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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
554/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(208)~最終章 滅亡戦争(63)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。

そんななか、イルターシャの居場所を見つけるのだった。


 同刻から少しの時間が経過する。

 夕方という時間であることに変わりはない。

 場所は、リース王国軍の左軍の中で、騎士団がいる場所。

 そこから少し離れた場所で、見張りをする者が二人いる。

 ランシュとヒルバスである。

 (神経~磨り減るわぁ~。)

と、ランシュは心の中で思う。

 ランシュとしては、ここ数日のゲリラ戦に十分に対応することができているが、それでも、今のミラング共和国軍のゲリラ戦にあって、神経を擦り減らす、緊張感を抜くことができる時間がないので、精神的な疲れがどっときているのである。

 そこに、見張りの当番などがあるのだから、憂鬱な気分にならないことはない。

 そんななかでも、ヒルバスの方も疲れというものはあるが、メタグニキアの私設部隊に属して、裏の行動をしていたので、そのような時に集中力を落とすということを周囲に見せないようにする方法は習っている。というか、身に付けている。

 それを身に付けなければ、生き残るのも難しい。

 なぜなら、裏の者にとって定期的に休むということができる環境の方が珍しく、急に仕事がくることは日常茶飯事であることから、休み方や力の入れ方を工夫しないといけない。余力を残すような感じをして―…。

 それができるからこそ、生き残ることができているのだ。

 そして、ランシュはやらなければならないことだと、理解しているので、手を抜かずにやるのであるが、ヒルバスは、危険な奴を見逃さないようにすれば良いという気持ちで、息抜きをしながら見張りをやっている。

 そこにランシュとヒルバスの違いがある。

 「ランシュ君、今日もお疲れ様。」

と、ヒルバスは言う。

 ヒルバスは気づいている。

 ランシュがここ数日、気を張った状態で戦っていることを―…。

 そして、息を抜ける暇というのがないということを―…。

 多くの人が本当の意味で僅かな時間を生き抜きをしながら、最悪の展開にならないようにする警戒の方法を知らない。それに、教えてもらえるわけでも、気づけるわけでもない。

 気づけるというのは一種の創造に近いものであろう。

 それは、気づくこと、理解するためには、発見に似たような情報の集積からの判断と同時に、無数にある解釈方法の中からの一つを接続し、そこからギャンブルで可能性の低い大当たりを当てるようなものである。要は、気づいて本当の意味で理解するということは、それぐらいに難しいことなのである。

 そして、ヒルバスの言葉に気づいたランシュは、

 「そうだな、ヒルバスの方も連日、戦いばかりで大丈夫か?」

と、聞く。

 ヒルバスがランシュへと近づいていることに、ランシュはその時、気づく。

 そして、ヒルバスの方は、

 「大丈夫ですよ、左軍の状況から考えると私の状態なんて大したことはないですよ。」

と、言う。

 慣れというものであろう。

 疲れた表情を見せていないし、そこまで、疲れないようにやってきた成果が出ているのだ。

 「そうだな。」

と、ランシュは返事をする。

 その時、ランシュの頭の中には、ヒルバスがメタグニキアの私設部隊に属しながら、ここまで生き延びているのだから、こういう場での疲れないようにすることに慣れていて、当然だということに気づいたのだ。

 だからこそ、すぐに、こういう場面に慣れていないリース王国軍の左軍の兵士達の疲れというものの方が酷いと気づいてしまうのだ。

 そうだと思うと、そこまで心配する必要はないか、ヒルバスのことは―…。

 それと同時に、ヒルバスがまだ余裕があることに、ランシュが気づいてしまうのだった。

 「少しぐらいは心配してもいいじゃないですかぁ~。」

と、ヒルバスは言う。

 ヒルバスも半分冗談で言っているだけだ。

 余裕があることのアピールにも繋がることだし―…。

 (ヒルバスは、余裕があるが、それでも、油断できないのはわかる。それにしても、オットル領地で指揮しているミラング共和国の指揮官は一体どこに隠れて―…。)

と、ランシュは心の中で思う。

 ランシュは、まだ、オットルー領におけるミラング共和国軍のトップがどこにいるのか分かっている状況ではないので、兎に角、早く見つかって欲しいと思うのだった。

 そうすれば、このような疲弊した状況から脱せられる希望が出て、士気も本当の意味で回復することであろう。

 そう思ってしまうのだ。

 そこに、

 「ランシュ君とヒルバス君、二人ともいるね。」

と、ハミルニアが声をかける。

 ハミルニアは、さっきの会議を終えた後、ランシュとヒルバスのいる方へと向かっていたのだ。

 その理由は明らかに、二人にやって欲しいことがあるからだ。

 それ以外に、世間話をするぐらいはあるだろうが、リース王国軍の左軍のトップである以上、忙しいので、そうそういつも、ランシュとヒルバスに声をかけることはできない。

 それぐらいに、指揮官は多忙であり、やらなければならないことが多いのだ。

 そして、今回、二人には重大なことをやってもらう必要がある。

 ミラング共和国軍のオットルー領での指揮官がイルターシャであり、天成獣の宿っている武器を扱い、属性が幻である以上は―…。

 そして、希望が出てきたので、少しだけハミルニアの表情が緩むのであった。

 そのことにランシュもヒルバスも気づくのだった。

 (何か良いことでもあったのかな。)

と、ランシュは心の中で思うぐらいには―…。

 そして、ハミルニアはランシュとヒルバスが二人とも同じ場にいることを確認する。

 そうすると、ハミルニアは話し始める。

 「見つかって良かった。じゃあ、今後の行動を言わせてもらう。ヒルバス君とランシュ君には別行動をしてもらうよ。ついに見つけた。オットルー領地でミラング共和国軍の指揮をしている人物を―…。彼は優秀であるが、すでに不利だと悟っているって情報が―…。なら、君たち二人で、その指揮官を倒してくれるとありがたい。それに―…、その指揮官はなるべく生かしてくれるとありがたいなぁ~。」

と。

 ハミルニアからすれば、こうも早くランシュとヒルバスが見つかったので、素早く今後の指令を伝えることができた。

 これは、大事なことになるので、ハミルニア自身の口から告げる方が良い。

 それに、人を介すことも可能であるが、そこから情報が漏れるのが危険であるからだ。

 ミラング共和国軍のオットルー領にいる司令官が嘘の情報を流している可能性を完全に排除できない以上、どこにミラング共和国のスパイであるシエルマスが潜り込んでいるのか分かったものではない。

 そこに情報を漏らさないためなのだ。

 そして、このハミルニアの言葉に対して、ランシュとヒルバスは考える。

 ランシュは、

 (なるほどねぇ~。今回のゲリラ戦を仕掛けてくるぐらいだから、優秀なのは分かるし、俺らを苦しめるほどだ。普通なら、敵になる可能性を考えて、降伏ではなく、さっさと殺してしまうほうが良いかもしれない。だけど、ハミルニアは、その人物の能力を高く評価しており、その人物を味方にすれば、リース王国にとって利益が大きいのがわかっているようだ。そんなことがなければ、俺とヒルバスにこんなことは言ってくるはずがない。俺とヒルバスがいなければ、確実にその指揮官を全滅させるもしくは指揮官を殺すという選択をとっていたであろう。なので、俺とヒルバスがいることをハミルニアは、絶好の機会ととらえたのだろう。まあ、左軍の士気にとってはマイナスなのではないかという気持ちがないわけではない。なぜなら、ここまで左軍を苦しめている相手を倒すのだけど、指揮官の命は生きて捕らえてくれば、確実に、殺せ、という気持ちが充満してしまうはずだ。)

と、ランシュは心の中で思う。

 ランシュとしては、今回、ここまでリース王国軍の左軍を苦しめることができる人材なのだ。

 その人材を生かして捕らえ、自分の部下にする方が得であることは分かり切っている。

 ならば、そのように行動した方が正しい。

 だけど、同時に大きな問題が発生する。

 このように上手く隠れることが得意な司令官である以上、簡単に自分の居場所を教えるということはあり得ない。

 そうである以上、十分に何かしらある。

 それよりも不味いのは、生きて捕らえることに成功した場合、リース王国軍の左軍の兵士の中に、その指揮官を殺そうと考える輩がいることだ。

 これまで、散々苦しめられたのだ。怒りの感情がいっぱいになっており、冷静に判断を下すことができなくなっていても仕方ないことだし、近くにいた同僚の命が奪われている以上、恨むなっという方が無理でしかない。恨みをここで晴らそうとしても、当然の感情だと思えてしまう。

 ランシュも自らが復讐者である以上、その気持ちを理解できないわけじゃないし、同調できるぐらいな気持ちはある。

 だが、ハミルニアからのお願いという名の指令の意図から察するに、ハミルニアの言う通りにした方が得であるのだろう。

 だが、その指揮官が本当の意味で降伏を考えているのであれば、だが―…。

 それに関しての情報がランシュとヒルバスに今のところもたらされていない以上、それを判断することができない以上、答えを明確にすることはできない。

 一方で、ヒルバスは、

 (罠の可能性も十分にありますねぇ~。そこまで注意深い敵の指揮官があっさりと自らの居場所を敵にバレるようなことをするなんて、何かあるに違いない。警戒しないに越したことはない。)

と、心の中で思う。

 当たり前のことである。

 ここは戦場である以上、自らの敵である存在を陥れるために、ルールがあろうが、それが破られることだってある。そのルール破りを証明し、相手に認めさせようとすれば、自らがこの戦場で勝者になるしかない。

 そうである以上、勝者になるためにも、相手の罠を見破り、それに対処しないといけない。

 そのようにヒルバスは感じるし、そのことを実践して、成功しないといけないと考えるのだった。

 ランシュは、

 「それは可能ですが、生かして捕らえると、味方の方が―…。」

と、ハミルニアに質問する。

 ハミルニアは、

 「大丈夫だと思うよ。こういう敵を苦しめる兵士というのは、味方にしやすいからね。それに、ミラング共和国軍の指揮官の情報はちゃんと伝わってきてる。その情報によると、オットルー領地において一番上の指揮官は、今のミラング共和国の体制には懐疑的な感じなんだ。まあ、リース王国に属したとしても裏切られないという不安はないかというと嘘になってしまうが―…。そこは私たちやランシュ君の腕しだいだよ。」

と、言う。

 その言葉は、自分達にどれだけ、降伏させた場合のミラング共和国軍のオットルー領における指揮官を屈服させることができるかにかかっていることも言っているし、自分達の力量がどれだけなのかも問われている。

 そして、そこになぜかランシュが含まれていたのだ。

 (俺もかよ!!!)

と、心の中でランシュは驚くのだった。

 それと同時に、ガックリしたくなる気持ちにもなったが、そこは堪えることにした。

 そして、答えは決まっている。

 「わかりました。」

と、言う返事以外にはあり得ない。

 ランシュは、上官であるハミルニアの命令に逆らうことはできない。軍の秩序を維持するためには、上意下達という概念を避けて通ることはできない。

 そして、どんな馬鹿な指揮官の言葉であったとしても、その命令は聞かないといけない。

 それでも、馬鹿な指揮官にいる部下は、その指揮官が属する側が不利になったと気づいた場合には、すぐに敵方へと裏切る可能性は高くなるので、結局は、指揮官には人望というものが必要とされるのだ。

 どんな言葉が一端のものであったとしても、結果が伴わないところに人望がないということが見え隠れしていたりすることだってあるかもしれない。

 そういうものであろう。

 ランシュは気づく。

 (はあ~、俺の仕事量が増えてない?)

と。

 そう、今回のリース王国とミラング共和国の戦争の中で、ランシュとヒルバスはリース王国の勝利に対して、かなり貢献しているのである。

 その貢献度に関して、ハミルニアが知らないはずはないし、彼らの力を利用して、リース王国軍に勝利をもたらすことが自分の仕事であると自覚しているからだ。

 それに、ランシュとヒルバスの活躍を自分のものに勝手にしたりはしないし、彼らの活躍に等しい報酬をリース王国側に要求する気ではある。

 それぐらいは、最低限しないといけない。

 今のリース王国がラーンドル一派によって掌握されているとしても、頑張った者にはそれに見合うものを必ず頑張った者に渡さないといけない。

 そして、頑張った者に対して、本当の意味での納得を与えないといけない。

 それができるか、できないかが今後の関係において重要になることは、誰もが認めるところであろう。

 「そうか、良かった。ヒルバス君もランシュ君のことをしっかりとサポートして欲しいな。」

と、ハミルニアは言う。

 「わかりました。」

と、ヒルバスが返事をするのだった。

 その後、ハミルニアは忙しいので、自らの場所へと護衛を伴って、戻って行くのであった。

 その前に、ハミルニアはあることに気づくのだった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(209)~最終章 滅亡戦争(64)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


では―…。

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