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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
549/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(203)~最終章 滅亡戦争(58)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。


ミラング共和国軍は、旧アルデルダ領の首都ミグリアドで作戦会議を開き、今後の作戦を方針を決めていく。

その会議の途中に乱入したファットはどこかへと連れ去られ、国内担当首席によって始末され、金庫室に西方担当首席と国内担当首席が向かい、その中の光景を見るのであった。

一方で、ミラング共和国軍の作戦は、軍団をオットルー領、ファウンデーション領、クローデル領の守りに三つを分けるのであった。その指揮官を誰にするかを決める。

その結果、ファウンデーション領はラウナン、クローデル領はファルケンシュタイロ、オットルー領はイルターシャに決まるのであった。

一方で、リーンウルネはオットルー領へと向かっていた。

その間に、リース王国軍側でも動きがあり、旧アルデルダ領を中央軍が、クローデル領を右軍が、オットルー領を左軍がそれぞれ進軍することになった。

それは、ハミルニアにとっては、望まない結果であった。

その間、リーンウルネはオットルー領を訪れ、オットルー領の領主と会談し、リーンウルネの要求を領主に承認させるのだった。


 翌日。

 リース王国軍の左軍。

 今日から、オットルー領の方へと進軍することになっている。

 すでに、中央軍と右軍はファウンデーション領、クローデル領へと向かって行った。

 最後になったのは、ファルアールトによって、見送りをさせられたからだ。

 そんななかにあっても、ハミルニアにとっては自分のすべきことが変わるわけではない。

 自分ができることをやるだけであり、危機に対して、対処するだけなのだ。

 抽象的なことを言っているかもしれないけど、危機が何かなど、分かる方が珍しいのかもしれない。当事者には見えず、第三者だからこそ簡単に見えるものがあるのだから―…。

 そして、場所は、リース王国軍の左軍の中でも、その本陣の中―…。

 今、まさに、出陣のための最終確認がおこなわれていた。

 「オットルー領へと我々は向かって行くことになる。オットルー領には、ミラング共和国軍の中で最も勇猛で、指揮官として超一流であり、先のミラング共和国との戦争でもミラング共和国軍の自らの部下の兵士を一人たりとも死なせることのなく、精強な軍隊を作り上げたグルゼンの部下達がおり、指揮官に関しては不明だ。そこから考えられるに、その指揮官は自らの素性を明かさずに、率いることのできる人材であり、今までのミラング共和国軍とは違う相手だと認識して欲しい。彼らは正々堂々と戦ってくれる相手ではない可能性もある。決して油断するな。以上だ。」

と、ハミルニアは言う。

 ハミルニアとしては、オットルー領の中にいるグルゼンの元部下達の実力は情報を見聞きしていることを含めるのなら知っていると判断して良いだろう。

 だが、実際に戦ったことがあるわけではないので、本当に強いのかどうかを判断することはできない。

 情報だけで正確に判断することができるのであれば、それはたまたま運が良かったか、的確性の高い情報を手に入れることができたからに他ならない。

 ハミルニアも情報がすべてだと判断していないし、情報を考察しないで、ただ受け入れるということはしていない。

 問題なのは、グルゼンの元部下達を指揮している人間が何者であり、ミラング共和国の今の現状に対して、何を思っているのか。

 ミラング共和国軍のトップであるファルケンシュタイロからは明らかに冷遇されており、不満がないわけではない。そうなると、切り崩せる可能性もないわけではない。

 (さて、最悪の場所が、最悪の場所ではなかったと思いたい。)

と、ハミルニアは心の中で思う。

 ハミルニアとしては、オットルー領へ通って、ミラング共和国の首都ラルネに向かって行くことはかなりの苦戦が予想されるが、同時に、ミラング共和国軍の中のグルゼンの部下だった者達への冷遇を考えると、完全に今のミラング共和国の体制の味方だとは思えないからこそ、何か切り崩すことができるのではないか。そう、思ってしまうのだ。

 現実の状況から考えるに間違っているわけではない。

 ここで、大事なのは、情報を批判的に考察しながら、相手の勢力が一枚岩でないことを見破り、どういう考えをもっているのか正確に推測することだ。

 そのことを本当の意味で実行することができるのは、なかなかいなかったりするものである。

 そして、ハミルニアは、オットルー領にいるミラング共和国軍が、現体制に対して、不満をもっていて、降伏してくれることが最善だと思いながら、これからオットルー領へと出陣していくのだった。


 ミラング共和国のオットルー領。

 そこへ進軍しているミラング共和国軍の左軍。

 彼らは、数日の間、苦戦を強いられることになる。

 これは一部始終だ。

 パン!!!

 リース王国軍の左軍の兵士の一人が頭部に矢を受ける。

 「チッ!!! ちょこまかちょこまかしやがってぇ~。」

と、怒りの感情を露わにする。

 その理由は、オットルー領にいるミラング共和国軍の兵士が白兵が相手をしている間に、どこかに潜んでいる弓兵がリース王国軍の左軍の兵士を射殺しているのだ。

 そして、その場所がなかなか分からない以上、苛立ちがリース王国軍の左軍の中で募らせてしまっているのだ。

 そんななかでも―…。

 「はあああああああああああああああああ。」

と、ランシュは言いながら、長剣から斬撃を放つ。

 ランシュは苦戦している感じはしない。

 ピンチらしいピンチに陥る感じにはなっていない。

 ヒルバスの方も同様だ。

 銃撃により、ミラング共和国軍を始末していっている。

 そして、ミラング共和国軍とは、会えば戦っている状態であり、数日はそんな感じになっている。

 そして、ミラング共和国軍の方は自国領が奪われて可能性がある状態なので、抵抗の方も必死になっている。

 それが余計に、リース王国軍の左軍の兵士達に疲労感というものを与えてくる。

 それに付け加えてのゲリラ戦をさせられているのだから、どうにもならない。

 数日の間に夜間ゲリラが二回ほどあり、そのせいで、夜の見張りも増やさないといけない状態であり、戦死者の方も増加傾向にある。領境の戦いよりも多くなっているような感じだ。

 左軍全体としては、最初のリース王国軍の左軍が誕生してから今までで、五パーセントほどとなっており、その味方の命が奪われる状況に、リース王国軍の左軍の中で心が痛まない日々はない。

 それでも、何とか、リース王国軍の左軍は勝利しているから、気持ちとしてはずっと落ち込んではいないが、どこかしら何か喜ぶことができないものがある。

 そんななか、今日もまた、リース王国軍の左軍はゲリラ戦に苦戦させられている状態だ。

 「本当に、厄介ですねぇ~。こんなのが中央軍と戦えば、中央軍は簡単に崩壊していたに違いないと言えてしまう私はおかしいことでしょうか。」

と、ランシュは言う。

 ランシュは、グルゼンの元部下たちがいるという情報を先日入手しており、そこからなかなか苦戦するのではないかと推測していたが、物の見事に的中した。

 リース王国軍の左軍だからこそ、ここまでの被害で済ませられているような感じだ。

 リース王国軍の中央軍だったら、一日ももっていないどころか、全滅していたのではないかとさえ思えてしまうのだ。

 突っ込んでばかりで戦えば、確実に、絡め手を使われて、何もなすことができずに、負けるだけだ。

 実力者の対処によって、何とか戦況を持たせているという感じである。リース王国軍の左軍としては―…。

 (こんな戦い方ばかりしていれば、こっちの方がどんどん不利になるのは分かり切っています。ハミルニアさんは、ここしばらくずっと、相手の拠点を探らせている感じで、探り出せば、一気にそこで決着をつけるための勝負にでると思われます。こんな戦い方によってストレスを溜まるのようなことになれば、疲弊しきるのは目に見えている。)

と、ヒルバスは心の中で思う。

 ヒルバスとしてもストレスを感じないかと言われれば、嘘となる。

 あまり、休める時間があまりにない以上、どうしても疲れが完全にとれることなく、それがストレスを増大させる。

 その結果、ゲリラ戦と組み合わさり、ストレスをさらに増大させてしまい、ストレス増大連鎖に陥ってしまっている。

 それは、リース王国軍左軍全体を取り巻く状況である。

 「そうだな。だけど、俺としては、感心するぜ。ゲリラ戦法をとって、こちらの兵士を一人でも多く殺す。戦争なら、まともな選択だし、ここはミラング共和国の国内だ。そうなると、地の利はミラング共和国側にあるのは間違いないしな。」

と、ランシュは言う。

 その間も、ヒルバスは攻撃を止めることはない。

 バン、バン。

 その音が鳴り響く。

 その間にも、ランシュは、ミラング共和国のオットルー領に派遣された指揮官を褒める。

 (この作戦を考えた指揮官は、かなり優秀とみてもいいし、リース王国の兵士で囲っておきたいものだと思ってしまう。もし、俺がリース王国の中央で権力を握っていれば…な。残念ながら、俺はリース王国における騎士で、王族の護衛でしかないのだ。そんなことできるわけもない。)

と、ランシュは心の中で思う。

 今回のオットルー領に派遣された指揮官であるイルターシャの指揮官ぶりは褒められるものである。自らの軍が陥っている状況をしっかりと把握しながらも、相手の軍隊の状況をしっかりと把握できるのだから、実戦経験というものが確実にあるのだろう、と。

 ランシュは心の中でそう感じてしまうし、イルターシャという優秀な指揮官は、もし、自分がリース王国の中央で権力を握っているのであれば、確実に囲っておきたい人材である。なぜなら、こういう優秀な指揮官は生かしておいて、味方に加えることができれば、軍事力を強化することができるからだ。

 国というものがすべて、軍事力によって成り立つものだと思っている者は愚かであろうし、素晴らしい武器があれば、素晴らしい結果を導き出せると思っている者に、国を統治する資格はない。結局、軍事行動も人の判断によって成り立つ以上、優秀な人をしっかりと見極め、その人材を味方に付けることこそが重要である。そういう人材は、金銭を持っている人物が該当するとは必ずとしても、そうとは言えない。

 そして、そういう人材と出会える確率はそういう人材を見極めることができる者より多いが、見極めることができる人材がそれよりも少ないため、見つけることができないことが多かったりする。

 多くの場合は、偶然という要素を確実に排除することができないのだ。

 そのことを理解できずに、自身は素晴らしい人間を探し出せているのだ、駄目な人材は排除できているのだ、と思っているのは結局、自らの間違いが必ず排除できないことを見落としており、自分という人間の完全性というありもしないものに陥ってしまっているのだ。至急のその間違いを捨てた方が良い。

 どんな人材選出方法を持ち合わせていたとしても―…。

 さて、話を戻すと、ランシュは、そのように心の中で思っている間も、高速で移動して、ミラング共和国軍の兵士を攻撃し、ミラング共和国軍の兵士の命を奪っていく。

 それだけ、天成獣の宿っている武器を扱う者とそうでない者の実力差というものは激しくあるものであり、グルゼンのような存在は例外中の例外でしかない。

 そして、優秀な指揮官が指揮する兵士である以上、どんなに優れていなくても、何とかなっているような感じであり、リース王国軍の左軍に気持ちの余裕を与えていなかった。

 だからこそ、ランシュは、落ち着こうとも考えるが、それも難しいと思ってしまう。冷静さを失えば、勝利を見失うと言われていたとしても、実際の状況を経験してみると、難しいというのは理解させられることはあるのだから―…。

 俺は、隠れていた敵に対して、高速で移動して、素早く、攻撃して、一人、死体を作っていくのだった。

 「はあああああああ。」

と、叫びながら、ランシュはまた一人、ミラング共和国軍の兵士を斬る。

 兎に角、ランシュであったとしても、のんびりと考え続けられる余裕はない。

 隙すら与えないようにしてくる。

 これだけの苦戦が続いているのだ。

 数日の間―…。

 「ランシュ君、油断してはいけません。本当に、日に日にこっちの方が神経を擦り減らしているとしか思えません。」

と、ヒルバスは言う。

 ヒルバスの言っていることは当然のことであり、真面な思考ができている証拠であった。

 こういう余裕のない状況にあっても、ランシュはヒルバスの言葉に返事をする。

 「ああ。」

と。

 ランシュとヒルバスはミラング共和国軍の兵士を倒していく。

 そして、ランシュは気づいていた。

 (オットル領地に入ってから、シエルマスを見ていないということだ。それでも、今は、そんなことに関して考えている暇はない。ミラング共和国軍の領土内である以上、ミラング共和国軍の兵士の士気が高いのは事実だ。恩賞が士気に繋っている俺らよりもはるかにある。だけど、ミラング共和国軍の兵士の方が多く戦死者を出している以上、俺らより兵士の消耗は多いのは事実だ。)

と。

 ランシュは、シエルマスを見かけていないことを知る。

 実際は、シエルマスもほとんどオットルー領に派遣ができないでいる状況である。

 まず、一つにクローデル領でのアンバイドを見張るということ。もう一つは、オットルー領での指揮官であるイルターシャがミラング共和国を裏切らないかを見張るために、それなりの数を派遣しているということだ。

 ゆえに、ここまで工作員をまわす余裕がなくなっており、ファウンデーション領には内乱予防のため、ミラング共和国内における不穏分子を動かさないようにするために、割かないといけない。

 シエルマスの方は、今回のリース王国とミラング共和国の戦争で追い詰められているということだ。

 そして、しばらく時間が経過したのか―…。

 「ミラング共和国軍の兵士が撤退していくぞ―――――――――――――――――――――。」

と、リース王国軍の左軍の兵士が声を出す。

 今日の戦いを終える。

 これは一幕でしかない。

 オットルー領の戦いはなかなかにハードなものであることが分かったであろうか。

 そして、最も早く、展開が動くのもオットルー領での戦いであった。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(204)~最終章 滅亡戦争(59)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


次回の投稿日は、2024年2月13日の予定です。

では―…。

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