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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
534/748

番外編 ミラング共和国滅亡物語(188)~最終章 滅亡戦争(43)~

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、ミラング共和国とリース王国との間に、ミラング共和国の総統となったエルゲルダの宣戦布告によって戦争が始まる。その結果、リース王国軍はミラング共和国軍と対峙することになる。その戦いの中で、リース王国軍の中の左軍でランシュとヒルバスは活躍し始めるが、中央軍の指揮官でリース王国軍の大将であるファルアールトは左軍の指揮官であるハミルニアを憎むのであった。

一方で、ミラング共和国軍では、リース王国軍の左軍を混乱させるための作戦も考え、かつ、リース王国軍を倒すための作戦会議がおこなわれるのであった。それを主導するのは総統のエルゲルダではなく、ミラング共和国の諜報および謀略組織シエルマスのトップの統領であるラウナンであった。

その中で、ラウナンやファルケンシュタイロは、一人の女性将校の言うゲリラ作戦を拒否して、リース王国軍と正面から戦うことを選択する。


翌日、ランシュとヒルバスは、ハミルニアの命令により、リース王国軍の左軍とは近くから別行動をとる。そこに、ミラング共和国軍のシエルマスが登場し、ヒルバスだけで始末するのだった。


戦いは決着を見ることがなく今日も夕方には終わるのであった。

その後、リース王国軍の会議は、ファルアールトの心の歪みによって、ハミルニアが罵倒されることになり、ハミルニアはファルアールトの心の歪みを満たすために、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣を陥落させるまで、ミラング共和国軍と戦わされることになってしまうのだった。リース王国軍の左軍はランシュとヒルバスがハミルニアと話し合うのだった。


翌日、リース王国軍とミラング共和国軍は戦いとなるが、左軍ではランシュに向かって、アウルが襲って来るのだった。すでに、アウルは何者かによって殺されて、操られていたのだ。その正体はイマニガであり、イマニガは「不死体の生」という技を発動させるが、イマニガの武器に宿っている天成獣に自身の意識を乗っ取られるのだった。イマニガという人間が消え去られた上で―…。


リース王国軍の左軍がそのような状態にあるなか、一方で、中央軍と右軍でも動きがあった。特に

、右軍の方はアンバイドの活躍により、オーロルとフィスガーを撃破、中央軍はミラング共和国軍の本陣へと―…。


リース王国軍の左軍の方は、ランシュとイマニガの体を乗っ取ったガルゲイルの対決は、ランシュが天成獣の宿っている武器である鼻ピアスを破壊して、倒すことに成功するのだった。

その後、リース王国軍の中央軍がミラング共和国の本陣へと来たので、ラウナンは撤退を宣言するのだった。イマニガを使っての作戦が失敗したことにより。エルゲルダを殺されるわけにはいかずに―…。

 その日の夜。

 アルデルダ領の中の領都ミグリアド。

 そこでは、領主の屋敷にミラング共和国軍の陣地が急遽設置された。

 そんななか、夜の中、上層部の会議が開かれている。

 そこでは―…。

 「クソッ!!!」

と、ファルケンシュタイロは怒りを露わにする。

 ファルケンシュタイロの怒りは、ミラング共和国軍の指揮官クラスたちを萎縮させるのに十分な威力と迫力のある声である。

 「………ファルケンシュタイロ様が荒れ狂っておられる。どうするよ。どうするよ。」

 「俺に聞かれても。ここにオーロルの奴が戻ってきていない以上、天成獣部隊の方に何かがあったに違いない。」

 「何か、リース王国軍の右軍にいる傭兵のアンバイドによって始末されたとか。俺の部下の報告からよると―…。」

 三人の者達による会話である。

 すでに、フィスガーとオーロルがアンバイドと交戦し、戦死してしまったことが知らされている。

 そして、この話を聞いた二人は驚くのであった。

 表情になるべく出さないように注意しながら……であるが―…。

 そんななか、ファルケンシュタイロが荒れ狂っていることに対して、どうしようかと考えている者がさっきの三人目の言葉に反応する。

 「マジか。アンバイドがリース王国軍に加わっていることを知っていたが、天成獣部隊でもそこまでの差があるとは―…。伝説の傭兵と戦うの分が悪いということになるな。」

と。

 アンバイドという人間が、どれだけ強いのか、天成獣の宿っている武器を扱えるのと扱えないとでは、かなりの差が一般的にあるのだ。

 グルゼンのような存在は、例外でしかない。

 例外が目立って、それがさも常識という枠の中に入れられることがあるが、それがよっぽどのことがなければ例外の枠でしかない。

 そこには注意しないといけない。

 自分達がその圧倒的な差を知っているからこそ、このミラング共和国軍の上層部の三人は、アンバイドと直接に戦うの分が悪いと言った者の言葉に賛成できるし、その言葉を言うことが間違いないと思える。

 ゆえに、アンバイドとの矢面になる戦いは避けないといけない。

 一方、ファルケンシュタイロは、

 (オーロルとフィスガーが戦死しただと―…。この二人で駄目だということになると、天成獣部隊で勝てる可能性があるのは、あいつしかいない。それに、シエルマスの方でも作戦は失敗してしまったそうだな、ラウナン。)

と、心の中で思う。

 ミラング共和国軍の天成獣部隊で投入することができる戦力は、一人しかいなくなってしまったのだ。

 それでも、現実的なアンバイドとの実力差はかなりのものであるが―…。

 そう、アンバイドの方が圧倒的に強いことだ。

 アンバイドは、伝説の傭兵と呼ばれるほどに、天成獣の宿っている武器を扱うことによって戦うことに関して、かなり実力を有しており、この大陸でも屈指と言われてもおかしくはないであろう。

 そんなアンバイドとの対決は、普通なら避けないといけないが、リース王国軍に勝って、征服するにはアンバイドを倒さないといけないのだ。

 最悪の場合は、どんな手を使ったとしても―…。

 ファルケンシュタイロは、そのことを完全に考えられているわけではないが、自分達よりも明らかに強く、アンバイドを倒すことが不可能に近いものであることぐらいは知っているし、今の状況でそのように認識している。

 そして、ファルケンシュタイロが気になっていることはもう一つあり、それはラウナン率いるシエルマスの方である。

 シエルマスの方も、リース王国軍の左軍にイマニガを潜入させて、混乱を起こさせようとしたが、結果、失敗に終わり、イマニガはリース王国軍の左軍の騎士の格好をしている者に討たれてしまったのだ。その騎士の格好をしているという人物がランシュである。

 ランシュの名前には気づいていないが、ミラング共和国軍に多大な被害をもたらしている人物に関しては、気づいている。

 ランシュとヒルバスは、シエルマスをも圧倒的に倒すことができる以上、迂闊に手を出すのは危険だとされていてもおかしくはない。

 そんななか、ラウナンは、

 (……………………イマニガがしくじって、さらに殺されてしまうとは―…。おかげで、私が無様な失態を晒すことになってしまいました。まあ、その責任は、イマニガの独断によっての失敗であることにしてしまえば問題はありません。私は失敗してなどいません。私の作戦は完璧であり、失敗するのであれば、それを実行する者の実力が劣っていたからでしょう。私は一切、責任のないことですし、そのような馬鹿な結果は忘れることにして、今後のことをしっかりと考えないといけない。)

と、心の中で考える。

 ラウナンは、今回のリース王国軍の左軍への混乱を起こす作戦の失敗で、自身には責任がないということにした。そのように自身の記憶を改竄し、事実はなかったことに、事実が嘘であるようにしたのだ。ラウナンにとって、自らの失敗を認めるということは自身の精神の崩壊を意味することであり、なぜ責任を取る必要もないポジションについて、自らの(にんぎょう)を用いてミラング共和国を操っているのか。

 ラウナンは、シエルマスという組織の中で出世していくために、暗殺の技術と同様に、自分に責任が振りかからないこと、特に、失敗に関する責任が振りかからないようにすることが大切であることをしっかりと学んでいる。

 裏、暗部の組織である以上、失敗イコール口封じのための死という結末に繋がることは往々にしてあることだ。そのため、失敗は許されないことであり、その失敗による責任は重いものである。

 だからこそ、どんな優秀な人材であったとしても、一度の大きなミスによって、その人生を終えるという結末を迎えた者は数知れず。

 その結果、裏、暗部の組織には失敗を経験したことのない何でも自分はできるのだと思ってしまっている人間がトップになったりすることが、場合によってはあるのだ。この異世界において―…。

 ラウナンもそのような人間だ。

 そして、失敗した者の行く末を見ている以上、自分が出世したのは、自分が正しく、実力があったからだという妄信に囚われることになってしまい、自分以外の要素を考慮に入れないという物事を見る上でも視野を狭くさせてしまったのだ。

 そのことにラウナン自身は気づきもしない。成功者と世間から言われている者でも、そのようなことに気づかない者はいるかもしれない。

 そう、自らの成功は自らの力ということをやけに強調して、自身が優れていることに対して、優越感を抱き、浸ることに警戒心を抱くことさえない。

 ゆえに、成功をした方法は次も必ず適用される妄想を抱き、どこかで大きな失敗をするのだ。いや、他者が成功者の真似をして、失敗することもあり得るかもしれない。

 そのような未来は完全に保証されたものではないが―…。

 と、同時に、完全にないと保証されるものでもない。

 「いつまでも負けたと周囲に思わせてしまうようなことを振り返っても意味はありません。我々は失敗したわけではないのだから、なぜなら、我々はリース王国側の卑怯な作戦によって、このような目に遭っただけなのです。大事なのは、これからのことです。我が国は、今までの戦争に勝ち続けてきたのだから―…。我々は強いはずだ。」

と、ラウナンは言う。

 その言葉を心の奥底から信じる者たちはいない。

 勝ってるうちは、その言葉が周囲に対する強い影響を与える意味もあるのであろうが、負け始めると、ラウナンの今の言葉には信憑性というものがあるのか、という疑問を抱く者すら出てもおかしくない。

 現に―…。

 (シエルマスのラウナン様の言う通りにして大丈夫か。彼らは軍事が専門ではなく、工作の方が専門。結局は、素人でしかない。軍事に関しては、我々に任せるのが妥当です。ファルケンシュタイロ様が関与しているとはいえ―…。だけど―…。)

 この人物は、ラウナンに対して、疑問を抱いている。

 だけど、心の中でこのように思ったとしても、ラウナンに反抗することなどできない。

 ラウナンは、ミラング共和国の諜報および謀略機関であるシエルマスの統領であり、彼の力は実質上、ミラング共和国のトップである総統よりも上であり、絶対的な権力を持っているのだ。権威はないが―…。

 なぜなら、ミラング共和国の政府の上級役職やシエルマスの中では、実際の権力がラウナンにあることを皆が知っていることであるが、一般の多くのミラング共和国に住んでいる者の多くはラウナンではなく、総統のエルゲルダが権力を持っていると認識しているからだ。

 そのため、ラウナンが表立って命令したとしても、すぐに、言うことを聞いてくれるミランぐ共和国に住んでいる人はほとんどいない。傀儡のエルゲルダを使った方がすぐ動いてくれるのだ。総統の地位とは、今、そんな状態になっている。

 それでも、ラウナンは、シエルマスを使い恐怖で支配を確立させ、ミラング共和国に住んでいる人々を従わせることができるであろうが、それにはどうしても時間がかかるし、シエルマスの数も多くはないので、どこか隙を発生させてしまうのだ。

 そういう理由もあり、エルゲルダの命が奪われてしまうのは、ラウナンにとって不味いことである。

 さて、話を戻し、ラウナンに一度疑問を感じ始めると、反抗することはできないが、状況を自分で考え、冷静に判断して、自分が不利にならないように動くために必要な行動をとるべきだと判断を下すことはできるし、気づけるものだ。

 そして、この疑問に気づける者の数は少ない。

 理由は、ラウナンのシエルマスという恐怖からであろう。

 その恐怖から逃れることができないと思い込んでしまっているのだから―…。逃れられる可能性は低いが―…。

 「ラウナン。お前に何か策でもあるのか?」

と、ファルケンシュタイロは問う。

 ファルケンシュタイロもその間に、冷静になることができたようだ。

 失ったものを一々嘆いたとしても、このミラング共和国とリース王国の戦争で、ミラング共和国の勝利のためのヒントを与えてくれるわけがない。

 堂々巡りは、結局、何も生み出さないのだから、過去の失ったものは忘れて、未来をどうするべきかの方が重要なのだ。

 そして、ファルケンシュタイロに言われた問いを、ラウナンは考えるのであった。

 (…………………クッ!!!)

 ラウナンは舌打ちをする。

 それは、周囲に見えないようにしながら―…。

 ラウナンの頭の中には、これからどうするかというアイデアが浮かぶことはない。

 そして、この会議の場にはすでにある人物がいた。


番外編 ミラング共和国滅亡物語(189)~最終章 滅亡戦争(44)~ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正していくと思います。


2023年12月24日の日曜日に『水晶』は投稿できない可能性があるので、2023年度の投稿は、2023年12月23日土曜日までの投稿ということになりそうです。

いろいろあるんですが―…。

今年で、番外編を仕上げることができず、申し訳ございません。

反省します。

2024年中には、確実に番外編は仕上がると思います。

確実と保証して良いのか本当に言えば、不安ですが―…。

それでも、無理しない程度に頑張っていきたいと思います。

『水晶』の第一編がここまで長くなるとは予想外です。

そして、『水晶』のネームの方もまだ第一編が終わっていないので、長引きそうです。一応、第295話の途中ですが―…。


そんなこんなで、今年も何とか、投稿する執筆分は書き上げており、体の方を最近風邪ひいたので、休めたいと思います。

皆様も、体調には気を付けてください。

では―…。

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