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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
551/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(205)~最終章 滅亡戦争(60)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


ハミルニア率いるリース王国軍左軍は、オットルー領へと侵攻していくが、ミラング共和国軍はゲリラ戦を展開し、リース王国軍左軍は疲弊していくのであった。


2024年2月14日で、『水晶』を投稿開始して4周年ということになります。

ここまで、投稿できたのは、読んでくださった皆様、ブックマークおよび評価してくださった皆様のおかげです。感謝しかありません。ありがとうございます。

これからも『水晶』の方をよろしくお願いいたします。


『水晶』、今日で、投稿を開始してから4年になります。5年目に突入します。

ということで、PV数とユニークに関して、見ていくことにします。

PV数(2023年2月14日~2024年2月13日)の増加数:43577

(総計(2020年2月14日~2024年2月13日)は82530)


ユニーク(2022年2月13日~2023年2月12日)の増加数:8510

(総計(2020年2月14日~2024年2月12日)は18959)

以上となります。


前よりかは、PV数もユニークの数の倍近い感じの増加数という感じです。

焦らず自分らしく頑張っていきます。

 オットルー領内。

 ミラング共和国軍の本拠地。

 その陣幕の中では―…。

 「イルターシャ!!! 貴様!!! 俺たちにこんな仕打ちをして、許されると思っているのか!!!」

と、怒声が一つ。

 その怒声をあげているのは、スファイディッター中将である。

 スファイディッターは、イルターシャの作戦がどういうものであるのかを理解した上で、利用されたことに気づき、陣幕へと訪れたというわけだ。

 怒りの抗議というか、騙されたということに対する怒りをイルターシャにぶつけ、このオットルー領におけるミラング共和国軍の指揮官のトップに成り代わろうとしているのだ。

 そうすれば、今度は、イルターシャやグルゼンの元部下達をゲリラ戦の前線に立たせた上で、自分と同じ苦しみを味わわせてやりたい。

 そう、スファイディッターにとって、イルターシャに都合よく利用されるようなことは許されないことである。これは男女という性別関係なく、スファイディッターなら怒っていることであろう。

 スファイディッターは、自分が優れていると思っている人間なのだから―…。

 「スファイディッター中将様。どうなされたのですか?」

と、イルターシャは惚けたように言う。

 まるで、自分は馬鹿です、かのようにと思わせるようにして―…。

 イルターシャは、勿論、推測することができている。

 (スファイディッターはここで気づきましたか。まあ、ある程度は仕方のないことね。馬鹿だけど、完全に愚か者という類の者ではないのでしょう。そして、この場に怒りながらやってきたということは、私を殺すかどうかして、指揮官の地位を自分のものにしようとしているのね。分かりやすいわ。さて、やることは決まっている。)

と、イルターシャは心の中で思う。

 イルターシャが何者であるのか、ミラング共和国軍の兵士の中で知っている者はほとんどいないし、ファルケンシュタイロですら把握できていないのだ。ゆえに、イルターシャに関しては、何も分かっていないというのが、彼らの感じていることであり、それゆえに、不気味だと思っているのだ。

 イルターシャは、そのことも勿論把握している。

 だからこそ、今、目の前にいるスファイディッターをどうにかすることも簡単にできる。

 殺すことも、玩具にして遊ぶことも―…。

 だけど、ここで必要なのは、ゲリラ戦を展開してくれる兵士が必要なのだから―…。

 イルターシャの惚けた言葉を聞いたスファイディッターは、怒りの様をさらに上げる。

 「どうなされたのか……そんな惚けたことを良くも言ってくれるよなぁ~。俺の軍を囮にして、弱ったところを、叩くつもりだろ!!! はっきり言ってみろ!!! 回答によっては、このまま………。」

と、スファイディッターが言おうとした時―…。

 「黙りなさい、スファイディッター。」

と、イルターシャはドスのきいた声を出す。

 それは威圧だ。

 スファイディッターは、天成獣の宿っている武器を扱うことができなかったミラング共和国軍の兵士の一人である。もし、天成獣の宿っている武器を扱うことができるのであれば、天成獣部隊もしくはファルケンシュタイロの方の軍に直接におかれていることであろう。そうでないからこそ、そこまでファルケンシュタイロらの目からみても、役に立つとは思えないと判断されて、イルターシャの妨害要因でここに属されているのだ。

 そのことにスファイディッターは気づいていないし、薄々であるが、どうしてそのような目に遭っているのかと疑問には思っている。

 それでも、それを口に出すことはできない。分からないからだ。

 今、スファイディッターはイルターシャの威圧によって、声を出すことができなくなっていた。

 (何なんだよ、こいつは―…。女のくせに、俺様をこんな目に―…。)

と、スファイディッターは、心の中で思う。

 怒りという感情は増幅していっているのだが、それと同時に、イルターシャに反抗する気持ちが萎えてくる感情も膨らんでいるのが分かる。

 何というか、イルターシャに対して、恐怖を感じる。

 その恐怖という言葉は浮かばなくても、イルターシャにおける何かえもしれないものを感じるのだ。

 正しくは、恐怖で良い。

 それは、イルターシャの実力というものを僅かばかりであるが、スファイディッターは感じとってしまったのだ。

 そのように、イルターシャの方が誘導したのであるが―…。

 そういうことには、スファイディッターは気づかない。気づけるはずもない。

 すでに、イルターシャの天成獣の力が発動させているのだ。

 属性幻が―…。

 その幻によって、スファイディッターは、イルターシャを恐怖の存在であり、反抗することが危険であり、言うことを聞くことこそが、最善の選択だと思わされるようになってしまっているのだ。

 そして、このようなことをするイルターシャは、

 (どこかの宗教の教主が幻を乱用して、馬鹿なことをここ数年、やっているようだけど、あの教主の実力はここ数年伸びていない。満足を知ってしまったものね。あの教主に本当の幻を見させてあげることはできないけど、本当の幻とはこういうものよ。)

と、心の中で思う。

 イルターシャも、アマティック教の教主が天成獣の宿っている武器を扱うことを知っている。イルカルに洗脳された者達を見て、イルターシャの天成獣がすぐに気づき、それを知らせてくれたのもあるが、同時に、イルカルの実力はイルターシャよりも及ばないことも天成獣は教えてくれた。

 その言葉は信用できるものであったし、自分自身の天成獣が嘘を吐くメリットも感じられなかったからだ。

 だからこそ、イルカルに見せてやる義理はないが、もしもイルカルがこの場にいれば、恐怖を与えることができ、かつ、もう二度と馬鹿なことができなくなるだろう、と。人を洗脳して、馬鹿をやらかしていることを―…。

 そして、イルターシャは実力があるからこそ、知っている。

 幻という属性の本当の強さを―…。

 戦闘での幻影だけでなく、このような場における最も自身にとって最適なことが何かを無理矢理にやらせることもできる。

 「スファイディッター。お前はこのように怒りをぶつけてきたのは、お前自身の勘違いであるし、お前はこの数日の間、ゲリラ戦を展開することによって、リース王国軍を疲弊させることに成功した。だからこそ、これからもお前の率いる兵を使って、ゲリラ戦を展開して欲しい。そうすれば、きっと成果を挙げることができるであろう。任せた。」

と、イルターシャは言う。

 この言葉に、スファイディッターは、

 「分かりました。」

と、返事をする。

 逆らうようなことは一切できない。

 できるはずもない。

 天成獣の宿っている武器を扱う者とそうでない者とでは、圧倒的な差があるのだ。

 それはグルゼンのような例外を除けば、ほぼ完全と言っても良いぐらいに当て嵌ることだ。

 今のスファイディッターの光景を見て、グルゼンの元部下達は特段に驚くことなく、イルターシャの実力からすれば当たり前のことである。

 (……………まあ、こんなことができるのはイルターシャぐらいだ。天成獣の宿っている武器を扱っているのは事実。さらに、それを行使すべき時を弁えている。これができなければ、属性が幻の者達は、世界征服なんて馬鹿なことをしだした挙句、最悪の結果を迎えることもあるのだからな。そして、スファイディッターは、文句を言うべき相手と、就くべき相手を間違えたな。愚かさを指摘してやりたいが、ろくな使い方をしないと思われるので、教える気はないな。)

と、グルゼンの元部下の一人が心の中で思う。

 イルターシャが天成獣の宿っている武器を扱うことができる者であることを知っている一人である。

 イルターシャと敵対しようとは思わない。

 幻の属性がどれだけヤバいものであるかを知っているし、イルターシャ自身に馬鹿なことをしようとする考えが存在しないのだ。

 使い方も、使い手としての精神もしっかりとしているので、敵対する必要もない。

 そして、このグルゼンの元部下のような気持ちになったのは、ほとんどいない。

 多くは、その光景を見ながら、イルターシャに対して、恐怖を感じていた。

 さっきまで、イルターシャに怒りの感情をぶつけていたスファイディッターが、まるで赤子を捻るかのようにして、大人しく従順になってしまったのだ。

 (何をしたというんだ。女の癖に、能力者か。)

 (いや、天成獣の宿っている武器でも扱っているのか?)

 (しばらくの間、逆らうのは得策ではないな。)

 これは一部の者の心の中で今、思っていることを例として挙げただけに過ぎず、この陣幕の中では、いろんな気持ちが錯綜していた。心の中ではあるが―…。

 その感情を分類してみれば、イルターシャへの恐怖となり、さっきも述べたような感情となる。その感情は得体もしれないということに収縮され、イルターシャに逆らうのは得策ではないという気持ちに至らしめる。

 イルターシャに逆らって得をすることなど何もない。むしろ、その逆なら十分にあり得るということを知らされてしまったのだ。

 (怖い顔をしているわ。これから後、喋ってもより怖がらせる結果になりそう。仕方ないわ。)

と、イルターシャは心の中で思う。

 イルターシャは、今の状況で、自分自身が怖がられるのは仕方ないとさえ思っている。

 得体のしれない者を恐怖するのは、人として当たり前の感情であることを理解しているからだ。

 それに、イルターシャ自身が喋ったとしても、余計に何かしらの恐怖が増幅されるだけであろう。

 そのような予想はすぐにできる。

 ゆえに、イルターシャはそう思われても仕方ないと諦める。

 「スファイディッター中将様。これからもミラング共和国のために頑張ってください。」

と、イルターシャは言葉にする。

 イルターシャの言葉には、恐怖が感じられるものだと周囲にいた人々は思う。スファイディッターを除いて―…。

 イルターシャとしては、普通の口調で言っただけに過ぎず、恐怖を与えることを目的としたものの言い方ではなかった。

 「はい、畏まりました。」

と、スファイディッターは言いながら、陣幕から引き揚げて行くのだった。

 その様子をイルターシャは見ながら―…。

 (さて、いつ頃、リース王国軍は我々の陣幕のある場所を探り当てるのだろうか。攻めているのはラッキーなことに左軍になっているから、運が良いのは事実ね。後は―…、本陣を強襲され、対処するかに見せて、降伏すること。それが私たちが生き残るには必要なこと。………油断せずにいないと―…。)

と、心の中で思う。

 イルターシャの目的は、すでに決まっている以上、よっぽどのことがなければ、方針を変更する気はない。

 すでに、ミラング共和国軍は、リース王国軍に勝てる可能性を低くしてしまっているし、シエルマスやファルケンシュタイロは勝つことばかり、いや、相手の実力を完全に丁寧に分析することができなくなっている。

 そして、オットルー領側から兵士が派遣されていない以上、イルターシャは自身の選択は間違っていない可能性を認識することができた。

 この世に人が認識できるものに絶対性というものが存在しないように―…。

 イルターシャはその後、陣幕の中で過ごしながら、動くべき時を待つのであった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(206)~最終章 滅亡戦争(61)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


ということで、『水晶』は5年目に入ります。

PV数が10万を超える可能性はありますが、自分らしいペースで頑張っていきます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

では―…。

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