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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
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第33話-2 圧倒する二人の戦い

前回までのあらすじは、クローナが相手を吹っ飛ばすことで勝利した。あと1勝で、瑠璃、李章、礼奈、クローナ、セルティー、アンバイドのチームの勝利となるところまできたのであった。

今回で第33話は完結します。

 そして、第二回戦第二試合はクローナが勝利し、観客の歓声があがる。

 それは、この競技場が揺れるのではないかと思われるほどであった。

 クローナはゆっくりと四角いリングを降りて、李章、礼奈、セルティー、アンバイドのいる場所へと向かって行った。

 「勝ってきたよ。あと一勝で二回戦勝利だよ。」

と、クローナは言う。そう、本当に後もう一試合に勝つだけで、李章、礼奈、セルティー、アンバイド、ここにはいないが瑠璃の属しているチームの勝利となるのだ。

 「おめでとう、クローナ。」

と、礼奈が言う。

 それに対して、クローナは、

 「ありがとう。」

と、言う。

 「いい戦い方だった。相手の一瞬をついてこそ、風の属性の強みってものさ。そして、相手を場外へとぶっ飛ばしたのはさらに良い。すばらしい。」

と、アンバイドはクローナの戦いを褒めていた。嫌味などそこには感じさせるものはなく―…。

 アンバイドは、実際にクローナの戦いを奇襲攻撃として良い戦法であるとみなしていた。これで、相手のほうが真価を発揮することができずに倒せるという自らの力を余計に浪費しにくい効率の良い戦いができるのであり、仮に連続で戦わなければならないときに、次の相手への不利になることを軽減できる。

 「ありがとうございます。何か素直にアンバイドから褒められると、気持ち悪く感じる。」

と、クローナは言う。クローナは、アンバイドが素直に人を褒めるような性格だとは思えなかった。アンバイドという人物が、自分一番で他は自分よりも下で劣っているのだとして見下していそうと思ったからである。

 しかし、アンバイドは、決して人を見下すわけではなく、相手の良いところは素直に認められるという一面をもっているのである。その頻度が低いというだけで―…。

 「悪かったなぁ~。いつも素直に褒めなくて。まあ、そんなことはどうでもいい。次の第三試合は俺が出るからな。」

と、アンバイドは不機嫌そうに言う。そして、第三試合にアンバイド自身が参加することを表明して―…。

 そのアンバイドの第三試合参加宣言は、李章、礼奈、クローナ、セルティーを驚かせるのであった。

 それに気づいたアンバイドは、

 「ああ~、昨日決めただろう。俺が第三試合にでるって。五人か六人のチームが相手の時、一番実力のある俺が、中ごろにでたほうがチームにとって最悪な時および勢いのある時の両方で得策だと。これだから、まだ戦いを知らないお子ちゃまたちは~。」

と、アンバイドはやれやれとしながら言うのであった。そして、

 (俺が参加するという宣言さえも、弄りたいのか。)

と、心の中でアンバイドは思ったという。

 アンバイドの「お子ちゃまたちは~」という言葉や言い方に対して、アンバイドと中央の舞台にいない瑠璃以外は、カチーンと頭に来たのである。礼奈とセルティーは笑顔で、李章は表情にださず心の中、クローナは表情にプスーと両頬を膨らませることでだしたのであった。

 「そんな顔をしようが構わないが、俺はお前らに一つ教えてやろうと思ってな。うまい戦い方ってやつを―…。」

と、アンバイドは自慢するように言う。

 それが、結局、

 (アンバイドさん。負けてくれるうれしいなぁ~。)

 (アンバイドさん。恥をかいてください。今までの私に対する名言、そしていろいろなことを半分台無したお調子者発言の屈辱のために、です。)

 (あれほど、大人になれない子どもはさっさと負けてください。修行のときに馬鹿にされたこと未だに根にもっているので、その気持ちを抑えるために―…。)

と、礼奈、李章、セルティーの順で心の中で思ったのである。

 そして、クローナは、

 「お調子者のアンバイドが負けても、次で確実に勝てるから―――――。」

と、言うのであった。

 アンバイドは、怒りのマークを顔に浮かべつつも、

 「そうか、クローナ。お前は後で地獄のような苛酷な修行を追加するとしようか。ククククク。」

と、悪い笑みをさせながら言った。

 「……、なんて恐ろしいことをしようとするの。か弱いカワイイ女の子に対して―…。」

と、クローナは涙(嘘涙)を流しているかのように手を目に添えながら言うのだった。このとき、礼奈とセルティーがクローナの味方するような態度をしたのであった。


 アンバイドは、中央の舞台の中央にある四角いリングに立つ。

 そこには、次の試合で戦う相手選手がいたのだ。

 (あいつが、対戦相手か…。油断はすべきではないが、強いってほどではないな。)

と、アンバイドは自らと戦う相手の実力を分析するのであった。

 「お前か相手は? おっさん。」

と、アンバイドと対戦することになっている人物が言う。

 それは、アンバイドをただのおっさんとしてではなく、どれぐらいの実力者かを確認するために―…。

 「そうだ。」

と、アンバイドはただ短く答える。

 「俺の名は、ニーグー=ティー=ライグだ。俺は強えーぜ。なんせ、俺の力強さはランシュ様さへも認めているからなぁー。あと、あんたが有名な傭兵のアンバイドだとしても、俺が負けるはずがないんだよ。これから、俺の力で雑魚という言葉が相応しいくらいに陥れてやるよ。」

と、ライグは言う。

 ここで、ライグの特徴は、年齢からして若く10代後半と言っていいだろうし、体のあらゆる筋肉がムキムキでバキバキであった。そのために、力が強そうに感じさせるイメージをもっていた。背はアンバイドよりも高く二メートル前後ぐらいであろう。性格は、好戦的で、直接を攻撃を好む。これぐらいがライグに今の時点で浮かぶ特徴であった。

 アンバイドは一切ライグの言葉に反応はなかった。

 さらに、ライグは続けて、

 「フン、なかなかの根性の持ち主だ。俺のこの言葉を聞いて、頭にきて怒ったりしないとはなぁ~。しかし、俺には勝てない。むしろ、一体何秒もつかな~。」

と、言う。

 ライグのその言葉に怒っていないのではなかった。むしろ、

 (ほお~、こいつ俺のことを馬鹿にするのかぁ~。頭にはくるが、吠え面でもかいていろ。ライグ、お前こそ雑魚だ。さて、五月蠅い奴だが、適度に喋べってライグ(あいつ)が満足したら、さっさとぶっ飛ばそう。それも、あの後ろに味方どもにこれが戦い方を見せつけることも忘れずにしないとな。)

と、アンバイドは心の中で、馬鹿にしていたのだ。あまりにも弱い奴としか感じられないセリフに―…。それに、弱い奴ほどよく喋るというものだからなぁ~。

 アンバイドは、喋るほうであるが、それは相手を油断させることも兼ねており、喋って自分を弱く見せようともしていたのだ。

 両者の会話になかなか入りずらかったファーランスは、ここで会話に入れる雰囲気になったと感じて言う。

 「両者とも準備はよろしいですか。」

と。

 「ああ、俺はいつでも構わない。はやく戦いたくてうずうずしている。」

と、ライグが言う。

 それを聞いたファーランスは、

 (ライグ(お前)のせいだろが。話しがいちいち長いんだよ。)

と、心の中でライグへの不満を呟いていた。

 「ああ、始めてもらって構わない。」

と、アンバイドは言う。

 ファーランスは不平を心の中で呟きながらも、アンバイドの言葉をしっかり聞いていた。そのため、すぐに試合開始のコールをする時であることがわかった。

 ファーランは右手をあげ、

 「これより、第三試合――――……、開始!!!」

と、言いながら、あげた右手を振り下ろした。

 こうして、第二回戦第三試合が開始された。


 ほんの少しの静寂も流れなかった。

 そう、ライグが、試合開始後すぐに、

 「この俺の力は、最強で最大の力――――――――…。」

と、大きな声で叫び続ける。

 その大声は観客にとっては、オオ――――、と盛り上げるようなものであった。

 しかし、アンバイドにとってはただのうざい発言が始まるとしか感じられるものでしかなかった。

 ゆえに、アンバイドは試合開始後、すぐにライグに近づいた。ライグに気づかれずに―…。

 「これを喰らって……ッ!!!」

と、ライグは叫びが終わる。まるで、攻撃を受けてしまったような声をだす。

 これには、観客も驚かざるをえなかった。

 そして、観客、審判、李章、礼奈、クローナ、セルティーも気づく。

 アンバイドがライグの腹部を殴っていることに―…。

 アンバイドは、ライグにのみ聞こえる声で、

 「やっぱ適当に喋らせようと思ったが無理だわ。俺はライグ(お前)のような雑魚の話しをのんびり聞いてやれる程、暇じゃねぇ~んだった。だから、ライグ(三下)、お前は気絶しとけや。」

と、言う。それも、怒りを発散させるかのように―…。

 そして、アンバイドは、もう片方の腹部を殴っていない手をグーにして、ライグに向かってアッパーを喰らわせた。そう、そのアッパーはライグの首にあて、ライグは後ろへ、吹っ飛ばされるようになり、後ろへと倒れていった。

 ライグは倒れた結果、後頭部が四角いリングの地面にぶつかり、その衝撃で気絶してしまった。

 それを確認したファーランスは、

 「勝者、アンバイド」

と、勝利したアンバイドだと告げた。

 こうして、第3試合はアンバイドの勝利となった。

 「そして、第二回戦、勝利チームは、神と名乗るバカランシュを倒すためのチーム!!!」

と、第二回戦の勝利チームを宣言する。

 その言葉にアンバイドは、

 「誰だよ、そんなダサすぎるチーム名にしたのはよぉ~。」

と、自分のチーム名のダサさにツッコミ入れざるを得なかった。それも、ライグよりも大きな声で―…。

 ちなみにその名前をつけたのが、セルティーであったという。


 【第33話 Fin】


次回、光の矢!?

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回は、短くなるかもしれません。原因は第28話で触れた一部の内容が本来第34話にあったからです。

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