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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
561/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(215)~最終章 滅亡戦争(70)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけ、降伏させることにランシュは成功する。


一方、クローデル領に進軍するリース王国軍の右軍は―…。

 ミラング共和国のクローデル領にいる軍隊。

 数時間が経過して、ファルケンシュタイロは会議を開く。

 この場には、ミラング共和国軍のファルケンシュタイロの精鋭が集まっている。

 「皆の者、よくぞ集まってくれた。このクローデル領へと侵入してきているリース王国軍の右軍……いや、あの蛮族どもが攻めてくる!!! 我々は、この五年と半年の間、我々ミラング共和国軍は勝利しか知らない。だから、このようなことになったのは相手が卑怯なことをしただけに過ぎない。なら、今度は我々の素晴らしい兵力によって、卑怯すら通じないようにすれば良い。」

と、ファルケンシュタイロが言う。

 ファルケンシュタイロは完全に自らに心酔してしまっている。

 それは、ファルケンシュタイロがこの五年と半年の間、ミラング共和国軍が実質起こした戦争の中で、負けは一回しかない。その負けも偶然によるものであり、ファルケンシュタイロは負けていないという気持ちであり、自身が負けたことは認めていない。シュバリテがラウナンによって殺されたことが原因なので―…。

 ゆえに、ファルケンシュタイロの自らが戦えば勝利するという酔いは醒めない。醒める要因はない。

 「そうです、ファルケンシュタイロ様!!」

 「リース王国軍は卑怯なことをしてるに決まってる!!!」

 「我々は強い!!!」

 一斉に、ファルケンシュタイロの部下で、側近である者たちが叫ぶ。

 ファルケンシュタイロに半分ぐらいは心酔してしまっており、ファルケンシュタイロの言う言葉に間違いはないと思い込んでしまっている。

 そんなことはないのに―…。

 それでも、彼らはファルケンシュタイロの功績と思われるものに縋りつく。

 そして、ファルケンシュタイロによって見出された者達は、ファルケンシュタイロを自身を救ってくれた大恩人として、ファルケンシュタイロを崇める視線を送り、声をだす。

 ここに、冷静に考えられる輩はいないし、トップがそうである以上、どうしようもない。

 トップが冷徹であり過ぎるのは困るが、どんな場面でも最悪の可能性をも含めてしっかりと考えておく必要はある。どんなに考えても、すべてのことを考えつくことが人にはできないと言われたとしても―…。

 人は、思考するのに時間を消費している以上、この制約からは逃れることができない。

 だからこそ、人は自らが思ってもいない予想外の結果に出会うことができるのだ。

 さて、話を戻すと、この高揚感はまるで、危険な宗教を信仰しているような感じでもあるし、この場と行動における疑問を思う者に自分が間違っているのではないかと思えるぐらいのような圧力がある。

 その場にいてしか感じることができない。

 同時に、危険性をはらんでしまっているのだ。

 それに気づけるかどうかが、人としてより良い選択をしていくために重要なことなのだ。

 高揚感に包まれている者だけでは、気づくことのできない危険性というものに―…。

 そして、この高揚感は強さにも変換できるというメリットが存在することも忘れてはならない。

 人は大勢の一つに団結した者達の集団に対して、まとまりのない個人たちは恐怖を感じ、怖れ、自らの力を発揮させることができなくなる。いや、発揮させたとしても、多くの場合は何かしらの要因がなければ、敗北してしまうだろう。

 それが分かっているから、恐怖に感じるという選択はあっているのかもしれない。

 その高揚感の中で、ファルケンシュタイロは気分をさらに良くする。

 すでに、この五年と半年でミラング共和国軍に対して、多くの勝利をもたらしているファルケンシュタイロは、ミラング共和国の英雄であり、誰も批判できないぐらいの力を手に入れているのだから―…。いや、批判できる人物はラウナンぐらいであろう。

 「ゆえに、ここからは正攻法によって、リース王国軍の右軍を潰す。分かったか、野郎ども!!!」

と、ファルケンシュタイロは言う。

 その言葉の後で―…。

 『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 側近の者達が叫ぶのであった。

 自身の状況を冷静に分析することができずに―…。

 その中で、クローデル領から派遣された代表の兵士は、

 (マーゼルも自身の命を捧げなかったのは情けないが、こいつらは完全に駄目だ。リース王国側の情報をしっかりと集めているのか。噂によれば、クローデル領に向かっているのは、アンバイドという伝説の傭兵が加わっていて、彼はミラング共和国軍の天成獣部隊でも歯が立たないと言われているほどだ。そんな奴に数で対抗しようとは―…。さらに、我々を犠牲にして―…。)

と、心の中で腹立たしく思っている。

 この兵士は、クローデル領の兵士の中でも頭が良いのであるが、マーゼルからはそこまで評価されていない。この人物が、クローデル領の領主一族の傍系の出身であり、優秀なため、マーゼルの方が嫉妬してしまい、今回のミラング共和国軍への派遣の中で、リース王国軍の手で殺されることによって、合法的に処分がしたかったのだ。

 彼の優秀さは軍事力ではなく、文官としての才能であることだ。

 この兵士は、特に五か国語の言語を操ることができ、かつ、相手の意図を機敏に察知することができるので、相手の意図から本当に自身にとっての利益、クローデル領の利益という二つの方向からそれなりに考えることができる。

 他者のために動くことができるこの兵士とマーゼルでは、人間性という面の比較にはならない。

 マーゼルも、クローデル領の利益について考えることはできるが、どうしても自分の命を優先してしまう嫌いがある。そういう面は必要であろうが、クローデル領の利益と日頃から主張している以上、どうしても矛盾が生じてしまう。

 人という生き物に矛盾がないと言われれば、嘘となる。

 その矛盾というものが時に、周囲に不信感を与えることになるし、その不信感が積み重なることによって、大きな悲劇を生み出すこともあるのだ。そのことに気づく頃には、もうどうしようもないことだって十分にあり得る。

 この兵士は、マーゼルの最後は自分が可愛いという気持ちに嫌気がさしていた。そのために、犠牲を強いられる側の気持ちにもなってもらいたい。

 マーゼルも理解できないわけではないが、それよりもどうしても自分の命が大事なので、そこによって、溝というものができてしまうのだ。マーゼルには見えていないだろうが―…。

 その溝をこの兵士は嫌でも見えてしまうし、あることが分かってしまう。

 だからこそ、この場にいることに対して、さらに、この高揚感に違和感を感じてしまうのだ。

 (それがミラング共和国の態度というのなら、この国のどこに国民への愛があるのだろうか。結局、今の対外強硬派の我が儘のために、俺らは命を散らさないといけなくなってしまってる。こんな馬鹿なことがあって溜まるか!!!)

と、この兵士は心の中で強く決意する。

 今のミラング共和国の支配層には、自らの国民を守る気持ちなどない。国を守るという言葉を常に吐く人はいるが、そういう人は二パターンに分かれる。そう、真面目にそう思っているか、嘘吐きのどちらかだ。

 真面目にそう思っていると思われる人物の場合は、その周りの人脈に恵まれるのであれば、良き方向にもっていくことができるだろうし、そのような方針によって、国民からの真の信頼を得ることが可能であろう。完全ではないが―…。

 逆に、もう一つのパターンの方が厄介なのだ。この嘘吐きのパターンは真面目に思っている者と同じような感じで擬態できてしまうのだ。言葉から判断するのは難しいし、実際に起こらないと分からないものであったりするからだ。ただ、区別することができることは、相手側がお前の国に対して、罵ったり、全滅しろなどのようなことを公でトップが発言するような場合がなく、相手国のことを馬鹿にしていたり、殲滅すべきだとのような主張をしていれば、そいつらは嘘吐きの輩であろう。

 なぜなら、そのような嘘吐きは戦争を望む。自らの権益を拡大させるために―…。相手国の事情などほとんど考えないし、自分が有利になることしか主張しないし、さらに、自国にとって都合が良いことしか言わないし、自国民の命など、これっぽちも思っていない発言をするからだ。その時の言葉は、一見、お前らにとって都合が良い、強い、勇ましい言葉のように感じられるが、その場面を悲観的に想像すれば、すぐに分かるだろう。彼らは自国民の命を利用して、自分が得をしたいだけなのだ。

 それに飲み込まれてはいけない。

 飲み込まれてしまえば、周囲をも含めて不幸の連鎖を発生させることになり、最悪の場合、取返しのつかないことになってしまう。この経験は危険だし、その経験した者の中で、この出来事を嫌う人物、防ごうとする者の言葉は自然と重みが増す。それが人を説得するための言葉であり、本物の強き者の意志だ。決して、このことは忘れてはいけないし、自らの中に刻み込まないといけない。

 それができるためには、この兵士のように疑問に思うことからすべてが始まるのだ。この疑問こそ大事であり、この疑問を思考へと導くことによって、調べるという行為が生まれるのだ。調べることによって得られた知識を組み合わせ、自らの経験を入れ込むことによって、一つの自らの理念になるのだ。それが一人の個人としての柱となる。

 そして、この兵士は決意する。

 自分達が生き残るためには、ミラング共和国軍のファルケンシュタイロが率いる軍は当てにならないどころか、本当の意味で敵でしかないということを―…。


 一方、リース王国軍の右軍。

 その中でアンバイドはゆっくりと進んでいた。

 周囲の兵士とともに―…。

 (この戦争で大きな活躍をすれば、ベルグに関する情報を手に入れることができる。前回のリース王国に訪れた時は、情報屋ばかりで情報を集めていただけで、その後の行動で失敗したからな。過去に宰相をやっていたのなら、リース王国の官僚および軍人、王族の連中から何か詳しい話を聞けば、どこへ行ったのか分かるかもしれない。)

と、アンバイドは心の中で思う。

 アンバイドの目的は、ベルグへの復讐だ。

 それ以上でも、それ以下でもない。

 自らの最愛のパートナーを殺されたのだから―…。

 この人物への復讐しか興味がないし、それ以外は生きていける分だけの収入があれば十分だ。

 そして、アンバイドは今回のリース王国とミラング共和国との間の戦争で傭兵として活躍し、ベルグに関する情報をリース王国の中央部から得られるような便宜を図ってもらおうと考えているのだ。

 そして、アンバイドの近くには、緊張した兵士らがおり、彼らはアンバイドを見ながら、ヒソヒソと会話し、アンバイドのことを有名人として憧れの眼差しを向けるのだった。

 そして、リース王国軍の右軍はクローデル領へと侵入し、進んでいくのだった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(216)~最終章 滅亡戦争(71)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


本格的に、『水晶』の投稿を再開します。

何とか、巻き込まれる方は一応、無事に終わりを告げました。

言葉悪いように聞こえますが、そういうことではないですから―…。

ということで、無理しない程度に頑張ります。

あと、忘れていたんですが、『この異世界に救済を』の「小説家になろう」で投稿しているのですが、そっちの方のPV数が1万を超えました。これも『この異世界に救済を』を読んでくださり、評価をしてくださり、ブックマークをしてくださった皆様のおかげです。ありがとうございます。

『この異世界に救済を』に関しても、今後ともよろしくお願いいたします。


ということで、『水晶』、『この異世界に救済を』を今後とも読んでいただけると助かります。ご迷惑をおかけいたしました。

では―…。

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