく答えることしかできなかった。

 その自信のない李章に礼奈は気づいていた。

 (李章君―…………、瑠璃のためにも勝って。)

と、心の中で礼奈は思うことしかできなかった。そう、礼奈にとって親友といってもいい、瑠璃のためにも―…。

 李章は、四角いリングに向かいながら、

 (俺は――――――――…………………、くっ。)

と、自らの心の中さえはっきりとした思いを言えずじまいであった。

 そして、李章は、四角いリングにあがっていった。


 李章とアルディーは四角いリングで対峙する。

 「お前らのチームが俺のチームの俺以外の四人が倒されてしまうとはなぁ~。まあ、そんなことはどうでもいい。負けたのはあいつらが油断したことと、お前らのチームよりも弱かったことが原因だ。だが、俺は違う。李章(お前)を倒して、より強いチームで今度こそチームとして勝利をしたい。それに、()()()も勝ち続ける。」

と、アルディーは言う。自らのしたいということを―…、正直に―…。

 そのとき、李章は、反応すらできず、アルディ―の言葉すら聞こえていなかった。

 「だから、俺は俺の次のために、()()()()()()()()。」

と、より強くアルディ―は言うのであった。

 ファーランスは、両者が四角いリングに入ったのを確認して、

 「両者とも準備はよろしいでしょうか。」

と、言う。

 「いつでも大丈夫だ。さっさと始めてくれ、ファーランス(審判)。」

と、アルディ―は言う。

 「準備は完了しています。」

と、李章は、ファーランスに聞こえるように言う。しかし、それは覇気を感じさせるものではなかった。

 その覇気のなさを見たアルディ―は、

 (たとえ、覇気がなくても、俺は俺のためにいつでも本気でいく。)

と、心の中で闘志を燃やしながら言う。

 李章とアルディ―に確認をし終えたファーランスは、右手をあげ、

 「では、これより、第五試合―…、開始!!!」

と、右を振り下ろしながら言った。

 こうして、第二回戦第五試合が開始された。


 第五試合が開始されてすぐ。

 「甘いな!!」

と、アルディ―は言い、李章の目の前へと素早く移動する。

 それには、李章も驚かずにはいられなかった。そう、一瞬のそのために思考停止するほどに―…。

 ゆえに、

 (気づかなかった!! いつもなら―…。)

と、李章は心の中で呟くと、すでにアルディ―は自らの左足で攻撃を開始していた。

 李章の心の中の呟く時間さえも、アルディ―の攻撃をかわせないほどに―…。

 「トロい!!」

と、アルディ―は言い、李章のほぼ接するぐらいまでに左足の蹴りを近づけていた。

 (防げない!!!)

と、李章は心の中で呟いた。

 その瞬間に、李章はアルディーの左足の攻撃を直接に完全なダメージで受けてしまった。

 「ガハッ!!」

と、李章はアルディーの攻撃を受けて声をあげてしまう。

 そして、李章は、蹴り飛ばされるのである。自らのチームのいる方向へと―…。

 李章も自らが飛ばされていることに気がついたのか、何とか右手を地面に接して、蹴り飛ばされている方向へと進むを止めるようにした。それは、何とか四角いリングのギリギリ内側で踏ん張ることができた。

 李章は、ゆっくり足を地面につかせ、立った。

 しかし、すでに、アルディ―の攻撃をまともに受けてしまったせいで、立っているのがやっとに近い状況になっていた。

 ゆえに、

 「はあ……はあ…………。」

と、李章は息を荒げていた。

 その様子は同じチームのメンバーにも不安を抱かせていた。

 「今日は、戦い方が李章らしくないし、相手のあれぐらいの攻撃なら簡単に避けていたはず。」

と、クローナは不思議そうに言う。普段の李章であれば、クローナが言っていた通りに、アルディ―の攻撃を避けることは簡単であった。天成獣の力を半分しか使えなかったとしても―…。つまり、李章は別の原因で戦いに集中できていないことを示していた。

 そのクローナの言葉に反応するように、

 「そうですね。クローナさん。あれは戦う者の目ではありません。あれは―…迷っている人の目です。」

と、セルティーは言う。そう、セルティーの言う通りであった。

 しかし、李章はこのとき、何が原因かは気づいていなかった。気づけるはずもなかった。

 (どうして私は―…、あんないつもなら避けられたさっきの攻撃を、避けることができなかった。)

と、心の中で李章は思考をめぐらせる。自らがどうしてアルディ―の左足の蹴りを避けることができなかったのか。

 しかし、李章にそのような思考をさせる時間を与えてはくれるはずもなかった。

 もう、すでに、アルディ―は李章の目の前で、左足の蹴りを李章にいれようとしていたのである。

 これは、李章がかわすことのできない距離にまで接近していたのだ。

 ゆえに、再度、アルディ―の左足の蹴りによる攻撃を直接に李章は受けてしまうのだ。

 李章は蹴り飛ばされた。四角いリングの外へと―…。

 李章はこのとき、アルディ―の蹴りによって飛ばされ、空中に浮いている状態であった。

 そのなかで、やっと気づくのだ。李章自身が迷っていた理由に―…。

 (私はまた―…、大切な人を守れないのか。自分の力で―…。)

と、李章は心の中で呟く。理由を知ったがゆえに、自らを情けなく思いながら―…。

 李章は結局、観客席と中央の舞台を隔てるフェンスに衝突して、気絶してしまった。

 それを見たファーランスは、

 「勝者!! アルディ―!!!」

と、第五試合の勝者を宣言するのであった。

 こうして、李章はこの試合に敗北することになった。ただし、チームが勝利したので、李章は後の戦いに参加することはできるのであるが―…。

 

 勝利宣言を受け、勝者となったアルディ―は、四角いリングの中にいた。

 (つまんねぇ、戦いだった。あんなにもあっさりと俺の蹴りを受けて吹っ飛ばされるなんて―…。)

と、アルディ―は心の中で呟いた。

 そして、呟き終えたアルディ―は、ゆっくりと四角いリングから降りていった。

 ファーランスは試合終了後、

 「これにて、第二回戦の全試合を終了いたします。第三回戦は来週になります。」

と、これからのゲームの予定をアナウンスするのであった。


 一方で、礼奈、クローナ、セルティー、アンバイドがいる場所より李章は奥へと飛んでいった。

 それを確認したアンバイドは、走り李章のもとへ向かう。

 それに続いて、礼奈、クローナ、セルティーも同様に同じ方向へと向かう。

 そう、李章が飛んでいる方向へ―…。

 そして、李章が中央の舞台と観客を隔てるフェンスに自らの体をぶつけた。そして、李章は気絶した。

 その出来事から数秒で、アンバイドが李章のもとへと到達した。

 アンバイドは、

 (フェンスにぶつかるとき、頭部ではなく、背中の部分が最初で、幸いってところか。その後に、頭部をぶつけたってところか。とにかく、礼奈に治療させた後、しばらく誰かがいたほうがいいだろう。天成獣の力を半分しか使っていないはずだ。そうであれば、体の内部に損傷があるかもしれない。)

と、心の中で呟きながら、李章の今の状態を分析するのであった。

 そして、すぐに礼奈が李章のもとへつく。

 「礼奈、李章の治療を頼む。」

と、アンバイドは言う。

 「はい!!」

と、礼奈は答え、すぐに、

 「青の水晶。」

と、念じて、青の水晶の効果を発動させた。

 そして、李章の体の損傷を受けていると思われる部分を回復させようとした。

 (李章は、次の試合には出せないな。医者の診断が必要であるが―…、たぶん、全治一週間以上はかかるだろう。)

と、アンバイドは李章のケガがどれくらいの期間になるかを予測する。それは、李章の修行への影響をどうするかを考えてである。

 その後、青の水晶である程度まで回復した後、李章はアンバイドによって運ばれていった。リースの城へと―…。


第35話-2 心の中のもう一人 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


これで第二回戦が終わり、第三回戦へと移っていくと思います。次回の投稿する分ではいかないと思いますが―…。

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