第33話-1 圧倒する二人の戦い
前回までのあらすじは、セルティーが勝利しました。
今回は分割します。次回の更新で第33話は完成すると思います。
【第33話 圧倒する二人の戦い】
セルティーは向かって行く。自らが属しているチームのもとへ―…。
自らのが試合に勝ったということを伝えるために―…。
そして、セルティーは、李章、礼奈、クローナ、アンバイドのいる場所へと着く。
「みなさん、私、勝利しました。」
と、セルティーは勝利したことに対する喜びをこれでもかというように表情にあらわして言う。
「おめでとうございます。これでとにかく、チームで一勝ですね。あとは二戦とれば二回戦の勝ちが決定です。」
と、礼奈は言う。
その後に、クローナも李章もセルティーに、「おめでとうございます」というように同じチームの仲間が勝利するのを心の底から喜びながら言う。
それに対して、セルティーは、
「ありがとうございます。」
と、返事をする。
一方で、アンバイドは、
「まあまあだな。幻の属性を使う者は相手の油断を誘うのを戦いの中心とするみたいだが、ファグラなら天成獣の属性を使う必要もなかったのではないか。素早く突っ込んでいったとしても、セルティーならば相手の攻撃を受けることなく、一振りで倒せたのではないか。」
と、言う。そう、アンバイドは、実際にファグラに対して、実力が乏しく、セルティーならは自らの武器に宿っている天成獣の属性を使うことなしでも圧勝することができたのではないかと見ていた。
このアンバイドの見立ては、決して外したものではなかった。
「ええ、できたと思いますよ。一振りで―…。ただし、私は余計な殺生はしないのでね。私が信仰している神の定めたルールに従って―…。」
と、セルティーは言う。セルティーもわかっていたのだ。土の攻撃をしてくるときにファグラの攻撃と、何をしようとしているのかという意図が―…。ゆえに、どうすればファグラに対抗し、勝つことができるのかを何通りか考え出すことができていた。そのなかで、最も確率が高い方法がアンバイドが指摘した方法だった。しかし、それは、同時に自らが信仰しているもののルールもしくは戒律に反することになる。だから、別の方法のなかで確率の高い、幻(幻覚)を使って、ファグラの油断を誘って、そこを突くという方法にしたのだ。
「そうかよ。セルティー、お前はもし、相手を殺すことでしか誰かを守れないとしても、その信仰のためにそれができなくてもいいってことか?」
と、アンバイドはセルティーに聞く。
それに対して、セルティーは一瞬の迷いもなく、
「もし、アンバイドさんが言っているようなことでしたら、私はその信仰を捨てますよ。信仰を捨てて誰かを守れるのならば、ね。しかし、実際は、そうとも限らない。信仰を守るがゆえに、誰かを守れる場合もあります。私は、どんなときでも最良の選択をとるつもりです。」
と、言う。そして、付け加えるかのように、アンバイドが指摘した可能性以外の可能性についても言及した。アンバイドが言っているようなことが起こる可能性も低いが、考慮していないわけではないということも含めた意味を持たせて―…。最後に、セルティー自身が自らがどうすることを一番にしているかという抽象的な基準を言うことも忘れずに―…。
「そうか、わかったよ。」
と、アンバイドは言う。アンバイドもセルティーの言葉には納得していた。そこに李章のような二つを無理矢理に両立させようとしているのではなく、捨てなければならないときに何を捨てるのかをはっきりとしていた。それは、自分という人間のプライドであり、アイデンティティであることを―…。
一方、瑠璃たちのチームの相手となっているチーム。
相手のチームいる場所から、一人の人物が四角いリングに上がる。
そして、ファグラが気絶している場所へと歩いていく。決して、速いというものではなかったが―…。
ファグラの位置に一人の人物がたどり着く。
「……簡単にやられてしまいましたか。」
と、一人の人物が言う。
目の前に倒れているファグラを見て、一人の人物は感じていた。
(フォグラは、自惚れすぎましたね。相手がどのような攻撃をするのかをもう少し、審判の言葉や周りの反応から推測するべきでした。フォグラ、あなたのような本能にのみに忠実な人はこのチームでの足枷でしかありません。)
と。
そして、一人の人物はフォグラの首筋を掴み、自らのチームのいる場所へと投げるのであった。
投げられたフォグラは、自らのチームのメンバーにキャッチされることはなく、中央の舞台の地面に直撃するのであった。そのせいで、再度ダメージを受け、気絶を長引かせることになった。
そのときのチームの仲間の視線は、とても冷たいものであったという。
ファーランスは、
「では、これより第二試合を開始いたしたいと思います。両チームは、第二試合に参加される選手を一人選び、リングの中へ入ってください。」
と、言う。
すでに、瑠璃たちのチームと対戦する相手チームは、四角いリングの中に一人の人物が入っていた。
ゆえに、瑠璃たちのチームから一人四角いリングに入る必要がある。
そして、次に四角いリングの中には、クローナが入っていったのである。
昨日のうちに決めていたのだ、二回戦の戦う順番を―…。話し合いの結果、クローナは第二試合ということになった。
両方のチームが、競技場の中央の舞台の四角いリングの中に入っていることを確認したファーランスは、
「両者とも準備はいいですか?」
と、言う。
「うん、大丈夫。」
と、クローナは言う。
「大丈夫だ。」
と、クローナの対戦相手の一人の人物が言う。
「これより、第二回戦第二試合―…、開始。」
と、言いながらファーランスは、自らの腕をあげ、第二試合の「開始」というところであげた自らの腕を振り下ろした。
こうして、第二試合が開始された。
「私の名は、フォード=マッド=マイレグだ。この私の武器で―…。」
と、マイレグが言う。
そして、マイレグは、自らの武器である槍を右手に持ち、左手でさらに付け加えるように握った。そう、両手で槍を握っているのである。
マイレグは、クローナの方向に向かって移動し、近づいて、右足で踏み込み、その足を軸として、近くにいるクローナに向けて、槍で突きをするのであった。クローナの体を貫くために―…。
それにクローナも気づいていた。
ゆえに、自らの武器である大鎌の刃物の部分のみの武器で、刃先の尖っている部分が鎌の外側にあるものの二刀を両手で構え、その片方の右手に持っているのを左へ向かって横に振る。
そして、横に振られたところから、風が放たれる。そう、マイレグをいる方へと向かって―…。
その攻撃に気づいたのであるが、すでに攻撃に移行しており、途中でそれを止めることができずに、槍がクローナによって放たれた風に衝突する。
その風は、槍の先から分かれ、一部はマイレグにあたる。それは、マイレグにとって強い攻撃であるということを理解させるには十分であった。
(くっ!! あの風は手ごわいな…、どうする。)
と、マイレグを思わせたのだから―…。
一方で、クローナは右手にある武器で攻撃した後、左手に持っている武器を構える。すでに、風の攻撃を放つのには十分な威力で、最大に近い状態にしていた。
マイレグは、クローナの左手に持っている武器が風を纏っていることに気づく。
(あれで、攻撃をしてくるつもりか。なら―…。)
と、マイレグは心の中で呟く。
そして、クローナに向かってマイレグは、槍で攻撃をしようとする。
(今度は、その前に俺の攻撃をあててやる。)
と、マイレグは心の中で強く呟く。そう、最初の攻撃と同じように、槍を前に出して、クローナの体を貫こうとするのであった。
「遅いよ。」
と、クローナは言う。クローナは、マイレグの槍攻撃について気づいており、そのようにマイレグがしようとしても、クローナの今度の攻撃は防げないので意味のないことと感じていた。
ゆえに、すぐに、クローナは左手に持っている武器を右へ向かうように振った。
そして、そこからは、さっきの攻撃とは数倍も威力の高い風の攻撃をマイレグに向かって放たれた。
マイレグは、槍で攻撃するという動作をほとんどとることができなかった。
「!!!」
と、マイレグは、クローナの風の攻撃をただ直接に受けるという結末から逃れることはできなかった。
そして、風の攻撃を受けたマイレグは、四角いリングの外へとぶっ飛ばされていった。
結局、マイレグは、観客の近くまでいって、地面に衝突したのである。顔の全面を地面に接触させるということによって―…。
その様子を見たファーランスは、
「勝者、クローナ!!!!」
と、勝者の名を宣言したのだった。
第33話-2 圧倒する二人の戦い に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。