番外編 ミラング共和国滅亡物語(209)~最終章 滅亡戦争(64)~
申し訳ございません。
完全に投稿するのを忘れていました。二時間以上の遅れとなりましたが投稿します。
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。
一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。
その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。
翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。
戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。
その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。
翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。
リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に
、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。
リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。
その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。
ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。
その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。
一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。
その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。
一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。
その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。
それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。
その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。
ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。
そんななか、イルターシャの居場所を見つけるのだった。
ミラング共和国側。
オットルー領の内。
そこにあるミラング共和国軍の指揮官イルターシャがいる場所の近く。
そこには、シエルマスの工作員が一人いた。
「……フン!!! こんな女を見張ったとしても意味ないだろ。この女、卑怯なゲリラ戦を展開しているだけで、何も攻めようとしていないじゃないか。任務だから仕方ないが―…。それにしても、リース王国軍の偵察兵を放っておくだけでなく、正体まで明かすなんて―…。まあ、そいつに関しては、なぜか始末しそこなってしまったが、それ以外は―…。」
と、シエルマスのこの工作員が言う。
本人は、心の中で言っているつもりだし、大声にはなっていない。
本人は声にしている気持ちもなければ、声だと認識していない。
そして、この工作員は、イルターシャが何かを企んでいるかさえ分かっていない。
同時に、ミラング共和国軍の裏の組織としての仕事をしっかりと果たしている。
そう、リース王国軍の左軍の偵察兵を一人以外は完全に始末しているのだ。
その理由は、ミラング共和国軍の情報がリース王国側に漏れないようにするためであり、かつ、イルターシャが何かしら、ミラング共和国軍にとって不利なことをするのではないか、というラウナンの懸念があったからだ。
このような仕事は、この人物にとっては嫌いだ。
なぜなら、女の見張りなどよりも、リース王国軍のトップの動静に関する監視の任務がしたいと思っていた。
そして、同時にもし、自由にできるのであれば―…。
「あれほどの上玉だ。さっさと手籠めにしても―…。」
と、言いかけたところで―…。
「さようなら。」
と、女の声を聞いたと同時に、このシエルマスの工作員の命は尽きる。
幻に殺されたのではない。
心臓に一突きされて、それに気づくことなく、意識を失っていき、出血多量で命を落としたのである。
その人物の後ろには女が一人いた。
(幻で心の中で思っていることを小声で、私に聞こえるように言うようにしたけど―…。本当に、刺されたことまで気づかないなんて―…。雑魚ね。)
と、女は心の中で思う。
このシエルマスの工作員を殺しておく必要があった。
シエルマスに情報が漏れるわけにはいかない。
それでも、どこかしらで漏れることは避けて通ることはできないであろう。
大事なのは、如何に時間を稼ぐか、ということだ。
時間があるだけあれば、対処の仕方もできていたりする。
そして、その場には、もう一人いた。
「イルターシャ様。シエルマスの工作員を始末してもよろしかったのでしょうか。彼らは他にも―…。」
と、イルターシャの側近の一人である人物が言う。
その言葉は、イルターシャの行動を心配そうに見つめながら―…。
「ええ、彼らに知られるのはあまり良い結果にはなりませんから―…。それに、シエルマスは、もう、この戦争におけるキーマーンには一切ならないでしょう。明日、私たちの運命の別れ道となります。」
と、イルターシャは確信めいた感じで言う。
何かしらの予感みたいなものがあるのだろうか。
それを推測することは可能だろうが、それを補足したとしても意味はない。
人の気持ちは推察されるぐらいの幅があった方が良いのかもしれない。
そして、イルターシャのこの今の言葉に対して、側近の一人は何も言わなかった。
それは、イルターシャが自分達にとって不利になるような考えをしないという信頼感があるからだ。
そういう意味で、信じているのだ。
その後、このシエルマスの工作員は、どこかしらで処分され、どこかの土の中へと―…。
翌日。
リース王国軍は準備を整え、オットルー領におけるミラング共和国軍の指揮官のいる場所へと向かう。
そんななか、別行動をしている者が二人いた。
彼らもオットルー領におけるミラング共和国軍の指揮官のいる場所へと向かっていた。
先行というか遊撃というか、本陣にいる一人の指揮官の場所へと―…。
ハミルニアからの命令を受けて―…。
そして、ハミルニアの言葉をランシュは思い出す。
―ああ~、後、オットルー領地で指揮しているミラング共和国軍の指揮官、女性のようだ。こちらも偵察に送った兵士が何人も帰ってこない。兵士は殺されたのだろう。彼らの死は残念なことだが、私の立場である以上、有能な者は一人でも多く味方にしておく必要があるのだよ。男尊女卑のミラング共和国軍でどうして女性が指揮官をしているのだろうか。疑問に思ってしまうねぇ~―
と、ランシュとヒルバスへと話を終えたのであるが、重要なことを言っていなかったのか、再度、問いかけたのだ。
その時、ランシュとヒルバスは、心の中で、
((まだあるんかい!!!))
と、いうツッコミを入れる。
ランシュとヒルバスとしては、話の内容をしっかりと纏めてから話して欲しい、話すべきことは一回ですべて伝えていただきたいものだ。
そのハミルニアのミスによって、この内容はランシュとヒルバスの記憶に残るという結果となったのであるが―…。
ランシュは、
(へぇ~、ミラング共和国の指揮官は女性なのか。ふ~ん。今、言っていることは、それだけ重要なことなのだろうということはわかる。なら、最初に言って欲しかった。なるべく、ハミルニアの要望は聞くつもりでいる。無理だったら、ハミルニアには申し訳ないが、やるか。そうしないと、俺の命が危機に瀕するのだから―…。まあ、そういうことは許してくれるだろう、ハミルニアは―…。)
と、心の中で思う。
ランシュとしては、もうこれ以上考えても意味がないと理解してしまう。
なぜなら、ハミルニアのあの性格は、治りそうにないと思えてしまうのだ。
何の因果かは分からないが―…。
そうしている間に、ランシュとヒルバスはハミルニアに言われた通りの場所を目指して、ミラング共和国軍が多い場所に到着するのだった。
「ランシュ君、そろそろ到着します。」
と、ヒルバスが言う。
ランシュもそのヒルバスによって、静かにし、余計な思考を排除する。
これは、これから戦いが始まるということがわかっている以上、頭の中で考えることによる、気分的な疲れを発生させないようにするためだ。頭で考えることで使っているエネルギーがある以上、それによる余計な消費を減らすためであろうことはわかる。経験的なものだ。
ランシュは、いろんな場所に視線を向ける。
そこには大きな垂れ幕があり、そこが指揮官のいる場所ではないかと思わせることだと理解する。
その一方で、ヒルバスは周囲を見ながら、
(ミラング共和国軍の数が多いのは分かりますが、さらに、厳重というか、裏の者かどうかは分からないけど、かなり見張っている感じですね。気を引き締めないと―…。ここから強い人がいる感じが分かる!!!)
と、心の中で気を引き締める。
それは、強い人物がいるのではないかという、野生の勘みたいなものが出てきている。
ランシュとは違う別の―…。
そういう意味で警戒しないという理由がない。
ヒルバスは、真面目な表情をしながら、周囲のミラング共和国軍の兵の数を把握しながら、さらに、如何にして、ここで気づかれないようにするか、もしくは、気づかれたとしてもすぐに対処できるようにする。
ランシュは、
(そこに、オットル領地でミラング共和国軍の指揮をしている人物がいるんだな。俺たちを苦しめる―…。本当に、考えるとどうやって倒してやろうか、怒りの感情がでてしまうが、それでも、ハミルニアの命令を忘れるわけにはいかない。なぜなら、その指揮官は生かさないといけないのだ、なるべく―…。理由は、その人物がリース王国の俺とヒルバスが属している左軍を苦しめるほどに戦術的であり、地の利を上手くいかしていて、優秀であるからだ。そういう人物をリース王国側につけることができるのならば、リース王国にとっても利益になるからだ。何度、同じことを思っているのだろうか。まあ、俺の中の気持ちを落ち着かせるための確認だと思うことしないと―…。)
と、心の中で思う。
ランシュは同じことを思考の中で思ったとしても、それに気づき、それをプラス方向に解釈する。
今は、落ち込んだとしても結果良い方向に向かうということはあり得ないのだから―…。
そう考えるならば、楽観的になるというデメリットも存在するが、運気という名のゲン担ぎぐらいはできるだろう。
「あれがオットル領地の奴の―…。」
と、ランシュが言うと―…。
「ええ。指揮官のいる場所です。オットル領地の中でも狙いにくい場所につくるとは―…。」
と、ヒルバスは返事をする。
地形的にみて、少しだけ丘の高い場所であり、オットルー領を見渡せる場所にあるのだ。
さらに、垂れ幕の色を空の色と被せているので、なかなか気づきにくいのようにさせているのだ。そういう意味で、自分達の拠点を上手く隠しているのである。
つまり、オットルー領内にいるミラング共和国軍の指揮官であるイルターシャはかなり優秀な指揮官であることを理解させられてしまう。
守りに徹しているのだから―…。
そこで、ゲリラ戦も展開してくるのだから、敵になればかなり最悪な存在であることに間違いないし、味方であれば、心強いのは確かである。
ランシュもそのようなことを思いながら、イルターシャの凄さを理解し、かつ、それを降伏させないといけないのが難しい可能性も場合によっては、あるのだと理解させられてしまう。
「さて、どうやって攻めますか。俺―…、本気になっても大丈夫だろうか?」
と、ランシュは言う。
ランシュとしては、イルターシャを降伏させるのに、自身が本気となった方がしやすいのではないかと思っているのだ。
ある意味で、仕方ないかもしれないと思いながら―…。
「いや、止めておいた方がいいかもしれません。ランシュ君の本気は、圧倒的な実力を誇るけど、降伏させることなので、後々、ランシュ君の本当の実力が知られて、リース王国の中央で権力を握っている奴らがどのようなことをしてくるか~。」
と、ヒルバスは言う。
ヒルバスとしては、ランシュの本気の実力に関して、どこにリース王国の裏の組織、メタグニキアの私設部隊がいるのか分かったものではないので、使うことができない。
ヒルバスもメタグニキアの私設部隊の一員であるが、ヒルバスは本当の意味ではランシュに忠誠を誓っている部下である以上、ランシュとメタグニキアを天秤にかける必要もなく、ランシュのために動く。そういう人物である。
ランシュも理解しているのか、
「だよなぁ~。」
と、返事をする。
さらに、ランシュの天成獣トビマルは、リース王国の建国者が扱ったという武器の中に宿っている天成獣であり、それをランシュが扱えるとなった場合、それをラーンドル一派が利用しないということはない。
それも良い方向というわけではなく、悪い方向で―…。
さらに、ランシュという人間の目的を深く探って、返って、ランシュを裏で始末するようなことをするかもしれない。そういう状況が確実視された場合は、ヒルバスによって、メタグニキアの私設部隊は全滅するだろうが、それに気づいたレグニエドの方がどこか遠い国に逃げ、姿を晦ます可能性があるのだ。
復讐を成し遂げることを確実にするためには、ランシュが復讐者であることをラーンドル一派を含めて、多くの者に気づかれるわけにはいかない。
そうである以上、功績すら時には邪魔なものにだってなる。
ゆえに、目立たないようにしないといけない。
誰かがランシュに関して、調べないようにするために―…。
それをランシュも理解しているので、ヒルバスに反対されたとしても素直に頷くことができる。
半分、冗談の域を出るものではないが―…。
そして、ランシュは、自分に言い聞かせるようにして、
(気にはしないが―…。)
と、心の中で思う。
ヒルバスの方は、何かしら、ここの指揮官のトップに直接会うことができるための隙というものを探っていた。
暴れた大量の死者を出すことが、降伏させた相手から恨まれる可能性を抱かせやすいことになるので、なるべく避けないといけない。
少数の者達ならば、話し合いやらで何とかできる可能性も十分にあるのだから―…。
「ここを突破するのは、かなり難しいですね。だけど、他の場所から―…、この拠点の穴があれば―…。」
と、ヒルバスは言う。
ヒルバスは、兵力の薄いと思われる場所を探すのであった。
ランシュもそのことを理解し、自らもそのような場所を探すのであった。
番外編 ミラング共和国滅亡物語(210)~最終章 滅亡戦争(65)~ に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。
次回の投稿日は、2024年2月27日の予定となっています。
ちゃんといつも通りの時間に投稿できるように頑張ります。
では―…。